未来の仕事は「仕事」っぽくない?(09:59)

デイビッド・リー(David Lee)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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最近 懸念の声が多く上がって もっともなことに 技術がどんどん賢くなって 将来 仕事がなくなってしまう ということがあります 自動運転車が その最たる例です 自動運転車は 様々な理由から 素晴らしいものになるでしょう でも アメリカ50州のうち29州で 就業者が最も多い職業は 「運転手」です 人間が 車の運転や料理 さらには病気の診断もしなくなったら こうした仕事は どうなるんでしょう?

フォレスター・リサーチは 最近の研究で 今後10年間で 2500万もの仕事が なくなる可能性がある とまで予想しています 大局的に見ると 金融危機で失われた仕事の 3倍もの仕事がなくなるわけです それも 肉体労働の仕事 だけではありません ウォール街やシリコンバレーでは 機械学習の導入で 分析や意思決定の質が 格段に上がってきています 最高の頭脳を持ち 高給を稼いでいる人でさえ この変化の あおりを受けるのです

明らかなのは どんな仕事であろうと すべてとは言わないまでも そのいくらかは 数年後にはロボットやソフトウェアに 取って代わられるようになります だからこそ マーク・ザッカーバーグや ビル・ゲイツなどが 「政府は基礎所得保障をすべきだ」と しきりに言っているのです でも 政治家は 医療や学校給食に関することでさえ 決められない状況です 基礎生活所得を あまねく保障するといった― 大規模で多額の費用がかかる物事に関し 意見をまとめられるとは思えません ですから 産業界に身を置く私たちが 率先して手を打っていくべきなのです 将来に横たわる変化を予見し ロボット時代にも通用する― 新たな形の仕事を 作り始めなければいけません

幸いなことに 私たちは過去に2度 仕事の大量絶滅に遭いながらも 立ち直っています 1870年から1970年の間で アメリカの全労働者における 農場労働人口の割合は90%減少し そして1950年から2010年で 工場労働人口の割合は 75%減少しました しかし 今 直面している課題は 時間との戦いです 私たちは100年かけて 農場から工場に仕事場を移し そして60年かけて サービス経済を確立してきました でも今の変化の進捗を見ると 適応に残された時間は もう10年か15年しかないかもしれません 早く手を打たなければ つまり 今の小学生が 大学生になるまでに 行動を起こさねば 私たちが生きていく世界は ロボットだらけで 大量の失業者を抱え 不景気のどん底にいるかもしれません

でも そうと決まったわけではありません 私はイノベーションを専門としていて 大企業が 新たな技術をどう取り入れるか 設計するのも仕事のひとつです もちろん こうした技術には 人間の労働者に取って代わるべく 設計されたものもあります でも 今すぐに 仕事のあり方を変えるよう 手を打てば 仕事に行くのが楽しみになる 環境を作り出せるだけでなく 技術に奪われる何百万もの仕事を 埋めるのに必要な イノベーションも起こせる と信じています 将来 私たちの仕事がない という事態を避けるのに重要なのは 私たちを人間たらしめるものを再発見し 人間を中心に据えた 次世代の仕事を作り出し 毎日の仕事を通じて 私たちに秘められた才能や情熱を 解き放てるようにすることです

でも その前に この問題の原因は 自分たちにあると 認識することも大事です ロボットを作っている張本人だから というだけではありません 数十年前に工場から かなりの仕事がなくなったのに 私たちはずっと 標準化と単純化という 工場でよくある考え方に 固執しています 今でも仕事は 手順の決められた作業が中心で その作業をこなした時間によって 給料が支払われています 私たちは レジ係や融資担当 タクシー運転手などと 幅の狭い職務を作り出し その決められた1つの作業を中心に キャリアを積ませているのです

こうした選択をした結果 2つの危険な副作用が出ています 1つは この守備範囲の狭い仕事こそ 真っ先にロボットに 取って代わられることです 1つの作業に特化させたロボットが 一番作りやすいからです そして2つ目は 偶然にも このことで 世界中の何百万もの労働者が とてつもなく退屈な仕事生活を 強いられていることです

(笑)

コールセンターのオペレーターを 例に考えましょう ここ数十年 運営費の低減が 高らかに謳われていますが それも 働く人が頭を使う場面を ほぼなくして システム化した結果です オペレーターは 一日のほとんどを 画面を操作し 原稿を読んで過ごします 人間というより むしろ機械のようです そして不幸にも これからの数年で 技術がもっと進化し 事務員や簿記係と同じく オペレーターの仕事も ほぼ姿を消すでしょう

これに対抗するには 新たな仕事を作り出さないといけません 人が行う作業にではなく 人が仕事に捧げられるスキルに より焦点を当てた新しい仕事です 例えば ロボットは 反復作業や 細かく条件が決められた作業が得意ですが 人間は 初めての問題に直面した時 創造力と自らの手腕を活用して 対処できるという 素晴らしい能力があります 日々 ちょっとした 想定外のことが起こる場面にこそ 私たちは ロボットではなく 人間向けに 仕事を作ってきました 起業家や技術者は既に そんな世界で仕事していますし 看護師や配管工、療法士も 同じことです ただ仕事に来て 言われた仕事をしろという 企業や組織が どれだけ多いことでしょう でも もしロボットの方が 仕事の出来が良いとか AIの方が良い判断を するようになったら 一体どうしたら良いんでしょう?

