子ども達が生涯の読書家になるために(07:28)

アルヴィン・アービー(Alvin Irby)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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小学校教師だった母は 私に読解力をつけさせようと 全力を尽くしました 週末は大抵 友達は外で遊んでいても 私は食卓で 読書のレッスンを受けていました 読解力は向上しましたが 強制的な読書レッスンで 本を好きにはなれませんでした

高校で事態は一変しました 高校1年生の普通英語クラスは 短編小説とスペルのテストで 退屈きわまりなく 私は他のクラスへの変更を願い出て 次の学期には 上級英語クラスに移りました

(笑)

その学期に小説2篇を読み そのレポートを書きました この2つの英語のクラスは 内容にも厳しさにも違いがあり 私は憤りを感じ こんな疑問が口をつきました 「この白人生徒は どこから来たんだ?」

(笑)

私の高校は7割以上が 黒人かラテン・アメリカ系ですが 上級英語クラスは白人ばかりでした この制度化された人種差別に 個人的に遭遇して 私の読書との関係は一変しました 私が知る必要のある事は 学校や先生や カリキュラムは教えてくれない そう学びました そして知識人というより むしろ反乱者として いつ何を読もうが 他人の指図は受けないと 心に決めたのです そしていつの間にか 思いがけず子ども達の読書を 助けるヒントに出くわしました アイデンティティです

読解スキルに気をとられて 生徒を 一つのレベルから 他のレベルへと移行させたり 読書が苦手な生徒に見慣れない単語を 暗記させたりするのではなく 私たちは自らこう問うべきです どうしたら 子ども達に 読者としての 自覚を持つよう奮起させられるのか?

デショーンは私がブロンクスで教えた 聡明な1年生で どのようにアイデンティティが 学びを形作るか 私の理解を助けてくれました ある日 算数の時間に デショーンに近づき こう言いました 「デショーン 君は優秀な数学者だね」 すると彼は私を見てこう言いました 「僕は数学者じゃなくて 数学の天才さ!」

(笑)

そうかデショーン でも読み方は? 全く別の話です 「アービー先生 僕読めません 絶対 読めるようにならない」 彼はそう言いました 私は彼に読書を教えましたが 読めないままの 黒人の子どもがたくさんいます アメリカ教育省によると 黒人男子 4年生の 85パーセント以上は 読むことに堪能ではありません 85パーセントですよ! 子どもが読書に困難を覚えれば覚えるほど 教育者には より文化的に配慮のできる 能力が必要です 過去8年間に渡る お笑い芸人アルバイトの経験から 私には文化的配慮の重要性が分かります それは あなたが 他の誰かに知ってもらいたいことや できるようになってほしいことを 適切で関心を引くような意思疎通や経験に 置き換える能力だと定義します ステージに上がる前 私は聴衆を見渡し判断します 彼らは白人かラテン・アメリカ系か? 年配か若者か 専門家か保守派か? それから最も笑いを取れるように ジョークを選んで修正します 教会でお笑い芸をする時 バージョークは使えますが 笑いは取れないかもしれません

(笑) 社会で 私たちが 子ども達に経験させている読書は 教会でのバージョークと同じです それで こんなに多くの子ども達が 読書をしないと不思議がります 教育者であり哲学者である パウロ・フレイレは 教えることと学ぶことは 双方向の関係であると信じていました 生徒は 事実で満たされる為の 空のバケツのようにではなく 知識の共同制作者として認識されるべきです

大量生産のカリキュラムや学校の方針は 生徒を寡黙な像のように座らせ 静寂の中で作業をさせます このような環境はしばしば 子供の学習ニーズや興味 得意なことを排除してしまいます 特に黒人男子ではそうです

黒人男子を対象とした多くの児童書は 奴隷制度や公民権や伝記など 深刻なトピックばかりです アメリカの黒人男性教師は 2パーセント未満で 多くの黒人男子は母子家庭で育ちます 黒人男子達は 黒人男性が読書する姿を 本当に見たことがないのです 黒人男性から読書するよう 励まされたこともありません どんな文化的要因や 社会的きっかけがあれば 黒人男子は 読書をすべきだという 結論に達するのでしょう? こんな訳で 私は「理髪店の本屋さん」を 立ち上げました それは読解能力の育成を目指す 非営利組織で 子どもが利用しやすい読書スペースを 理髪店に設置します 使命は単純です 黒人男子に読者としての 自覚を促すのです 多くの黒人男子は 月に一度か二度 理髪店に行きます 中には自分の父親に会うよりも頻繁に 理髪店に行く子もいます 「理髪店の本屋さん」は 読書と 男性中心の空間を結び付け 黒人男性を 少年の早期読書経験に巻き込みます このアイデンティティに基づいた 読書プログラムは 黒人男子が推薦する児童書の 人気リストを使用します これらは 彼らが実際に読みたい本です

スカラスティック社の「2016年版 キッズ・アンド・ファミリーレポート」によると 子どもが本を選ぶ第一条件は その本が笑えるかどうかです もし私たちが本気で 黒人男子や他の子ども達の 強制されない読書を助けたいなら 適切な男性を読書の模範として 早期の読解力達成に 取り入れる必要があります 大人が特に好むいくつかの児童書を 面白く、馬鹿げた、『グロス・グレッグ』 のような気持ち悪い本と取り替えます

(笑)

「君はそれを鼻くそというけど グレッグは美味しい砂糖菓子というよ」

(笑)

その笑い その前向きな反応です それと今何人かがお見せになった 気持ち悪いという反応 (笑) 黒人男子にも 同じように感じる機会が もっと与えられるべきです アメリカの教育制度をむしばむ 野蛮な不平等を廃止するには 全ての子ども達に もっと読書の機会を与え 彼らが こう言えるように 激励しなければなりません 「私は読書家です」

ありがとうございました

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このプレゼンテーションについて

アメリカの教育省によると、4年生の黒人男子のうち85パーセント以上に読む力が十分身に付いていません。全ての子ども達がよく読めるようになるにはどのような読書体験をさせればよいでしょうか?教育者であり著者であるアルヴィン・アービー氏はこのトークを通して、私たちに読み方の指導を考え直させ、多くの黒人の子ども達が直面する読書の課題を説明します。そして、全ての子ども達が読者としての意識を持てるように、文化的配慮のできる教育者が何をするかを教えてくれます。

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