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末期小児患者たちのための家からの物語(15:19)

短い一生を終える若い命を尊重し祝福するために、キャシー・ハルは米国で最初の独立型小児緩和ケア施設「ジョージ・マーク・チルドレンズ・ハウス」を設立しました。その使命は、末期症状の子供たちとその家族にお別れのための平和な場所を提供することです。彼女は知恵、喜び、想像力と心痛む喪失に満ちた物語を共有します。

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私の知る とても賢い子供たちを 紹介したいと思います しかし 最初に ラクダをご紹介します これは 私たちの幼い患者を訪問する セラピー・ラクダのキャジーが その子の部屋にいるところです 素敵でしょう 私の友人は サンタクルーズ山脈の牧場で ラクダを育てています ラクダは8頭ぐらいいます 彼が30年前に飼育を始めたのは 馬はあまりにも 平凡だと思ったからです ジョンは形式に囚われない 自由な発想の持ち主です だから 私たちは長年 あらゆる点で とても良い友達でいるのでしょう 何年もにわたり 私は彼を説き伏せて この毛の生えた可愛い動物と 時々私たちの病気の子たちを 遊ばせてもらっています ジョンと話していて驚いたことに ラクダの平均寿命は40〜50年だそうです 私が仕事で接する子たちの多くが 余命1年未満です

これは 「ジョージ・マーク・ チルドレンズ・ハウス」です アメリカで最初の 小児のための 緩和・レスパイト(休息)ケアセンターです 2004年に私が設立しました 何年も心理学者として 小児ICUで働いた後 非常に多くの子供たちが 尊厳を欠く亡くなり方をし 家族が耐える姿を見て 歯がゆさを感じたからです 私は 末期治療中の子供たちの 家族たちと接した際に 周囲の環境の粗悪さを痛感しました 高架電車が頭上で轟音を立てて走り 電車が通り過ぎるたびに 文字通り部屋が鳴り響き 病棟の蛍光灯は眩しすぎて エレベーターもモニターも ビービーと鳴り渡っていました これらの家族が 経験していたのは 人生で最も耐え難い瞬間でした そして私は ご家族に もっと穏やかな場所で 子供への最後のお別れを 言ってもらいたいと強く思いました 私は考えました 「絶対に 子供たちの人生の最期のために 病院のICUよりも 良い場所がなければならない」と

私たちのチルドレンズ・ハウスは 穏やかに包み込むような場所です 子供との質の高い時間を大切に過ごすために 家族が一緒に滞在できる場所です その多くは レスパイトのための ショートステイです 何年もの間に 繰り返し訪れる子もいます 私たちは彼らを 「常連さん」と呼びます 眩しくて騒々しい病棟と比べ 彼らの部屋は 静かで快適です 家族の生活空間もあり 安らげる庭園もあり 素晴らしい屋外の遊び場には 身体的な制約のある子供たちのための 特別な遊具もあります

この可愛い赤ん坊ラースは 病院のICUから 直接私たちのもとに来ました 誰も耳にしたくない悲痛なニュースを 告げられることを想像してみて下さい 彼の両親が告げられたのは ラースには脳の異常があり それで飲み込んだり 歩いたり 話したりすることが妨げられ 知的発育も 妨げられるだろうということでした 息子が生きられる可能性の低さを知って 両親は共に過ごすことのできる時間の質に 重点を置くことにしました 施設の家族用の部屋に引っ越し 残された あまりにも少ない日々を 大切に過ごしました ラースの一生は確かに短く たったの数週間でしたが 静かで快適なものでした 彼は両親とハイキングにも行きました プールで水中療法士と過ごした後は 発作が軽減し 夜はよく眠れました 彼の家族には彼の命を祝うと同時に その死を悼むための 平和な場所がありました

ラースが亡くなって5年が経ち その間 彼の家族は 女の子と男の子を新たに迎えました 彼らは子供たちのための専門ホスピスケアが ポジティブな結果を産むことの 力強い証拠です 赤ちゃんの身体的な苦しみは 良く管理され 家族は美しい場所で 一緒に過ごす時間を贈られました

