コラム・連載

2021.03.15|text by 高須 克弥

シーズン2 第5回 ウィズコロナの時代に

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ウィズコロナの時代に

日本の医師数はどうあるべきでしょうか。

医師数を少なくして、適正にした方がいいです。医師が足りないところに大勢の医師が行ってほしいですね。美容外科や美容皮膚科には来ないでいただきたいです。美容医療は料理で言えばデザートみたいなものです。ケーキを作ることに全力投球してもいいけれど、料理が全部ケーキになったら、困ります。鰻もそうです。鰻は美味しいけれど、朝から晩まで鰻ばかり出てきても、そんなに食べられません。鰻よりもシャリの方が大事です。美容医療は幸福医療なんです。私は産婦人科と小児科の医師が増えてほしいと思っています。子どもと妊産婦さんを大事にしない国はよくありません。

分娩施設も減っています。

だから、お産がものすごく儲かるという状況であればいいんです。私たちの世代には産婦人科医になった人はとても多いです。皆、ちょっと時代がずれているんですよね。儲かるところはこれから繁栄する産業だと一斉に行くけれど、それがそこの産業を潰してしまいます。私は全部、逆張りですもの。刈り尽くされて、誰もやっていなかったところで美容外科をしたし、医師になった直後から老人医療もしていました。

血液クレンジングなどの問題も減らないですね。

血液クレンジングは詐欺ですよね。人をちょっといい気にさせて、血液クレンジングやオゾンを勧めて、それで治るというのですから、荒唐無稽もいいところです。それなら、この御札を拝んでおきなさいという方がまだ害がありません。患者さんにそんなに勧めるのなら、やっている医師が自分で血液クレンジングをしたかというと、皆していないんです。自分でやっていないものを患者さんに勧めてはいけません。なんで、やらないのかと言いたいですね。私は「お前のところでタダでやってやると言われても絶対にやってやらないぞ」と言っていたのですが、そのうちそのクリニックは潰れてしまいました(笑)。

ホームページに載せているところもまだあります。

ありますね。でも淘汰されて、良い具合になっていくと思いますよ。かつてレーシック手術がやたら増えた時期がありました。近眼を治すだの、最新式だのと広告を積極的に展開していましたが、新しいものが次々に出てきたものだから止めてしまって、今度は過剰に減っています。

レーシック難民という言葉も生まれました。

新しいものが出てきたという意味では新型コロナウイルスに似ています。最初は皆がナメていて、私が「怖いぞ」と言っていたら、今度は皆が怖がりすぎるようになりました。怖がりすぎた結果、食べていけなくなり、自殺者も増えています。

経営難の企業は多いです。

新型コロナウイルスも怖いけれど、資金繰りが悪くなる方が怖いという方がほとんどです。GoToトラベルキャンペーンのお蔭で、お客さんが増えているところや経営の助けになっている人もいるかもしれません。犠牲がこれぐらいで、助かる人がこれぐらいでといったプラスマイナスで考え、被災地医療のようなトリアージが必要です。優先順位を決めて、方針をきちんと定めないといけないのですが、皆さん建前から逃れられないんですよ。

どのような建前ですか。

人前に出るときはマスクをすべきだとか、お金の問題ではない、コロナ対策を何よりも優先すべきだとかですね。私が怖いと言っていたときに黙っていた人たちが今、コロナ警察になっています(笑)。コロナ警察の人たちも一杯いますね。

先生は早すぎたんですね。

早すぎましたね。早く行動すると、大体において風当たりが強くなります。美容外科も今はするべきではないと言われ、これから必要とされるよと言われたのが20年前ですからね。

高須クリニックのオンライン診療について、お聞かせください。

高須クリニックではCLINICSの美容外科のカテゴリーを利用したオンライン診療を今年から始めました。患者さんが通常の診察をオンラインで申し込まれ、それに合わせて、医師が答える形です。しかし、私は面倒なので関わりたくないと思っています(笑)。一方で、高須病院は地域密着型なので、オンラインは不要です。患者さんはオンラインをする暇があれば、歩いてこられます。

