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ドクターズゲートの配信する医療ニュースについて
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  •  大規模災害や事故が起きた際、遺体の身元確認に活用するため、厚生労働省は今秋から歯科診療情報のデータベース化に乗り出す。2011年3月の東日本大震災では、遺体の身元を割り出すのに役立ったが、体制の不備などで作業は難航した。このため全国的なデータベースを整備し、身元確認を迅速に進められるようにする。レセプト(診療報酬明細書)を使い、数年以内の実用化を目指す。

     身元確認には外見や指紋・掌紋、DNAなどの方法があるが、歯は硬く、熱にも強いうえ、形状や治療歴は一人ひとり異なるため、有力な手がかりになる。

     警察庁の集計によると、震災で被災した岩手、宮城、福島3県で身元が確認できた犠牲者1万5777人(今年3月時点)のうち、主に歯型で判明したのは、7・9%で、所持品がなかった場合に限ると、7割を占める。

     震災では、津波で流されるなどして遺体の損傷が激しく、身元の特定が難しいケースも多かった。全国から集まった歯科医が歯の状態を調べ、身元の確認作業にあたったが、歯科医院が被災し、津波でカルテなどが流されていたり、残っていても記載内容がまちまちだったりして、照合作業に手間取った。

     データベースの整備は20年4月に施行された死因究明推進基本法に盛り込まれた。レセプトには歯科医院が1人の患者に行った治療内容などが記載され、ほぼ電子化されている。

     厚労省は今秋からデータベースを構築する業者の選定作業に入る。ただ、患者の診療情報を外部に提供するには個人情報保護法に基づき、患者本人の同意が必要になる。政府の個人情報保護委員会などと調整を進め、実用化に向けた課題を整理し、必要に応じて法整備なども検討する。

     身元確認には外見や指紋・掌紋、DNAなどの方法があるが、歯は硬く、熱にも強いうえ、形状や治療歴は一人ひとり異なるため、有力な手がかりになる。

     警察庁の集計によると、震災で被災した岩手、宮城、福島3県で身元が確認できた犠牲者1万5777人(今年3月時点)のうち、主に歯型で判明したのは、7・9%で、所持品がなかった場合に限ると、7割を占める。

     震災では、津波で流されるなどして遺体の損傷が激しく
  •  「学校に行きたくない」――。子どもの訴えや態度などを基に、学校を休ませるべきかどうか保護者が判断材料にできるチェックリストを不登校支援団体が精神科医と共同で開発した。23日にWEB上で公開され、無料で利用できる。

     開発されたのは、「学校休んだほうがいいよチェックリスト」。子どもの心身の状態や家庭での様子について、保護者が「身体的な不調が毎月起こる」「過度に甘えたり、わがままになったりすることがある」など20の質問に回答。その結果に応じて、「休ませましょう」「つらかったら休んでもいいと伝えてみて」「不安なことある?と聞いてみましょう」といった対応方法が示される仕組みだ。

     チェックリストは全国不登校新聞社(東京)などが作成した。石井志昂代表理事は「子どもから学校に行きたくないと言われ、対応に悩む保護者は多い。休む必要がある時に無理に登校させると、子どもは精神的に追い詰められ、うつ病の発症や自殺の危険性が高まる」と活用を呼びかける。

     チェックリストはホームページ( https://branchkids.jp/lp/oyasumi-checklist )から利用できる。
  •  政府は来年度、「女性の健康」に特化した国立高度専門医療研究センターを開設する方針を固めた。更年期障害などの病気に関する最先端の研究・治療を行う方向で、全国の医療機関や自治体などとの官民学連携に向けた司令塔役とする狙いがある。

     国内には、国立高度専門医療研究センターが六つある。国立がん研究センターや国立循環器病研究センターのほか、妊娠や出産などに伴う疾患について、医療の提供や研究を行っている国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)などだ。

     国立成育医療研究センターの機能を拡充し、新たに女性に特化したセンターを設置する。女性に多い更年期障害や摂食障害、貧血などについて、医療機関や大学などの研究機関の間で情報共有が少ないという指摘が出ており、こうした病気の治療を行うだけでなく、全国の医療機関や研究機関の情報を集約する。女性の健康に特化した最先端の研究を実施し、得られた成果を各機関とも共有する予定だ。

     センターでは、女性の健康に関して、一度に複数の相談・支援が可能になる機能も持たせる。例えば、不妊に悩む女性のメンタル面での相談を受け付けるとともに、希望者には不妊治療を専門とする医療機関での治療の橋渡し役も務める。

     ホルモンバランスの影響で感情が不安定になったり、体調を崩したりする女性への生活支援も行う計画だ。具体的には、民間企業や自治体などが持つ情報をセンターに集約し、寄せられた知見を生かした支援策を示す。政府は、こうした体制を整えることで、仕事と健康の両立を後押しすることを目指す。

