身の回りのものすべてがコンピューターになる(13:11)

イワン・プピレフ(Ivan Poupyrev)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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コンピューターは 本当にすごいものになっています みんなスーパーコンピューターを ポケットに持ち歩いているんです すごいことだと 思いませんか? それからすると 私達がコンピューターを 使うやり方が 50年前とさして変わっていないのは 残念なことです 相変わらずマウスとキーボードを使い 画面上のボタンをクリックとかしています スマートフォンも同じです マウスの代わりに 指を使うというだけです

それしかないのでしょうか? これが未来の姿なのでしょうか? 周りには目もくれず 画面の中の世界に とらわれているというのが? 私が心引かれ夢見る未来は そんなものではありません 私はずっと身の回りの 形ある物に惹かれてきました このテーブルの 上にあるようなー この家族は 注意を払っていませんが 物は私達が 何者なのかについて 実に多くのことを 語ります 例をお見せしましょう

これは ある人が24時間のうちに 触れた物を撮した写真です この人について 何が分かるでしょう? オートバイ好きの人です 写真の中の 多くを占めています こちらの女性については どうでしょう? 多くの時間を 浜辺で過ごしています サーフボードがあります 海の近くに住んでいます この男性はどうでしょう? シェフです 料理する間に触れた 様々な材料があります 彼の生活の中で コンピューターは ごく小さな部分を 占めるに過ぎません

私達が たえず物を使っていて それが生活の大きな部分を 占めているなら 物をデジタルの世界と繋がるための インターフェースにできないでしょうか? 世界そのものを インターフェースにできないか? それが私の着想で この20年間 取り組んできました デジタルの世界と やり取りするのに 別に 画面や キーボードや マウスはいらない 日常的に使っている 物を通して デジタルの世界を 扱えればいい それを実現するには 3つの 大きな問題を解決する必要があります それについて お話ししましょう

第1の問題は そもそも そんなことが可能なのかということ 日常的に使っている物を どうすればコンピューターの インターフェースにできるのか?

私は『ハッカーズ』という本に 影響を受けました 十代の頃に 読んだんですが この本にある 基本的なアイデアは 新技術を発明して 物をハックし 変更を加えることで 物の用途は変えてしまえる ということです それで日常的に使うものを ハックして やり取りできる ようにするには どんな技術を発明する必要が あるだろうと考えてきました

この作品に 取り組んでいたときは 物の中に構造的な電場を 作り出せるセンサーを発明し 物をジェスチャー・インターフェースに 変えました ドアノブ自体には手を加えずに ジェスチャー・センサーにできるのです どういう触り方をしているのかが 分かります 輪を作っているとか 握っているとか 手を加えていない 普通のドアノブです どんなものでも インタラクティブにできます たとえば植物でも この植物が面白いのは どこに触っているか 分かることです 画面で水平線が 上下しているでしょう これで鉢植えを楽器の インターフェースに変えられます

(触れる位置で高さの変わる音)

もっと実用的な使い方もできます 実用第一の人のための カレンダー草です

(笑)

物に人格を 与えることもできます

(変化する音)

この例では 蘭の花が— この例では 蘭の花が— 音と映像で 人と対話できます 触られるのが嫌いで とげとげしい電子的イメージで 威嚇しています こちらのトラノオは もっと丈夫で 遊んでもらうのが好きです 触ると反応します あらゆる物に個性があり どう感じているかを 表すことができます

すべての物はハックでき 人間の体も例外ではありません この例では 人間の体をハックして 両手をどう組み合わせているか 分かるようにし 手の仕草で 何かの制御を することができます 同じ曲を何度も 聞きたくなければ 耳を塞ぐ仕草で 音楽を切ることができます

すべてはハックでき 研究は重要ですが 第2の問題は 研究開発とプロトタイプから どうやって実際の製品に 持って行けるかということです 実際の日常の物をどうやって インターフェースにもなるようにできるか? それをやるのは 誰かと思うかもしれません シリコンバレーでしょうか? 深圳でしょうか? 問題は 物の世界が 巨大なことです 服飾業界は年に1500億点もの 衣料品を生産します それに対し テクノロジー業界が作る スマートフォンの数は14億程度です 物の世界はテクノロジーの世界よりも ずっと大きいのです テクノロジーの世界が 物の世界を変えることはできません そうではなく 椅子や服のような 物の生産者が スマートな製品を 作れるようにする テクノロジーを生み出す 必要があります

これを試してみるために シンプルな課題を考えました 仕立屋にウェアラブルデバイスは 作れるか? ここで仕立屋を電子技術者に したくはありません ここで仕立屋を電子技術者に したくはありません 仕立屋さんには いてほしいですから やりたいのは 仕立屋が服を作るのに使う素材と 見た目や感触が同じ ハイテク部品を 作るということです たとえば仕立屋向けに タッチパネルを作るなら 右のような生地でできていて 切ったり縫ったりできなきゃいけません それでいて機能を 保っている必要があります 生地でできた タッチパネルを作るには 電化製品を作るのとは 異なるアプローチが必要です 私達の場合 東京の山間部にある 小さな工場に行きました 何代も着物用の糸を 作ってきたところです 一緒に作業した人たちは エンジニアではありません 物の作り方を 知っている職人や 物を美しくする術を 知っている芸術家です

彼らと力を合わせ 最高の糸を作りました 細い金属合金を ポリエステルや 綿繊維で包んだものです この糸は 着物用の糸を作るのと 同じ機械を使って作りました できた糸をこんどは 生地を作る工場に持って行き 普通の機械を使って スマート生地を織り上げました 様々な色や素材の 生地を作り それをロンドンの サヴィル・ロウにある 仕立屋に持ち込みました