これからお話しするのは 部屋の中のラクダではなく 「部屋の中の象」(皆が避ける問題)についてです 死について話したがる人は ほとんどいません 子供の死については尚更です 子供を失うということは 実際に子供がいる人々にとっては特に 恐ろしいことです それ以上に相応しいのは 「麻痺」 「消耗」 「あり得ない」です しかし 私が思い知ったのは 我が子を亡くす不公平を 大人が受け止められなくても 子供は亡くなるということです もっと言えば 私たちが勇気を持って どんなに罪のない子供でも 死んでしまうという 可能性に直面できれば 比類なき知恵を得られるのです

例えば クリスタルです 彼女は開設してから 最初にケアに来た子の ひとりでした 当時 彼女は9歳で 神経科医は彼女の余命を 2週間と考えていました 彼女には手術不可能な脳腫瘍があり 私たちのもとに来る前の1週間で 急激に衰弱しました 部屋に入った後 ピンクとラベンダー色の服に身を包み 大好きなハローキティの アクセサリーに囲まれて 彼女は数日を過ごし すべてのスタッフの心を 掴んでしまいました 少しずつ 彼女の容態は安定し その後 驚いたことに 彼女の体調は改善しました 様々な要因が クリスタルの回復に寄与しました 私たちはこれを「ジョージ・マークの小康状態」 と呼ぶようになりました これは美しく 珍しくない現象で 病院の外で過ごすと 子供たちが当初の予後よりも 長生きすることです 彼女はより穏やかな雰囲気に囲まれ おいしい食事はしばしば 彼女の希望に合わせて作られ 常駐のセラピー・ドッグとウサギが クリスタルと一緒に 心地の良い時間を過ごしました

彼女が来てから1週間ほど経って 彼女はおばあさんに電話して こう言いました 「すごく大きな家にいるの おばあちゃんの泊まる部屋もあるよ それから 25セント硬貨を持って来なくていいの 洗濯機と乾燥機は無料なんだから!」

(笑)

クリスタルのおばあさんは すぐに町に訪ねて来て クリスタルの最後の4ヶ月 非常に特別な日々を 一緒に楽しんで過ごしました クリスタルが 車椅子に座って 屋外の噴水のそばで過ごす 特別な日もありました その前年のほとんどを 病院のベッドで過ごした少女にとっては 外でハチドリを数えられるということは おばあちゃんとの 楽しい時間となりました たくさん笑いました また別の日は チャイルド・ライフ・ スペシャリストが用意した 様々なアクティビティで 特別な日になりました クリスタルはビーズを使って 皆のためにアクセサリーを作り カボチャに色を塗って ハロウィーンの飾り付けを手伝いました 彼女は10歳の誕生日を計画しながら ワクワクした日々を過ごしました 当然誰も その日まで生きられるとは 思っていませんでした 私たちは皆この日のために ピンクのボアを身に着けて クリスタルはこのように その日のお姫様として キラキラの冠をかぶりました

ある暑い日の朝 私が職場に行くと クリスタルと彼女のいたずら仲間の チャーリーが私を出迎えました 助けを借りて 彼らは レモネードとクッキーの売店を 正面玄関の外に とっても戦略的に配置していました 私がクッキーを選んで 値段をクリスタルに尋ねると 彼女は「3ドルよ」と言い

(笑)

私は「クッキー1枚には少し高いかしら?」 と言いました

(笑)

小さかったんです 「わかってる」と 彼女はにんまりと笑って認めました 「でも 私はその価値があるもの 」

その言葉に私は 彼女の知恵を見出しました この少女の短い人生は 私の人生に永遠の影響を与えました 彼女には その価値がありました 恐ろしい病気によって 人生が縮められたすべての子供たちには その価値があるべきでは? こんにち 私たちは力を合わせて クリスタルが受けたものと同じ 専門的なケアの提供を可能にしています それは子供たちへの ホスピス・レスパイトケアが 私たちの医療から欠落している 重要な要素だと認識したからです もうひとつ興味深いことに このケアは 病院のICUの 約3分の1の費用で提供できます 家族は料金を請求されません 私たちの重要な仕事を 信じて下さる方々による 長年のご支援のおかげです

