小さな国の大きなアイディア―化石燃料なき発展を目指して(15:52)

モニカ・アラヤ(Monica Araya)
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対訳テキスト
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化石燃料を使わずに いかに社会を築くか?

これは複雑な課題です 発展途上国がこの移行を リード出来ると信じています 異論がある方も多いと思いますが 現実には 発展の中心に 化石燃料を据え続けると 私たちの国々は あまりにも多くのことが 危険にさらされるのです 私たちは違う方法を取ることができます 今です 今本当にやるべきことは 神話を覆すことです それは 国の発展 もしくは 環境保護、再生可能エネルギー、生活の質の 二者択一しかないという考えです。

私は発展途上国である コスタリカの出身です 約500万人が住んでいる国で アメリカ大陸のちょうど真ん中に 位置しています 私たちの住む場所が どこなのか 覚えやすいでしょう 100%近い電気が 再生可能エネルギーによって作られています 5種類の再生可能エネルギーです。

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水力、地熱 風力、太陽光、バイオマス発電。

聞いたことがありますか? 昨年のことです 299日間 私たちの発電した電気は全て 化石燃料を全く使っていません すばらしい偉業です しかし そこには 矛盾が隠されています 70%のエネルギー消費は 石油によるものです。

なぜって それは私たちの交通システムによるものです 他の多くの国と同様に 交通システムは すべて化石燃料に依存しています もしエネルギー源の移行を マラソンに例えるなら 問題は どのようにゴールテープを切るのか どのように残りの経済を 脱炭素化させるのかということです もし私たちが成功させられなかったら 一体だれが ― 成し遂げることができるのでしょうか だからこそ コスタリカについて 話したいと思います 私たちこそが有力な候補だと 感じているからです 化石燃料なしで発展するという構想の 先駆者になれます。

コスタリカについて ある事実を知っているでしょうか 私たちは軍隊を持ちません 1948年を振り返りましょう その年 内戦が終わりました 何千ものコスタリカ人が亡くなり 多くの家族が無残に引き離されました しかし ある驚くべきアイディアが 人々の心をつかみました それは国の再始動にあたって 第二共和国は 軍隊を持たないということで 私たちは軍隊を放棄したのです その時の大統領の ホセ・フィゲーレスは 力強い方法を取り 陸軍基地の壁を打ち砕きました 翌1949年には 私たちは 新たな憲法により その決断を永遠のものにしたのです そのおかげで 70年後の今 この話をすることが出来ます 感謝しています 私が生まれる前のその決断に 感謝しています 私と何百万人もの人々が 安定した国で 暮らすことが出来ているからです。

運が良かっただけでしょうか いいえ 運ではありません 模範となるような 熟慮された選択があったからです 1940年代には 無償の教育と医療サービスが始まります それは社会保障と呼ばれました 軍隊を放棄することによって 軍事費が社会保障費に変わりました それが安定の原動力です 50年代に――

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50年代に 水力への投資を始めました それは発電に化石燃料を使うという トラップから抜ける方法となりました 今世界がそのトラップと戦っています 70年代には国立公園に 投資を始めました それによって どんな代償を払ってでも 成長、成長、成長を求めるという ひどく間違った理論を避けることができました これは発展途上の国によく見られる理論です 90年代に「生態系サービス」への 投資を先駆けました これは 森林破壊からの回復と 成長のカギとなるエコツーリズムの 促進を助長します ですから 環境保護に投資することは 経済の妨げにはなっていません その反対です。

私たちが完璧だということではありません 矛盾を抱えていないわけでもありません それは論点ではありません 大事なことは 自分たちで決断したことによって 発展に伴う問題を乗り越える力を 身につけることが出来たということです。