仕立屋は伝統を重んじます サヴィル・ロウでは特に コンピューターは使いません 機械は使いません 手で裁断し 3Dアバターではなく 人の体に当てて寸法を決めます 3Dアバターではなく 人の体に当てて寸法を決めます 物事をテクノロジーで 考えないにしても 彼らは現代人です テクノロジーの使い方は 知っています だからテクノロジーを ボタンや生地のような 彼らに使える 形のものにすれば 彼らはウェアラブル デバイスを作れます— 電話をかけられる 服のような

(呼出音)

電子製品の会社でなく 仕立屋に ウェアラブルデバイスが 作れることを確認できました 私達はパートナーの リーバイスと共同で 私達はパートナーの リーバイスと共同で 実際に商品を作りました 今 私が着ている このジャケットです 発売されていて 皆さん購入できます 他の商品を作っているのと 同じ工場で作られました 私がジャケットの袖で スライドの操作をしていたのに お気付きかもしれません 下へさすると先に進み 上へさすると前に戻ります もちろん スライドの 操作だけでなく もっといろんな ことができます カーナビや 聞いている音楽の 操作もできます でも一番重要なのは それが依然としてジャケットであり 私をカッコ良く 見せてくれることです

(笑)

(拍手)

そこが重要なところです

(笑)

物をインターフェースに 変えられること テクノロジー企業でない 物を作っている会社に こういう物が作れることを 示せました 私はカッコ良くなった それで終わりでしょうか?

(笑)

まだです 3番目の問題は どうやってこれを 広められるかということ 1つの商品から たくさんの商品へと それが私達の 今取り組んでいることです 何をしているか お話ししましょう

最初にはっきり させておきたいのは これは「モノのインターネット」の 話ではないことです 飽きたら押し入れに放り込んで 忘れてしまうような 新しいガジェットを 作ろうとしているのではありません 新しいガジェットを 作ろうとしているのではありません 私が仕事の指針としている 基本的で重要な原則は 「テクノロジーは既存の物を より良くする ものでなければならない」ということです 物をデジタルの世界に繋げて 新たな有用性や機能を 付け加えながらも 元々の用途は変えずに 維持するのです 元々の用途は変えずに 維持するのです この私が着ているジャケットは 携帯やスライドをコントロールできますが ジャケットであることに 変わりありません あらゆる物がインタラクティブで 電子的に繋がったものになり始めると それぞれの物が独自の アクチュエーターや ディスプレイや センサーを 持つようになるでしょう ジョギングシューズに タッチセンサーは必要ありません 使いませんから それは走る速さや 膝への負荷を測る センサーを備えつつ それは走る速さや 膝への負荷を測る センサーを備えつつ それは走る速さや 膝への負荷を測る センサーを備えつつ 素晴らしい靴で あり続けます

物を作っているメーカーは どんなデジタル機能を追加すれば良いか 考え始める必要があります メーカーはサービス提供者に 変わらなければ 生き残れない かもしれません サービスのエコシステムを 作り出す必要があるでしょう ちょうど携帯電話のように アプリやサービスが いろいろあって たまに電話もかける という具合にです

そのようなエコシステムを可能にするには 分断化を避ける必要があります 会社や物が変わると インターフェースが変わるのは不便です 統一されたユーザーインターフェースを 作る必要があり それには すべての物が利用する 単一のプラットフォームを 用意する必要があります それは どんなプラットフォームか? 答えは自明でしょう クラウドコンピューティングです

物を直接クラウドに 繋げるわけにはいきません 様々な物に組み込める 小さなデバイスを開発して それを使ってクラウドに接続し 新たな機能や可能性を 解き放てるようにすべきでしょう

私達が作った実際のデバイスを ここでお披露目したいと思います 初公開です こんな形をしています 小さなデバイスで 何かを ネット接続でき スマートで インタラクティブなものにしたいときに使います 何かを ネット接続でき スマートで インタラクティブなものにしたいときに使います

どういう仕組みかと言うと 裏に小さな電極があり ご覧のように 様々な物に 組み込むことができます ご覧のように 様々な物に 組み込むことができます 何に組み込まれて いるかを認識して その物に固有の 機能が使えるよう 自動的に設定を変えます 服や家具といった物を 作っているメーカーに このデバイスを 提供したいと思っています メーカーはこれをボタンやジッパーと 同じように使うことができます これを使って何を作るかは メーカー次第です 使い方を限定したくは ありません そういう物を 作っている人たち— アーティスト デザイナー ブランド 職人 彼らに新しい世界を 想像し生み出してほしいのです 物が繋がり合い ワクワクするような新しいデジタル機能を 備えているような世界です コンピューターを使うのに キーボードや画面やマウスは必要ありません

私はこの考えに 20年取り組んできました それが今 形に なり始めています その中で気付いた ことがあります 私はずっと自分はコンピューターの インターフェースを作っている インタラクション・デザイナーだと 思ってきましたが 自分の作っているのは インターフェースではないと気が付きました 私や私のチームが 作っているのは— 新しい種類の コンピューター アンビエント・コンピューターなのです

ありがとうございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

デザイナーのイワン・プピレフは、日常的な物をテクノロジーと統合して、もっと役に立つ楽しいものにしたいと思っています。たとえば電話をかけられるジャケットとか、鍵盤のように弾ける鉢植えの植物とか。この講演とデモを通し、プピレフはインターネットと深く繋がっている物の世界というビジョンと、それがちょっとした協同作業によって実現可能なことを示します。この講演で披露された最新のデバイスJacquardは、現在すべてのデザイナーに利用可能になっています。

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