本物の人間にしか見えない3Dアバター(12:34)

ダグ・ローブル(Doug Roble)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
※映像と合わせてご覧になる方へ
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こんにちは 私は本物の人間ではありません 実は本物の人間のコピーです 本物の人間のように 感じてはいますが— 説明するのが難しいです 待ってください 本物の人間がいたような— 彼をステージに 行かせましょう

どうも

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ご覧いただいたのは CGの人間です 私が着ているのは慣性センサー式の モーション・キャプチャ・スーツで 私の動作を把握します ここにカメラがあって 私の顔を捉えていて 機械学習ソフトウェアで 表情を取り出します こんな風に それをこの人物に 転送しています 彼は「デジ・ダグ」です 私がリアルタイムで操作している 3Dキャラクターです

私は視覚効果の 仕事をしています 視覚効果で一番難しいのは 見た人が本物の人間と 受け取るような CGの人間を 作り出すことです 人間は他の人間を 認識することに 驚くほど長けています それはいいです 挑戦は好きですから

この15年 私達は本物と思えるような 人間や生き物を 映画の中に 作り出してきました そのキャラが幸せなら みんなも幸せに感じ 苦しんでいたら 見た人も同じ気持ちになるような— 随分上手くできるように なってきましたが 本当に難しいんです そういう効果を生むには 何百人もの優れたアーティストが 何千時間もかけて 取り組む必要があります

でも状況が変わりました この5年ほどで コンピューターやグラフィックカードが ものすごく速くなりました そして機械学習— ディープラーニングというのが現れました それで考えました 映画に出てくるような 写実的なCGの人物に 操作している人の 感情や顔の細部を リアルタイムで 反映させることはできないか? それが目標です デジ・ダグが皆さんと 1対1で会話していて 嘘をついたら それと分かるくらいに リアルにできるか? そこを目標にやってきました

1年半前に 取り組み始めました 今のレベルになるまでに どんなことをする必要があったのかを これから皆さんに お見せしましょう 膨大な量のデータを 捉える必要がありました 実際 最終的には これは地球上で最も大きな 顔のデータの集成になりました —私の顔のということですが

(笑)

なぜ私か? 私は科学のためとあれば 何だってしますから 見てください どうです 最初にしたのは 私の顔がどう見えるか— 単なる1枚の写真や 3Dスキャンではなく あらゆる写真で どう見えるか 皮膚に光がどう作用するかまで 捉えることです 幸いなことに ロスにある私達のスタジオの近所に ICTというのがあります 南カリフォルニア大学の 研究施設です そこに「ライトステージ」という 装置があります 個々に制御できる 無数の照明と 膨大な数の カメラが付いています これを使うと 様々な光の条件下での 私の顔を再現できます 血の流れまで捉え 表情ごとに顔が どう変わるかを 把握します これにより 見事なまでの 私の顔のモデルができました 勘弁してほしくなるほどの 詳細さです

(笑)

毛穴や皺の 1つひとつまで見えます でも それが必要なんです リアリティはそういう 細部から生まれるのです それなくしては 上手くいきません まだ完成ではありません これで私のように見える 顔のモデルはできました でも私のように 動きはしません そこで機械学習の出番です 機械学習には膨大な量の データが必要です それで私は高解像度モーション キャプチャ装置の前に座り 従来的なマーカーを使った モーション・キャプチャもしました 膨大な量の 私の顔の画像と 私の顔の形状を表す 動点群を作りました すごくいろんな 表情をしましたよ 様々な感情を込め 様々な台詞を言いました たくさんのキャプチャを する必要がありました そうやって膨大な データが得られたら それを使ってディープ・ニューラル・ ネットワークを訓練します それが完了すると ニューラル・ネットワークは 私の顔を見て16ミリ秒で あらゆることを把握できる ようになりました 表情や 皺や 血流や まつげの動きまで 計算できます そしてそれを 以前にキャプチャした 細部のデータを使って レンダリングし表示します

まだ完成はしていません 開発中のものです 社外で見せるのは これが初めてです 説得力のある 格好でもありません 後ろにケーブルが 繋がっているし 映像のキャプチャから 表示までに 1/6秒の遅延があります やっていることからすると すごく速いんですが それでもエコーなんかが 出てしまいます 機械学習というのは 私達には目新しいもので なかなか思うように なってくれず おかしな具合になる こともあります

(笑)

