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ジェネリック医薬品の起こした大きな問題(16:31)

調査ジャーナリストのキャサリン・イーバンは、「ジェネリック医薬品は、その先発品と本当に同一なのか?」という一見簡単な質問に関する記事を書くことにしました。出てきた答えがきっかけになり、10年にわたるインタビュー、内部告発者とのミーティング、4大陸にわたる現場レポートを行い、FDAの機密文書を探ることになりました。警告を喚起するこのスピーチでは、イーバンが、海外の製造工場で何が起こっているかを話し、多くの低コストなジェネリック医薬品に隠された不正を暴きます。

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2008年に 変わった電話が かかってきました ジョー・グレードンという男性からでした ジョーは 患者さんから 沢山の苦情が出ていると言いました 最近ジェネリック医薬品に 変えた患者さんたちです ジョーは 薬理学者で NPRラジオ番組の 共同司会者もしていました 患者が次々とジェネリック医薬品の 副作用を訴えていると言うのです 病気の再発を訴える人もいます ジョーは 患者さんの言うことを信じました そこで患者さんの苦情を 米国食品医薬品局に報告しました ところがFDA当局は こう言ったのです 「多分 心因性でしょう」 「患者さんは 動揺しているのでしょう 前の薬と見た目が違うから」 ジョーは 信じませんでした 誰かすぐれた調査能力のある人に 調べてもらいたいと思い 調査ジャーナリストの私に 電話をかけてきました その時ジョーに投げかけられた質問が 頭を離れませんでした 「キャサリン 薬にどんな問題があるんだ?」

私は その後10年間 その答えを探ろうとしてきました 私たちの医療体制は ジェネリック医薬品に頼っています 私の家族も例外ではありません 10年にわたって面談をして 内部告発者の話を聞き 現場からの報告を 4つの大陸にまたがって聞き 何千ものマル秘ファイルを FDAから入手し ジェネリック医薬品会社からも入手し 裁判所からも入手して 共通したことが分かったのです 沢山のジェネリック医薬品製造会社 それも特定の外国の会社が 低水準の医薬品を作り 基準に適合したジェネリック医薬品と偽って 儲けています 意図的にFDAの規制や基準を無視しています つまり 不正を行っているのです

その過程で 世界中の患者さんの 健康をリスクに晒しているのです 患者さんの命を奪っている場合も あるかもしれません インドのある主要な会社は このような行為のため 既に閉鎖されました 私が知りたかったのは この会社が例外的な存在だったのか それとも氷山の一角だったのか? 調査の結果 不穏な状況が露呈しました ジェネリック医薬品を服用している人は 誰しも本当に心配すべき状況です

そんなまさか と思われるのも 無理もありません 私も ジェネリック医薬品が 世界の公衆衛生の偉大な革新の一つだ 世界中の患者にとって 大きな勝利だと思っていました 今や医薬品の90%がジェネリックです ジェネリックのHIV・AIDS医薬品は アフリカで多くの人命を救いました 米国でも メディケアやメディケイド等の 医療保険制度や医療費負担適正化法は ジェネリックに依存してきました 市場の医薬品価格が高過ぎるので ジェネリック医薬品は 弱者の英雄でした ただ 私がそう思っていたのは FDAが保証しているという前提で でした つまり 適切に規制された ジェネリック医薬品は 単に安全で有効であるだけではなく 生物学的同等性もあり 先発医薬品や他のジェネリック医薬品と 同等であるという保証です そのはずなのですー 決められたルールを企業が守っていればです ところが 遠隔地の医薬品工場には 異なる 暗黙のルールがあったのです

私は調査を始め 規制の枠組みに焦点を合わせました 直ぐに 一つの事実に驚きを感じました FDAは 製薬会社からの申請書審査に 医薬品のテストは行わないのです 代わりに 会社のデータを審査します FDAのジェネリック医薬品の局長が 実際に私に次のように言ったのです 「承認制度は 申請者の倫理的な行動を要している そうでないと 脆弱な仕組み全体が 崩れてしまう」 本当? 自主管理ってこと?

