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  •  乳幼児の夏風邪「手足口病」が過去最悪のペースで広がっている。国立感染症研究所が16日に公表した感染症発生動向調査によると、7日までの1週間に全国約3000の小児科定点医療機関から報告された患者数は1医療機関あたり11・46人(速報値)。現在の調査が始まった1999年以降、同時期で最多だった。

     流行のピークは例年、7月下旬に迎える。今年の感染状況は、これまでの調査で最多の患者数を記録した2019年7月22~28日の13・44人に迫る勢いだ。

     今回の調査結果を都道府県別にみると、三重(25・98人)、埼玉(18・80人)の順に多く、38都府県で厚生労働省研究班が示した警報基準の5人を上回った。厚労省は「感染者が急増している原因は不明」とする。

     手足口病は、ウイルスの感染症で、手足や口の粘膜に発疹ができる。飛沫や唾液、排せつ物の接触で感染し、流水とせっけんの手洗いでの予防が望ましい。

     例年、患者の9割が5歳以下だ。多くは軽症だが、まれに髄膜炎や脳炎など重い合併症に至る。のどの痛みで水分をとれない場合、脱水に注意が必要だ。感染症に詳しい水野泰孝・グローバルヘルスケアクリニック(東京)院長は「子どもの様子をよくみて、高熱や頭痛、吐き気など心配な症状がある時は、医療機関を受診してほしい」と話す。
  •  群馬県安中市は、加齢で心身が衰えて「健康」と「要介護」の中間の状態「フレイル」に陥っているかAI(人工知能)が早期発見するサービスを、今月から県内で初めて実施している。

     導入したのは、中部電力のサービス「eフレイルナビ」。対象者の自宅の電気使用量を同社が30分ごとに測り、AIが分析してフレイルの可能性があるかどうかを判定する。

     市によると、フレイルになると自宅にこもりがちになり、消費電力が一定になる傾向があるという。eフレイルナビは、AIが使用電力から外出回数や睡眠時間なども分析する。

     市は分析結果を利用者に伝え、フレイルと判定されたら職員が訪問して体力測定を行うなど、健康状態の改善を助言する。市によると、このサービスを導入した長野県松本市などでは、住民の意識向上につながり、運動などの予防に取り組む人が増えたという。

     安中市は事業費184万円を今年度予算に計上。利用者は無料でサービスを受けられる。6月21日の記者会見で大谷雄一保健福祉部長は「フレイルかどうかを早期に気づいて対策を取り、健康寿命を延ばすきっかけにしてほしい」と話す。

     対象は一人暮らしの65歳以上で、要介護認定を受けていないなどの条件を満たした先着100人。希望者は、市役所か松井田支所に必要書類を持参して申し込む。市高齢者支援課の佐藤美佳主査は「今は不要と思っても、いつフレイルになるかわからない。元気なうちに申し込んで、早期発見につなげてほしい」と話している。
  •  国立成育医療研究センター(東京)は12日、脳死と判定された6歳未満の男児から提供された肝臓と腎臓を10歳未満の女児に移植する手術に成功したと発表した。脳死者の肝臓・腎臓を子どもに同時移植した国内初のケースとなる。

     同センターによると、女児は、肝硬変と嚢胞腎で、手術は5月17日、12時間42分かけて行われた。手術後の経過は順調で7月上旬、歩いて退院した。

     国内では、脳死の提供者(ドナー)が少ないこともあり、同時移植が必要な子どもは、親らをドナーとする生体移植に頼っていた。

     女児の両親は、「私たちがドナーとして適合せず困惑している中、本当にありがたいお話をいただきました。ドナーの方、そのご家族、医療スタッフ、生活を支えてくださっている全ての方々には感謝しかありません」と、同センターを通じてコメントを発表した。

     日本臓器移植ネットワークによると国内ではこれまで、脳死者から提供された肝臓と腎臓の同時移植が、今回の女児のほかに、20歳以上に対し58件行われている。
  •  3種類の層でできた小腸の壁の組織を、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ってチップの中で再現することに成功したと、京都大iPS細胞研究所などのチームが発表した。小腸の病気の研究などに役立つといい、論文が12日、国際科学誌に掲載される。

     小腸の内壁は粘液層、上皮層、間質層の3層構造になった絨毛で覆われている。これまでも小腸の一部を模した「ミニ臓器」は作られていたが、上皮層の再現にとどまっていた。

     同研究所の高山和雄講師(幹細胞生物学)らは、血管から染み出た水分の緩やかな流れ(間質流)に注目した。幅1ミリ、高さ0・6ミリ、長さ10ミリの管の中を、微小な穴が多数あいた膜で上下2段に仕切ったシリコーン製のチップを作製。上段にiPS細胞などから作った小腸のもとになる細胞を置き、下段には培養液を流し、上段へ染み出すようにして約20日間、培養した。

     すると細胞は小腸の絨毛と似た複雑な形の組織を作り、3層構造ができている様子が観察された。培養液の流れを止めると、こうした構造はできなかった。

     高山講師は「小腸の粘膜を障害して下痢を引き起こすノロウイルスやクローン病などの研究に活用できるのではないか」と話す。

      酒井康行・東京大教授(生物工学)の話 「間質流を使って細胞が三次元的に組織化する能力を引き出しており、面白い成果だ。小腸粘膜に炎症を起こす病気の研究に使うには、免疫細胞を組み入れるなどの工夫が必要だろう」
  •  日本冠動脈外科学会は10日、厚生労働省で記者会見し、心臓手術で使われている米ジョンソン・エンド・ジョンソン製の超音波メスが販売終了になったことについて、「健康被害につながる懸念があり、患者への不利益が非常に大きい」と訴えた。国内メーカーが協力し、早急に代替機器の開発に取り組む必要があるとしている。

