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ドクターズゲートの配信する医療ニュースについて
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  •  厚生労働省は17日、全国約5000か所の定点医療機関から6~12日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数が、1医療機関あたり35・02人だったと発表した。前週(33・82人)の1・04倍で2週ぶりに増加に転じた。今後も流行が続く可能性があり、専門家は「今からでもワクチンの接種を検討してほしい」と呼びかけている。

     日本感染症学会の石田直・インフルエンザ委員会委員長は「コロナ禍でインフルエンザが流行せず、ウイルスから防御する抗体の保有率が低下していることが今季の流行要因の一つではないか」と分析する。現在流行しているウイルスは、2009年に「新型」として流行した「A型」(H1N1)で、2月以降は、「B型」が広がる可能性がある。

     インフルエンザの感染拡大を受け、厚生労働省は17日、製薬会社や卸売業者の治療薬の在庫量について、12日時点で約1110万人分あると発表した。国立感染症研究所によると、定点医療機関の報告をもとに推計される6~12日の医療機関の受診者数は約145万人で、厚労省は「在庫は確保できており、医療機関は適切に発注してもらいたい」としている。
  •  インフルエンザが猛威を振るっている。国立感染症研究所によると、昨年12月29日までの1週間の感染者数が1医療機関あたり64・39人と、過去最多となった。年末年始を挟んで感染者数が減ったものの、今後も流行が続く可能性がある。コロナ禍でインフルエンザに対する免疫力が低下していることが要因とみられる。

     東京都渋谷区の「KARADA内科クリニック渋谷」では16日午前、発熱を訴える患者が次々と訪れた。1日30人ほどの発熱患者のうち、半数がインフルエンザと診断される。田中雅之院長は「年末には1日100~150人が受診に来た。感染状況には波があるので、再度、患者が増える可能性がある」と語る。

     日本感染症学会の石田直・インフルエンザ委員会委員長は「コロナ禍でインフルエンザが流行せず、ウイルスから防御する抗体の保有率が低下していることが今季の流行要因の一つではないか」と分析する。感染研の調査では、コロナ禍の間に生まれた0~4歳の抗体保有率が低くなっている。

     子どもはまれにインフルエンザ脳症を起こし、命に関わることもある。日本大の森岡一朗教授(小児科)は「けいれんを起こす、目線が合わない、ぼーっとしているなど、いつもと異なる様子が見られる時は、迷わず医療機関に受診を」と注意を促す。

     現在流行しているウイルスは、2009年に「新型」として流行した「A型」(H1N1)で、2月以降は、「B型」が広がる可能性がある。型が異なると、再度感染する恐れもある。石田委員長は「今からでもワクチンの接種を検討してほしい」と呼びかけている。
  •  政府は救急患者の搬送にあたり、患者情報を多数の病院と共有して短時間で受け入れ先を確保するシステムの全国展開を目指す。患者のたらい回しを回避する狙いで、一部自治体が先駆的に実施している搬送調整システムを全国に拡大させる。政府は、搬送時間の短縮によって、患者の救命率向上につなげたい考えだ。

     新たな搬送調整システムについて、政府は2025年度にも希望する自治体から先行導入を始める方向だ。システムでは、現場に駆けつけた救急隊が患者の氏名や患部の画像などを入力し、医療圏を指定して送信すると、情報が圏内の病院に即時共有される。病院側は受け入れの可否をシステム上で返答し、救急隊は電話で最終確認を取って搬送する。

     システムは、災害時に都道府県をまたいで医療機関の状況を共有できる「広域災害救急医療情報システム」(EMIS)を母体とし、平時でも使いやすい仕組みに改修することを検討している。独自の救急システムを構築している自治体との情報連携も目指す。

     さらに、「マイナ保険証」とも連動させ、救急車内の端末でカードを読み取ると、登録された通院歴や処方薬などの情報が病院に共有されるようにする方向だ。

     厚生労働省と総務省消防庁は近く、一部自治体の協力を得て、救急隊がウェブ上で患者情報などを入力・送信し、医療機関と共有するモデル事業を実施する。結果を踏まえて、来年度から希望自治体を募り、新システムの実装に着手する方針だ。

