偽のニュースがいかに実害を引き起こすのか(6:26)

ステファニー・ブサリ(Stephanie Busari)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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ある女の子の話をします 実名は明かせませんが ハディーザと呼びましょう

ハディーザは20歳で 内気なタイプですが 素敵な笑顔の持ち主で 笑うと顔がパッと明るくなります でも 絶えず痛みに苦しんでいます おそらく 生涯に渡って 薬を飲み続けることになるでしょう

なぜだと思いますか? ハディーザはチボクの住民です 2014年4月14日 ボコ・ハラムのテロリストに 拉致されました 拉致された女子生徒たちを運ぶ トラックから飛び降りて なんとか逃げ切りましたが 着地した時 両足を骨折してしまい 腹這いで茂みに隠れなければ なりませんでした ボコ・ハラムが探しに来るのが とても怖かったそうです ハディーザは その日トラックから飛び降りた 女子生徒57人の中の1人でした

この事件は当然ながら 世界中に波紋を広げました ミシェル・オバマやマララ といった人々が 抗議の声をあげました 当時私はロンドンに住んでいたのですが ほぼ同じ時期に ナイジェリアでは初の開催となる 世界経済フォーラムを取材するため ロンドンからアブジャに 派遣されていました 到着すると 町はこの拉致事件の 話で持ち切りでした 私たちは政府に圧力を加え 人質救出のため 何をしているのかという 厳しい質問をしました 無理もないことですが 政府は一連の質問を快く思わず 返答内容は「もう一つの真実」でしかなかった とだけ言っておきましょう

(笑)

当時 ナイジェリアの有力者たちには 考え方が甘いとか ナイジェリアの政情に疎い などと言われました それだけでなく チボクの女子生徒拉致事件も でっち上げだと言うのです 悲しいことに このでっち上げ説が根強く残り ナイジェリアには今でも 生徒拉致事件はなかったと 考える人々もいます でも私は この写真のような人々と 話しました 打ちひしがれた親たちです ボコ・ハラムに 娘たちがさらわれた日 拉致したトラックを追って サンビサの森へ駆け込んだそうです マチェーテを持って行ったものの ボコ・ハラムが銃を持っていたので 引き返さざるを得ませんでした

2年で 必然的に ニュースの焦点は切り替わり そして2年間 拉致された生徒たちについて あまり報道されませんでした 死んだものと 誰もが思っていました しかし 去年の4月に このビデオを入手しました 少女たちが生きていることを 証明するためにボコ・ハラムが撮影した ビデオの静止画です ビデオの出元は ある情報筋です しかし 公表する前に ナイジェリアの北東部に 行かなければなりませんでした 親たちと話して 本人確認するためです すぐに確証が得られました 母親の1人はビデオを見て もし 画面の中に手を伸ばして パソコンから自分の子供を 引っ張り出せるなら そうするのにと言いました 会場の中で 私と同じように 子供のいる方は その母親が感じていた苦悩が お分かりになると思います

このビデオによりボコ・ハラムとの 交渉が始まりました ナイジェリアのある議員は このビデオがあったからこそ 交渉が始まったのだと言いました チボクの女生徒は死んだと ずっと考えらていたからです 21人の女子生徒が 去年の10月に解放されました 悲しいことに 200人近くが 行方不明のままです

正直なところ 報道するにあたって 感情を挟まずにはいられませんでした 女子生徒たちを救出する機会を みすみす無駄にしたことを思うと 猛烈に腹が立ちます 親たちから聞いたことを思うと 猛烈に腹が立ちます 金持ちや有力者の子供だったなら もっと早く捜索されていた と言っていました そして「でっち上げ」説にも 猛烈に腹が立ちます 捜査が遅れた原因だと 私は確信しています 少女たちの返還が 遅れた理由の1つです

ここから 偽のニュースの 致命的な危険性が浮き彫りになります ではどんな対策ができるのでしょう? GoogleやFacebookには テクノロジーを使って 偽のニュースの 拡散防止に努める優秀な社員や エンジニアがいます でもそれに加えて あなたも私も ここにいる誰もが 対策の一端を担うのです ニュースの中身を シェアするのは私たちです ニュース記事をネットでシェアするのは 私たちなのです 今の時代 私たち全員が 出版媒体なのであり 私たちには責任があるのです

ジャーナリストとしての私は 仕事の中で 調べて 裏を取り 自分の勘を信じながらも 本質を問います 「なぜこの人は私にこんな話をするのか?」 「この情報を提供してくれることに どんな利益があるのだろうか?」 「隠された思惑があるのか?」 私たち皆 ネット上の情報を より厳しく検証し始めねばならないと 私は強く信じています

調査によると 記事をシェアするときに 見出し以外は 読んでさえいない人もいます 覚えのある方いませんか? 私がそうです でも もし私たちが 見つけた情報を 鵜呑みにするのをやめたなら? もし 私たちが少し立ち止まって 自分が流した情報から生じる結果や そこから暴力や憎しみが生まれる可能性を 考えたとしたら? 少し立ち止まって 自分がネット上でシェアした情報が 現実世界に及ぼす結果を考えたとしたら?

ご清聴ありがとうございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

2014年4月14日テロ組織のボコ・ハラムがナイジェリアのチボクで200人以上の女子生徒を拉致しました。この事件は、#BringBackOurGirls 「娘たちを返して」というスローガンの下、世界に広まりました。しかし、ナイジェリア政府が事件をでっち上げであるとしたため、混乱が生じ、生徒救出が遅れました。この説得力のあるトークで、ジャーナリストのステファニー・ブサリがチボクの悲劇を取り上げ、偽のニュースの致命的な危険性と、どんな対策ができるのかを語ります。

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