では先生はオンラインをどのように使っていらっしゃるのですか。

予約を受けるぐらいです。私どもには予約を受けるスタッフがいて、何時から何時までが○さんというふうに、オンライン上で決めています。オンラインだと、日本はもちろん、世界中から予約できます。でも今は海外の人が来られないから、日本国内にいる人だけになっていますね。
私には根強いファンがいて、私のことをよく知っているし、コロナに関係なく、「先生、おっぱいを大きくしてください」とか「顔のたるみをとってください」とか、初めからご指名なんです。
最近は「死ぬ前にやってほしい」と、駆け込みの高齢者が増えています。私が死ぬのか、患者さんが亡くなるのか、分からないのですが、今日も「折角お会いしたんだから、今からやってほしい」というおばあちゃんの患者さんがいました。でも「今日はこれからインタビューを受けるから、再来週に予約して」と言ったところです。そういうときにオンラインの予約システムは便利ですね。

学校ではオンライン授業が当たり前になってきました。

オンラインでできるものには限界はあり、宗教などの無理なことも多くありますが、学校の授業はオンラインで十分だと思います。オンライン授業のお蔭で、成績が伸びている子どもたちもおり、うちの孫たちもそうです(笑)。オンライン授業は聞きたくないときは聞かなくていいから、都合がいいようです。

お孫さんたちの将来も楽しみですね。

私の通っていた学校もそうでしたが、孫の学校も今の状態で試験を受けたらこの大学に入れるという合格可能性を出してくれるんです。それで今、医学部に入れそうな孫がいます。まだ中学生ですが、医学部に合格したら自慢します(笑)。これから、中学生でも高校生になれたり、高校に入りたてでも医学部を受験できたりする世の中になるといいと思っています。

ではオンライン授業を頑張っている医学生にメッセージをお願いします。

私の頃はペーパーテストは皆ができるような易しい問題で、口頭試問が大事だったんです。私は先生方から目をつけられていて、同級生に大丈夫かと心配されていましたが、無事に医師になれました。一方で、口頭試問をすればペーパーテストが良くできるのに、医師に向いていない人を落とすことができました。ペーパーテストでしっかり書けた自分がなぜ落とされて、あいつはなぜ受かっているのかと思っていた人もいたでしょう。医学生の皆さんはこういう時代になって不満もあるでしょうが、学園紛争のときは東大入試がなくなり、受験生がゼロでした。そして、日本中の大学で同じ状況になっていました。

少し前、僕の母校が女性受験生への差別をしていると非難されました。僕の祖母も母も妻も全て立派な医師でした。性別、年齢、性格、志・・・医師になるべき人を選別するのは大事なことだと思います。建学の理念で女子医大を作った人たちを僕は評価します。男子医大があってもいいと思います。医師になる資質と志を持った学生を選別する権利を医大に持たせるべきだと思います。

著者プロフィール

高須克弥院長 近影

著者名:高須 克弥

高須クリニック 院長

  • 1945年 愛知県幡豆郡一色町(現 西尾市)で生まれる。
  • 1969年 昭和大学を卒業する。
  • 1973年 昭和大学大学院を修了する。
  • 1974年 愛知県幡豆郡一色町に高須病院を開設する。
  • 1976年 愛知県名古屋市に高須クリニックを開設する。
  • 2011年 昭和大学医学部形成外科学(美容外科学部門)客員教授に就任する。
バックナンバー
  1. インタビュー 高須克弥先生に訊け
  2. 11. 東京オリンピック
  3. 10. ウィズコロナの時代に
  4. 09. 最近の美容外科に警鐘を鳴らす
  5. 08. 社会貢献活動
  6. 07. 愛知県に暮らす
  7. 06. 新型コロナウイルス
  8. 05. 新しい美容外科
  9. 04. ミケランジェロ™
  10. 03. 国際交流
  11. 02. 血液クレンジング
  12. 01. 美容外科のニーズ

 

  • Dr.井原 裕 精神科医とは、病気ではなく人間を診るもの 井原 裕Dr. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科教授
  • Dr.木下 平 がん専門病院での研修の奨め 木下 平Dr. 愛知県がんセンター 総長
  • Dr.武田憲夫 医学研究のすすめ 武田 憲夫Dr. 鶴岡市立湯田川温泉リハビリテーション病院 院長
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  • Dr.菊池臣一 次代を担う君達へ 菊池 臣一Dr. 福島県立医科大学 前理事長兼学長
  • Dr.安藤正明 若い医師へ向けたメッセージ 安藤 正明Dr. 倉敷成人病センター 副院長・内視鏡手術センター長
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