09:42 実に — この特別な知恵を体験できる 私や同僚、患者の親やその他の家族は 特別な立場にいるのです 独立型の小児ホスピスは 米国には2つしかありませんが 私たちの運営モデルに基づいて 現在18のホスピスが 準備段階にあると お知らせできることを嬉しく思います

(拍手)

10:11 それでも 毎年米国で亡くなる 子供たちの大半は 病室で息を引き取ります 機械のビープ音に囲まれ 不安で 疲れきった大人に囲まれ 彼らは このような不快で無機質な明かりの下で 我が子に別れを告げるしかありません それも実質 見知らぬ人々の中でです イギリスの状況と 比較してみましょう 人口は米国の1/5ほどで 国土はカリフォルニア州の 約半分の大きさですが ホスピス・レスパイトセンターは 54あります 何故でしょう? 私も何度も自問しました おそらく アメリカ人は特有の 何でもできるさというポジティブな姿勢で たとえ不治の小児疾患でも 自国の医療が治してくれるだろうと 期待するからではないでしょうか 私たちは 子供たちを生かすために 大変な努力を払いますが 実際には子供たちに与えてあげられる 最大の優しさは 平和で痛みの無い最期なのかもしれません 治療からターミナルケアへの移行は 多くの病院の医師にとって 難題の一つです 病院の医師が受けてきたのは 命を救う訓練であり 人生の終わりまで優しく患者を導く 訓練では無いからです 私たちが人生の終わりをお世話した 可愛い赤ちゃんのお父さんは まさにこの状況を捉えて こう振り返りました 「赤ちゃんをこの世に迎えるのには 多くの人々が携わるけれど 一方 赤ちゃんの最期を看取るのは 非常に少数のスタッフしかいない」

ジョージ・マークの魔法は何でしょう? 幼い患者たちは 込み入った症状を 抱えて私たちの元にやってきますが それは 往々にして彼らの生活が 制限されてきたことを意味します 長期にわたる入院生活を 課せられた子もいれば 車椅子の生活を 課せられた子もいますし 化学療法やリハビリといった 集中治療を課せられてきた子もいます 私たちはこうした「制限」から 自由になる先例を作っています 私たちの決まり文句は 「やろうよ」と 「いいね!」です だからこそ 私たちは 次の野球シーズンまでは 生きられそうにない男の子を ワールドシリーズ第5戦に 連れて行きました だからこそ 私たちは スタッフと子供主催のタレントショーを 家族や友人のために開きます 腕が萎縮しているために 足でピアノを演奏する少年に 魅了されない人がいるでしょうか? だからこそ 毎年プロムも行います とても素敵です 私たちがプロムを始めたのは 息子のタキシードの襟に 花を飾ることはないだろう というお父さんの嘆きを聞いたからです ダンスの前の数週間 ハウスは大騒ぎです 一番浮かれているのは スタッフなのか子供たちなのか—

(笑)

イベント当日の夜 ビンテージカーに乗って レッドカーペットを歩いて 大部屋に入ると 最高のDJがスタンバイ 準備万端のカメラマンが 参加者とその家族たちを 撮影しようと待ち構えています 今年 その夜の終わりに 朗らかなティーンエイジャーの少女の ケイトリンが お母さんにこう言いました 「人生で最高の夜だったわ 」 それがポイントなんです 最高の昼と夜とを捉えるため 制限を無くし 「イエス」という基本的な態度を持ち 「いいんじゃない?」と問うんです

結局 人生は短すぎます 85歳まで生きても 8歳までしか生きられなくても同じです 私を信じて下さい いえ私よりも サムを信じて下さい 私たちは死の存在を否定することで 人々を — 特に愛する子供たちを 守るのではありません 最終的には 私たちは人生の長さを 決めることはできません 私たちが決めることができるのは どう日々を過ごすかであり どんな空間を作るか 意味や喜びを感じるかです 私たちは運命を変えることはできません でもそこまでの旅路は変えられます いま 気づく時ではありませんか? 子供たちは 私たちの妥協のない勇気と 思い切った想像力を 受けるに価するのだと

ありがとうございました

(拍手)

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