また私たちの国の 1人当たりのGDPは ―計算の仕方にもよりますが― 約11,000ドルですが GDPから推定される値に比べ 我が国の社会進歩指数は 非常にかけ離れた値を示しています 軍を放棄し 自然や人々に投資するという行動は とても力強いものでした それは物語を作りだしました。 小さな国が 大きなアイディア持つという物語 その物語と共に成長することは とても力強いことでした。

問題は 私たちの世代が考えるべき 次の大きな発想です 次にすべきことは 我々の世代が かつて軍隊を放棄したように 化石燃料を永遠に手放すことです。

化石燃料は気候変動を引き起こします 私たちはそれを知っています 気候変動の影響に対し 人間が脆弱であることも知っています 発展途上国として 最も関心があることは 人間に危害を与える化石燃料を 使用しない発展です なぜなら なぜ 交通向けに 電気を使うことが出来るのに 私たちは石油を輸入し続けるのでしょうか。

思い出してください 私たちのこの国は 電力を 川の水から 火山の熱から 風力タービンから 太陽光パネルから バイオマスから得ています 化石燃料を放棄することの意味は 既存の交通システムを取り止め 自動車やバス、電車を 地球を汚すエネルギーの代わりに電気で 動かすようにできることです。

さらに一言いえば 交通問題は コスタリカが現実に抱える 問題となっています なぜなら既存のモデルは 上手く機能していないからです 人間を傷つけ 会社を傷つけています 私たちの健康も害しています。

政策や交通インフラが 機能不全を起こしているので こんな状態が毎日のように起きています 朝の2時間や 夕方の2時間に起きていることです なぜこの状態を普通だと 受けとめなければいけないのでしょうか 来る日も来る日も このように時間を無駄にするのは とても腹立たしい問題です 交通量が激増している 他の国と比べてみても 我が国の高速道路自体は 実際 とても良いものです コスタリカ人は交通渋滞を 「プレサ」と呼びます 「投獄された」という意味です みんな暴力的になります それさえなければ 「プラ ヴィダ(最高)」なんですが これが起こっている事です 多くの人に関わる問題です。

良い話と言えば クリーンな交通手段や 様々な移動手段について 議論している時 どこか遠いユートピアのような 話をしているのではありません 今起こりつつある 電気を使った 移動手段について話しているのです 2022年までには 電気自動車と従来型の自動車の コストは同じになると予想されています いくつかの市は電気バスを試していて これらの とてもかっこよい乗り物は コストを抑え しかも汚染を減らしています 石油に依存した交通システムを なくそうと思えば 出来るのです 以前にはなかった選択肢が 今はあるからです わくわくしますね。

しかし もちろん このアイディアに不快感を覚える人もいます そのような人はこう言うでしょう 「世界は石油から抜けられない コスタリカもだ 現実を見ろ」と 彼らはそのように言いますが これに対する反論の仕方を 知っていますか? 1948年 私たちはこうは言いませんでした 「世界は軍隊を手放せない だから我々も軍隊を保持しようよ」と 私たちはとても勇敢な選択をしました それが違いを生み出したのです。

私たちの世代が勇敢になる時です 永遠に化石燃料を手放すのです なぜそうすべきか  理由を3つお話します。

まず1つ目 私たちの交通・都市化のモデルは 壊れています 今こそ 都市と交通のモデルを 再定義する時です 車のための都市は要りません 歩き 自転車を乗りまわせる 人々のための都市が必要です 公共交通機関も必要です たくさん必要です それらはクリーンで 尊厳をもたらすものです 従来型の車が増え続けると 私たちの都市は 耐えられないものになるでしょう。

2つ目に 私たちには変化が必要ですが 徐々に変化していくのでは 十分ではありません 私たちは抜本的な変化が必要です この国にはすでに いくつかの漸進的なプロジェクトがあり 私はそれらの活動を真っ先に賞賛しました しかし― ごまかすのはやめましょう 美しい電気自動車や 何台かの電気バスを ちらほら見かける という状況に 満足してはいけません 既存のものと同様のインフラや より多くの車、道路、石油に 投資し続けてはいけないのです 私たちは石油からの決別について 話をしています 漸進的な改革ではたどり着けません。