     政府が6月にとりまとめた「こども未来戦略方針」では、女性が妊娠前から妊娠・出産後まで、健康で活躍できるよう、センターを設けて女性の健康や疾患に特化した研究や相談支援などを行うと明記していた。厚生労働省は関連経費を2024年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。
  •  新型コロナウイルスの感染状況について、厚生労働省は18日、全国約5000か所の定点医療機関から、7~13日の1週間に報告された感染者数が1医療機関あたり14・16人だったと発表した。前週比0・90倍だが、厚労省は「連休による休診が影響した可能性もあり、本当に感染者が減少したのか判断できない」として、お盆明け以降の拡大を警戒している。

     都道府県別では、佐賀の24・59人が最多で、石川の21・06人、鳥取の20・76人、愛知の20・70人が続いた。最少は、6~7月に急拡大した沖縄の6・72人で、13週ぶりに10人を下回った。

     鹿児島が前週比0・63倍、福岡が同0・67倍など、これまで感染者数が多かった九州地方で減少幅が大きかった。
  •  名古屋工業大の研究チームが、人工知能(AI)を活用した東京都内の新型コロナウイルスの感染者予測を発表した。お盆期間中の帰省や旅行で人の動きが活発になることで、今月下旬まで「第9波」のピークが続く見込みという。

     新型コロナの感染症法上の分類が5類となった5月8日以降、新規感染者数は一部の医療機関の「定点把握」となっている。研究チームはそれを基に、主要駅の滞留人口やSNSの投稿などのデータを分析し、感染者数を算出した。

     都内の感染者は5月以降増加傾向で、研究チームによれば今月3日に約1万500人と推計されるなど、感染の第9波に入ったとみられる。お盆で人の流れが活発化することもあり、予測では今月上旬から下旬までの約3週間は都内の新規感染者数は1万人台で推移するとみられるという。

     台風などの影響で、旅行や帰省の動きが限定的になれば、今月中旬以降に感染者数は減少に転じるとみられるが、同大の平田晃正教授(医用工学)は「コロナ禍前の人の動きが戻れば、高止まりが続くのではないか」と話している。
  •  新型コロナウイルスの感染状況について、厚生労働省は14日、全国約5000か所の定点医療機関から7月31日~8月6日の1週間に報告された感染者数が1医療機関あたり15・81人だったと発表した。5類に移行後、緩やかな感染拡大が続いていたが、前週(15・91人)と比べ0・99倍とほぼ横ばいとなった。

     都道府県別でみると、最多は佐賀の34・69人で、次いで長崎の28・46人、宮崎の25・84人、大分の24・86人と、九州地方が引き続き上位を占めた。20人を超えたのは合計で10県に上った。青森が前週と比べ1・65倍の13・62人と増加率が高かった。

     国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「感染者数が減少した地域もあるが、お盆で人の動きが活発になっており、油断はできない。まだ感染拡大のピークを越えたとは言えないだろう」と指摘する。

     厚労省によると、入院者数は9日時点で前週比1701人増の2万1000人、重症者数は28人増の378人で増加傾向となっている。
  •  次々と変異するA型インフルエンザウイルスに効く「万能ワクチン」を、製薬大手「住友ファーマ」(本社・大阪市)と国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」(大阪府茨木市)などのチームが開発した。今年度中にも欧州で臨床試験に向けた手続きを始め、2020年代後半の実用化を目指す。

     インフルエンザウイルスの表面にはトゲ状のたんぱく質があり、これが喉や鼻の細胞にくっついて感染する。現在のワクチンは、病原性を失わせたウイルスのトゲを使っている。接種するとトゲの先端に反応する抗体が作られるようになり、ウイルスが体内に侵入した際に抗体がトゲの先端にくっついて増殖を阻止し、発症や重症化を防ぐ。

     A型は頻繁に遺伝子が変異し、トゲの先端の形も次々と変化する。20世紀初期のスペイン風邪や2009年のパンデミック(世界的大流行)を引き起こし、約130種類が確認されている。

     ワクチンは国立感染症研究所が次に流行しそうだと予測したA型2種類、B型2種類を基に毎年作り替える。予測が外れると効き目が落ちることが課題だった。

     チームは、変異しても構造がほぼ変わらないトゲの「幹」に着目。幹にくっつく抗体を作らせる成分を開発した。抗体の量を増やし、効き目を高める添加物の開発にも成功。マウス実験で複数のA型ウイルスへの有効性を確認した。全てのA型に対応できる可能性があるという。

