アフリカの科学頭脳流出を阻止する方法(08:36)

ケビン・ヌジャボ(Kevin Njabo)
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対訳テキスト
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持続性のある発展と地元の人々の生活を 守ることが大事だと思う私たちの 多くの人の行動の背景には 非常に個人的な理由があります

僕はカメルーンで育ちました 魅惑的な美と 豊富な生物多様性のある国でありながら ずさんな行政 環境破壊 貧困に 侵されていました 僕も子供の頃 サブサハラ・アフリカの ほとんどの子と同様で 頻繁にマラリアを患いました こんにち世界中で毎年 100万人以上がマラリアで死亡しています その大部分が5歳以下の幼児で 90%がサブサハラ・アフリカで 起きています

僕は 18歳の時に より良い教育の機会を求めて カメルーンを後にしました 当時カメルーンには一校しか大学が ありませんでしたが 隣国のナイジェリアでは 英語教育を受けたカメルーン人に 様々な分野において 教育訓練の機会が提供されていました そこで僕もそこに行きましたが 卒業した僕が ナイジェリアで エコロジストとして 活躍する場を見つけるのは 更に大変なことでした そこでボストン大学博士課程への 奨学金の申し出を受けたのをきっかけに 大陸を離れました

残念なことは 多くの課題に直面しているとしても アフリカ大陸には 才能と技能が溢れているのに 私たちの問題を解決するために 欧米から専門家を 短期間だけ呼び寄せて アフリカの最も優れた 有能な人材は流出し アフリカを常に 援助が必要な大陸として扱うことです

ボストン大学で研修を終えた私は カリフォルニア大学 「環境及び持続可能性研究所」の 研究チームに加わりました その理由は 革新的な研究内容に加えて 開発途上国を含む— 世界中の何百万人もの命を救う 政策と計画の開発における 高い評価でした 立証されている事実として 海外から戻るアフリカ人技術者 一人に対し 9つの新しい仕事が 公式、非公式経済部門で生まれます そこで 持続性のあるアフリカの 共同建設計画の一端として 私たちが多面的に取り組んでいるのが コンゴ盆地研究機関を設立することです この研究機関は アフリカ人が 世界中の研究者と協働するものの 自分たちの問題を自ら解決する 永続的基盤です 私たちの多分野にまたがる アプローチで 大学や NGOや民間企業らが 国際開発の分野での協力ができます 欧米の専門家を短時間だけ 受け入れるのではなく アフリカに永続の機関を作り アフリカと国際研究者の間で 共同のプロジェクトを展開し ロジスティックス 住宅供給などを 一ヶ所で総合的に対応できる場を 作り上げようとしています

この成果によりミシェルのような学生が アフリカで高度なトレーニングを 受けることが可能となりました ミシェルは現在私たちの研究室で 気候変動の昆虫類への影響調査を 博士号取得のための研究として行い 学位取得後も アフリカ大陸滞在を可能にする ポストドク奨学金をすでに確保しました 私たちの地元援助プログラムによって 若いナイジェリア人の科学者 グベンガ・アビオドゥン博士が ポストドク研究員として 南アフリカのウェスタン・ケイプ大学 専門職開発財団および カリフォルニア大学と協力して アフリカでのマラリア伝染に 気候の変化と変動幅が与える影響を 研究できます グベンガは現在 アフリカの マラリア伝染を予測する 初期警告システムに使われる モデルの開発にあたっています

最も優れた有能な人材を アフリカから流出させるのではなく 地元の才能をアフリカで育み 援助しています 例えば 私と同じように アメリカでトレーニングを受けた エリック・フォカム博士は カメルーンに戻っても 必要な研究助成金を確保できず 彼が自信を持っている科学を 実践し学び続けるのに 大変な苦労をしました 私がエリックに会った時 彼はアメリカに戻るか否かの 瀬戸際でした 私達は彼がコンゴ盆地研究所と 協力を始めるよう説得しました 今や ブエアにある彼の研究室には 米国やヨーロッパの研究員との 共同研究のための助成金が 5、6以上あり 14人の大学院生―内9人が女性 の学費を援助しており 全員が 気候変動下の生物多様性が 人類の健康と栄養に及ぼす影響を理解する 画期的な研究をしています

