更新情報

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  •  激しいせきが続く百日せきについて、国立健康危機管理研究機構(JIHS)は3日、今年に入ってから5月25日までの累計患者数が2万2351人(速報値)になったと発表した。

     JIHSによると、5月19~25日の1週間に報告された患者数は2660人に上った。都道府県別では、新潟148人、兵庫139人、東京128人などとなった。前週の2299人を上回り、全ての患者の集計を始めた2018年以降、2週連続で最多を更新した。

     百日せきは、主にせきやくしゃみなどの飛沫に含まれる細菌から感染する。7~10日の潜伏期間を経て、かぜに似た症状が始まる。乳児では重症化しやすく、呼吸困難や肺炎などを起こすと命に関わる。

     厚生労働省は、生後2か月からの乳児のワクチン接種などの対策を呼びかけている。
  •  福岡厚生労働相は3日の参院厚労委員会で、2024年度の脳死下の臓器提供者数が139人で過去最多となったと報告した。前年度と比べ23人増加し、3年連続で最多を更新した。厚労省は、臓器提供の経験が不足する医療機関を支援する取り組みも増加を後押ししているとみている。

     脳死下では、1人の提供者が最大で七つの臓器を提供できる。臓器別では、肝臓が119人、心臓が116人、腎臓が115人、肺が106人、眼球が55人、膵臓が46人、小腸が2人だった。1997年の臓器移植法施行から2024年度末までの累計では1181人となった。

     一方、24年度の心停止後の臓器提供者数は9人で、前年度と比べ6人減った。

     臓器提供については、提供可能な全国約900医療機関のうち、実際に提供した経験があるのは3分の1程度にとどまっている。

     厚労省は、臓器提供の経験が豊富な全国31か所の医療機関が、経験不足な近隣の施設に助言する事業を進めている。厚労省は「自信がなかった医療機関がノウハウを教えてもらうことで、臓器提供に取り組む動きが徐々に広がっている」と分析している。
  •  京都大と東和薬品などは3日、遺伝性の認知症「家族性アルツハイマー病」を対象に、iPS細胞で治療効果が示された既存薬を投与する最終段階の治験を開始したと発表した。iPS細胞を薬の開発に応用する「iPS創薬」で最終治験まで進んだのは初めてという。2028年以降の承認申請を目指すとしている。

     対象となるのは、若年で発症しやすい家族性アルツハイマー病のうち、特定の遺伝子変異が原因となっている患者。国内患者数は約100人と推定されている。

     京大iPS細胞研究所の井上治久教授(幹細胞医学)らは、この病気の患者から作ったiPS細胞を使い、パーキンソン病治療などで使われている「ブロモクリプチン」が、アルツハイマー病でも治療効果が見込めることを突き止めた。

     患者8人を対象に、2020~22年に初期段階の治験を行い、安全性を確認。症状を抑える傾向も示された。

     最終治験は今年5月に三重大病院で始まり、今後、約10の医療機関に広げて、28年3月まで続ける計画。患者24人の参加を予定し、半数には偽薬を一定期間投与する。毎日4~9錠を服用してもらい、50週間かけて有効性を評価する。

     井上教授は記者会見で、「iPS創薬という新しい分野でようやくここまで来た。協力してくれた患者に感謝したい」と話した。
  •  神奈川県逗子市は、40年以上続けてきた救急総合病院の誘致を断念した。池子米軍住宅受け入れ条件として国に用地確保を要請したことから始まった誘致だが、医師や看護師の不足の深刻化などで方針を転換。新たな地域医療方針を策定するため、市民説明会を開催する。

     桐ヶ谷覚市長は5月30日の定例記者会見で「この40年で病院の役割分担も変化しており、誘致の実現が難しいと判断した。新たな地域医療のあり方を模索する方向に 舵かじ を切りたい」と説明した。

     誘致は、1984年に米軍住宅受け入れ条件として要請した33項目の一つ。国は現在の池子の森自然公園内に用地を確保したが、市は2001年に沼間3丁目の市有地を予定地とした。

     市によると、四つの医療法人や社会福祉法人と交渉したが、実現しなかった。18年段階では内科や外科など13診療科、病床数200以上の規模の救急機能を備える総合病院として誘致を目指していたという。

     市は23~24年度に医療関係者や公募した市民らによる検討会を設置。検討会は、〈1〉逗子を含む「横須賀・三浦2次医療圏」では、高度急性期の病床数は足りている〈2〉同医療圏でスタッフ不足による非稼働病床が129床ある(23年時点)〈3〉市内の65歳以上人口は45年以降減少する――などの要因から誘致見直しを提案。市も誘致断念の結論に至った。

     市内に診療所は多く、市によると、人口1万人当たりの医療機関数は県内トップの12・6件。桐ヶ谷市長は「かかりつけ医から、近隣市の総合病院への連携を図ることが、市民の安心につながる」と述べた。

     説明会は6月13日午後6時と14日午前10時の2回、いずれも市役所で行う。
  •  【パリ=梁田真樹子】フランス国民議会(下院)は27日、終末期患者の「安楽死」を認める法案を賛成多数で可決した。法案は9月以降に上院で審議される予定で、成立の可否が注目されている。

     法案は、安楽死を「死ぬための助けを得る権利」を保障する枠組みと規定。仏国籍を持つか、仏在住の18歳以上が対象で、病気の回復の見込みがなく、大きな苦痛を抱える終末期の患者が、医師らの承諾を得て致死性のある薬を自分で投与できるとした。患者自身が身体的に不可能な場合のみ、医療従事者が投与できるとする例外的措置も設けた。

