私は子供は欲しくない—「そのうち気が変わる」なんて言うのはやめて(14:37)

クリステン・ライター(Christen Reighter)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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幼い頃 自分に押し付けられた 役割に気づきました 私が認識したのは 私たちの言葉や メディアに根強く残るある観念― 「女性とは子どもを 持つべきであるだけでなく 欲しがるべきだ」という考えです この観念を至る所で見てきました 大人たちに 自分の将来の出来事について 問いかけられた時もそうでした 「あなたが結婚する時‥」 「あなたに子どもができる時‥」 このような将来に関する話が まるで アメリカンドリームの 一部であるかのように 常に立ちはだかりましたが 私は 他人ごとのように 感じていました 私の中に常にあった価値観は 子供を欲しがることは 絶対にないということでした この 女性の役割と 私の価値観とのズレを 子供ながらに説明しようとすると 大人たちはよく笑いました 子供特有の わけのわからない話だとでも 言いたげでした そして分かった顔で こう言うのでした 「大人になったら気が変わるよ」

これまでずっと みんなに そう言われてきました 礼儀正しい会話が急に 立ち入った話になることもあります 「ご主人は知っているの?」

(笑)

「ご両親は知っているの?」

(笑)

「家族欲しくないの?」 「子孫を残したくないの?」 「子供を持たないこと」が話題になる時に 一番よく聞く言葉は 「それは自分勝手だよ」です

女性が母親にならないという 選択をした場合 たくさんの理由が考えられます 大部分は自分勝手なものではありません しかし そんな女性へのおおっぴらな非難が 今でも社会的に容認されています どんな理由も世間の常識に 当てはまらないからです 女性は子供を生むようにできていると 教えられていた幼い頃 女性が検討する様々な要因が どれだけありふれているかを 誰も説明してくれませんでした 遺伝性疾患を子孫に 引き渡してしまうリスクや 妊娠期間中に命にかかわる重要な薬を 中止しなければならない危険性 といった要因です 人口増加問題への懸念や 資源へのアクセス そしてアメリカでは 常時 41万5000人の子供たちが 児童養護の対象であるという 事実などもです 他にも理由はたくさんありますが 加えて これほど重大なことを 「偶然」任せにしたくないという考えから 不妊手術を受けることを 決めました

私は熱心に調べ始めました 完全に理解したかったのです 卵管結紮手術に伴う すべてのことを つまり卵管を縛ることです 手術の承認から 術後の満足度、リスク 統計まで知りたかったのです 最初は 勇気付けられました それまでずっと教え込まれてきた 世間の常識から 子どもを欲しがらない女性は とても珍しいのかと思ったら アメリカ人女性の5人に1人が 生物学的な子どもを持たないと知りました 時にはそれを選択して 時には偶然に

(拍手)

私だけではなかったのです しかし調べるうちに 意気消沈してきました 必死に不妊手術を受けようとする女性たちの 体験談も読み漁りました 何年も 産婦人科医を転々として 資金が底を突く女性が あまり多いのだと知りました 何度も断られるばかりで しばしば露骨に見下され 手術を諦めるのです 医師は女性にしばしば 見下した態度を取り 手術を求める理由に耳を貸しません こう言うそうです 「結婚して子供ができたら またいらっしゃい」 子供を持ってから 不妊手術を希望しても 若すぎると言われ もしくは子供が少なすぎると言われます おかしな話です 私の州の法規定では 不妊手術の条件は 「21歳以上である」 「精神が健康で 自分の意思で行動している」 「30日の冷却期間を置く」ですから 私は戸惑いました この法的要件をすべて満たしているのに 自分の体に対する権利を 診察室で争わなければならないのです 萎縮しそうでしたが 心は決まっていました

初診の日にはキチンと正装して いったのを覚えています

(笑)

背筋はピンとして着席 ハキハキと発言しました 自分を一人の人間として 扱ってほしい— その根拠を一つ残らず 医師に伝えたかったのです そして忘れずに こんなことを言いました 「大学は卒業して 大学院にも何校か出願しています こんな専攻をする予定です」 「私の長年のパートナーは こんな仕事をしています」 「この数カ月 不妊手術について調べました リスクを含めて全部理解しています」 医師に分かってほしかったのです ただの気まぐれではないし 一時的に感情で動いているのでもないし 妊娠の心配なく遊びたいからという 20代の若者とも違うことを (笑) 自分らしさに欠かせない 一部分であることもです

医療における合意についても 理解していますので 手術の方法を改めて 説明してもらえると思っていたのですが ある時から医師の説明が 偏見と大げさな統計と 先方の思惑が交錯したものであるように 感じ始めました 質問が尋問に思えてきました 最初 医師たちは 私の状況をより良く理解するように思える 質問をしていました それが段々と揚げ足取りのようになりました 反対尋問をされる証人になった気分でした

