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主に子どもがかかるマイコプラズマ肺炎が8年ぶりに流行している。国立感染症研究所の8日の発表によると、9月29日までの1週間に全国約500の医療機関から報告があった患者数は、1医療機関あたり1・64人(速報値)となった。現在の調査方法となった1999年以来、過去最多だった2016年10月17~23日の患者数に並んだ。
都道府県別では、福井が最も多い5・33人で、埼玉の4・25人、岐阜の3・4人、東京の2・96人が続いた。
マイコプラズマ肺炎は、発熱や全身のだるさなどが表れ、熱が下がった後も3~4週間せきが続く。多くは軽症だが、一部は重症化したり、心筋炎などの合併症を引き起こしたりすることがある。患者の8割を14歳以下が占め、治療には抗菌薬が使われる。
東京医科大の岩田敏兼任教授(微生物学)は「秋から冬にかけて感染が広がりやすく、手洗いや人混みでのマスク着用などの感染対策をとってほしい。せきがひどくなったり、発熱が続いたりする場合は、早めの受診を」と呼び掛けている。
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ジェネリック医薬品(後発薬)がある特許切れの先発薬の処方を患者が希望した場合の自己負担額が今月、引き上げられた。厚生労働省が導入した新制度で、安価な後発薬の使用を促し、医療費を抑制する狙い。
この制度では、後発薬の発売から5年以上たった先発薬か、後発薬の使用割合が50%以上の先発薬が対象。抗アレルギー薬「アレグラ」や胃腸薬「ガスター」など約1100品目が該当する。後発薬との価格差の25%が公的医療保険の適用外となり、医療機関や薬局の窓口で支払う自己負担額に上乗せされる。自治体から小児医療費の助成を受けている患者も、保険適用外分の支払いが生じるようになった。
例えば、自己負担3割の患者が、抗菌薬「ジスロマック錠250ミリ・グラム」を3日間服用する場合は支払額が288円から351円に上がる。一方、後発薬「アジスロマイシン錠250ミリ・グラム」を選べば、162円で済む。医師が、飲み合わせなどの医療上の理由から先発品が必要と判断したり、薬局に後発薬の在庫がなかったりした場合は、新制度は適用されず、負担額は増えない。
対象となる先発薬の一覧は、厚労省のウェブサイト
( https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html )に掲載されている。
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米国で今年3月、ブタの腎臓を人間の生きた患者に移植する手術を執刀した河合達郎・米ハーバード大教授(外科学)が、川崎市で読売新聞などの共同インタビューに応じた。河合教授は、動物の臓器を人間に移植する異種移植について、臓器提供者が不足する日本でこそ、実用化の議論を進める必要性を訴えた。主な一問一答は次の通り。
――手術結果への所感は。
移植したブタの腎臓は正常に働き、手術直後から尿を作り、特別な拒絶反応もなかった。移植は成功したと考える。ただ患者の心臓が想定以上に悪く、2か月弱で死亡した。なるべく他に疾患のない透析患者に実施することが望ましかった。
――米国社会の反応は。
批判の声は、あまり聞かなかった。私たちも当初はためらいがあったが、患者団体の集会で患者から泣きながら「異種移植を進めてほしい」と懇願され、初めて「やらねば」と思った。手術後、患者団体から励ましの声が寄せられた。
米国では、他に疾患のない透析患者だと4、5年待てば人間の腎移植ができるが、それでも関心は高い。日本は米国に比べ、臓器移植を受けられる機会が圧倒的に少ない。日本でこそ異種移植は必要で、数年以内に手術ができるよう議論を進めてほしい。
――医療コストと感染症の心配は。
異種移植は最初に遺伝子改変ブタの開発費がかかるが、手術後にかかる医療費は患者1人あたり年間100万円以下だ。透析を続けるよりQOL(生活の質)も良い。
サルで長年、移植の実験をして、未知のウイルス感染はない。今回の手術後も考えられる限りの検査を続けたが、異常はなかった。それでも異種移植を始めて何十年かは、慎重に感染症を調べる必要がある。
――今後も異種移植手術を続けるのか。
もちろんだ。ただ米食品医薬品局(FDA)は、他に方法がない治療としてしか認めていない。日本のように待機期間が長い国の患者を、米国で移植するアイデアを検討している。医療レベルが高く、術後のケアができる移植外科医や内科医がいる国が条件だ。