(笑)

9ヶ月にわたる調査の後 私はジェネリック医薬品の初記事を出しました ジェネリック医薬品に換えた結果 病状が悪化した患者について書きました ジェネリック医薬品と 先発品の生物学的同等性を 疑問視する医師の言葉も引用しました 1ヶ月後 私は匿名のメールを受け取りました 「4ドルの詰め替え」と名乗っていました

(笑)

4ドルというのは ウォルマートの薬局で ジェネリック医薬品を詰め替える価格です 「4ドルの詰め替え」は ジェネリック医薬品業界で働いていました 彼が言うには 私が本当に問題を明らかにしたければ ジェネリック医薬品の大半が製造される所 つまりインドや中国を調査すべきである 「4ドルの詰め替え」の言う通りでした 有効成分を製造している工場の80%は それが先発品であろうと ジェネリック品であろうと 海外にあり ほとんど 中国とインドにあります 世界中のどのジェネリック医薬品会社も 米国市場での医薬品販売の 承認を得ようとすれば 詳細な「医薬品製造管理・品質管理基準」を 遵守しないといけません

私は 何もかも調べることにしました 合法的なジェネリック医薬品を どうやって製造するのかを です ニュージャージー州の一流研究所で 技術者が特別な機械で検査をするのを 見せてもらいました そこでは フラスコを使い 胃内部の条件を再現し 医薬品の溶解を測定していました すると 特筆すべき事に気づきました ここの研究所では ホワイト・アウト つまり 修正液を禁止していたのです 施設全体で禁止していました FDAのルールでは データこそが 品質の要となっています データは 製造の各段階で収集され 保存され 当局と共有されます ホワイト・アウトが手元にあると 改ざんされるリスクを生じます FDAの規制制度が上手く機能するためには 承認を得ようとしているどの会社も倫理的で データ改ざんのないことが必須なのです どちらも適用しない場合は? 申請者が倫理的でなかったら? データが改ざんされていたら?

Ranbaxyというインドの会社の話が 耳に入ってくるようになりました インドで最大の製薬会社で インドの多国籍企業の先陣の一社です 米国市場へのジェネリック医薬品の供給を 急激に伸ばしていました 内部告発者が Ranbaxy社の社内文書を FDAに供給していました 私もコピーを入手しました Ranbaxy社の図表 グラフ 数値を解読すると ショッキングな詐欺が判明したのです Ranbaxy社は 承認されていない 低純度の成分を使っていました 標準作業手順書等を 捏造していました サウナのような部屋で 一晩中蒸気にさらし 古く見えるようにしていました それぞれ3ヶ月 6ヶ月 9ヶ月 18ヶ月の 安定性試験結果も捏造していました 全て 同じ日に作成したのです

少しずつ この規制上の悪夢に関して 掘り出すことができました 2004年に Ranbaxy社は 新しい研究開発所長を雇いました 彼は 何かが変だと疑いを持ちました Dinesh Thakurという 若いエンジニアに 全ての医薬品申請書のデータを調べ 真正か偽造かを明らかにするよう指示しました 結果 Thakurは 衝撃的なパワーポイントをまとめました 何と40カ国の200以上の製品データを Ranbaxyは偽造していたのです 新しい研究開発所長は このパワーポイントを 取締役会の小委員会に見せました 小委員会は このレポートと それを作成したノートパソコンを 破棄するよう命じました Thakurも会社から追い出しました Thakurは眠れませんでした Ranbaxyの危険な医薬品のことが 頭を離れません そこで 命がけでFDAに警告したのです 8年がかりの調査の後 Ranbaxy社はデータ捏造に関する 7つの重罪を認めました

FDAのコンサルタントによると 遠隔地で作られた安物の衣服 「fast fashion」と同じように 「fast drug」も存在し 海外の労働搾取製薬工場で 低品質の成分と手抜きの製造方法で 作られているのです メキシコ・シティのバーで 内部告発者と会いました ジェネリック工場でのコスト削減方法を 暴いた文書を渡してくれました 彼が働いていた工場では ガラス破片の混入を承知で 医薬品のロットを出荷していたのです ガーナの首都アクラでは インドや中国産の低コストの医薬品が ほとんど効かないと 医師が説明してくれました 処方量を2倍や3倍にしても 効かないというのです ムンバイで もう一人の内部告発者に会いました 私が倫理的だと信じていた会社の人でした 彼は 私の前に座り説明してくれました 精巧な機械のようなデータ操作を使い 彼の会社が不正な医薬品の承認を 素早く得ていたそうです 涙を流しながら こう言いました 「業界で行われていることは 本当に 本当に 本当に汚い」

