医学の未来ですか?アプリがありますよ

ダニエル・クラフト(Daniel Kraft)
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ドクターズゲートオリジナル神津 仁Dr. 監修対訳テキスト
神津Drプロフィール
e-doctorで好評連載「名論卓説」の神津 仁Drが監修。ドクターズゲートでしか読めない、医療関係者向け対訳文です。
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二年ほど前、ロングビーチのTED Conferenceに参加したときに、ハリエットと出会いました。ネット上で会ったのはもっと前です。皆さんが想像している形ではありませんよ。私たちは初のオンライン個人向け遺伝子会社の創始者の、リンダ・アヴェイという共通の知人を介して紹介されました。 私たちはリンダに遺伝子情報を提供しているため、彼女はハリエットと私が、二人とも珍しいミトコンドリアDNAタイプ、ハプロタイプ K1a1b1a を有する遠戚だと分かったのです。実は雪男のオジーとも同じ血筋です。オジーとハリエットと私の三人ですね。フェイスブックグループも作りました、どうぞ参加してください。翌年TEDでハリエットと出会った時、彼女は私たちのハプロタイプTシャツをオーダーしました。(笑)

さて、この話しが何だと言うのでしょう? これが健康の未来とどう関係があるのでしょう? 私がハリエットと出会った経緯こそ、急速に発展している分野を超えた技術が、今後の私たちの生活に与える影響のひとつの例だと思ったからです。低価格遺伝子分析から、強力な生物情報学の利用、そしてインターネットやソーシャルネットワークとの繋がりなどです。本日お話ししたいことは、急発展技術のご紹介です。私たちはよく線形で考えます。ですが、例えば考えてみてください。蓮の葉を毎日半分に割きます。2, 4, 8, 16 -- 15日後には32,000枚です。1ヶ月でどれくらいになると思いますか? 十億です。このように指数関数的に考えていくと、身の回りの技術がどれだけ激動しているか分かるのです。

医師そしてイノベーターとしてお話しさせて頂くと、これらの技術を最大限活用することで健康や医療の未来に大きな影響を与えることができ、今日の医療問題を扱えるのです。例えば高額医療や、高齢化、上手く活用できていない情報、医療の断片化、そして世の常ですが、イノベーションの受け入れです。

私たちが出来ることは、この曲線を左へ移動させることです。 私たちはほとんどのお金を人生の最後20%に費やします。もしそのお金を医療システムや自分の身体に使って、曲線を左へ移し自身の健康を向上させ、同じように技術に投資運用できたらどうでしょう? 私のお気に入りの急成長技術は、皆さんのポケットにあるものです。考えてみてください、これは本当に驚くべき進歩です。これはiPhone 4ですが、iPhone 8では一体何が出来るでしょうか。私の洞察はこうです。私はシリコンバレーに拠点を構える、シンギュラリティ大学の薬学分野のトラックシェアーを務めています。毎年夏に世界中から、百名ほどの有能な生徒を集めて薬学、バイオテクノロジー、人工知能、ロボット学、ナノテクノロジー、宇宙学などの急成長分野を勉強し、大きな問題の解決の為に、それらをどう組み合わせ、レバレッジしていくかを考えます。七日間の役員プログラムも実施しました。来月予定しているのはFuture Medです。医学のためのさまざまな分野融合を考えるプログラムです。

さきほど電話について触れましたが、携帯電話には二万以上のアプリが存在します。例えばイギリス発のアプリでiPhoneに接続した小さなチップに尿を付けて性病の診断が自分でできるものがあります。私も試そうか迷っています。電話と医療を併合したアプリは、他にも色々あります。例えばiPhoneで血糖を測り、そのデータを医師に送ります。すると医師もあなたも、糖尿病であることが分かります。急成長技術と医療の関わりを見ていきましょう。まずは速さの話から、ムーアの法則から自明ですが、コンピュータはどんどん速くなっており、それによって、私たちはより強力なことが出来るようになっています。コンピュータは人間の能力に近づいてきており、多くの領域で既に超えています。その処理速度を最も活かせると思うのは、画像処理です。非常に高い解像度で体内をリアルタイムで見られる、現在の処理能力には目を見張るものがあります。私たちはPETスキャン、CTスキャン、分子診断などの結果をレイヤー表示し、複数の視点からさまざまなものを観察できます。こちらは本日、高解像度MRIスキャンを実施したTEDMEDの主事、マークのスキャン画像です。現在私たちはかつて無い手法と精度で、脳内を見ることが出来ます。 必然的に再構築ができるようになり、また 今後恐らく脳の再設計や逆解析が可能となり、病理、疾患、治療などがもっと解明されていくでしょう。私たちは脳内をリアルタイムfMRIで観察できます。そういったプロセスや繋がりを理解することで、治療や瞑想の効果が解明され、個別化された、より効能の高い向精神薬などが作れるようになります。

