コンピューターはいかに物体を即座に認識できるようになったのか(7:37)

ジョセフ・レドモン( Joseph Redmon)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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10年前 コンピュータービジョンの研究者は コンピューターで 犬と猫を見分けるのは ほとんど無理だと 考えていました 人工知能の大きな 発展にもかかわらずです 現在では99%以上の精度で 見分けられるようになっています これは「画像分類」と 呼ばれる問題で コンピューターに画像の ラベル付けをさせるものです コンピューターは何千種もの物を 識別できるようになっています。

私はワシントン大学の大学院生で Darknetというプロジェクトに 取り組んでいます コンピュータービジョンのモデルを トレーニングしテストするための ニューラルネット・フレームワークです Darknetが あの犬の画像を 何だと思うか 見てみましょう あの画像を 私たちの画像分類 プログラムにかけると 犬か猫かだけでなく 具体的な犬種まで 言い当てます そこまで細かいことが 分かるようになっています そして正しい答えを出しています。 私の犬は確かにマラミュート犬です [マラミュート犬 37% ハスキー犬 15% エスキモー犬 12%]。

画像分類は驚くほど 進歩しましたが こういう複数の物が写った写真を 画像分類にかけたら どうなるのでしょう? 結果は— 前とほぼ同じになっています [マラミュート犬 7% エスキモー犬 6% ハスキー犬 6%] それは正しくて 画像の中には 確かにマラミュート犬がいますが そのラベルだけでは この画像の中で どんなことが 起きているのか あまりわかりません もっと強力なものが ほしいところです 私は「物体検出」と呼ばれる 問題に取り組んでいて それは画像を見て その中にある物体をすべて検出し それぞれの物を箱で囲って それが何か識別する という問題です この画像を物体検出プログラムにかけると どうなるか見てみましょう。

得られる結果は こういうもので 色んなことができます 猫と犬がいることがわかり 相対的な位置や 大きさもわかります おまけの情報もあります 向こうに本があるとか コンピュータービジョンを 使ったシステム 自動運転車や ロボットを 作ろうとするなら これはまさに 欲しい情報でしょう 周りの世界と作用し合えるように してくれるものが欲しいのです 私が物体検出に 取り組み始めた頃は 1つの画像の処理に 20秒かかっていました この領域で なぜスピードが重要なのか 分かってもらうため 物体検出で画像の処理に 2秒かかると どんな具合か 見ていただきましょう これは画像1つにつき20秒かかる 画像検出プログラムより 10倍速いわけですが プログラムが答えを 出したときには 状況は既に変わっているため あまりアプリケーションの役には 立ちません。

さらに10倍 高速化してみましょう 毎秒 5フレーム 処理しています だいぶマシにはなりましたが 何か大きな動きがあると ズレが出ます このようなシステムに 自分の車を運転して欲しくはありません。

これは私たちの物体検出システムで ノートPC上でリアルタイムで動いています 私が動き回っても スムーズに追尾します 様々な種類の変化にも対応できます 大きさとか ポーズとか 前向き 後ろ向き とてもいいです これこそコンピュータービジョンを 使ったシステムを作ろうというときに 欲しいものです。

(拍手)。

ほんの数年で 1画像あたり20秒から 20ミリ秒へと 1000倍 高速化しました どうやって実現したのか? 以前の物体検出システムは このような画像を受け取ると 沢山の領域に分割し それぞれの領域を 分類プログラムにかけ 高いスコアが出たところに 物体が検出されたと 見なしていました この方法だと1つの画像に対し 分類プログラムを何千回も走らせ ニューラルネットによる評価が 何千回も必要になります そうする代わりに 1つのニューラルネットで すべての検出を行うようトレーニングしました 境界の箱や 分類の確からしさの確率を すべて同時に生成するのです 我々のシステムでは 物体検出を行うために 画像を何千回も見る代わりに たった一度しか見ないのです それがYOLO (You Only Look Once)の 名の所以です これだけ速いと 画像だけでなく 映像もリアルタイムで処理できます 猫と犬を検出するだけでなく それぞれが動き回り 相手に反応しているのが分かります。

この検出プログラムは MicrosoftのCOCOデータセットにある 80種の物に対して トレーニングしてあります スプーンやフォークといった 日常的な物もあれば もっと変わった物もあります 動物 車 シマウマ キリン ちょっと面白いことをやりましょう 客席からどんなものが 検出できるか 試してみます ぬいぐるみの動物が欲しい人? そこかしこに テディベアがあります 検出器の閾値を少し下げて 客席の皆さんを 検出できるようにしましょう 「一時停止」の標識を 検出できるでしょうか バックパックが いくつかありますね もう少しズームしましょう 素晴らしいです すべての処理が ノートPC上で リアルタイムで 実行されています。

重要なのはこれが 汎用物体検出システム だということで どのような領域の画像に対しても トレーニングできます 自動運転車が 一時停止の標識や歩行者や 自転車を検知するのに使うのと 同じプログラムを 組織生検でガンを 見つけるためにも 使えるのです すでに世界中の研究者達が この技術を使って 医学やロボット工学を 前進させています 今朝 新聞で読んだんですが ナイロビ国立公園では YOLOを検出システムとして使って 動物の個体数調査を しているそうです それというのもDarknetはオープンソースで パブリックドメインなため 誰でも無料で使えるからです。

(拍手)。

私たちは物体検出技術をさらに近づきやすく 使いやすいものにしたいと思い モデルの最適化や ネットワーク・バイナリぜーション 近似を組み合わせることで スマートフォン上で 動かせるようにしました。

(拍手)。

私はすごくワクワクしています いまやこの基本的なコンピュータービジョンの 問題に対して とても強力な解があり 誰でもそれを使って 何か作り出すことができるんです あとは皆さんや このソフトウェアを使える 世界中の人々にかかっています この技術を使ってみんなが どんなものを作ってくれるか楽しみです。

ありがとうございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

10年前には研究者達はコンピューターで猫と犬を見分けるのはほとんど無理だと思っていました。今日では、コンピュータービジョンシステムにより99%以上の精度で行えるようになっています。どうやってでしょうか? ジョセフ・レドモンはオープンソースの物体検出システム YOLO (You Only Look Once) に取り組んでいて、シマウマから一時停止の標識まで、映像や画像の中の物体を瞬時に識別できるようにしています。この目を見張るようなデモで、レドモンは自動運転車やロボットやガンの検出といった応用に向けた重要なステップを披露しています。

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