米国では 政府勤務の秘密の情報源が USBメモリを渡してくれました 20,000以上のFDA文書が 入っていました メールやメモに書いてあったのは 消費者保護というFDAの使命が FDAの政治的使命と よく衝突するということでした FDAは低価格の薬を常に承認していると 議会に示すことが求められていました 海外の医薬品工場の調査を FDAが十分にしていないことも 知りました 米国では FDA調査官は予告なしに現れ 抜き打ち調査をします 海外の場合は FDAは製造工場に 何ヶ月も前に予告します しかも 企業に対して 交通手段や ホテルの手配の補助まで依頼するのです 私の情報源によると 演出された調査も行われていました データ捏造のチームが 必要な文書を作成・改ざんし FDAが到着するずっと前に 規制に適合しているように見せかけるのです

勇敢なFDA調査官のPeter Bakerが 真実を明らかにする術を考え出しました 彼は プリントアウトされたデータを無視して 会社のコンピュータの中を見ました ファイルが削除されていると 彼はメタデータを見つけ 隠された検査を見つけ出しました 製薬会社は 医薬品を事前に選別し 公式なテストをどう変えれば FDAの規定に合格するか解明していたのです 繰り返しますが この問題は 一部の不良企業だけにとどまりません 4年間にわたり Peter Bakerは インドと中国で86の工場を調査しました その内 67の工場で詐欺を見つけました

検査に不合格になった医薬品ロットは どうなるのでしょうか? 廃棄されるべきです ところが 低コスト工場は 規制が甘い市場で売るのです 何を購入しているかも分かっていない市場 例えば アフリカや 東南アジアや 自国のインドで売るのです 海外のジェネリック業界では これを「二重軌道生産」と言います 一部の人には良い医薬品を 他の人には不合格の医薬品を というわけです 発展途上国では この腐敗した制度により 市場には たくさんの不良な医薬品が出回り 公衆衛生研究者は 薬剤耐性感染症の増加と 関連付けています

海外の会社の犯罪行為は 問題の半分にしか過ぎません 規制当局職員の中には 騙されていることに気付かない人もいますが 米国では 当局が進んで 違反を見逃しているようなのです 低コストの医薬品の認可を継続するために 目をつぶるのです その結果 米国の患者さんの中には 毒性不純物が混じった ジェネリック品を処方された人もいます 認可されていない成分や 危険な粒子が混入していたり 生物学的に同等でないものもあります FDA調査官のPeter Bakerが 言ったことですが 本当に分かっていたら 誰も こういった医薬品を服用しません

この世界的な問題を 解決する方法はあるのですか? はい あります 認めることが解決の第一歩です 現在の自己管理による医薬品規制制度は 過ぎ去りし日の遺物です 科学は進化します 医学も進化します 世界経済も進化します 規制も一緒に進化すべきではないでしょうか? ジェネリック医薬品の品質を保証する方法は 一つしかありません 厳しく監督すること 抜き打ち調査や 医薬品の体系的な検査が必要です 厳しい監督ということは 当局が 印刷されたデータを見るだけでは不十分です 信憑性を確認することが必要です 効果的な解決を図るには 平均的な患者さんに より多くの情報を提供する必要があります 私たちは 朝食のシリアルやスニーカーが どこで製造されたか知っています なぜ ジェネリックの製造元を 知らないのでしょう?

患者として 出来ることがあります 選出議員や消費者団体に 声を大にして 情報アクセスと同様に 品質を要求するのです 消費者団体は メンバーのために ジェネリックの検査と ランク付けができます 自動車や洗濯機と同じようにするのです 大規模な薬局のチェーン店は 公衆に対して 販売する医薬品の検査をする 義務があります 薬局で格安な医薬品を買ったからといって 隠れた代価を払うべきではないのです 患者の安全が大切だと思っている皆様 知識に基づいて 行動を起こしましょう

ありがとうございました

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