こういった用途のスキャナはより小さくなって、より安価になってきています。それによるデータの増大は、新たなチャレンジにもなって来ました。このスキャンは今日では、800ドルで20ギガバイト、二年間スキャンすると、80万ドルで1テラバイトになります。この情報をどう投資運用しましょうか?経験者は手を挙げて、とは言いませんが50歳も過ぎればそろそろ結腸鏡検査を受ける頃です。どうしたらあのスコープを入れずに済むでしょう?現在ではヴァーチャル結腸鏡検査というものがあります。見比べてください。放射線医師ならば、このように患者の結腸を観察できます。そのデータを人工知能で増幅すると、このように病変を発見できます。放射線技術に人工知能を組み合わせることで、以前は見逃していたかもしれない病変を発見できます。このことは、これまで受診せずにいた人たちを勇気づけるかもしれません。

こちらはパラダイムシフトの例です。私たちはバイオ、医学、IT、無線、更に携帯を統合したデジタル医学の時代へと進んでいます。私の聴診器ですらデジタルです。もちろんその為のアプリがあります。明らかに映画スタートレックに出て来たトライコーダーの時代へと移行しつつあります。携帯式超音波は、聴診器より優れており、取って代わってきています。これらの価格は、当初は数十万ドルしたものが、今や五千ドルほどで手のひらサイズの強力な診察機器が手に入るのです。更にこれをデジタル医療記録と組み合わせます。アメリカではまだ20%にも満たしませんが、オランダではたしか80%を超えていたと思います。

医療記録の電子データへの移行が進んでおり、それが利用できるようになれば、その情報をクラウドソーシングできるようになります。医師として、私はどこにいても携帯機器を通して患者のデータを参照できます。また現在はiPad更にはiPad2 がある時代です。つい先月、初のFDA認可アプリを用いた、放射線技師による計測が承認されました。私を含め今日の医師は、こういった機器に全面的に頼っています。ご覧になったかもしれませんが先月、IBMのワトソンが『ジェパディ(米国の人気クイズ番組)』の王者二人に勝利しました。想像してください。あと数年で、クラウドベースの情報を活用し始め、人工知能医師が登場し、外部データを活用して、かつて無い水準で、判断や診断をするようになります。既に多くの場合医師に直接見てもらう必要はありません。直接診察する必要があるのは来院者の20%程度です。今は仮想通院の時代であり、例えばスカイプを利用したAmerican Well社のシステムや、シスコ社が開発した非常に複雑な診断システムがあります。

医療提供者との関わり方は変わってきています。仮想通院は携帯機器でも拡張されてきています。こちらは私の友人のジェシカが送ってくれた頭の裂傷の画像です。こうして診察が出来れば彼女を救急室へ送り込まずに済みます。あるいはゲーム技術を使って新しい運用が可能です。例えばマイクロソフトのキネクトを診察ができるように改造します。百ドルの簡単な動作感知機能を用いて発作の診察ができるようにします。現在私たちはロボットを介して患者を訪ねることが出来ます。こちらはRP7です。私が仮に血液病専門医ならば、別の診療所や病院を訪ねることが出来ます。こういったことは家具を通じて出来るようになるでしょう。無線の測定機器があると想像してみてください。皆さんは体重計に乗り、結果をツイートし友達に体重を監視してもらえます。

ワイヤレスの血圧測定用カフもあります。あらゆる技術が組み合わされています。この煩雑な機器を着用せずともパッチを貼れば済みます。右はスタンフォードの同僚が開発したiRhythmです。既存の技術をより安価により効率的に提供する上位互換品です。さて、現在は個人を数量化する時代です。消費者は百ドルほどでこのFitBitのようなものが買えます。歩数を計り、消費カロリーを算出できます。これらの情報を毎日取れます。またそれを友人や医師と共有できます。心拍を測れる目覚まし時計Zeo社の睡眠モニタもあります。自身の健康情報を知りレバレッジを可能にする、道具が一式存在しているのです。