     従来の搬送調整では、救急隊が病院に個別に電話連絡し、搬送先を探す方法が一般的だった。受け入れ不可の場合は別の病院に改めて電話をかける必要があり、搬送開始まで長時間かかるケースも多かった。

     政府は、一部自治体が独自のシステムやアプリで行っている搬送調整を国が用意することで、財政事情が厳しい自治体でも採用できる状況を整えたい考えだ。システムの活用によって各病院の病床の 逼迫ひっぱく 度合いが可視化されるため、救命救急医療にあたる医療機関ごとの負担の偏りが解消される効果にも期待を寄せている。
  •  角膜の細胞が減り視力が落ちる「水疱性角膜症」の患者の目にiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の細胞を移植する臨床研究で、患者の矯正視力が0・5に回復したと、藤田医科大や慶応大などの研究チームが発表した。13日付医学誌「セル・リポーツ・メディシン」に論文が掲載された。

     水疱性角膜症は、黒目の内側で水分量を調節する「角膜内皮細胞」が減って角膜が水ぶくれし、視界が濁って視力が落ちる。白内障手術などの合併症として発症する例が多く、放置すると失明の危険もある。

     チームは2022年10月、健常者のiPS細胞から作製した角膜の細胞約80万個を、70歳代の男性患者の左目に特殊な注射器で移植した。男性は手術前に眼鏡をかけても視力が0・02で「矯正不能」と判定されていたが、術後1年までに眼鏡で0・07、コンタクトレンズで0・5まで回復した。視界の濁りや角膜の水ぶくれも改善したという。

     移植後に副作用や合併症は確認されていないが、移植に使った角膜の細胞で、がんを抑制している遺伝子の配列に変異が見つかった。研究チームは遺伝子の配列を移植前に4回検査し、最初の3回は正常だった。4回目の検査は移植直前に行い、移植後に変異が判明した。変異があったのは遺伝子の機能に影響がない部位で、チームは健康に影響する可能性は低いとみている。

     角膜移植の待機患者数は現在、全国で2000人近いとされる。今回の研究が実用化すれば、献体を必要とする角膜移植に代わる可能性があり、慶応大発の新興企業「セルージョン」(東京)が治験の準備を進めている。
  •  厚生労働省は9日、全国約5000か所の定点医療機関から昨年12月23~29日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数が、1医療機関あたり64・39人だったと発表した。現在の集計方法になった1999年以降で最多となった。専門家は、「学校の冬休みが明け、さらに感染が拡大するおそれがある」と注意を促している。

     感染者数は前週(42・66人)の1・51倍だった。全都道府県で前週を上回り、大分の104・84人が最多となり、鹿児島96・40人、佐賀94・36人が続いた。秋田、山形、富山、沖縄を除く43都道府県で「警報」の基準(30人)を超えた。

    厚生労働省は9日、全国約5000か所の定点医療機関から昨年12月23~29日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数が、1医療機関あたり64・39人だったと発表した。現在の集計方法になった1999年以降で最多となった。専門家は、「学校の冬休みが明け、さらに感染が拡大するおそれがある」と注意を促している。

     感染者数は前週(42・66人)の1・51倍だった。全都道府県で前週を上回り、大分の104・84人が最多となり、鹿児島96・40人、佐賀94・36人が続いた。秋田、山形、富山、沖縄を除く43都道府県で「警報」の基準(30人)を超えた。

     これまでの最多は2019年1月下旬の57・18人(確定値)だった。

     今シーズンは、昨年12月上旬から感染者数が急増した。峯真人・日本小児科医会理事は、「爆発的な流行になっている。例年の傾向を踏まえると、冬休みの影響でいったん感染者数は落ち着くが、学校などが再開すると、再び流行が広がる可能性がある。マスクの着用や手洗いなど基本的な感染対策を徹底してほしい」と呼びかける。