医師は私のパートナーについて尋ねました 「パートナーの方はどう思ってます?」 「私は同じ男性と 5年付き合っていて 彼は私の自分の身体に関する決断に 全面賛成しています」 「もし将来パートナーが変わったら どうなります? その人が子どもが欲しいと言ったら?」 私はその質問の答えに困りました なぜなら まるで医師が もしパートナーが子どもを強く望んだら 私自身の考えはすべて度外視して当たり前だと 言っているように聞こえたからです 医師にそれは心配ないと伝えました 初デートでの話題はいつも 子どもを持たない話でしたから

(笑)

(歓声)

(笑)

すると まるで私が 考えたこともなかったかのように 20年のうちに本当に後悔するかも しれないから よく考えるようにと 言われました そこで私は医師に言いました 「ある日 目覚めて もしあの時違う選択をしていたらと 気が付いても 自分が 親になる道を一つ消した というだけのことです 家族をつくるのに生物学なんて 必要なかったのだから」

(歓声)

ある日目覚めて 本当に欲しいわけでもなく 世話をする準備も できていなかった子供がいるより 子供がなくて後悔するほうが ずっと受け入れやすいことです 選択肢のうち一つは 私だけに影響するものです もう一つは子供自身や 子供の発育や幸福に関わるのですから

(拍手)

人間はギャンブルの対象ではありません すると この男性医師は どの医者も 手術を承認するわけがない理由を言いました その医師はもちろんのこと 医学父権主義の考えからです 専門知識を持つ医療提供者として 私の代わりに決断を下すというものです 私にとっての最大の利益という名目で 患者の私が何を望み 何を信じているとしてもです 医師はここで席を外し 私の担当になるかもしれない 外科医と話しに行きました ドアの向こうから 私をまるで子供扱いした 話しぶりが聞こえてきました

とても腹が立ちました 抗議したくなりました そこの医療提供者一人ひとりに 面と向かって はっきり言ってやりたくなりました 私への扱いがいかにひどいか いかに軽く 性差別的であるかを そしてそれに我慢ができないことを でも我慢しました キツい言葉を発したくなるのをこらえ 歯を食いしばりながら 軽蔑的な質問や言葉にも すべて答えました 私が来院したのは 客観性や支持を求めるためです にもかかわらず軽んじられ 黙らせられたように感じました 自分を嫌悪しました 何度も 無礼な扱いをされるがままだった 自分が嫌になりました しかしこれも 単なる一度の試みです

何度も受けなければならなかった 面談の一つでした ある時は短時間のうちに 5~6人もの医者に会いました 診察室というより 次々と道化師が 飛び出すドアに向かう気分でした 主治医に始まり その同僚に さらには院長と 避妊手術をしてもらうというよりは まるで 天然痘に感染させてと 頼んで回っているような気分でした しかし気持ちは変わりませんでした 粘り強く主張しました そして遂に 一人の婦人科医を説得しました 診察室で同意書に署名し ホルモン剤を注射し 残りの手続きをしながらも 医者は首を横に振りながら 言っていました 「気が変わりますよ」

この経験をするまでは 完全に理解していませんでした いかに社会が この母親という役割に 固執しているかを 私は 何度も何度も いかに人々が— 医療提供者であれ 同僚であれ 赤の他人であれ 私という女性を母性から切り離して 考えることができないのか 直に経験しました 私はずっと 子どもを持つことは 女性であることの延長であり 必要条件ではないと信じてきました 女性の価値は 子どもの有無によって 決められるべきではありません 大人の女性として そして自己としての すべてのアイデンティティを その人から奪うからです 女性は生命を生み出す 素晴らしい力を持っています しかしそれが目的だとしたら 女性の存在そのものが 出産のための手段になってしまいます

社会が押し付ける その役割が 「母」という名前よりもずっと重いことを 忘れるのは あまりにも簡単です その役割から来る重荷や その基準に合わせるための プレッシャー それに疑問を挟むことに関する恐怖 受け入れた時に捨てた願望は どうなるのでしょうか? 幸せや充足感への道はたくさんあります どれも全く違って見えます しかし私は そのどれもが 自己決定の権利を 保証してくれる道だと信じています

女性に知ってほしいのです 母親となるかならないかの選択は あなたの価値や 配偶者、大人、女性としての アイデンティティに 縛られていません 母性についての選択が 間違いなくそこにあります それはあなたの あなただけの選択です

ありがとうございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

5人に1人の女性が「生物学的な子」を持たないというアメリカで、クリステン・ライターもその1人です。かかりつけ医を含め、多くの人々に「そのうち気が変わるよ」と言われてきたにもかかわらず、自分は子どもは欲しくない、と幼い頃から自覚していました。自身が不妊手術を求めた体験談を語り、母性とは女性であることの延長であり、必要条件ではないのだと訴える、力強いトークです。

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