自分の健康に関するさまざまな情報を統合することで、私たち自身の病歴、健康について、より深い見識を得られるでしょう。また今日では心拍を計測できる鏡もあります。宣言します、この先私たちを四六時中モニタする着装可能な機器が衣服に組み込まれるでしょう。例えばOnStar system(車載電気通信情報システム)のように、赤信号が点灯するかもしれませんが 「エンジン要確認」ではなく、「身体要確認」信号となるでしょう。おそらく数年後、鏡を覗くと、それが皆さんを診断していることでしょう(笑)。家にお子さんがいる皆さん、無線おむつはいかがでしょう。余計な情報だったかもしれませんが、今後こういったものが出てくるでしょう。 さて 沢山の新技術や組み合わせがありますが、そのうちいくつかの技術によって私たち医者は患者にもっと近づけるでしょう。時間ももっと取れるでしょう。そして治療薬の重要要素である触れ合いが、技術の拡張により実現するでしょう。患者側の拡張について話してきましたが、では医者側の拡張はどうでしょう? 現在外科医は超越した技術支援により、患者の体内に潜り、このロボット手術で多くのことが可能であり、ほんの五年前には不可能だったことが可能となっています。更にこれも拡張現実などの技術によって、改良されています。従って医師はレンズを通して患者の内部を観察し、腫瘍や血管の位置が分かります。これは意志決定支援と統合できます。例えばニューヨークの医師がアムステルダムの医師を支援できます。また私たちは、NOTES (Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery=自然開口部越経管腔的内視鏡手術)と呼ばれる、無手術痕手術の時代に向かっています。この手法で、ロボット内視鏡を用いて胃から腹腔内に入り、胆嚢を取り出すことが出来ます。傷を付けず、機械的に出来ます。NOTESは、基本的にロボットを用いた無手術痕手術となります。

では他の要素の制御はどうでしょう?麻痺などで障害がある患者にとってはBCI、脳コンピュータインターフェースというものがあります。全四肢麻痺患者の運動野に、チップを取り付けると、カーソルや車いす、最終的には義肢が制御可能になります。こういった機器は小型化し続けており、今後どんどん患者に導入されるでしょう。まだ臨床試験中ですが、生体四肢を活用するところを想像してください。ディーン・ケイメンらによって作られた、DEKAアームには稼働部位が17箇所あり、四肢喪失した方にかつて無い高水準の器用度を提供することが出来ます。

私たちは装着可能なロボットの時代に突入しているのです。あなたが手足のどれかがなくなってはいなくても、例えば脳卒中を患ったとしてこのような拡張四肢を利用できます。対麻痺患者でしたら、バークリーバイオニックスの方達がeLEGSというものを開発しました。この動画は先週私が撮影したものですが、対麻痺患者が外部骨格を装着して実際に歩いている場面です。これを付けていないとき、彼は完全に車いす生活をしています。現在は装着可能なロボット時代の初期です。以上のような技術を拡張することで、障害者の定義を超越者とするようなケースも出てくるでしょう。こちらは子供の頃に足を無くした女優のエイミー・ムリンズと、登山事故で四肢を無くしたMIT教授のヒュー・ハーです。二人とも義肢を用いて健常者より早く登り、走り、ちょっと変わった泳ぎができます。

他の急成長事項の話に移りましょう。明らかに肥満は誤った方向へ急成長しており、それにかかる諸費用も膨大です。薬学の傾向は小さく小さく行こうとするものです。例えば映画「ミクロの決死圏」の世界を現実にしたiPillというものがあります。この統合機器を飲み込めば、消化器系を移動して画像を撮り、診断や治療を支援できます。体内を自律移動する、より小さなロボットも実現するでしょう。それによって外科医には出来ないことを、より非侵襲的に行えるようになります。消化器系で組み立てられてから機能し始めるものも登場してくるでしょう。

心臓病患者に関してはペースメーカーの導入がより簡単になってきています。 従って循環器医の訓練が不要となります。またこれらは携帯機器などで遠隔モニタされるので、自由に出歩いても遠隔モニタしてもらえます。これらも更に小型化してきています。こちらは1セント硬貨より小さい、Medtronic社のプロトタイプです。人工網膜は目の裏にご覧のLSI(集積回路)の板を設置し、盲目の人にも視力を提供します。これもまだ初期段階のものですが進歩し続けており、革命的な技術になるでしょう。正常な視力を持つ人たちには、補助コンタクトレンズなどいかがでしょう? BlueToothやWiFiを介して視界に画像を返します。食生活に問題を抱えているなら、摂取カロリーが分かるようにデータを表示したら良いかもしれません。