     製品は「ハーモニックシナジー」。学会によると、国内約580施設で導入され、2020年には約1万8000件の冠動脈バイパス手術のうち1万件以上で使われた。今年4月、販売終了が急きょ通知されたため、医療機関は電気メスによる手術に切り替えるなどしているが、合併症のリスクが高まる恐れがあるという。
  •  名古屋工業大学の研究チームは、熱中症の救急搬送者数を6日先まで日ごとに予測し、ウェブサイトで公開する試みを始めた。対象は東京、愛知、大阪、福岡など8都道府県。熱中症予防や救急医療現場で役立ててもらう狙いがある。

     2013~19年の気象データと約14万人分の搬送者情報を分析し、計算式を考案した。暑さに慣れていない梅雨明け直後はリスクが高まるといった体の特性や、高齢住民の地域ごとの割合も加味した。気象庁が毎日更新する週間天気予報と組み合わせて予測する。

     サイトでは、当日の予測搬送者数を日本地図上に「24人以下」(ピンク色)から「100人以上」(紫色)までの5段階で表し、6日先までの予測は折れ線グラフで示している。

     熱中症の危険度の指標としては、気温や湿度などを基にした「暑さ指数」があるが、予測は2日先まで。6日先の予測で、外出や屋外行事の計画を立てやすくなり、消防や医療機関にとっては、患者の受け入れ態勢を整える時間的猶予が得られるという。

     研究チームの平田晃正教授(医用工学)は、内閣官房のプロジェクトで人工知能(AI)を使って新型コロナの感染者数を予測した実績がある。記者会見で平田教授は「様々な分野で予測を活用してほしい」と話した。予測はホームページ( https://heatstroke.jp/ )で確認できる。
  •  国や自治体が行う感染症発生動向調査について、厚生労働省は、今年度中にも新たな区分「急性呼吸器感染症(ARI)」を設け、全国の定点医療機関に患者数を報告させる方針を決めた。国際基準に合わせ、せきや頭痛、鼻水などの急性症状を伴う患者を想定している。ウイルスや細菌など病原体を問わずに幅広く報告を求めることで、呼吸器感染症全体の広がりを早期に把握することを目指す。

     ARIは、のどや肺の炎症などを招く感染症の総称で、インフルエンザや新型コロナウイルス、RSウイルスなど、従来から個別に調査している感染症も含まれる。ARIの患者数と、継続して調査するインフルエンザや新型コロナの患者数との比較や、病原体のゲノム解析を行い、未知の感染症の流行把握も狙う。

     感染症法は、感染症を危険度の高い順に1~5類に分類している。ARIはインフルエンザなどと同じ「5類」として扱う。

     8日の専門家部会に案を示し、了承された。委員からは「定点観測を行う医療機関や自治体の負担にならないよう、ARIの定義をしっかり定め、周知して始める必要がある」などの意見が出た。
  •  米国で飼育される牛の間で感染が広がる高病原性鳥インフルエンザウイルスのH5N1について、従来と比べて人への感染性が高い可能性があるとする分析結果を、東京大などの国際研究チームが明らかにした。

     哺乳類の間での弱い飛沫感染も確認されており、チームは「人でも感染が広がらないよう、封じ込めを急ぐ必要がある」としている。論文が8日付けの科学誌ネイチャーに掲載される。

     米国では今年3月以降、牛の感染が少なくとも12の州で確認された。牛から人に感染し、目の充血などの症状が出たことが数例報告されている。

     東京大など日米のチームが感染した牛のウイルスを分析すると、人の喉や鼻に多い分子に結合する性質があり、この分子を介して人でも感染する可能性が示された。従来のH5N1は、この分子に結合する能力が低かったという。

     またウイルスを感染させた哺乳類のフェレットの4匹中1匹で飛沫感染したことが血液検査で判明した。チームの国立国際医療研究センター研究所国際ウイルス感染症研究センター長、河岡義裕・東大特任教授(ウイルス学)は「ウイルスが変化し感染性が高まっている可能性がある。病原性の変化も注視することが必要だ」と話す。

      北海道大学の迫田義博教授(ウイルス学)の話 「飛沫感染したフェレットのウイルス量は非常に少なく、すぐにパンデミック(世界的大流行)につながるとは言えないが、注意は必要だ。検出の時期や場所が違うウイルスを調べ、データを蓄積することを急ぐべきだ」
  •  7日も関東・東海を中心に、全国で猛暑が予想されている。環境省などは全国の26都県に熱中症警戒アラートを発表し、水分補給やエアコンの適切な使用などを呼びかけている。

     気象庁によると、7日の最高気温は、前橋市と埼玉県秩父市で39度と予想されているほか、名古屋、静岡、甲府、さいたま市などで38度まで上がるとしている。都心でも36度の予想で、今月3度目の猛暑日予想となっている。
  •  東京消防庁は4日、東京都内で午後3時現在、19~100歳の男女47人が熱中症の疑いで救急搬送されたと発表した。このうち高齢男性1人が重症という。

    東京消防庁は、熱中症対策として、こまめな水分補給や冷房の活用を呼びかけている。
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