更新情報

ドクターズゲートの配信する医療ニュースについて
このページをシェアする:
1   |   2   |   3      »      
  •  3種類の層でできた小腸の壁の組織を、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ってチップの中で再現することに成功したと、京都大iPS細胞研究所などのチームが発表した。小腸の病気の研究などに役立つといい、論文が12日、国際科学誌に掲載される。

     小腸の内壁は粘液層、上皮層、間質層の3層構造になった絨毛で覆われている。これまでも小腸の一部を模した「ミニ臓器」は作られていたが、上皮層の再現にとどまっていた。

     同研究所の高山和雄講師(幹細胞生物学)らは、血管から染み出た水分の緩やかな流れ(間質流)に注目した。幅1ミリ、高さ0・6ミリ、長さ10ミリの管の中を、微小な穴が多数あいた膜で上下2段に仕切ったシリコーン製のチップを作製。上段にiPS細胞などから作った小腸のもとになる細胞を置き、下段には培養液を流し、上段へ染み出すようにして約20日間、培養した。

     すると細胞は小腸の絨毛と似た複雑な形の組織を作り、3層構造ができている様子が観察された。培養液の流れを止めると、こうした構造はできなかった。

     高山講師は「小腸の粘膜を障害して下痢を引き起こすノロウイルスやクローン病などの研究に活用できるのではないか」と話す。

      酒井康行・東京大教授(生物工学)の話 「間質流を使って細胞が三次元的に組織化する能力を引き出しており、面白い成果だ。小腸粘膜に炎症を起こす病気の研究に使うには、免疫細胞を組み入れるなどの工夫が必要だろう」
  •  日本冠動脈外科学会は10日、厚生労働省で記者会見し、心臓手術で使われている米ジョンソン・エンド・ジョンソン製の超音波メスが販売終了になったことについて、「健康被害につながる懸念があり、患者への不利益が非常に大きい」と訴えた。国内メーカーが協力し、早急に代替機器の開発に取り組む必要があるとしている。

     製品は「ハーモニックシナジー」。学会によると、国内約580施設で導入され、2020年には約1万8000件の冠動脈バイパス手術のうち1万件以上で使われた。今年4月、販売終了が急きょ通知されたため、医療機関は電気メスによる手術に切り替えるなどしているが、合併症のリスクが高まる恐れがあるという。
  •  名古屋工業大学の研究チームは、熱中症の救急搬送者数を6日先まで日ごとに予測し、ウェブサイトで公開する試みを始めた。対象は東京、愛知、大阪、福岡など8都道府県。熱中症予防や救急医療現場で役立ててもらう狙いがある。

     2013~19年の気象データと約14万人分の搬送者情報を分析し、計算式を考案した。暑さに慣れていない梅雨明け直後はリスクが高まるといった体の特性や、高齢住民の地域ごとの割合も加味した。気象庁が毎日更新する週間天気予報と組み合わせて予測する。

     サイトでは、当日の予測搬送者数を日本地図上に「24人以下」(ピンク色)から「100人以上」(紫色)までの5段階で表し、6日先までの予測は折れ線グラフで示している。

     熱中症の危険度の指標としては、気温や湿度などを基にした「暑さ指数」があるが、予測は2日先まで。6日先の予測で、外出や屋外行事の計画を立てやすくなり、消防や医療機関にとっては、患者の受け入れ態勢を整える時間的猶予が得られるという。

     研究チームの平田晃正教授(医用工学)は、内閣官房のプロジェクトで人工知能(AI)を使って新型コロナの感染者数を予測した実績がある。記者会見で平田教授は「様々な分野で予測を活用してほしい」と話した。予測はホームページ( https://heatstroke.jp/ )で確認できる。
  •  国や自治体が行う感染症発生動向調査について、厚生労働省は、今年度中にも新たな区分「急性呼吸器感染症(ARI)」を設け、全国の定点医療機関に患者数を報告させる方針を決めた。国際基準に合わせ、せきや頭痛、鼻水などの急性症状を伴う患者を想定している。ウイルスや細菌など病原体を問わずに幅広く報告を求めることで、呼吸器感染症全体の広がりを早期に把握することを目指す。