管理職の方々は ここ数年でなくなると思われる作業を 現実問題として洗い出し それに代わる より意義深く 高付加価値の仕事を考え始めましょう 人とロボットが共栄する環境を 作り出さないといけません ですから ロボットに もっと仕事を与えましょう 手始めに 私たちが大嫌いな仕事から ねぇ ロボットさん このダメな報告書 適当に処理して という具合に

(笑)

あと この箱をどけておいてと

(笑)

人間の立場としては シカゴ大学のハリー・デイビスの このアドバイスに従うべきでしょう 「車のトランクに自分らしさを 仕舞いこみすぎてはいけない」 人間は週末に輝きます 知り合いが土曜日に何をしているか 思い浮かべてください アーティストや大工 シェフや運動選手になっているでしょう でも月曜日になると一転して ジュニア人事スペシャリストや システム・アナリスト3に なるのです

(笑)

こうした狭い仕事の肩書は 退屈に聞こえるだけでなく 遠回しに その肩書の人に 幅の狭い退屈な貢献でもよいと 思わせているのです でも 私はこの目で確かめました もっと大きな役割を果たすよう促せば 人は 驚くほどのことが できるようになります

数年前に私が勤めていた大手銀行は 企業文化にもっとイノベーションを 起こそうとしていました そこで私たちは プロトタイプ・コンテストを企画し 皆に あったら良いと思うものを 作るよう呼びかけました ここで やりたかったのは イノベーションの 大きな足かせになっているのが アイデア不足か人材不足か 見極めることでしたが その答えは いずれでもなく 仕事場で能力を 自由に発揮させられるかでした このプログラムの成果は 目を見張るものでした 参加者には まず チームにどんな貢献ができるのか 思い描き直してもらうこと から始めました このコンテストは 自分が望むものを作るだけでなく 自分が望む姿になる チャンスでもあったのです 日々の仕事の肩書で しばられなくなると 皆が自由に 様々なスキルや才能を使って 問題解決に当たるようになりました 技術者がデザインもし マーケティング担当が建築設計もし さらには経理担当が ジョークを披露するまでになりました

(笑)

このプログラムを2回行い 各回4百名以上の参加者が 予想外の才能を仕事で発揮し 何年も懸案になっていた問題を 解決するに至りました 総計 何百万ドルもの 価値を生み出しています コールセンター向けに より便利な電話設備を作ったり 支店用に使いやすいソフトを作ったり 感謝カードを渡す文化もでき 従業員たちの職場経験を 大きく変える基盤になりました 8週間かけて 仕事で使うなど夢にも思わなかった 筋肉を使ったのです 参加者は新たなスキルを学び 新たな人たちに会いました 最終日 ある参加者が 私を脇に引き寄せて こう言いました 「どうしてもお伝えしたくて― この数週間は 今までの人生の中で 最も濃密に そして懸命に 仕事をする経験をしましたが 1秒たりとも 仕事とは感じませんでした」

そこがミソなのです この数週間 参加者はクリエーターになり イノベーターになりました 何年もの間 悩まされてきた問題の 解決を夢見てきた彼らにとって これは その夢を現実に変える チャンスでした そして この夢見ることこそ 機械と人間との大きな違いなのです 今のところ 私たちが作った機械は 苛立つことも 機嫌を損ねることもなければ むろん想像することなどできません

でも 私たち人間は 痛みを感じ 不満を覚えます そして苛立ちや好奇心が 頂点に達したときにこそ 私たちは問題を掘り下げて 変化を起こす気にさせられるのです 私たちの想像力は 新たな商品やサービスの源泉であり 新たな産業さえ生み出します

未来の仕事は 今 アナリストやスペシャリストと 呼ばれている人たちが考え出すでしょう でも 彼らが 探索し創意工夫できるよう 成長するためには 自由と保護がなければいけません 本気でロボットに 仕事を奪われたくないなら 私たちはリーダーとして 考え方を改めるべきです 人に指示することを止め どんな問題を解決したいか 仕事でどんな才能を生かしたいか そう尋ね始めるべきです もし土曜日の自分のままで 水曜日の職場にいられるようになったら 月曜日がもっと楽しみになります そして月曜日を待ち望む気持ちこそ 私たちを人間たらしめるものなのです

知能機械の時代に向け 仕事を再設計するにあたり ぜひ皆さんも私と共に 日々の仕事にもっと人間らしさを 取り入れてください

ありがとうございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

ロボットに仕事を奪われるという話をよく耳にしますが、私たちはどうすれば良いのでしょうか? イノベーションを専門とするデイビッド・リーは、ロボット時代にも通用するよう、仕事を自らに秘められた才能や情熱を解き放てるもの――週末の私たちがそうしているように――に作り直し始めるべきだと説きます。リーは「どんな問題を心から解決したいと願うのか、どんな才能を仕事に生かしたいのか問い始めるべきだ」と言い、「今以上のことをするよう促せば、人は驚くほどのことができるようになる」と語ります。

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