メディアは銃乱射事件の犯人を有名にしてはならない(10:52)

トム・ティーブス(Tom Teves)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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子を持つ親にとり 最悪な出来事が起きました あの日 2012年7月20日 早朝の4時30分に電話が鳴りました 息子アレックスの彼女 アマンダからでした 狂乱状態でこう言います 「トム トム 乱射事件があったの 私は 映画館の外に引きずり出されて 残らせてくれなかった 残りたかったけど 無理やり外に出されたの」 アマンダに聞きます 「大丈夫かい? 怪我はなかった?」 返ってきた答えは 「ええ 私は大丈夫 アレックスが助けてくれたから」と そこで聞きます 「アマンダ アレックスはどこだい?」 すると彼女は 泣きじゃくりながら言います 「わからない 見つからないの 映画館から引きずり出されて 引き離されてしまった アレックスが撃たれて 呼びかけたけど 反応がなかった 目を開けてくれなかった アレックスから離れたくなかったのに 引き離されてしまったの」 そこで私はアマンダに聞きます 「最後に見たとき アレックスは出血していた? 君にも血は付いた?」と 彼女は泣きながら言います 「ええ それはもうたくさん」 アマンダは泣き崩れます

アレックスはアマンダを愛しており この世で 最も高潔な男の1人でした 齢24にして アレックスは 命懸けで アマンダの命を守ったのです 意識がないのなら死んだのだと 私は悟りました

私は事件の前の晩に 妻のカレンと 末の息子と 1週間の休暇を過ごすため ハワイに着いたばかりでした 私たちは 5000キロもの彼方にいたのです カレンと私は半狂乱で アレックスの携帯に電話しましたが 無駄なことでした メッセージを何件も残しました その後 メディアを見ても 目にした情報は全て 銃撃犯に関するものか ブービートラップを仕掛けた 犯人の自宅についてでした

オーロラ警察署にも 電話をしてみましたが 何もわかりませんでした 今考えると 仕方のないことです 警察も 対応に追われていたのです 死者は12名 負傷者は70名にも のぼりましたから 現場は悲惨な状況で 警察も 負傷者を パトカーの後部座席に乗せて 病院に搬送したほどです 救急車が足りていなかったのです 恐ろしく 混沌とした状況でした

アレックスには 2度と会えませんでした 損傷があまりにひどかったため 母親である妻にさえ 見せられませんでした その姿が 脳裏に焼き付くことを 恐れたためです

でも ある人物の顔を 何度も目にすることになるのです 息子を殺した犯人です 彼の写真を いたるところで見ました ある記事は 6パラグラフの長さですが 実に41回も犯人の名前が出てきました メディアが 彼を有名人に仕立てたのです けれども 私の長男 アレックスの名は 英雄なのに 事件当初の報道には ありませんでした

妻と私は 無差別銃乱射事件の報道には コロンバイン事件以来ずっと 問題があったことに すぐに気づきました 私たちは色々調べはじめ 気づいたのです メディアの報道の仕方を 変えることができれば 銃乱射事件の件数を減らし 命を救えます

(拍手)

詳しく話しましょう 無差別銃乱射事件の犯人は ほぼ誰もが ある共通点を持っています 何だかわかる方はおられますか? 悪名をとどろかせたいのです 有名になりたいのです 実際 銃撃犯は 自らそれを告白しています 実際 銃撃犯は 自らそれを告白しています サンディフック小学校銃乱射事件では 銃撃犯がスプレッドシートに それまでに起きた大量殺人と その犠牲者数を記録していました ナイトクラブで起きた オーランド銃乱射事件では 銃撃犯は 地元のテレビ局に 電話をしました 犯行現場からですよ フェイスブックでの拡散を確認するため 犯行を一時的に中断しました パークランドの高校での事件では 銃撃犯が撮影したビデオを SNSに投稿し 声明を出しています 「ニュースで俺を見たら あいつのことだとわかるはずだ」と オーロラ映画館での事件の銃撃犯は 精神科医に話したそうです 「自分は 科学分野で名を馳せることは できっこないと分かっている でも 人を殺せば有名になれる」と でも 人を殺せば有名になれる」と この傾向が最も顕著に現れているのが アムクワ・コミュニティ・カレッジで 起きた事件です 犯人は とある大量殺人犯について 自身のブログに こう記しています 「彼のような人間は 皆 孤独で名も知られないけど ちょっとした流血騒ぎでも起こせば 全世界に その存在が知れ渡ることに 気付いた」 誰の気にもとめられなかった人物が 今や 誰もに知られる存在になり その顔が 画面に 次々と映し出される 世界中の人が その名を口にする それが1日にして起きるのです 殺した数が多ければ多いほど 注目度も上がるかのようです 今話したのは ほんの数例に過ぎません 例をあげたら 枚挙にいとまがありません こうした銃撃犯は 世にその名を知らしめたいと述べています 今までに殺人を犯した者と同様に 有名になりたいのです メディアは まさに銃撃犯が求める― 悪名を拡散することを 叶え続けています