     ARIは、のどや肺の炎症などを招く感染症の総称で、インフルエンザや新型コロナウイルス、RSウイルスなど、従来から個別に調査している感染症も含まれる。ARIの患者数と、継続して調査するインフルエンザや新型コロナの患者数との比較や、病原体のゲノム解析を行い、未知の感染症の流行把握も狙う。

     感染症法は、感染症を危険度の高い順に1~5類に分類している。ARIはインフルエンザなどと同じ「5類」として扱う。

     8日の専門家部会に案を示し、了承された。委員からは「定点観測を行う医療機関や自治体の負担にならないよう、ARIの定義をしっかり定め、周知して始める必要がある」などの意見が出た。
  •  米国で飼育される牛の間で感染が広がる高病原性鳥インフルエンザウイルスのH5N1について、従来と比べて人への感染性が高い可能性があるとする分析結果を、東京大などの国際研究チームが明らかにした。

     哺乳類の間での弱い飛沫感染も確認されており、チームは「人でも感染が広がらないよう、封じ込めを急ぐ必要がある」としている。論文が8日付けの科学誌ネイチャーに掲載される。

     米国では今年3月以降、牛の感染が少なくとも12の州で確認された。牛から人に感染し、目の充血などの症状が出たことが数例報告されている。

     東京大など日米のチームが感染した牛のウイルスを分析すると、人の喉や鼻に多い分子に結合する性質があり、この分子を介して人でも感染する可能性が示された。従来のH5N1は、この分子に結合する能力が低かったという。

     またウイルスを感染させた哺乳類のフェレットの4匹中1匹で飛沫感染したことが血液検査で判明した。チームの国立国際医療研究センター研究所国際ウイルス感染症研究センター長、河岡義裕・東大特任教授(ウイルス学)は「ウイルスが変化し感染性が高まっている可能性がある。病原性の変化も注視することが必要だ」と話す。

      北海道大学の迫田義博教授(ウイルス学)の話 「飛沫感染したフェレットのウイルス量は非常に少なく、すぐにパンデミック(世界的大流行)につながるとは言えないが、注意は必要だ。検出の時期や場所が違うウイルスを調べ、データを蓄積することを急ぐべきだ」
  •  7日も関東・東海を中心に、全国で猛暑が予想されている。環境省などは全国の26都県に熱中症警戒アラートを発表し、水分補給やエアコンの適切な使用などを呼びかけている。

     気象庁によると、7日の最高気温は、前橋市と埼玉県秩父市で39度と予想されているほか、名古屋、静岡、甲府、さいたま市などで38度まで上がるとしている。都心でも36度の予想で、今月3度目の猛暑日予想となっている。
  •  東京消防庁は4日、東京都内で午後3時現在、19~100歳の男女47人が熱中症の疑いで救急搬送されたと発表した。このうち高齢男性1人が重症という。

    東京消防庁は、熱中症対策として、こまめな水分補給や冷房の活用を呼びかけている。
  •  母乳などに含まれる栄養成分「トリカプリン」が、おなかの大動脈にできたこぶを小さくする可能性があるとして、大阪大の研究チームは、腹部大動脈瘤の患者を対象に、治療薬候補として服用してもらう臨床試験を行うと発表した。

     腹部大動脈瘤は、おなかの大動脈が動脈硬化でしなやかさを失い、もろくなった血管の壁が膨らんでこぶを作る病気。自覚症状がないまま進行し、突然破裂して命を落とすこともある。

     チームの樺敬人・同大特任研究員(循環器内科学)によると、国内の推定患者数は100万~180万人で、こぶが5センチ以上になると、有効な治療は、人工血管に置き換えるなどの手術に限られる。

     トリカプリンは母乳やココナツミルクなどに含まれる中性脂肪の一種で、主成分とする健康食品を同大などが開発。近畿大などと行ったラットの実験では、血管が丈夫になり、こぶを縮小させる効果がみられた。

     臨床試験は大阪大病院で実施する。こぶが4・5センチ以下の患者10人(50~85歳)に、この健康食品を毎日3回、1年間服用してもらう。樺特任研究員は「有効性がわかれば、手術の前に投薬治療ができるようになる可能性がある」としている。