     世論調査機関「IFOP」が昨年5月に発表した調査結果では、9割以上が安楽死に賛成した。マクロン仏大統領は安楽死容認を重要政策に掲げており、国民議会での法案可決を受け、「重要な一歩だ」とX(旧ツイッター)に投稿した。
  •  全身の筋力が低下する難病「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」の遺伝子治療薬について、厚生労働省は保険適用の可否を検討している。米国では320万ドル(約4億8000万円)で販売され、国内で最高額となる薬価(公定価格)がつく可能性がある。医療財政を圧迫する恐れがあり、厚労省は薬の有効性などを慎重に見極める方針だ。

     この薬は「エレビジス」で、中外製薬が製造販売の承認を申請した。1回の点滴で、病気を招く遺伝子の欠損を補い、筋肉の減少を防ぐ効果が期待される。厚労省は5月中旬、「有効性が推定される」として、市販後にも有効性を確認するなどの条件と3年間の期限を設けて承認した。

    過去に条件・期限付きで承認された4製品は全て保険適用された。だが、2製品は、最終的に十分な有効性を確認できず、正式な承認が見送られ、保険適用も外された。

     こうした経緯を踏まえ、厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)では、委員が「保険適用するなら、正式に承認される見通しが一定程度高いことを示してほしい」などと注文した。

     エレビジスは、3~7歳が投与対象で、ピーク時には年約100人の使用が見込まれる。条件・期限付き承認は、患者に早く薬を届ける仕組みだが、厚労省は今回、医療財政への影響も考慮し、保険適用のあり方を慎重に検討する。

     国内最高額の薬は現在、難病「脊髄性筋萎縮症」の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」の1億6707万円となっている。
  •  日本人の大腸がん発症に、特定の腸内細菌が出す毒素が関係しているとの研究結果を国立がん研究センターなどの国際共同研究チームがまとめた。大腸がんの新たな予防法や治療法の開発につながることが期待される。論文が科学誌ネイチャーに掲載された。

     大腸がんは、日本人がなるがんの中で患者が最も多い。1年間で新たに診断される患者数は14万人を超え、世界でも3番目の多さだ。

     同センターがんゲノミクス研究分野の柴田龍弘分野長らのチームは、英国の研究機関が主導する国際共同研究に参加。日本とカナダ、ブラジル、ロシア、タイなど11か国計981人の大腸がん患者について、がん細胞の遺伝子変異を分析した。

     この結果、日本人28人のうち50%で一部の大腸菌などが出す毒素「コリバクチン」による特有の変異が確認された。他の国の平均19%に対し、2・6倍だった。この毒素は、大腸の細胞の遺伝子を傷つける性質があることがわかっている。

     ただ、がん発症にこの変異がどの程度関与しているかは不明で、日本人に多い理由もわかっていない。また、11か国の患者について変異があった割合を年代別に比較すると、最も高いのは40歳未満で、高齢に伴い低くなる傾向もみられ、若年世代のがんに関係している可能性も示唆された。

     吉住朋晴・九州大教授(消化器外科)の話「毒素がどのようなタイミングで細菌から分泌され、どのくらいの時間、腸内に存在すると発がんに影響するのかなどが解明されれば、発がん予防に役立つ可能性がある」
  •  子どもが主にかかり、頬が赤くなるためリンゴ病と呼ばれる「伝染性紅斑」の感染が広がっている。妊婦が感染すると、死産や流産の原因になることがあり、専門家などが注意を呼びかけている。

     国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、全国約2000か所の小児科から5月5~11日の1週間に報告された患者数は、1医療機関あたり1・14人となった。過去10年で最多の水準で、4月7~13日に1・13人となった後、1人を超える状況が続いている。都道府県別では栃木が4・19人で最も多く、宮城と山形が3・23人、北海道が2・87人で続いた。

     伝染性紅斑は、ウイルスを含んだ 飛沫ひまつ を吸い込むなどして感染する。熱や頭痛など風邪のような症状の後、両頬に赤い発疹が現れる。予防のワクチンや治療薬はない。妊婦の感染が流産などにつながる恐れがあることから、神奈川県衛生研究所の多屋馨子所長は「流行している地域では、妊婦は人混みを避けるようにしてほしい」と話している。
  •  【ワシントン=中根圭一】米食品医薬品局(FDA)は16日、アルツハイマー病を血液で診断する検査キットの販売を初めて承認した。従来の検査法よりも患者の負担を軽減し、病気の早期診断につながることが期待される。

     申請したのは検査薬メーカーの富士レビオ(東京)の子会社で米国に拠点を置く富士レビオ・ダイアグノスティクス。

     アルツハイマー病は、アミロイドβ(ベータ)やタウと呼ばれる異常なたんぱく質が脳内に蓄積することで神経細胞が傷つき、認知機能が低下すると考えられている。

     新たな検査は、病気の兆候や症状がある55歳以上が対象。血漿中の異常なたんぱく質の濃度を測定し、脳内に塊ができているかどうかを判断する。現在は陽電子放射断層撮影(PET)が診断に使われているが、費用や時間がかかるなどの課題があった。
  •  望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬(アフターピル)「ノルレボ」について、製造販売元のあすか製薬は15日、医師の処方箋なしに薬局で購入できる市販薬としての製造販売の承認を厚生労働省に申請したと発表した。承認されれば、14日に成立した改正医薬品医療機器法(薬機法)で新設された「特定要指導医薬品」に指定される可能性がある。薬剤師との対面による購入が必須となる。

     緊急避妊薬は、避妊を失敗したり、性暴力を受けたりした女性が使用する。購入には本来、医師の診察と処方箋が必要だ。厚労省の調査事業で、16歳以上を対象に処方箋なしでの試験販売が一部薬局で2023年11月から行われている。同社は昨年6月、市販薬に切り替える申請を出していた。
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