3つ目は これは皆さんも理解されると思いますが 世界は斬新な発想に飢えています サクセスストーリーを求めています 特に発展途上国において 難しい問題を解決していく話です 私はコスタリカが 他の国々に インスピレーションを与えると信じています 発電のために化石燃料を使わずに 長い間過ごしていたと 昨年 公表したようなことによってです そのニュースは世界中に広がりました 私は非常に誇らしく感じました コスタリカの女性 クリスティアーナ・フィゲレスは 気候変動に関するパリ協定の交渉の中で 重要な役割を演じました 私たちは先人の残したものを守り 模範を示さなければなりません。

さあ 次は何でしょう 人々です どうすれば人々は これを受け継ぐことが出来るでしょうか どうすれば人々に 化石燃料を使わずに社会を築くことが 可能だと信じてもらえるでしょうか 徹底的で多大な努力が 必要になります。

それが私たちが2014年に 「コスタリカ・リンピア」を作った理由です 「リンピア」とは「クリーン」という意味です 私たちは人々を力付けて 鼓舞させたかったのです もし国民が参加をしなければ クリーンな交通システムの決定は 尽きることのない技術的な議論と 様々な既得権益を持った人たちによる ロビー活動が殺到して 行き詰ってしまうことでしょう 再生可能エネルギーによって グリーンな国になることは すでに私たちの構想の一部です 誰にもそれを奪われてはいけません。

昨年 7つの州から人々を集め 彼らそれぞれに関わる 気候変動の問題について語り合いました 今年も会議を開催し 前回のグループとは異なるコスタリカ人が 再生可能エネルギーについて話し合いました そして驚くことに 集まった人々は ほとんど全てのことに反対しました ただし再生可能エネルギーと クリーンな交通システムと空気を 除いてはなのです このことは人々を団結させました。

人々に本当に参加してもらうためのカギは 自分たちはちっぽけな存在だと 感じさせないことです 人々は無力に感じます 人々は自分の意見が無視されると 疲れてしまいます 私たちは 具体的に物事を進めるようにして また 技術的な問題を 国民の言葉に置き換えることによって 国民には役割があり その役割は 一緒に果たせるのだと示すべきです クリーンな交通システムについて なされた約束が いま初めて検証されているところで 政治家は それを実現させなければ ならないと心得ています 特に発展途上国において 転換点は 皆が連携した時に訪れます それは国民 会社や 公共交通機関の支持者たちが 電力による交通システムを 「新たな標準」にしようと 連携した時です。

次の選挙までに すべての候補者が 化石燃料の放棄について 自分の立場を明らかにするでしょう この問題への対応は主要な政策になるでしょう 強調しておきます これは気候変動に対する政策の議論でも 環境の議論でもありません これは 私たちの実現したい国についてです 私たちが暮らす都市についてです 私たちの実現したい都市についてです 誰がその選択をするのか についてです 最終的には 私たちは 示さなければいけません 再生可能エネルギーによる発展は 人々にとって 今日を生きるコスタリカ人にとって そして 特に将来の生まれてくる人たちにとって 良いことだということを。

これは現在の国立美術館です 明るく 平和的です この前に立ってみると 40年代の終わりまでは 軍隊の兵舎として使われていたとは とても信じられないでしょう この場から 軍隊のない 新しい国家が始まりました ここで― いつか化石燃料の 放棄が宣言されることでしょう そして また歴史を作るのです。

ありがとうございました。

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このプレゼンテーションについて

化石燃料なくしてどのように社会を築くのでしょうか? 環境保護や再生可能エネルギーに積極的に取り組むコスタリカ人の一人として、気候変動対策の提唱者モニカ・アラヤは、すべての分野でクリーンなエネルギーだけを使用する世界についての大胆なビジョンを説明します。

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