でも なぜこんなことを しているのでしょう? 理由は2つあります 第一に 超イカしてるから

(笑)

どのくらい イカしてるかというと ボタン1つで スピーカーのキャラを 変更できます エルボーをご紹介します 別の見かけでうまくいくか 試すために作ったキャラです この技術のいいところは キャラクターを変えても 演じているのは 依然私だということです 私は口の右側で しゃべる癖がありますが エルボーもそうです

(笑)

これをやってる 2つ目の理由は ご想像の通り 映画での利用です これはアーティストや監督や ストーリーテラーにとって 素晴らしいツールになります 言うまでもないでしょう すごく役に立つはずです 作ってみて 明らかになったのは これが映画に留まるものでは ないということです

でも待って 私はボタン1つで 自分の姿を変えてしまいましたが これは皆さんも 聞いたことがあるだろう 「ディープフェイク」や 顔のすげ替えに当たるのでは? 確かに 実際私達はディープフェイクと 同様の技術を使ってもいます ディープフェイクが 2次元映像を使うのに対し こちらは完全な3次元だし 遙かに強力ですが 関連したものです 皆さんの頭の中の叫びが 聞こえるようです 「なんてこった! 映像は信頼できると 思っていた ライブ映像なら 本物のはずじゃないのか?」 必ずしも そうとも言えません このような技術がなくても どう撮るか 簡単なトリックを使うことで 実際に起きていることとは違うものを 見せることができます 私は長年視覚効果を やってきたので 十分な手間暇をかければ 誰であれ 何についてであれ 欺けることを知っています この技術やディープフェイクは 映像の操作を簡単で 誰でもできるようにしただけです Photoshopが写真編集を 容易にしたのと同じように

私はむしろ これがいかに 人類に新たな 技術をもたらし 人を結びつけるかを 考えたいです これの可能性について 考えてみてください すぐにライブイベントやコンサートで こういうのを目にするようになるでしょう 新しいプロジェクション技術と 相まって バーチャル有名人が 映画の中だけでなく リアルタイムの生きた存在になるでしょう 新たな形のコミュニケーションが 生まれます すでにVRのデジ・ダグと やり取りできます 驚くような経験です ずっと遠くにいながら 同じ部屋にいるかのように 感じられます 今度ビデオ電話するときには 相手に見せたい自分を 選べるように なっているかもしれません すごく良くできた メークみたいなものです 私がスキャンをしたのは 1年半前でした 私は年を取りますが デジ・ダグは取りません ビデオ電話での私は ずっと若いままでいられます

これが顔と体を持った バーチャルアシスタントに 使われるところを 想像してください とても人間的です バーチャルアシスタントが 人間のような 落ち着きのある声で答えてくれるのが 私は気に入っていますが それが顔も 持つようになるのです 非言語的なヒントがあることで コミュニケーションはずっと楽になります すごくいいと思いますよ バーチャルアシスタントが 忙しかったり 困惑していたり 何か心配しているときに それと分かるというのは—

ちゃんと素顔を見せずに ステージを降りるわけには いかないでしょう 比較ができるように— 被り物を取りましょう ああ 心配しないで 見た目ほど酷くはないので

(笑)

これが現在の技術です 頭を戻しときましょう

(笑) ガチャーン!

これが現在の技術です それを操作しているのが 人間であれ 機械であれ 驚くほど本物らしく見える CGの人間と やり取りするようになる日も 遠くありません 今時の新技術の例に漏れず これにも対応が必要な 深刻で現実の懸念があります でも 子供の頃からずっと SFの世界の話でしか なかったものが 現実になろうと していることに 私はすごく ワクワクしています コンピューターと話すのが 友達と話すようになり 遠くの友達と話すのが 同じ部屋に一緒にいるように 感じられるようになるんです

ありがとうございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

技術を駆使したデモを交えた目を見張る講演で、ソフトウェア研究者のダグ・ローブルが毛穴や皺まで正確に再現された自身のリアルタイム3次元アバター「デジ・ダグ」を紹介します。慣性センサー式モーション・キャプチャ・スーツとディープ・ニューラル・ネットワークと膨大なデータの力で、デジ・ダグはダグ本人の感情(それに血の流れやまつげの動きまで)を、驚くような精細さで再現します。このワクワクする新技術がいかに生み出されたのか、そして映画やバーチャル・アシスタントなどにいかに応用できるのかをお聞きください。

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