私が研修医の頃は人間の臓器で
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スウェーデンのカロリンスカ研究所は7日、2024年のノーベル生理学・医学賞を、米マサチューセッツ大のビクター・アンブロス教授(70)と、米ハーバード大のゲイリー・ラブカン教授(72)の、2氏に授与すると発表した。細胞内の物質「マイクロRNA」が遺伝子の活動を調整する仕組みを発見し、病気の早期診断や治療への活用が期待されている。
生命に不可欠なたんぱく質は、DNAを基にした遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」の情報から作られる。しかし、全ての細胞内に同じDNAが入っているにもかかわらず、どのようにして筋肉や神経など様々な種類の細胞として働くのか不明だった。
2人は1993年、線虫を使った実験で、マイクロRNAがmRNAに結合するとたんぱく質ができなくなると発表した。
その後、研究が進み、ヒトでも1000種類を超えるマイクロRNAが存在していることがわかった。マイクロRNAは遺伝子の働きを制御し、細胞などを正しく働かせる役割がある。その調節がうまくいかなくなることが病気の原因になり、難聴や目の障害、骨格障害などを引き起こすことも明らかになった。
マイクロRNAを活用したがんの治療法開発に取り組む名古屋大の近藤豊教授(腫瘍生物学)は、「ヒトを含む、ほぼ全ての生物に共通する重要な物質を発見した、すばらしい功績だ。がんの診断法や治療法の開発につながる可能性が高い」と話す。
同賞の選考委員会は2人の業績について「彼らの独創性に富んだ発見によって、すべての複雑な生命体にとって欠かせない遺伝子制御の新たな一面が解き明かされた」と称賛した。
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iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いて膵臓の細胞が正常に働かない重症の1型糖尿病を治療する治験について、京都大病院は2日、来年1月に開始すると正式に発表した。
対象となるのは血糖値を下げるインスリンが出なくなり、「膵島移植」の適応となる20歳以上65歳未満の患者3人。
計画では、健康な人のiPS細胞から数センチ四方の膵島細胞のシートを作って患者の腹部の皮下に複数枚を移植し、5年間経過を観察して安全性などを確認する。来年1月に患者の登録を始め、2月に1例目の移植を行うとしている。
医薬品医療機器法では、届け出から30日が経過しないと治験を始められないと定められている。京大病院は9月2日、治験の審査などを担う独立行政法人・医薬品医療機器総合機構に計画書を提出していた。
参加を希望する患者からの問い合わせは、京大病院のホームページで受け付ける。
治験責任医師の矢部大介教授は「まずは安全性を評価する治験だが、参加を希望される方はご連絡いただきたい」としている。
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高齢者らを対象にした新型コロナウイルスワクチンの定期接種が1日、全国の医療機関で始まった。オミクロン株の新系統「JN・1」に対応した5社製品が使われ、重症化予防が期待される。期間は来年3月末までとなる。
昨年度までは全世代が無料で接種を受けられたが、今年度からの定期接種は、65歳以上の高齢者と、重い基礎疾患を持つ60~64歳の人に限られ、最大7000円の自己負担が生じる。対象外の人は任意接種となり、全額自己負担で1万5000円程度かかる。
東京都の板橋区医師会病院ではこの日午前、地域の高齢者ら8人が米ファイザー製の接種を受けた。無職の男性(83)は「これから新型コロナの感染が広がるかもしれない。費用はかかっても、持病もあるので接種を受けようと思った。これで一安心」と語った。
厚生労働省は今年度、5社製品合わせて、任意接種分を含め計約3200万回分の供給を見込んでいる。
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東京都は26日、「マイコプラズマ肺炎」の患者報告数が1999年の統計開始以来、最多を記録したと発表した。手洗いや換気などの徹底を呼びかけている。
直近1週間(16~22日)の都内25か所の基幹定点医療機関を受診した患者は70人で、前週から29人増えた。今年は22日時点で累計の患者報告数が584人に上り、昨年1年間(50人)の12倍近くに達している。都は、今年が4年に1度の流行する年であることに加え、コロナ禍が収束して感染対策が緩んでいることが原因とみている。
