コラム・連載

2020.06.15|text by 高須 克弥

第5回 新しい美容外科

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新しい美容外科

美容外科の世界にも遺伝子治療が入ってくることはあるのでしょうか。

美容整形は基本的にはブスを美人にする、高齢者を若くするという造形の世界です。言ってみれば、カリスマ美容師がカットやパーマ、シャンプーをしている世界なんです。だから、本当の病人は扱いません。ハゲの人はカリスマ美容師も手のつけようがないんです。遺伝子治療とは根幹の部分なので、美容整形に入ってくるのは次の世紀の話になるでしょう。次に生まれてくる子どもに遺伝子操作して、美人の遺伝子を入れようというよりも、先天性疾患を遺伝子操作で取り除こうという方が先でしょうね。それに美の基準は変わってきます。脱毛が美しいと決めた人は誰なんでしょうね。ハゲが美しいとなったら、脱毛が流行るかもしれませんよ(笑)。

今、髪が薄い人は高須先生の登場を待っているかもしれません。

スキンヘッドは美しいと開き直っている人もいますよ。百田尚樹さんはハゲは進化した人類だと言っています(笑)。2003年にベネズエラの美容外科医、エドワルド・クルーリグ先生がギアナ高地でハゲが治る植物が見つかったという連絡をくれたので、ギアナ高地まで行ったことがあります。それはモリチャレスという椰子科の植物だそうですが、クルーリグ先生のジョークに、私が騙されただけでした(笑)。カラカスに建てた、彼の病院の開院パーティーに私を呼ぶためのジョークだったようです。

百田さんもクルーリグ先生もさすがですね。では、先生が構想していらっしゃる新しい医療について、お聞かせください。

耳の軟骨から細胞を取って培養して、プロテイズを作るという話があります。こういうビジネスは数多くありまして、色々なところからお声をかけられるのですが、目が出るものは少ないです。その中でヒアルロン酸はいいものを発明できました。これは原材料に何を使うかということで、考え抜きました。

何を使われたのですか。

紀文のはんぺんです(笑)。微生物にタンパク質を食べさせることで増殖させ、ヒアルロン酸を作らせる仕組みなので、生物学的なんです。化合して作っているわけではありません。私は微生物を増殖させるには魚のタンパク質がいいと気づき、紀文のはんぺんだと閃いたんです。とはいえ、紀文のはんぺんは最初のケースだけで、そのあとは違うものにしました。それを使って、超音波で脂肪吸引をするときに分離するとコラーゲンができたんです。そのコラーゲンを注射すると、アレルギーの心配が全くなくなります。これはパテントを取りました。その頃に狂牛病が流行り、世界中からコラーゲンがなくなったときに、これからは人間の身体から作ったコラーゲンが主流になるだろうということで、世界企業にしようと工作を始めたところで、私は税務署に踏み込まれ、経済活動が全てできなくなりました。

そんなタイミングだったのですね。

雑誌に悪の権化のように書かれましたよ。でも、その雑誌の編集長はほかの雑誌に移った途端に、私どもに広告を取りに来ました(笑)。以前、私を悪く書いたことをすっかり忘れていたようです。編集長はライターが書いてきたものをどう料理するのかを決めるのが仕事であって、私だけでなく、個人に対して恨みを持っているわけではないんですね。しかし、その件は長く後を引き、ドバイでの仕事もできなくなりました。

どういうことですか。

ドバイに世界中から一流の医師を集めて、オープンシステムで最高の手術をする病院を作ろうとしていたんです。ドバイで土地代を払えば、ドバイにも日本にも税金を払わなくてもいいと知り、準備を進めていたのですが、経営者が犯罪者だから駄目だということになりました。医療事故による犯罪や政治犯なら問題ないそうですが、経済犯は駄目だそうです。私は所得税法違反で、前科一犯でしたからね(笑)。

ドバイショックもありましたね。

あれでファンドの人たちも飛んでしまいましたね。プロジェクト自体は生きていたので、最悪の場合はライブドアみたいに自己調達して、利息を払っていけばいいと思ったんですが、今はもうその頃の人脈だった人たちがいなくなってしまいましたからね。その頃、甥っ子がドバイで歯科医師をしていたんです。でも普通の市街地で診療していたので、男の医師は男の患者さんしか診ることができず、日本からの駐在員の家族ぐらいしか患者さんがいませんでした。しかし、経済特区で診療できれば、治外法権となると考えたんです。経済特区だと現地の法律に縛られず、お酒も飲めます。

そんなことがあったのですね。

海外と言えば、李登輝さんに会いたくて台湾に行ったら、肺炎で入院されていたんです。それで会えずに帰ってきたら、その間に私の自宅に空き巣が入り、金塊を盗まれて大変だったということもありました。

がんと生きる

ほかに今後の展開について、お聞かせください。

自分が生き残ることが最優先なので、がんの治療の実験が今、一番面白いですね。既に死んでいてもおかしくないのに、色々とやっているから生きているんです。新しい機械も考えました。蛍光物質を飲むとがん細胞が光るんです。それを高周波で焼いて、内視鏡で取ります。HIFUではありませんよ(笑)。ただし、それを飲んだときは光に当たったらいけないんですが、Twitterをしていると、ばっちり光に当たってしまいます。ブルーライトはいいのではないかと思いますけどね。紫外線はいけないので、黒いカーテンを全部下ろして、24時間、真っ暗なところで過ごすのですが、ツイートするぐらいはいいでしょう。

副作用は辛くないのですか。

治療をしているときは辛いですよ。元気のいいふりをしています。ちょうど4クール目の治療が終わったところです。

熱や吐き気は大丈夫ですか。

熱は上がりますね。マラリアになったみたいになります。吐き気はないです。名古屋に帰ると、ゴルフと麻雀を楽しみにしていたのですが、ゴルフは疲れるのでしなくなりました。麻雀は二組あります。一つは「前科一犯の会」、もう一つは「がん友の会」です。前科一犯の会は前科一犯以上なら参加資格があるのですが、皆が経済犯なので忙しいんですよ(笑)。がん友の会の方が出席率が高く、熱心に出てきます。

がんに罹患されている方々にとって、先生の存在は勇気や元気をもらえるはずです。どうぞお元気にお過ごしください。

私ががんで商売をしないことが皆さんに気に入られている要因のようです。「私はこれで生きていますから、皆さんにもお勧めします」と言うと、大変ですからね(笑)。

著者プロフィール

高須克弥院長 近影

著者名:高須 克弥

高須クリニック 院長

  • 1945年 愛知県幡豆郡一色町(現 西尾市)で生まれる。
  • 1969年 昭和大学を卒業する。
  • 1973年 昭和大学大学院を修了する。
  • 1974年 愛知県幡豆郡一色町に高須病院を開設する。
  • 1976年 愛知県名古屋市に高須クリニックを開設する。
  • 2011年 昭和大学医学部形成外科学(美容外科学部門)客員教授に就任する。
バックナンバー
  1. インタビュー 高須克弥先生に訊け
  2. 06. 新型コロナウイルス
  3. 05. 新しい美容外科
  4. 04. ミケランジェロ™
  5. 03. 国際交流
  6. 02. 血液クレンジング
  7. 01. 美容外科のニーズ

 

  • Dr.井原 裕 精神科医とは、病気ではなく人間を診るもの 井原 裕Dr. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科教授
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