ワクチンはどの位早く作れるのか?(5:33)

ダン・クワトラー(Dan Kwartler)
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対訳テキスト
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新たな病原体が出現すると 人体と医療体制は 無防備な状態に さらされます このような時 免疫を普及させ 犠牲を最小限に抑えるため ワクチンの開発が急務となります では ワクチンが最も必要とされる時 どれ程 早く開発され得るのでしょう

ワクチン開発は 一般的に3段階に分けられます まず科学者は 様々なアプローチで 探索的研究を行い 安全 かつ再現性のある ワクチン設計を探ります 研究室で設計を精査した後 次は臨床試験に入ります そこでは 多様な被験者を用いて 安全性 効果 副作用に関する 評価が行われます 最後に製造です 一般利用に向け ワクチンが製造 流通されます

通常 こうした工程に 平均15年から20年かかります しかしパンデミック(世界的大流行)下では できる限り早く各工程を進めるため 研究者はいろいろな「戦略」を用います

探索的研究は 恐らく最も柔軟性がある工程です この工程の目的は 人間の免疫系に ウイルスや細菌などの抗原を導入する 安全な方法を見つけることです 抗原により 抗体を作るのに必要な情報が 生体に与えられ 実際の感染と対抗できるようになります 免疫応答を安全に誘導する方法は 多くありますが 最も効果的なワクチンは 概して 製造に至るまで最も時間がかかります

従来の弱毒ワクチンは 免疫持続期間は長いものの 毒性を弱めたウイルス株に依拠しており 人間以外の組織で長期間 培養されなければなりません 他方 不活性化ワクチンでは より速いアプローチがとられ 熱や酸 放射線を直接的に当て 病原体を弱らせることで作られます また ウイルスタンパク質の無害な断片を 投与するサブユニットワクチンも 短時間で製造され得ます しかし短時間でできる技術を用いたワクチンの 免疫効果は大きくありません

これらは多数あるうちの 3つのワクチン設計方法に過ぎず それぞれに長所と短所があります 効果が保証されたアプローチは 1つとしてなく どの方法も時間のかかる研究を 避けては通れません そのため 能率を上げる最善策は 多くの研究機関が 異なるモデルに同時に取り組むことです ワクチン開発を競争することにより 試験可能な最初のワクチンが ジカウイルスでは7か月で COVID-19では わずか42日で 作られました 「試験可能」は ワクチンの 完成を意味していません しかし 安全で簡単に再現できると 判断されたワクチンのモデルは 他の研究機関が代替を探る中 臨床試験に進むことができるのです

試験可能なワクチンを作るまで 4ヶ月かかろうと4年かかとうと 最も時間を要し 全く予測できないのは 次の臨床試験です 臨床試験は3相(フェーズ)に分けられ 各工程で複数回の試験が実施されます 第I相試験では 誘導された免疫応答の 強さに焦点が置かれ ワクチンの安全性および有効性の 立証を試みます 第II相試験では より幅広い被験者における ワクチンの適切な接種量と 接種スケジュールを明確にします 第III相試験では 主要なワクチン接種対象者に対して 安全性を検証する一方 稀に起こる副作用や 抗体が産生されない事例についても調べます

検討する条件の数や 長期的な安全性に 重点が置かれていることを考えると 臨床試験を早めるのは 困難を極めます 極限状態では 研究者たちは1つの工程で 同時に複数の試験を行います しかし 次の工程に進むには 厳格な安全基準を満たす必要があります 時に 既に承認されている治療方法を 活用することで 工程が早められることもあります 2009年 季節性インフルエンザワクチンを H1N1型インフルエンザに応用し わずか半年で 広く普及可能な ワクチンを製造しました しかし この技術は 確立したワクチン設計をもつ ー よく知られた病原体を扱う時のみ有効です

第III相試験を通過後 規制当局が結果を審査し 安全なワクチンの製造を認可します どのワクチンも生物学的 化学的に 独自の構成成分をもつため 特殊な製造工程が必要です そのため ワクチンが承認された後 すぐに製造を開始するには 研究や試験と並行して 製造計画も練らなければなりません 計画では ワクチン設計の 突然の変更に対応するため 研究室とメーカーの密な連絡や 資源確保が必要です 変更のために数か月分の仕事が無駄になっても やむを得ません

探索的研究や製造工程における技術が 時とともに進歩することで ワクチン開発のプロセスは早まるでしょう 予備研究により次のことが 示唆されています 異なるウイルスの遺伝物質を 1つの同じワクチン設計へ 組み入れることが可能になるかもしれません DNAとmRNAを基にしたワクチンにより ワクチン開発の3工程 全てが 劇的に早くなる可能性があります しかし そのような突破口が開けるまで 最善の戦略は 世界の研究室が協力し 異なるアプローチで 並行して研究することです 知識とワクチンの資源を 共有することで 科学者はあらゆる病原体を 分断し征服できるのです

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このプレゼンテーションについて

新たな病原体が出現すると、人体と医療体制は無防備な状態にさらされ、さらに感染爆発が起きた場合には、免疫を普及させ、犠牲を最小限に抑えるためにワクチンの開発が急務となります。では、最も必要とされる時に、ワクチンはどれ程早く開発され得るのでしょう。ダン・クワトラーがワクチン開発における3つの段階(相)を説明します。

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