病理医に携帯電話を使って、顕微鏡レベルの診察をしてもらいそのデータをクラウド上に集約して活用してはどうでしょう? 事実、実験室で扱っている薬は刷新されてきています。今ではスタンフォードのスティーブ・クエイクによって開発された、こちらのチップなどでミクロ流体学を拡張運用できます。それはラボ技術者の総入れ替えに匹敵します。それをチップに搭載することで数千の医療テストを世界中のどこでも実施可能にします。こうして田舎や発展途上地域にとっては本当の技術拡張運用することになります。以前は千ドルしたテストを、1セントで可能にし、更にその場で実施できるようにします。もう少し小型化の話を続けますと、私たちはナノ医学の時代に突入しています。機器を微小化することで、血管系や免疫系をモニタできる、赤血球やマイクロロボットを作れるようになったり、更には血管にある血餅を取り除けるようになります。

急激な低価格化の話に移りましょう。医学を考えるときにあまり触れることはありませんが、$3,400/10MBのハードディスクも今では劇的に安くなりました。現在の遺伝子技術に比べ、ゲノムが最初に登場した十年前は、費用が十億ドルかかりました。今では実質千ドルでゲノムを利用できます。一、二年で百ドルまで下がるでしょう。百ドルになったら遺伝子技術で何が出来るでしょう? 無数のテストが実施可能になります。その情報をクラウドソーシングし始めると興味深くなってきます。そして、あなたには個別には効かないようないわゆる大型新薬など、今日我々が行っている同じ薬を誰にでも処方している替わりに、必要な時に必要な薬を必要な人にといった、真の個別化医療時代に我々は入ることになります。この手法を投資運用しようとたくさんの会社が動き出しています。

23andMeより簡単な例をお見せします。私はデータによると盲目の一種である黄斑変性になるリスクが人並みにあります。この同一のデータをdeCODEmeへアップロードすると、例えば2型糖尿病のリスクも調べることが出来ます。私は通常の二倍2型糖尿病に罹る確率があります。お昼のデザートの量に気を配るようになるかもしれません。データが私の行動を変えることもあるのです。私の薬理遺伝子学に関する知識を拡張運用すれば、自分の遺伝子の特徴や適切な処方箋を知ることが重要になってきます。一旦そうした情報が個人で得られるようになれば、患者はより良い薬用量、薬の選択が可能になるのです。

遺伝子だけではなく私たちの習慣や環境といった、さまざま要因が大事なのです。最後に医師が皆さんの居住歴を尋ねたのはいつですか? 地理医学と言って 住んでいた場所や曝されてきた環境は、皆さんの健康に劇的な影響を持ちます。私たちはその情報を取得することができます。遺伝子解析、プロテオミクス(全蛋白解析)そして環境のデータは、全てバラバラに私たちや医師に流れてきています。それをどう管理しますか? 私たちは以上の情報全てを統合できるシステム薬学、またはシステムバイオロジーの時代に突入しています。例えば一つのテストで、血液バイオマーカー一万個のパターンを調べると、非常に早期の段階で、病変を検知できるようになっていきます。これはこの分野の父、P4医学研究所の、リー・フッドによって提唱されました。私たちは将来どんな病気に罹るかが分かるようになります。予防できるようになり、その方法も個別化されます。更に一人一人がより健康に気を付けるようになります。Patients Like Me といったウェブサイトやMicrosoft HealthVaultやGoogle Healthを通じて、自身のデータを能動的に拡張利用することは重要になっていきます。