マイコプラズマ肺炎は、せきが3~4週間ほど続く。まれに髄膜炎や脳炎などの合併症を起こす。飛沫や接触で感染が広がり、患者の多くは子どもが占める。
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厚生労働省は24日、米製薬大手イーライリリーが開発したアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」(商品名ケサンラ)について、製造販売を承認した。原因物質を脳内から除去するタイプでは「レカネマブ」(同レケンビ)に次いで2剤目となる。薬価(薬の公定価格)の審議を経て、11月にも保険適用される見通しだ。
ドナネマブは、患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイドβ(Aβ)」の塊を取り除き、病気の進行抑制を狙う。対象は、認知症の前段階となる軽度認知障害(MCI)を含むアルツハイマー病の早期患者で、点滴で月1回、最長1年半投与する。1年をめどに検査し、Aβの塊が消えたことが確認できれば、投与をやめられる。
また、大塚製薬のうつ病などの治療薬「ブレクスピプラゾール」(商品名レキサルティ)について、アルツハイマー病が原因となるアルツハイマー型認知症に伴う暴言や暴力などの治療に使えるようにする適応拡大を承認した。
この薬は、脳内の神経伝達物質の働きを調整する飲み薬。認知症患者の不安や焦り、興奮から起こる暴力や暴言を抑える薬としては、米国など4か国・地域で承認されている。
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文部科学省は、大学発の医療系スタートアップ(新興企業)を財政面や人材面などでサポートする国内4か所の支援拠点を選定した。優れた医薬品や医療機器の実用化を支援したり、海外に販路を拡大するノウハウを伝えたりしてビジネスにつなげられるようにする。
4拠点は筑波大、慶応大、九州大、国立がん研究センター。有望な創薬技術などを持ちながら資金や経験の不足で事業化に失敗する新興企業が多い中、様々な分野の専門家を擁する拠点が起業当初から側面支援する。
特に筑波大、慶応大、九州大は、交流のある米スタンフォード大や米カリフォルニア大サンディエゴ校などの協力も得て、海外展開を支援する。米国の大学は多くの有力な医療系新興企業を育成しており、産学連携や新薬の臨床試験、販路拡大に関する豊富な経験を日本側に伝えてもらう。
文科省は計約150億円の関連予算を確保し、起業に必要な人件費や研究費など、5年間で1拠点あたり約30億円を補助。国内大手の投資会社などとも連携し、有望技術の発掘から資金調達まで切れ目のない支援体制を整える。
コロナ禍では、米欧の新興企業がいち早くワクチン開発に成功した。文科省の担当者は「日本のライフサイエンス分野の優れた研究成果をビジネスや経済成長につなげたい」と話す。
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重い腎臓病の胎児にブタの腎臓を一時的に移植する臨床研究について、東京慈恵医大などのチームが近く、学内の委員会に実施の審査を申請することがわかった。委員会の議論が順調に進めば、年度内にも移植計画を国に申請する。
同大や国立成育医療研究センターなどのチームによると、移植の対象になるのは腎臓の形成不全で尿を出せない「ポッター症候群」の胎児。妊婦の超音波検査などで判明するが胎児期に有効な治療法がなく、死産や出産直後の死亡例も多い。
移植手術は出産予定日の約4週間前に行う。特殊な注射針で胎児の背中の皮下に、受精後30日のブタ胎児の腎臓(約2ミリ・メートル)を注入する。出産の数週間後、赤ちゃんが成長して透析治療を安全に受けられるようになれば、ブタの腎臓を摘出する。
動物の臓器を移植する「異種移植」は国内で前例がなく、移植対象が胎児という点も考慮し、同大では患者団体の関係者や学外の専門家も交えた特別委員会を新たに設置。チームは月内にも審査を申請する計画だ。また市民向けシンポジウムを開き、専門家以外の意見を聞く機会も設ける。研究チームの横尾隆・慈恵医大教授は「早ければ2026年にも1例目の手術を行えるよう準備を進めたい」と話している。
異種移植は、移植用臓器の不足を補う医療として世界的に注目され、米国や中国ではブタの心臓や腎臓の移植手術が行われている。国内では、厚生労働省の専門家部会が異種移植の実施に向けて、指針の改定作業を進めている。