あなたの出世を手助けしてくれる人を探す方法とは(13:24)

カーラ・ハリス(Carla Harris)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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1988年の春の出来事です ハッとする瞬間がありました 初めてのラウンドテーブルに 参加していました ご存知ない方のために説明すると ラウンドテーブルとは ウォール街でよく使われている言葉で 年末の人事評価のことです アナリスト、アソシエイト、総括責任者 常務取締役までを査定します この協議は非公開で テーブルを囲んで行われるので ラウンドテーブルと呼ばれます 全員が それぞれ 上位層、中位層、下位層という カテゴリーのどれかに振り分けられ それがボーナス区分となり 職種に応じて割り当てられます 初めての体験でしたが 観察しているうちに — ある人の姿が目に入りました やりとりの結果を記録する 担当者がいたのです また 対象者全員を紹介するために 担当者が数人いることにも気がつきました さらに ゲストがいて 対象者の状況が説明される間 コメントを述べることになっていました 興味深く感じたのは ゲストとして招かれた人々は 査定対象者よりも 上級の役職に就いており 建前としては 彼らと 何らかの面識があるということでした

私は このラウンドテーブルに 初参加して 非常に興奮していました なぜなら 私の人事評価も 同じやり方を辿り ボーナスも 同様に 決められると知っていたので 仕組みを知りたかったのです そして さらに大事な点は 実力主義という概念が どんなものか 理解したかったのです ビジネススクールを卒業後 どこの企業でも言われましたから 話に行くたびに 言われました 「我々の企業文化や人事評価は 実力主義に基づいている この会社で 抜きん出るには 賢いこと 黙々と一生懸命働く働くこと これで すぐトップに迫れる」 だからこれが 実力主義の 仕組みを知るチャンスでした

それで 評価が始まると 最初の候補者の名前が 記録係に呼ばれました 「ジョー・スミス」 ジョーの案件を紹介していた人は 予定通りに事を運びました 終わりに近づいてきた頃 誰かが口を挟んできました 「彼は素晴らしい候補者だ 分析能力や数量的能力に長けている 抜群の人材だ」 そして 記録係が言いました 「ジョーは上位層に行くべき人物のようだ」 続いて メアリー・スミス 紹介の途中で 誰かが口を挟みます 「良い候補者だ 特別なところはないが 仕事はできる」 記録係は言いました 「メアリーは中位層に行くべき人物のようだ」 それから 誰かが 「アーノルド・スミス」と言います アーノルドの案件が紹介される前に 誰かが言います 「こいつはダメだ 仕事ができない 模範とは程遠い」 案件が紹介される前に 記録係が言います 「アーノルドは 下位層に行くべき人物のようだ」

この瞬間 驚きのあまり 心臓が止まるかと思いました

(笑)

そして 「誰が私を紹介してくれるの?」 と思いました 誰が私を紹介してくれるの? その瞬間 まさに実感したのです あらゆる組織が推進する— 実力主義という考え方は 幻に過ぎないと 人事評価に人間が関わる限り 100% 実力に基づく環境なんて 成り立つわけがないのです なぜなら 必然的に 主観が入り込むからです その瞬間 私は悟りました 誰かが非公開の場で 私の代わりに主張を行う必要があり 同席している決定権者が 私に都合の良い返事をしてくれるように 紹介してもらう必要があると

非常に興味深い教訓でした それから自分に問いました 「それはどういう人物だろう? この人物を何と呼ぶべき?」 当時はやりのビジネス用語を いろいろ思い浮かべましたが 「メンター」は違うなと思いました メンターの仕事は 相手に適した助言することです その人の個性やキャリア志向に ピッタリ合った助言をするのです 良いことも悪いことも 汚い手も あらゆる方法を駆使して 教えてくれる存在です 「擁護者」や「支持者」も違います なぜなら 誰かの擁護者になるのに 通貨を使う必要はないからです 支持者であれば 非公開の場に 呼ばれるとは限りません

それから2年ほど経って この人物を なんと呼ぶべきか わかりました その時はミシガン大学で MBA取得を目指す学生に 講義していました ウォール街で過ごした 3年という短い期間で学んだ教訓です その時に思い浮かんだのです 「あなたの利益のために 働いてくれる人― あなたの評価資料を持って 人事評価の場に行ってくれる この人物が 貴重な人脈や社会的つながりといった 資本を費やして あなたのために 主張してくれる― この人物こそ『スポンサー』 スポンサーなのだ」

それから こう思いました 「どうやってスポンサーをつけるの? 本当に必要?」 スポンサーは本当に必要です なぜなら ご承知の通り 評価プロセスについて言えば 学校、医療、金融サービスなど どのような状況であれ 人間的な要素が入り込まないものなど 考えられないからです つまり人事評価には 一定の主観性が伴います あなたの事案を紹介している人物は 主観的な評価をします ある程度の主観性が 発言の中にも あなたに関する客観的データを 解釈する時にも入り込みます 考えていることを言い表すのにも 主観的な評価が含まれており 結果を左右します ですから 確かめなければならないのは 話を通してくれる人 すなわちスポンサーが あなたが最大の利益を 得られるよう願い どんなものであれ あなたのために手に入れる力を持ち 評価の場で実践してくれることです

さて いつも聞かれるのですが スポンサーはどうやって得るのでしょう? 理想的には 誰かが ある環境に置かれた あなたを見つけて 「あなたのために 私がこれをしましょう あなたを確実に成功させます」 と決める瞬間です でも そんな風に物事は起きないと ここにいる多くの方がご存知でしょう

