進化で勝ち残り、大絶滅を生き延びる方法(06:04)

ローレン・サラン(Lauren Sallan)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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おめでとうございます ここにいて 生きて 話を聞いている 発展種の一員であるみなさんは 史上最高の勝ち組の一人であり 40億年続くサクセスストーリーの 頂点にいます みなさんは生物の1%です 負け組である 過去に存在した種の99%は 死滅しました 原因は 火災、洪水、小惑星 捕食、飢餓、氷河、暑さ あるいは 冷酷な自然淘汰などです みなさんの祖先は 最古の魚類だった時代から 先ほどの試練をすべて 乗り越えてきました みなさんが ここに こうしているのは 大絶滅がもたらした 絶好のチャンスのおかげです

(笑)

本当ですよ 同じことが みなさんと共に 勝ち組入りした親戚である 3万4千種類の 魚類についても言えます 私たちはどうしてそんなに ツキに恵まれたのでしょう? そして今後も勝ち続けるのか? 私は 魚類の純古生物学者として ビッグデータすなわち 化石記録を用いて 何が種の勝敗を分けたのかを 研究しています 現生種は教えてくれません 勝つことしか知らないからです だから 絶滅種に聞く必要があります

絶滅した魚類に語らせる方法は? 博物館には美しい魚類の化石が たくさんありますが その本当の美しさが現れるのは さらに多くある 醜い 壊れた化石と合わせて 1と0のデータの形にした時です 5億年分のデータベースをくまなく探して 進化のパターンを得ることができます 例えば 魚の形態を 座標でとらえて変換し 主要な変化の経路や 時系列に沿った変化を 明らかにできます

これは 私が化石データを使って発見した ある一つの重要な出来事における 勝者と敗者の物語です まず 3億6千万年前まで遡りましょう 恐竜時代の最後よりも6倍も昔の デボン紀です 全く奇妙な世界です カミソリの刃のような顎と 鎧のような硬い殻で覆われた捕食者が支配し ヒレの中に腕骨のある 巨大魚もいました カニに似た魚たちが 海底を動き回っていました サケやマグロの仲間である 少数の条鰭(じょうき)類は びくびくしながら 食物連鎖の底辺にいました 少数存在した原始的なサメは 沖合で怯えながら生息していました みなさんの祖先である四足の脊椎動物は ほんの数種類ながら 熱帯の沖積平野で なんとか生き延びていました 生態系は 混み合っていました 逃げ場も 機会も見当たりませんでした そして 世界が終わりました

(笑)

それは良いことだったんです 3億5千9百万年前の ハンゲンベルクイベントで 魚類種の96%が絶滅しました 炎の時期と氷の時期の間のことでした 生物のひしめく世界は秩序が崩壊し 変動の大波にさらわれました

さて みなさんはここで物語は おしまいと思うかもしれません 強者が失墜し 弱者が地球を受け継ぎ 今 人類がいる でも 勝つことはそれほど単純ではありません 生き残った一握りの生物は 様々なグループに属していましたが どのグループでも 死んだ仲間の方が ずっと多かったのです 生き残りは 食物連鎖の頂点の捕食者も 底辺の餌になる種も 大きいものも 小さいものも 海洋生物も 淡水生物もいました 大絶滅は フィルターのようなものでした 競争の場を平らにしたにすぎません 本当に重要なのはその後の 数百万年間に 荒れ果てた世界で 生存者がとった行動です かつての 支配者たちは 本来 優位だったはずです 彼らはさらに巨大化し エネルギーを蓄え 子育てに精力を注ぎ 地球の全域に拡がり 魚類をたらふく食べて これまで上手くいったことを続けながら 時を待ったのです でも持ちこたえられたのは わずかの間だけでした 新しい変化をすることなく衰退し 今では 生きた化石です 彼らは昔ながらの生活様式を 変えることなく 今ではほぼ忘れられています

長い間 劣勢だった わずかな種の条鰭類、サメ、四足動物は 正反対の方向に進みました 彼らは体を小さくし ライフサイクルを速め 短命になり 食べる量を減らし 繁殖の速度を上げました 新たな食べ物を試し 様々な生息地に棲み 頭や胴体を 奇妙な形に変化させました

(笑)

そして生存の機会を見出して繁栄し 現生6万種の未来を 勝ち取ったのです その中にヒトも含まれます だから見覚えのある姿なのです みなさんがご存知の名称です

生存をかけた戦いへの勝利は 偶発的な出来事ではなく 軍拡競争でもありません 生存種たちはむしろ 進化における 別の道を歩んだのです 驚くべき成功を納めたものもあれば 「デッドフィッシュ・ウォーキング」に 成り下がったものもいます

(笑)

これは 実際の科学用語です

(笑)

私が調査しているのは こういった進化上の勝利や敗退の道が いかに繰り返されてきたかです 私の研究室では 既に数千種もの 死滅した魚類をデータベース化しましたが さらに多くが残っています でも 既に明らかなことがあります みなさんの祖先が 大量絶滅を生き残り 大量絶滅の余波に うまく対処したことで 今のみなさんがいるということです

ここから私たちの未来について 何がわかるでしょう? 一握りの生物種が生き延びる限り 生物は復活します しなやかに運よく生き延びた生物は 死滅した生物の後釜におさまるだけでなく 新たな 形態を獲得します ただ それまでに何百万年も かかるかも知れません

ありがとうございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

おめでとうございます。ここに生きて集うみなさんは、歴史的な勝ち組の一人であり、40億年に及ぶサクセスストーリーの頂点にいます。過去に存在し絶滅した他の99%の種は、火災、洪水、小惑星の衝突、氷河、熱、あるいは冷酷な自然淘汰によって死に絶えました。では生き延びた種は、なぜそんなに幸運だったのか?これからも勝ち続けるのか?この短い、ユーモラスなトークでは、純古生物学者でTEDフェローのローレン・サランが、ヒトの祖先がどのように大絶滅を生き延び、今の我々があるのかを明かします。

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