人材の能力を最大限に引き出す採用プロセスとは(4:38)

ギル・ウィンチ(Gil Winch)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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従来の就職面接は 言ってしまえば 一方的で威圧的な尋問です ほぼ確実に 甚大な心理的負担を生み出します 皮肉にも このような圧迫的なやり方では その人 本来の能力が 全く見えなくなってしまい 結果として たくさんの優秀な人材を 取りこぼしてしまいます 従来とは違う 面接や選考の方法が必要です 隠された能力や才能を 明らかにするようなやり方です

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12年前 CYという会社を設立しました 業務は委託コールセンターで 従業員も管理職も全員社会的弱者です 何百人といる社員の半数以上が 重度の障がい者です それ以外の社員も 恵まれない層の出身だったり 不安障害を持っていたり 自尊心や自信に欠けていたりする人々です

創業時に課題となったのは 従来の面接や選考のやり方が 特に未経験者対象の役職では 強いストレス下でも能力を発揮できる人に 圧倒的に有利にできているということでした 米海軍のSEALs部隊の選抜なら それでも結構ですが 厳しい環境で力を発揮できるかどうかは 在庫を管理するとか Tシャツを畳む などといった仕事には全く無関係です ブラックフライデーは例外ですが

典型的な例がクララです CYを設立したばかりの頃 面接の順番を待つクララに会いました クララは25歳で脳性麻痺を持ち 歩行器を使っていました 緊張している様子でしたが 感じが良く 聡明で 良く喋る子でした ところが まもなくして クララは不合格だったと 面接官から聞きました 2つの単語を繋げて話すことさえ できなかったそうです

人材の選考において 「最も不調な状態を見て社員を選ぼう」 という考え方をしていては 障がいを持つ人だけでなく 厳しいプレッシャーの下で調子が出ない人は 誰であっても取りこぼします CYでは 逆選考というやり方で 能力適性を見極めます その名の通り 従来の面接とは ほぼ正反対の やり方をしています

端的に言うと 採用候補者の 本来の力を審査したいのであれば 不調なときではなく 本調子のときの状態を見るのです 大体の人は落ち着いて 楽で ストレスや不安がない状態です 採用候補者に最大限 リラックスしてもらうことに 特に気を配った手順を考案しましょう

これには3通りの方法があります まず 不安や緊張を和らげること 尋問のような雰囲気を 完全に崩すことから始めましょう 面接官はイベント主催者になったつもりで 友好的で温かい態度を取ること

候補者が楽な気持ちで面接に臨める 環境を選びましょう 面接会場を客間のように アレンジするという手もあります 人が最も自信に満ちているのは 自分が詳しい話題や好きなことについて 話しているときです CYでは採用候補者に趣味についての 短いアンケートに答えてもらい 面接の最初の話題にします 候補者の会話力や強みや 人となりを引き出すためです

候補者が慣れ親しんでいる日常の場面で 発揮される能力を審査しましょう 営業職であれば 人を説得する能力が要求されますので 例えば 近所の人を どう説得するか演じてもらいます ロビーの修繕のため管理費の追加負担を お願いするなどのシナリオです 難しい 丁々発止の交渉を想定するなら こんな設定をします 思春期の子供に 家族での夕食中 携帯を見るのをやめるよう説得するには どうするか などです 言葉に詰まったときには助け舟を出して どう対応し 学習するのかを 観察しましょう

逆選考プロセスには 3つの「ライフライン」があります 就職面接版『クイズ$ミリオネア』です ヒントを求められたら 面接官は 正解の論点を いくつか例示して 候補者にシナリオを演じてもらい 論点を自分のものにして もっともな主張を展開できるかを観察します

その人本来の能力適性を見極めることで 会社も社員も満足度は高まり 多様性や業績も向上します 先ほどお話ししたクララは採用になり 徐々に力をつけ 1時間あたりの対応数の目標を達成し さらに実績を伸ばし続けました 今では 講演で いかに昔はクララ自身を含め 誰も 彼女の可能性を全く信じていなかったか 話をするまでになりました

仕事とは ただ収入を得るためだけの ものではありません 社会から疎外されがちな層にとっては なおさらです ともすれば 見逃してしまいがちな人々を 見いだして 採用することは 自社の利益になるだけでなく 文字通り 人々の人生を 変えることにもなるのです 社会的弱者を採用して競争に勝つ機会は そこらじゅうにあふれています ぜひ 掴み取ってください

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このプレゼンテーションについて

従来の採用面接は、社会から取り残された層をしばしば疎外してしまう圧迫的な尋問になりがちです。心理学者で起業家でもあるギル・ウィンチが、採用や研修や新人受け入れを再考することで、その人本来の能力適性を発揮するチャンスを与えよう、と唱えます。

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