ですから 私が考える通貨という概念と この通貨で どうスポンサーを得られるのか お話ししていきましょう どの環境においても 2つのタイプの通貨が存在します 実績通貨と 人間関係通貨です 実績通貨とは 求められたものに 多少プラスして相手に返すことで 生まれる通貨です 期待されている以上のものを 提供するたびに 実績通貨が生み出されます この仕組みは株式市場と同じです ある企業の業績予想が 1株当たり利益25セントの時に 40セントの実績をあげたら 株価は値上がりします あなたの評価も同じです 人間関係通貨は 3つの理由で価値があると言えます その1 あなたに注目が集まり 評判を高めてくれます その2 実績通貨があれば 報酬も昇進も手に入れることができます キャリアでも どんな環境にいても とても早いうちから実現できます そして その3 スポンサーの目に留まるかもしれません なぜなら 強い実績通貨を持っていると さっき話した通り 職場でより目立つようになり あなたがスポンサーの目に 留まるかもしれないからです なぜなら 誰もが優秀な人を好むからです しかし 自分にはスポンサーがいないと 気が付く場合もあるでしょう そんなあなたに朗報があります 自分の力で スポンサーを 頼むことができるのです

ですがここで もう1つの通貨が とても重要になります それが人間関係通貨です この通貨は あなたが職場にいる 人々に対して 投資することで生まれる通貨です あなたがいる環境で 人に対して行う投資です その人が苦労して手に入れた 影響力のある通貨を 自分のために使って欲しいだなんて 一度も関わったことがない人に 頼んではいけません 頼んでも無駄です そこで大切なこととは 時間を投資して 職場の人々と 関係を築き 相手をよく知ることであり さらに大切なことは 自分を知ってもらう機会を作ることです なぜなら 一度覚えてもらえれば あなたがスポンサーになって欲しいと お願いをした場合に 引き受けてもらえる可能性が 高まるからです

この話をご理解いただき スポンサーは必要だと納得いただけたら 今度はスポンサーの見つけ方について お話ししていきましょう まず あなたが探すスポンサーには 3つの主要な特徴が欠かせません まず 意思決定の場に 参加できる地位にあること そして あなたの仕事ぶりを よく知っていること— これは非公開の協議の場で 信用を得るためです 最後に影響力を持っていること すなわち 権力があるほうが いいでしょう この3つの特徴を持っていることが 非常に重要となります

そして スポンサーとなるべき人を 見つけた場合には どう頼めばいいでしょう? こう頼んではどうでしょう 「ジム 私は今年昇進したいと思っています 今年は素晴らしい1年で 私には価値と昇進にふさわしい 実力があることを 社内で十分に証明できたと思います ただ 人事評価の場で 私の代わりに主張して 売り込んでくれる人が必要なんです あなたは私のことも仕事ぶりも 顧客からの反応もご存知ですから 私の代わりに 主張していただきたいのですが」 ジムがあなたを知っていて 2人の間に人間関係ができているなら 良い返事をもらえる可能性は かなり高いでしょう そして そうなれば あなたのために 彼は努力してくれるでしょう

ただ ジムが断る可能性もあります もし断られたら その理由は おそらく 3つのうちのどれかでしょう 1つめは あなたの仕事ぶりを あまりよく知らないので 人事評価の場で周りの信用を得て あなたの代わりに 十分な影響力を 発揮できないと思っている場合です 2つめの理由は その人に影響力があり 頼りになると あなたが思っていても 本人は自分に権力がないと知っていて 会話の中で そこには触れたくないと 思っているからです

(笑)

3つめの理由は あなたが嫌いだからです あなたが嫌いなのです

(笑)

そういうことも あるかもしれません しかし そういうことも あなたには価値ある情報となるでしょう もう少し影響力があるかもしれない 次のスポンサー候補者と 会話をする時に役に立つでしょうから

自分のスポンサーを持つことの大切さは 語りきれません あなたのキャリアで 欠かせない繋がりです 確かにメンターがいれば心強いですが いなくても 仕事を 続けることはできます でも スポンサーがいないと どんな組織でも昇進できません スポンサーは欠かせない存在なので 定期的に こうやって自問しましょう 「人事評価の場に 私の評価資料を 持っていくのは誰?」 それが誰なのか答えられないなら 仕事に注いでいるエネルギーを少しだけ スポンサー探しに回してください あなたが成功するために 欠かせない存在ですから

最後に 非公開協議の場に席を持つ スポンサー候補の みなさんに向けて一言 人事評価の場に 呼ばれた経験があるなら その場に自分の席があることを 自覚してください そして自分の席があるなら あなたには口を開く責任があります 他人が何を言うか気にしすぎて 自分の力を無駄にしないでください 自分に似た人を支持しているだけだと 思われるかもだなんて 気にしないでください あなたが持つ通貨を使う 価値のある人がいたら 使ってあげましょう ウォール街で何十年も過ごして 学んだことが1つあります 自分の力を育てるには 力を分け与えること そして あなたの意見こそが—

(拍手)

そして あなたの意見こそが あなたの力の核となるのです 力を使ってください

ありがとうございました

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このプレゼンテーションについて

職場はしばしば、黙々と一生懸命に働けば成功をつかめるような実力主義の場だと言われます。ウォール街で活躍したカーラ・ハリスは、働き始めて実力主義は幻だと知りました。実際に出世するコツは、スポンサーを得ることなのです。スポンサーは、あなたが(まだ)招待されないトップレベルの非公開人事評価の場で、あなたの代わりに主張してくれる人物です。この率直で力強いトークを聞いて、スポンサーとの生産的な関係を見出し、発展させていく方法を学びましょう。

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