私が刑務所で学んだこと―読むことと株の取り引き(11:03)

カーティス・"ウォールストリート"・キャロル(Curtis "Wall Street" Carroll)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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14才の時 ボーリング場にある ゲーム機から金を強奪し ビルから出ようとしたら 警備員に自分の腕をつかまれ 逃走しました 通りを走り フェンスの上へとジャンプし 上に立ったと思ったら かばんに入っていた 3千枚の25セント硬貨の重みで 自分は地面に落下しました すると 警備員が 覆いかぶさってきて こう言いました 「おい悪ガキ 次に盗みを働くときは 自分で持てる分だけにするんだな」

(笑)

自分は少年拘置所に 連れていかれましたが 母の保護の元 釈放されたときに おじが最初に口にした言葉は 「何で捕まったんだ?」 「かばんが重くなりすぎてね」 「25セント硬貨を 全部持ち帰ろうとするからだ」 「だって小さなコインだよ どうすればいいんだ?」 おじは10分後に別のゲーム機の 硬貨を盗みに自分を連れて行きました ガス代の支払いがあったからです そんな生活を送っていました

自分はカリフォルニア州の オークランドで 母とコカインを常用する 近縁の親戚の下で 育てられました 自分の周りには 一緒に住む家族 友人それに ホームレスのための宿泊所がありました 夕食は貧窮者への施しである パンやスープということもよくありました 大親友はこう言っていました 「金が世を支配する 全ての価値は金にあるんだ この街区では 金こそ帝王だ 金についていけば 悪い奴 もしかするといい奴にも 出会えるかもしれない」

その後すぐに 最初の犯罪を犯し その時 初めて 自分に可能性があると言われ 自分を信じてくれる人の存在を 感じました 誰も自分が弁護士や 医者や技術者になるなんて 言ってくれたことはありませんでした 読み書きも綴りも知らない 一体何になれるっていうのでしょう? 無学なんだから だから 自分には犯罪しかないと いつも思っていました

そんなある日のこと 仲間と話していると 自分たちにやれそうな強盗の話になり それで 一緒に犯行に及びました

現実はというと 自分は経済的に世界で最強の国 アメリカで育っていたものの 母親が血液バンクの行列に 並ぶのを目にするという現実もありました 子供たちの食事を買う40ドルを 稼ぐために血液を売っていたのです 今でもその証拠に 母の腕には 注射の跡が残っています

地域社会なんて どうでも良いことでした 私のことなど気にしない人たちです 必要な物を得るための やむにやまれぬ行動で精いっぱいの人たちです 麻薬のディーラー 強盗、血液バンク 誰でも血液を売って 金を得ていました 自分も必要になったら そうするしかありませんでした ファイナンスの知識が 世の中を支配していて 自分はその世界の児童奴隷として 悪人に従っていました

17歳の時 自分が強盗と 殺人で逮捕されると 刑務所の中では 街の中以上に 金が支配的だとすぐに学ぶことになり この世界に 足を踏み入れたいと思いました ある日 新聞のスポーツ欄を 急いでつかみ 刑務所の仲間に読み上げてもらいました そして偶然に 経済面を開いたら 「おい若造 株でもやるのか?」 とその老人がいうので 「何だって?」と答えると 「ここはな 白人がお金を預ける場所だ」 と言うのです

(笑)

その時初めて 希望が、将来が ちらっと見えたんです 彼は株とは何か 簡単に説明してくれましたが わずかな望みがあっただけでした では どうしたら いいかといっても 自分は読み書きも綴りもダメ 自分が磨いてきたスキルとえいえば それを隠すことだけ それもここでは通用しませんでした 自分は手にしたことのない 自由を求めて戦おうにも 略奪者の餌食となる 囚われの身でした 自分を見失い 疲れてしまいました 何ら選択肢は無かったのです

そして20才を迎えたとき 自分の人生で 最も難しいことに挑戦しました 本を手に取ったのです 読むことを学ぼうとしていた時 それは― 人生で最も苦痛を感じた時でした 家族や親友から 仲間外れにされる感じだったからです それは 大変だったし 苦労しましたね 夢にも思わなかった能力を 受け取っている最中だとは 気づいていませんでした 自尊心 知識、自制心といったことです 次から次へと目に入るものを 興奮しながら読んでいきました キャンディの包装 服のロゴ 街角の標識まで何でもです ひたすら読み続けました

(笑)

読み続けました 読み方と綴りを知って 興奮しました 親友が 「お前 何を食べているんだ」と尋ねると 「C-A-N-D-Y キャンディ」 と答えました

(笑)

「俺にもくれよ」と言われても 「N-O ダメ」って言いました

(笑)

素晴らしいことでした 人生で初めて読めるように なったんですから その時の気持ちと言ったら 最高でした

22才になって 自意識が芽生え 自信が出てきたときのことです あの老人が言っていた言葉を思い出し 新聞の経済面を開きました こいつら白人富豪を 見つけ出したいと思ったんです

(笑)