最後に指数関数的な改善についてお話しします。私たちは皆、より良い治療を受けたいと思っています。高血圧の治療には現在錠剤が用いられています。もし新たな機器を用いて、血圧を制御する神経を無力化し一回で高血圧を治療するようにしたらどうでしょう? こちらがそれを可能にする機器です。一、二年で市場に出回るはずです。ガンの標的治療はどうでしょう? そうです、私は腫瘍学者で、私たちが投与するのは大半が毒だと言わざるを得ません。私たちはスタンフォードなどで、ガン再発の原因である、ガン幹細胞が発見できることを知りました。ガンを海苔に例えると、私たちは海苔をなぎ飛ばすことが出来ます。海苔は縮んだように見えますが大抵元通りになります。つまり治療行為の対象が間違っていたのです。ガン幹細胞が残れば、腫瘍は数ヶ月から数年で再発します。私たちは長期的な治療対象として、ガン幹細胞の同定の研究を進めています。それが可能となれば私たちは個別化腫瘍学の時代に入ります。全てのデータを拡張利用できるようにし、腫瘍を分析して、患者個人にあったカクテルを考案できるようになります。

再生医療のお話しをして終わりにしたいと思います。私は幹細胞についてたくさん勉強してきました。胚肝細胞は特に強力な細胞です。また生体幹細胞も私たちの体中に存在します。私たちはこれらを骨髄移植に利用しています。ジェロンがつい昨年、ヒトの胚肝細胞を用いた、脊髄損傷治療の最初の試験を実施しました。まだ第I相試験であり、進展中です。私たちは実際15年間生体幹細胞を用いた臨床試験を実施しています。心血管疾患を中心に幅広い対象を研究してきました。私たちは自身の骨髄細胞を取り出し、心臓発作患者を治療します。骨髄活性化細胞を用いることで、発作後の心機能や生存率に大幅な向上が見られるのです。

私は、MarrowMinerという機器を開発しました。より非侵襲的に骨髄を採取できます。FDAの認可がおりたので、来年以降市場に出てくるでしょう。素晴らしさが伝えられればよいのですが。これは身体に沿って動き患者の骨髄を採取します。今までは200カ所も空けなければならなかった替わりに、局所麻酔した所に一つ穴を空けるだけで済みます。

ところで幹細胞治療はどこへ向かっているのでしょう? 考えてみれば、皆さんの細胞は全て、胚芽の時と同じDNAを持っています。現在私たちは皮膚細胞を再プログラムし、多分化能胚肝細胞のようにできます。それをその患者の別の器官の治療に利用できます。その人専用の幹細胞培養系ができるのです。私はこの先、幹細胞バンクができると思います。個人の心細胞、筋細胞、神経細胞を冷凍保存し、必要になったときに利用できるようにする仕組みです。これを細胞工学と統合します。急成長技術を統合し、臓器の三次元印刷を実現します。インクの代わりに細胞を用い、臓器を三次元で本質的に再構築するのです。

まだ早い段階のものではありますが、以上が現在の指針です。しかしこれは急成長技術の統合のほんの一例に過ぎません。最後に、技術の傾向とその健康と医学への影響を考えると、私たちは小型化、脱中央集中型、個別化へ向けて進んでいます。それらをまとめ上げ、理解し、拡張利用し始めていけば、患者に力を与え、医師に能力を与え、ウェルネスを高め、健康な人が病気になる前に治療を施せるようになるでしょう。医師としては、初期段階の患者に来て頂けたら、興奮します。大抵治療が可能だからです。しかし例えばステージ3や4のガンなど、手遅れのこともあります。従って以上の技術をまとめて拡張利用することで、新たな医療の時代、ステージゼロ医療と呼ぶべきものが実現できるでしょう。ガンの専門医としても職務から解放される日を待ち望んでいます。

どうもありがとうございました。

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このプレゼンテーションについて:

TEDxMaastricht にて、ダニエル・クラフトが今後数年の医学のイノベーションを駆け足で紹介します。
新たなツール、診断テスト、アプリなどによって病床へ直に診断情報が届けられるようになるでしょう。

神津 仁Drについて

神津内科クリニック 神津 仁 院長 1977年日本大学医学部卒。第一内科入局後、1980年神経学教室へ。医局長・病棟医長・教育医長を長年勤める。 米国留学(ハーネマン大学:フェロー、ルイジアナ州立大学:インストラクター)を経て、帰国後は1991年に特定医療法人 佐々木病院内科部長就任。1993年、神津内科クリニック開業。
医師求人・転職専門サイト「e-doctor」にて『神津仁の名論卓説』を連載中。

【略歴】
1999年 世田谷区医師会副会長就任
2000年 世田谷区医師会内科医会会長就任
2003年 日本臨床内科医会理事就任
2004年 日本医師会代議員就任
2006年 NPO法人全国在宅医療推進協会理事長就任
2009年 昭和大学客員教授就任

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