地雷の残酷な論理と地雷の回避を支援するアプリ(06:04)

カルロス・バウティスタ(Carlos Bautista)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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皆さんは自宅の周りを散歩する時 大抵は 安心して気持ちよく歩けますよね では そんな慣れ親しんだ場所に 地雷が埋められていると 想像してみてください そこらじゅうに埋められていて いつ それを踏むか分からない という状況です 私の母国コロンビアでは そんな地域が たくさんあります 内戦が50年も続いたために 文字通り 数え切れないほどの地雷が 地方では至る所に埋められて コロンビア国民の3人に1人以上が 被害に遭っています そうした対人地雷は 人命を奪うことよりも 重傷を負わせるのが狙いです その行動の裏にある論理は 実に残酷です 兵士を単純に殺すよりも重傷を負わせれば 負傷者の手当てに人手がかかり 敵の戦力の損失が より大きくなるという理屈です

私がアドリアナ・ロドリゲスに 会ったのは 5年前のこと コロンビア政府からの依頼で 映画を撮った時です 私はドキュメンタリー作品の監督でした 紛争が続く中で 彼女はやむなく 子供を抱えて自宅を離れました ある日 彼女の家の近所の人が 命を落としました 地雷を踏んでしまったのです 屋外ではなく 空き家に その人が入った時でした アドリアナが住んでいたのと とてもよく似た家でした それ以来 彼女はずっと 自分や子供たちが地雷を踏まないかと おびえるようになりました

コロンビアでは 内戦が あまりにも長く続いたので 私も母も この国で皆が平和に 暮らしているのを見たことがありません また 私のような人間にとって つまり どうにか難を逃れて 暮らしている者にとって 残されている選択肢は2つだけです 1つは現状に慣れること もう1つは この現状を変えようとする 試みに全力を注ぐことです あまり認めたくないことですが 私は30年近く 現状に慣れて 過ごしてきました ところが 妻と出会ったことで 私は変わったんです 妻は政治社会学者で コロンビアの武力紛争の研究に とても熱心に取り組んでいました 彼女が丁寧に説明してくれたので 母国コロンビアが内戦や地雷によって 深い傷を負っていることが理解できました そこで私たちは米国に渡ることにしました 新しいスキルを学ぶためです コロンビアの社会で 役立ちそうなもの― 社会の立て直しにも繋がるスキルです

私は大学院の在学中に 新たな開発を始めました 広範囲への応用が期待される 拡張現実(AR)で 地雷の処理作業に携わる兵士を 支援するのが目的です この開発を進めるうちに 私は気づきました 世界の中で 地雷処理で今も困っている国は コロンビアだけではなかったのです 実際 何らかの爆発物が 地中から除去されていないために 国土が危険な状態にある国は 58カ国を超えています 2015年だけの統計で見ても 戦乱の激化により リビア シリア ウクライナ イエメンなどの各国で 地雷の犠牲になった人数が ほぼ倍増しています 3695人から6461人にまで増えたのです 想像してみてください 地雷除去に注力する国がある一方 その設置や拡大を続けている国もあるのです

地雷を使うような紛争が終結すると その後どうなるでしょう? 次の2つが挙げられます まず考えられるのは 国内で遠くの町に避難していた人々が 自宅に戻ってくることです 次に指摘したいのは 市街地で 未処理の地雷が 爆発する事例が 増えるだろうということです そこで私は ニューヨーク大学の コンピューターサイエンス学部に 残ることにしました クラウディオ・シルバ教授と一緒に MineSafeというアプリを 作り始めたんです MineSafeは 地域から発信された情報をもとに 人々が最もよく利用していて 地雷による不慮の事故が 起きていない経路を示すアプリです また通行経路のパターンを示すことで 地雷除去作業の緊急性が高い地域を 特定することにも役立ちます コロンビア国民のうち 約1500万人は 大都市以外の地域に暮らしています 想像してください そんな地域の情報を クラウドソーシングで収集し分析できれば 昔のアドリアナと子供たちのように 恐怖で外出できなかった人々も 安全な道を安心して歩けるのです 収集した情報は さらに別の場面にも活用できます より生産的な活動にも応用できるからです 農業従事者は 爆発物の除去が終わった― 安全な土地を見つけられるようになります 彼らが肥沃な新しい土地を 見つけて 食物の生産を 再開するのに役立ちます

MineSafeは試験運用の パイロットプロジェクトで コロンビア政府と提携しています 同時に カンボジアとソマリアの関係者にも 連絡を取りながら 進めています このプロジェクトは 米国の民間人からの 財政援助も受けています ここで歩みを止めるつもりはありません 活動をさらに広げたいのです 世界中のあらゆる場所で このプロジェクトを展開したいです 地雷が脅威となっている場所で

コロンビア国内の武力紛争は ようやく終わりが見えてきました しかし 長年続いた戦乱が残した地雷は 今なお 私たちの足元に埋まったままです 私たちはMineSafeを使って 人々の平和を取り戻し 国土の安全も回復させます

ありがとうございました

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このプレゼンテーションについて

50年間にわたるコロンビアの内戦により地方に地雷がばら撒かれ、偶然通りかかった罪のない人々が体の一部を失ったり命を落としたりしています。地域住民をそんな被害から守るため、TEDレジデントのカルロス・バウティスタは、地雷を追跡し、通行人が危険な場所に近づかないようにするアプリの開発に取り組んでいます。命を救う可能性を持ったこのツールが、紛争が終結しても地雷に苦しめられている国や地域にどうやって平和をもたらすかを学びましょう。

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