銃規制論争は 感情に大きく訴え また 精神疾患の問題は とても複雑です いずれも 是正には時間を要します だからといって 殺りくを減らすのに 法律を必要としません 必要なのは マスメディアの制作側と視聴者が 良心に基づいて行動し 悪名を拡散するのをやめることです

(拍手)

ですから 命を救うために 妻と一緒に 「No Notoriety(悪名を広めるな)」を 発足し 地域社会を守るため 調査に裏付けられた原則に従った報道を メディアに求める活動を推進しています

1つ目に 銃撃犯の考え方や社会的背景 犯行動機の概要などは すべて報道するが 名前と写真の掲載は最小限にとどめます ただし 犯人が逃走中以外です

2つ目に 銃撃犯の名前の掲載は 1つの記事につき1回にとどめ 見出しには絶対に出さず 写真は 目立つ場所に掲載しないこと

そして3つ目に 3つ目でしたよね

(笑)

数字は苦手なもので

(笑)

銃撃犯による 自己弁護を書き連ねた書籍を 断固 出版しないこと

(拍手)

誤解のないように言うと これは 憲法で規定する― 表現の自由の侵害にはあたりません これは検閲ではありません 私たちはただ メディアに対して 既にあるガイドラインの活用を お願いしているにすぎません

例えば メディアは 誘拐されたジャーナリストに関する 報道を控え 被害者の身の安全を守ります 他にも メディアは 性的暴力の被害者や自殺者に関する 名前と写真の掲載を控えます この様な メディアによる 責任ある慣例は 公共の安全を保護するもので 国民の知る権利を 脅かすことは一切ありません

学術調査によりわかったのは 平均的なニュース視聴者は 銃乱射犯の報道はもっと少なくて良いと 思っていることです その代わりに メディアが 名前と写真を取り上げるべきなのは 被害者 つまり 死者と負傷者の双方 英雄たち そして緊急救援隊員らです メディアはー

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精神疾患や公共の安全の専門家による データや分析資料を公表するべきです

専門家らはみんな賛同しています FBI 国際警察協会 主要市市長協会 そしてA.L.E.R.T. これは 警察の団体で 銃撃犯を阻止するため緊急救援隊員の 訓練に特化しています これらは一堂に「悪名を広めるな」の 原則を支持しています それだけでなく 2014年には FBIが「氏名を出さない」運動を はじめました 精神医学会は こうした銃撃犯の身元を 必要最小限に留める動きを 支持しております この考えは世界中に広まり ニュージーランド首相は クライストチャーチの 銃乱射事件を受け 銃撃犯の名前を口にしないよう 呼びかけました

けれども メディアには 変わってほしいのは山々でも 営利目的の組織ですから 私たちが責任を課さなければ 変わることはないでしょう

(拍手)

メディアは 広告から収入を得ており それは視聴率やアクセス数 に左右されます 記事のテーマは何であれ 視聴率やアクセス数が減ることになれば メディアは 報道のあり方を変えるでしょう

ですから 今度皆さんは メディアがー 印刷物、デジタル、ラジオ、テレビと 形態を問わず 銃撃犯の名前や画像が不適切に 用いられているのをご覧になったら 見るのをやめてください 聞くのをやめてください アクセスしないでください 「いいね」を押さないでください また 記事を拡散しないでください そのかわり 報道機関に投書して 意見を寄せてください プロデューサー、編集者 局長、CEO宛にです 該当番組のスポンサー名を控え CEO宛に投書してください なぜなら 私たちが一丸となれば 利益追求の代わりに 公共の安全を守るよう メディアに対し 働きかけることができるからです

アレックスは戻ってきませんから 私の家族にとっては手遅れです でも 何もせずに 被害者の仲間入りをしないでください 誰も被害者になりたくないはずです 代償が高すぎます まだ被害者となっていない方なら まだ間に合います 私たちには 無差別銃乱射事件の 件数を減らせる力があります それを活用しましょう

ありがとうございました

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このプレゼンテーションについて

2012年7月20日、コロラド州オーロラの映画館で起きた銃乱射事件が、地元と全米を震撼させました。その惨事で息子を失ったトム・ティーブスを含む多くの者にとり、事件後の報道のあり方は、全く間違った方向に焦点を当てていると映りました。どうして報道機関は、銃撃犯にばかり目を向け、被害者や緊急救助隊員による英雄的取り組みについてはあまり取り上げないのか?ティーブスの緊急の訴えは、銃撃犯の一番の願いである「悪名を広めること」を避けることが大事な解決手段だとし、メディアに対して(利益を追求する代わりに)公共の安全を守るよう注意を喚起するものです。

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