あのわずかな望みを 追い求めめたのです さらに経験を積み重ね お金と投資についての ファイナンスを教えるようになりました そして自分がやってきたことに対する 責任を取るべきだと気づきました 実際 自分はとてもやっかいな環境で 育ってきましたが 犯罪は 自分の選択の結果です それは自分の責任であり それに対する責任を取るべきだと思い 実行に移しました 囚人たちに 刑務の中で得たお金の 使い方を教えるコースの カリキュラムを作成しました ライフスタイルの適切な管理手法は 刑務所外に持ち出せる知識で 囚人たちが社会復帰した時に それを活用して 罪のない人たちの多くと同じように お金を管理できるはずです 私も後に知ったことですが MarketWatch 誌によれば 60%以上のアメリカ人は 1千ドル以下の蓄えしかもっていないし Sports Illustrated 誌によると NBAとNFLの選手の 60%以上は破産しています 離婚問題の40%は 金の問題から始まっています ひどいですね~

(笑)

人々は 一生働き続け 車、服、家やいろんな物を買い 貯金する余裕は無いだって? 社会を構成する人々が 社会復帰する前科者を 支援できるんだろうか 彼らがお金を管理できないなら 我々はどうする? だから奪い取ったんです

(笑)

もっといい計画が必要でした そんなやり方 上手く行きそうになかったから そこで… 考えました 自分には 社会復帰の道のりで 両者を上手く融合させ 支援する義務がある 気は確かかと思うけど 自分が地域社会をケアするんだから 自分が地域社会をケアするなんて 思いもよりませんでした

ファイナンスの知識がないことは 社会の病気で 何世代にもわたり 社会のマイノリティや 低所得者層から 自由を奪ってきたのだから 我々はそれに対して 怒るべきなんです 考えてみてください 経済的繁栄が原動力の国なのに 50%ものアメリカ人に ファイナンスの知識がないとは どういうことでしょう 公平な扱いを受け 社会的な地位を得 まともな生活ができて 移動手段もあり 食にありつけるという全てのことは お金に依存しているのに 多くの人がそれを管理できていません おかしいですね! 病気の蔓延です 他の何事よりも 公共の安全に対する 危険は増しています

カリフォルニア州矯正局によれば 囚人の70%以上は お金に関する犯罪を犯して 訴えられています 強盗、侵入盗、詐欺、窃盗、恐喝 まだまだ他にもあります 調べてみましょう 典型的な囚人は カリフォルニアの監獄制度に従い お金の使い方について学ぶことなく 時給30セントを支給され 年間で800ドル以上の給与を得ますが 実質的な出費もないのに 貯金もありません 仮釈放の時には200ドルを与えられ こう言われます 「幸運を祈る 問題を起こすなよ 刑務所に戻ってくるんじゃないぞ」 まともな準備もしていないし 長い目でみたお金の使い方も考えていません それで彼は何をするんでしょう? 60才になったら? いい職を得るか さもなければ 犯罪を犯すようになって また監獄に後戻りです 納税者の皆さん 皆さんの選択です いや 彼が受けてきた教育で 決まっているかもしれません

この社会の病をどうやって 治すのでしょう? 自分は共同創設者として 「感情のコントロールによる 金銭感覚の適正化プログラム」 FEELを立ち上げました そこでは お金の使い方を決める時に 感情に左右されないようにすることと 個人ファイナンスの 4つの不変のルールを教えています 正しい貯金の仕方 生活費の適切なコントロール 効果的な借金 金に追い立てられるのではなく 金が自分のためになるような ファイナンスの多様化です 囚人たちは社会復帰前にこういった 生活のためのスキルを必要としています こういった生活のスキルがなければ 完全なリハビリなんてあり得ません プロでなければ 投資や金の管理ができないなんて 全くばかげた話しです 誰がそんなこと言っても それはウソです

(拍手)

プロというのは 自分の職業について 誰よりも良く知っている人間のことです あなたが必要な資金、所持金、目標額について 一番分かっているのはあなた自身です だからあなたがプロです 金の使い方を知ることは スキルではなく 皆さん― それはライフスタイルなんです 経済的安定は 正しいライフスタイルの副産物に過ぎず 経済的に健全な囚人は 納税できる市民になれるし 経済的に健全な納税者は そうあり続けられます そうなれば 我々と関係のある人たち 家族、友人やその子供たちと ちゃんとした繋がりが出来ます 彼らは今でも 犯罪とお金は 関係していると信じています お金にまつわる様々な用語や 巷で聞こえてくる その他の耳障りなことによる 恐れや心配を忘れてしまいましょう 社会をダメにする問題の核心を理解し より良い生活を管理できるよう 自分自身に責任を持ちましょう そうしたら 「感情のコントロールによる 金銭感覚の適正化 (FEEL)」の 核心に触れるような シンプルで簡単なコースを 開催してみようではありませんか

もし 皆さんがそのコースに参加して 「うーん 自分には合わない 同意できないな」と思ったら 私の講義を受けてください

(笑)

そうしたら 感情的になるたびに どれほどお金を失うのかお教えしましょう

(拍手)

どうも有難うございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

「ファイナンスの知識はスキルではなく、ライフスタイルです。」刑務所に収監された経歴のあるキャロルはお金の価値を理解しています。服役中に、文字を読むこと、そして株の取り引きを独学で学んだ彼は「自分のお金のことをもっと理解すべきだ」というシンプルで影響力のあるメッセージを伝えます。

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