     欧州で臨床試験を行うのは、健康な志願者にウイルスを感染させてワクチンの有効性や安全性を確かめる「人チャレンジ試験」と呼ばれる手法を使うためだ。日本で前例はないが、コロナ禍では世界保健機関(WHO)が倫理基準を策定し、英国などがこの手法でワクチン開発を進めた。チームは試験の結果を見極めた上、日本でも通常の臨床試験を行い、20年代後半での製造販売の承認を目指す。

     住友ファーマの福島晃久・ワクチン事業担当シニアオフィサーは「世界トップクラスの技術だと自負している」と話している。

     大阪公立大の福島若葉教授(公衆衛生学)の話「国産ワクチンの開発につながる技術が確立できたことに意義がある。効果が2、3年持続するようなワクチンができることを期待したい」
  •  夏本番に入り、危険な暑さが続く日本列島。世界各国も観測史上例のない高温に見舞われ、地球温暖化の影響が指摘されている。猛暑は当分収まる気配はなく、各地の自治体や住民は対策に知恵を絞る。(矢野恵祐)

     「クーラー、ちゃんとつけている?」。7月27日午後、川崎市川崎区の民家の玄関先で、麦わら帽子をかぶった地元・鋼管通2丁目町内会の丸野喬敬さん(81)の声が響いた。

     朝から強い日差しが照りつけ、気温はすでに30度超。家の奥から出てきた荒井文子さん(90)と世間話を交わし、冷たい麦茶入りのペットボトルを手渡した。荒井さんは「熱中症にならないように気をつけなきゃね」と笑顔で話した。

     同町内会では、高齢の住民が孤独死したのを機に2012年から月2回、住民らが独居高齢者宅の見守り活動を行っている。この日、仲間らと25軒を回った丸野さんは「ちょくちょく顔を合わせれば、ささいな異常にも気づける」と話す。

     こうした地域コミュニティーのつながりを熱中症対策に生かそうと、市環境総合研究所は21年から、市内の町内会の会合に職員を派遣。熱中症の予防法を伝えるとともに、住民同士で声を掛け合うよう求めている。市内の熱中症患者は大幅に減ったといい、同研究所の鈴木英幸・都市環境担当課長は「行政の啓発活動には限界がある。気心の知れた顔なじみに注意を促してもらう方が効果的だ」と話す。

     気象庁によると、国内の年平均気温はこの100年間で1・3度上がった。最近は特に高温になる年が頻出。先月の平均気温も平年より1・91度高く、過去最も暑い7月となった。同庁は今月の平均気温も、60~70%の高確率で平年を上回るとみている。

     熱中症の被害は悪化する一方で、昨年まで5年間の年間平均死亡者数は1295人と、13~17年の年間平均766人を大きく上回る。今年の熱中症搬送者数も総務省消防庁の速報値で5万5784人(今月6日現在)に達し、月間統計を取り始めた08年以降、2番目に多い水準となっている。

     政府は今春、熱中症による年間死者数を30年までに半減させる目標を打ち出し、来年には熱中症警戒アラートより一段上の「特別警戒アラート」を新設すると決めた。さら
  •  総務省消防庁は8日、全国で熱中症により救急搬送された人が、7月31日~8月6日の1週間で1万810人(速報値)だったと発表した。前週の1万1765人(同)から955人減ったが、2週連続で1万人を超えた。死者は前週と同じ18人、重症者は前週比15人減の260人だった。

     都道府県別にみると、東京が757人と最多で、大阪691人、埼玉599人と続いた。65歳以上の高齢者は6194人で、搬送者全体の57・3%を占めた。
  •  新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省は、全世代を対象に実施する追加接種を9月20日に始める方針を決めた。オミクロン株の新系統「XBB・1・5」に対応した新しいワクチンが使われる予定だ。厚労省が各都道府県や市町村などに開始日を周知した。

     XBB対応ワクチンは、国内外で感染が広がるXBB系統に合わせて開発され、米ファイザーと米モデルナが7月、厚労省にそれぞれ承認申請した。今後、厚労省の専門家部会が承認の可否を議論する。予定通り接種を開始するには、薬事承認が前提となる。

     9月からの追加接種は、年末年始に予想される感染拡大に備えることなどが目的で、全世代が対象になる。今年度内は無料で接種を受けられる。

     ただ、重症化率の低下などを踏まえ、現時点で、健康な人には「接種勧奨」や「努力義務」を適用しない方針だ。高齢者や持病のある人など重症化リスクの高い人らを対象に現在行っている、「BA・5」などのオミクロン株対応ワクチンの追加接種は、9月19日に終了する。一方、ファイザー製のオミクロン株対応ワクチンは今月7日から、5~11歳の小児と12歳以上の人を対象に初回から受けられるようにする。
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