     沢井製薬(大阪市)はインフルエンザ治療薬「タミフル」のジェネリック医薬品(後発薬)が、需要増加で生産が追いつかなくなったとして、カプセルとドライシロップの供給を一時的に停止している。タミフルなど別の薬の供給にも影響が出始めた。厚労省は9日、治療薬が不足するおそれがあるため、医療機関や薬局などにインフルエンザ治療薬の過剰発注を控えるよう求める文書を出した。
  •  大腸がんの肝臓への転移に対して、国内では未承認の悪性リンパ腫の治療薬が効く可能性があることを、マウスを使った実験で突き止めたと医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府)などの研究チームが発表した。論文が国際科学誌に掲載された。

     この薬は、悪性リンパ腫の薬としてドイツ製薬・化学大手バイエルが開発し、米国、台湾、中国で承認を得て販売している「コパンリシブ」。大腸がんの薬にはなっていない。

     国内の大腸がんによる死者は年間約5万人で、うち半数以上が肝転移によって死に至ったとされる。肝転移には切除手術が最も有効だが、5年以内に7~8割が再発している。

     同研究所創薬デザイン研究センターの足立淳・副センター長らは、大腸がんの患者のうち、肝転移した腫瘍を摘出後、抗がん剤治療中に肝臓にがんが再発した悪性度の高い症例に着目。採取した腫瘍の組織を網羅的に調べた。

     抗がん剤治療の前後の腫瘍を比較したところ、再発した腫瘍で特定のたんぱく質が活性化していることが判明。このたんぱく質の働きを抑えられそうな薬剤の候補が、コパンリシブを含めて五つ見つかった。

     コパンリシブを、肝転移の病巣に見られる悪性度の高い細胞や、この細胞と同じ特徴を持つ腫瘍が体内にあるマウスに投与すると、いずれもがん細胞の増殖が抑えられた。

     足立副センター長は「研究成果が、大腸がんでの治験の実施や新薬の開発につながれば」と話す。

     東京大医科学研究所病院の朴成和教授(腫瘍内科)の話「今回の研究は、がん細胞内で働いているたんぱく質から新薬候補を見つけ出した点がポイントだ。効く患者を見定め、効果的に治療できるようになることが期待できる」
  •  小林製薬(大阪市)の「紅麹」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、大阪大などのチームは7日、サプリ摂取後に医療機関を受診した患者192人の分析結果を公表した。経過が確認できた患者の9割近くで摂取中止から2か月が過ぎても腎臓機能の低下が続いていた。日本腎臓学会の調査結果を解析し、論文が国際医学誌に掲載された。

     阪大の松井功講師(腎臓内科学)らのチームは、昨年3~6月に同学会が会員医師に行ったアンケート調査を分析した。

     その結果、腎機能の指標「eGFR」について、経過のデータが確認できた100人のうち、87人がサプリ摂取中止から約2か月が経過しても腎機能障害を示す60未満だった。

     60未満が3か月続けば「慢性腎臓病」と診断されるため、今後も長期的な経過観察が必要になるという。
  •  医師が治療しながら負傷者を搬送できるドクターヘリを大規模災害時に有効活用するため、厚生労働省が運用指針を年度内にも改定する。昨年の能登半島地震では孤立集落から患者を搬送した一方、離着陸場所が決まらず時間がかかった。同省は都道府県の災害対策本部が運航調整を一括して担い、病院側が救急搬送に集中できる体制を目指す。

     厚労省などによると、東日本大震災時に全国で26機あったドクターヘリは現在57機。熊本地震後の2016年12月に運用指針が策定され、能登半島地震では8機が出動、計84人を搬送して大きな役割を担った。

     しかし、認定NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク(ヘムネット)によると、能登半島地震の発生直後、各地から応援に来たドクターヘリの離着陸場所の確保が難航した。消防や自衛隊などとの情報共有が十分でなく、複数のヘリが同じ現場に向かう混乱があった。石川県の災害対策本部とヘリを指揮した被災地の病院の双方に患者情報の連絡や問い合わせが相次ぎ、情報が錯綜したことも要因とみられる。