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アフリカが支援金を受け取ることに頼らず 私たちは 多分野的なアプローチを用いて アフリカ人自らの手で 解決策を見つけるよう奨励しています 今現在私たちは 地元社会や学生 あるアメリカの起業家 米国とアフリカの科学者と 協力しながら アフリカの象徴的な堅木 コクタンの 持続的な生育方法を模索しています ほとんどのアフリカの堅木同様に コクタンは木材を作るために利用されますが コクタンの生態学的な性質 何が分布を拡大させるのか 森林でどのように80−200年 生き抜くのかは ほとんど解っていません 彼女がアルヴィンです 私たちの研究室で働く 若い博士課程学生ですが 取り組んでいるのは 最先端の組織培養の研究です アルヴィンの手にあるのが 初めて 組織だけを使って育成された コクタンの木です これはアフリカでは珍しいことです 現在私たちは アフリカの木材を 種子からだけではなく 植物の様々な組織― 葉 茎 根から 作ることが証明できますが とても難しい仕事です

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そこで他の学生が アルヴィンが研究室で識別した コクタンの様々な品種を使い 接ぎ木し 若木を育て 地元コミュニティーと協力し 我々独自の農林複合方式で コクタンと地元産の果樹を 一緒に育てます この方式では 農家が育てたい木の品種を 自分たちで選ぶ事を勧めています この方法でコクタンだけでなく 農家が選択した品種も 私たちが開発した近代的技術を用い 育てられ 土地利用計画に組み込まれるので 農家はコクタンの成熟を待つ間も 果樹から利益を得られるのです

今ではカメルーンで15,000本の コクタンの木が植えられ その結果として初めて コクタンを手つかずの森から 伐採せずに済むようになるでしょう これがアフリカの堅木のモデルとなり この方法はサペリやブビンガなど 他の貴重な堅木の栽培にも 適用されつつあります

僕が18歳の時にこのような事例があれば 祖国を後にしなかったと思いますが コンゴ盆地研究所の構想のおかげで 帰国が可能となりました しかも一人で帰った訳ではなく 欧米から科学者や 起業家 学生 世界の一流大学からの 優れた科学をひきつれて アフリカでの研究が可能になりました

この地元生まれでパワフルな奨励方法を スケールアップすることも必要です 今の段階では5、6の大学や NGO機関と協力しています 私たちの構想では 現在の研究所を拡張した 環境に配慮した施設を作り 住居や会議室を増設し 長期的な学術的アプローチで 実践する予定です アフリカ人の若い学者に もっと機会を与え 熱帯農業国際研究所の サブサハラ・アフリカにある 17研究機関の既存ネットワークをてこに スケールアップする構想です

状況は変わりつつあります... そして更に変わることを期待し いくつかのアフリカ諸国 例えば コートジボワール タンザニアや セネガルなど 民間セクターからの投資も期待できる 成長率の上位にいる経済国にも 及ぶことを願ってます アフリカの学者にもっと機会を与えたい 私が心待ちにしているのが アフリカでもっとも知性のある人たちが この大陸に留まり 高度な教育を コンゴ盆地研究所のような 構想を通して受けることです そうなった折には アフリカは自らの問題を解決する 軌道に乗るでしょう そして50年後のTEDトークで アフリカで生活し研究するために 欧米から頭脳が流出することへの対策が 話されることを期待しています

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このプレゼンテーションについて

アフリカの問題をアフリカ人が自らの手で解決する方法とは?保全生物学者のケビン・ヌジャボは、留学で海外に行ったきり戻ってこないアフリカ人科学者たちの一人に自分もなる寸前だったという体験談を語ります。そして現在アフリカ大陸に、地元の優れた人材を育成し援助する常設の機関を設立する理由を話します。「私は一人で帰るのではありません。欧米の科学者、起業家、学生を一緒に連れてきます」とヌジャボは語ります。「そうなった時にこそ、アフリカは自らの問題を解決する軌道に乗るでしょう」

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