自然の世界に秘められた奇跡(7:24)

ルイ・シュワルツバーグ(Louie Schwartzberg)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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科学とテクノロジーに 共通するものは何でしょう? 好奇心と驚きです。それが私たちを探求へと駆り立てるものであり、私たちは目に見えないものに囲まれているからです。
時空の扉を抜ける旅の乗り物として、私は映像を使うのが好きです。見えないものを見えるようにするためです。
というのも、それが我々の地平を広げ、認識を変え、私たちの心を開き、心に触れるからです。
私の IMAX3D映画『見えざる世界のミステリー』を一部ご覧に入れましょう。

私たちの目で捉えるには、動きの遅すぎるものがあります。微速度撮影は、生命の見方を私たちが発見し、広げられるようにしてくれます。生命がいかに生まれ育っていくものなのか。蔓が生きるため、陽光を求めて森の地面から這い上がっていく様を見せてくれます。
大きなスケールでは、微速度撮影は地球の動きを見えるようにしてくれます。広大な自然の広がりだけでなく、休むことのない人類の営みも見ることができます。流れる光点の1つひとつが旅客機を表しています。航空交通データを微速度撮影の映像に変えることで、いつも頭上にあるけれど目に見えないもの、アメリカ上空の膨大な航空網が見えるようになります。
同じことを海と船について行うこともできます。データを世界経済の動きの微速度撮影映像へと変えることができます。何十年にも及ぶデータが見せてくれるのは、地球全体を1つの有機体として見た姿です。大洋を巡る海流や、大気に渦巻く雲に支えられ、雷を鼓動とし オーロラの冠を戴いている究極の微速度撮影映像とも言うべき、生きた地球の解剖図です。

逆の極端には、速すぎて私たちの目では捉えられないものがあります。それを見えるようにしてくれるテクノロジーもあります。
高速度カメラによって、微速度撮影の逆をやることができます。私たちの目で捉えられるより千倍も高速に撮影することで、自然の巧みな装置の働く仕組みが見られ、それを真似ることだってできるかもしれません。羽ばたくトンボが飛び過ぎるのを見る時、気付かなかったかもしれませんが、それは自然界最高の飛行の名手なのです。空中に静止し、後ろ向きに進み、逆さに飛ぶことさえできます。トラッキング・マーカーを虫の羽に付けることで、羽が生み出す気流を可視化できます。誰も知らなかったことですが、高速度撮影することで、トンボは4枚の羽を別々に動かせることが分かりました。この知見から、全く新しい飛行ロボットを作り出し、私たちの目が遠くの重要な場所へ届くようにできるかもしれません。

大きな私たちは、小さすぎて見えないものに気付きません。電子顕微鏡は、電子を照射することで物を何百万倍にも拡大した画像を作り出すことができます。これは蝶の卵です。私たちの体の至る所に、目に見えない生き物がいます。一生を人のまつげの上で過ごし、夜になると肌へと這い出してくるこのダニみたいな生き物が。
これが何か分かりますか? サメの皮膚です。芋虫の口、ショウジョウバエの目、卵の殻、ノミ、カタツムリの舌。
私たちは生物の世界を知っているつもりでいますが、未だ発見されていない小さな生き物が何百万種もいるかもしれません。

クモにもすごい秘密があります。クモの糸は、同じ重さの鋼鉄よりも強く、なおかつ伸縮性があります。この旅はナノの世界まで 続いていきます。クモの糸は髪の毛の100分の1の細さしかありません。その上にバクテリアがいて、その側にはバクテリアより10倍小さいウイルスがいます。ウイルスの中には、10倍小さな3本のDNA鎖があり、最も強力な電子顕微鏡で見える限界に、個々の炭素原子があります。

強力な電子顕微鏡の先端を使って原子を動かし、驚くべきナノデバイスを作り出すことが可能です。いつかそのような装置が、病気がないか体の中をパトロールし、ついでに詰まった血管を掃除するようになるでしょう。未来の小さな化学的機械が、いつかDNAを修復するようになるかもしれません。生命の謎を解き明かしたい欲求から生まれる、ものすごい進歩の起きる一歩手前に私たちはいるのです。

宇宙塵が限りなく降り注ぐ中にあって、大気には、花粉とか他の惑星や超新星爆発から届く小さなダイヤや宝石で満ちている。人は見えないものに囲まれて暮らしているのです。身の回りに、見えないものがそんなにあると知れば、私たちの世界の見方は変わるでしょう。目に見えない世界を見ることで、自分が生きた宇宙に住んでいることに気づき、この新たな展望に好奇心をそそられ、我が家の裏庭の探索者になろうと思うかもしれません。

発見されるのを待っているどんなものがあるか、どんな新しい驚きが我々の生活を変えるか、誰に分かるでしょう?
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このプレゼンテーションについて:

私たちは目に見えない美に満ちた世界に生きています。ただあまりに小さく繊細なため、人の目では見ることができないのです。この世界に光を当てるため、映像作家のルイ・シュワルツバーグは高速度カメラ、微速度撮影、電子顕微鏡を駆使して時空の境界をねじ曲げます。TED2014で彼は最新作の3D映画『見えざる世界のミステリー』を紹介し、驚くべき自然の姿をスローダウン、スピードアップ、拡大してお見せします。

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