     改定では災害対策本部側と病院側の役割分担を明確にする。ヘリの離着陸場所や、どの機関のヘリが現場に向かうかについて、災害対策本部側が情報のやりとりを一手に引き受け、調整していく考えだ。同本部側から調整結果の連絡を受けた病院側は、患者の具体的情報や被災地の状況の共有に集中できる。

     また都道府県に対し、ヘリ運用に向けた訓練の実施を求める。関係機関と調整して離着陸場所や給油先などを具体的に設け、訓練することで実効性を高める。

     災害時のドクターヘリ運用を研究している鳥取大の本間正人教授(災害医療)は「大都市の災害でも交通まひが生じ、搬送に時間を要する。ヘリを生かせる体制はどの都道府県でも求められる」と指摘する。
  •  厚生労働省は、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の提示だけで、子どもや難病患者らが医療費助成を受けられる仕組みを全国に広げる方針を固めた。一部の自治体で先行実施している体制を、2026年度以降に拡充して実現を目指す。患者は紙の受給者証が不要になり、医療機関の事務作業も軽減される。

     公的医療保険でかかった医療費は、患者が原則1~3割を負担する。子どもや難病の患者らは、自己負担の一部または全てを自治体から助成を受けられるケースがある。医療機関や薬局の窓口で健康保険証と、自治体が発行する受給者証を一緒に提出する。

     新たな仕組みでは、患者がマイナ保険証をカードリーダーにかざせば、加入する健康保険組合などの医療保険に関する確認と同時に、自治体の医療費助成の手続きが完了する。精神疾患の通院費や、ひとり親家庭の親子の医療費なども対象となる。医療機関や薬局のスタッフが、受給者証の情報をコンピューターに手入力する作業も省ける。

     マイナ保険証で助成手続きが済む仕組みは23年度から183の自治体で先行して行われている。厚労省は関係法を改正した上で、全国展開を始める考えだ。

     マイナ保険証の利用率は昨年10月現在で15%程度。20歳以上が13~21%台に対し、20歳未満は7~8%台にとどまる。新たな仕組みで利便性が高まり、子どもらの利用率向上が期待できるという。
  •  交代制で24時間勤務の通常の救急隊とは別に、搬送依頼が集中する平日の日中だけ稼働する「日勤救急隊」が全国の消防に広がっている。高齢化で増え続ける搬送依頼に対応し、働き方改革につなげるためだ。総務省消防庁によると、今年4月時点で全体の13%に相当する95消防本部が導入。現場到着までの時間が短縮される成果も上がっている。

     同庁によると、昨年の救急車の出動件数は過去最多の763万7967件(速報値)で、20年間で約1・5倍になった。高齢化で急な体調不良を訴える患者が増えているほか、救急車をタクシー代わりに使う患者もいて、2022年は搬送者の半数近くが入院不要の軽症だったという。

     救急車の現着所要時間も延びている。22年は前年から0・9分延び、過去最長の10・3分。20年前の6・3分から4分遅れている。また、22年で搬送最多の時間帯は午前10時~正午。午前8時から午後6時までに、搬送人員の約6割が集中していた。

     救急現場では「勤務日の朝から翌日朝まで24時間勤務に入り、その後休む」というのが一般的だが、介護や子育てなどを抱える職員もいる。日勤救急隊は、こうした職員らが忙しい日中に交代制で稼働し、全体の出動の負担を軽減させる仕組みで、全国の消防で導入が相次いでいる。

     昨年7月に導入した富山市消防局では、今年3月までに現着時間を前年比で約50秒短縮。名古屋市消防局も昨年4月に2隊を導入し、約16秒縮めた。また、21年から導入した群馬県の高崎市等広域消防局は、育休を取得した隊員の復職支援で活用する。今年4月に復帰し、日勤の隊員として働く秋山彩夏さん(29)は「復帰後も現場に出たかったのでありがたい」と話す。

     今年5月に導入した高松市消防局ではシニアが活躍。隊長の伏見忠さん(61)は20年以上の救急隊経験があり、定年延長を機に志願した。「通常勤務は体力的に厳しいが、日勤なら無理なく働ける。経験を生かして貢献できれば」と語った。
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