     加藤雅明・森之宮病院(大阪市)心臓血管外科顧問の話「手術よりも薬の方が患者の負担は軽く、治療薬として実用化されれば積極的に使っていきたい。今回の臨床試験で、こぶが縮む詳しい仕組みの解明も期待したい」
  •  厚生労働省は今年度から、介護サービスの人員配置に関する統一見解の策定に着手する。施設管理者や従業員に求める資格や経験年数など、各自治体が独自に設定している要件の過度なばらつきを抑えることで、介護事業者の事業展開を後押しする狙いがある。厚労省は実態調査を踏まえ、2026年度までに統一見解を策定する方針だ。

     介護サービスの人員配置は、通所介護や訪問介護といった形態ごとに、厚労省令で職員や生活相談員の人数など最低限の基準が定められている。省令以上の要件は自治体の裁量に委ねられており、生活相談員に介護福祉士などの資格所持を義務付けたり、管理者に一定の実務経験年数や兼務禁止を求めたりするケースがあるとされる。

     複数自治体で広域展開する介護事業者にとっては要件の確認作業に手間がかかるほか、「限られた人材を効率的に配置できず、人手不足に拍車をかけている」との指摘が出ている。

     厚労省も自治体の独自要件を全て把握しているわけではなく、政府が昨年6月に閣議決定した規制改革実施計画には、自治体の独自要件の整理・公表の検討が盛り込まれた。

     こうした状況を受け、厚労省は今年3月、介護事業者から特に見直しの要望が強かった施設管理者の兼務制限について、「個別の事業所の実態を踏まえずに(兼務を)一律に認めないのは適切ではない」とする通知を全国の自治体に発出した。今年度は通知の順守状況や、その他の要件についての実態調査を行う予定だ。

     もっとも、自治体が設定する要件の多くは、主に介護の質の確保を目的としている。厚労省は、規制緩和が介護の質の低下を招かないよう、引き続き自治体の裁量は認めつつ、どのような要件が適切もしくは過剰なのかの線引きを統一見解で示したい考えだ。
  •  脳死下の臓器提供件数が増える中、東京医科歯科大、岡山大、愛媛大が新たに心臓移植を実施する方針であることが27日、分かった。日本心臓移植学会が今月発表した緊急調査では、移植施設の人員や病床が不足し、脳死者から提供された心臓の移植を断念した例が、2023年に16件あった。3国立大の参入により、心臓の移植施設は全国14か所に増え、移植医療体制の逼迫の解消につながることが期待される。

     東京医科歯科大は、東京大から約1キロの近距離にある。東大には、移植を待つ患者が集中し、23年の心臓移植の断念例16件のうち15件を占めた。東京医科歯科大では東大との連携を視野に、移植チームづくりを急ピッチで進めている。今年10月に東京工業大と統合し「東京科学大」になることが決まっており、心臓移植を実施することで、新大学の実力のアピールにつなげる狙いもある。

     岡山大は現在、肺、肝臓、腎臓の移植を担う。脳死下の臓器提供例は国内最多の実績を持つ。心臓移植施設となれば、中国地方で唯一となる。愛媛大は四国初の心臓移植施設となる。

     医療機関が心臓移植を行うにはまず、日本循環器学会などでつくる協議会の推薦を受け、日本医学会の委員会で選定される必要がある。その上で、臓器あっせん機関「日本臓器移植ネットワーク(JOT)」が、移植施設として登録すると実施できる。

     東京医科歯科大、岡山大は来年度にも協議会への申請を行う。JOTによると、愛媛大は登録まで済ませ、実施に必要なシステムの導入などを準備している。

     心臓移植に詳しい福嶌教偉・千里金蘭大学長(看護学、心臓血管外科)の話「移植施設が増え、待機患者の偏りが緩和されれば、臓器の受け入れを断念する問題を解決する一助となる。併せて個々の移植施設の受け入れ態勢の充実も図ることが求められる」

     臓器移植法の運用指針に基づき、医療機関が、臓器ごとに組織される学会協議会などに申請し、選定される。その後、JOTが施設として登録すると移植を実施できる。心臓の場合、2020年、国立成育医療研究センターが登録されたことで11施設になった。
1   |   2   |   3      »