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ドクターズゲートの配信する医療ニュースについて
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  •  人工妊娠中絶に使う国内初の飲み薬「メフィーゴパック」について、厚生労働省は25日、入院できる病床がある医療機関だけでなく、無床診療所にも使用を広げる見直し案をまとめた。国の研究で、従来の手術より安全だとする調査結果が示されたことを踏まえたもので、自民党厚労部会小委員会に報告した。厚労省はこの案を軸に見直しの検討を進め、8月にも専門家部会で議論する方針だ。

     この飲み薬は、昨年5月から母体保護法指定医のもとで使われている。中絶の確認まで入院か院内の待機が必須条件になっている。

     見直し案は、緊急連絡体制の確保などの条件を満たせば無床診療所で使用できるほか、服用した妊婦が、医療機関の近くに住む場合は帰宅を認めた。

     研究は、昨年5~10月に2096施設で行われた中絶3万6007件を分析。子宮破裂や大量出血など重い合併症は、手術では0・2~0・6%の割合で起きたが、飲み薬は0件だった。

     調査をまとめた中井章人・日本産婦人科医会副会長は「中絶の安全性を高めるには、この薬を普及させることが必須と考える。見直しの検討と合わせ、医師らが適切な情報提供を進めることが重要だ」と話している。
  •  厚生労働省は24日、保有する新型コロナウイルス治療用の中和抗体薬について、計約160万人分を廃棄する案を専門家委員会に示し、了承された。一般流通は行われず、国が希望する医療機関に配分してきたが、通常の医療体制に移行したことに伴い、5月末で配分を終了したためだ。今後、別の専門家部会にも諮り、最終決定する。

     廃棄されるのは、「ロナプリーブ」が約124万人分、「ゼビュディ」が約27万人分、「エバシェルド」が約11万人分。2021年7月以降に承認され、厚労省が必要量を確保してきた。しかし、新型コロナの変異に伴って治療効果が下がり、異なるタイプの抗ウイルス薬が優先的に使われるようになった。

     抗ウイルス薬は不測の事態に備えて、厚労省が約435万人分の保管を続けるが、使用期限を迎えたものは順次廃棄する方針だ。
  •  厚生労働省は、帯状疱疹を予防するワクチンについて、接種費用を公費で補助する「定期接種」に位置づける方針を固めた。重症化防止を目的に、65歳で接種する案を軸に検討を進めている。国内では接種対象などが異なる2種類のワクチンが実用化されているが、現在の任意接種ではそれぞれ1万円程度、4万5000円程度の費用がかかる。

     接種開始の時期などは今後詰めるが、両ワクチンの製造会社はともに、2025年4月からでも供給可能としている。

     帯状疱疹は水ぶくれを伴う発疹が出る感染症で、重症化すると失明や難聴、顔面まひなどの後遺症が残る恐れがある。体内の神経に長く潜んだ水ぼうそうウイルスが加齢やストレスで活発化して起こる。
  •  iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使って、血液のがんである白血病や新型コロナウイルス感染症の治療応用を目指す京都大発の新興企業が、治療用に開発した免疫細胞の最先端技術を2025年大阪・関西万博に出展する計画を進めている。治療のイメージをコンピューターグラフィックス(CG)を使って立体化した「3Dホログラム」で展示する方向で検討している。23日午後に発表される。

     出展を計画しているのは、京大医生物学研究所の河本宏教授(免疫学)が19年に創業した「リバーセル」(京都市)。河本教授のチームは、様々な細胞に変化するiPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)を使って、白血病のがん細胞や新型コロナウイルスの感染細胞を撃退する免疫細胞「キラーT細胞」を大量に作製することに成功した。

     25年度には、急性骨髄性白血病の患者10~20人を対象にした医師主導治験を京大病院で開始し、早ければ28年頃の実用化を目指す。

     万博への出展は、公益財団法人「大阪産業局」の支援プロジェクトの一環で実現。キラーT細胞ががん細胞などを撃退する様子を再現するという。

     河本教授は「iPS細胞などからキラーT細胞を作る技術は、これまでの治療法とは桁違いの効果が出る可能性がある。万博での展示を多くの人に知ってもらうきっかけにしたい」と意気込んでいる。
  •  新型コロナウイルスの感染者数の増加を受け、厚生労働省は22日、感染症などの有識者を同省に集め、初のヒアリングを実施した。参加者から、沖縄県など入院調整が必要な地域があるが、医療提供体制は逼迫していないと報告された。武見厚労相は「(過去と同様に)夏の間に一定の感染拡大が生じる可能性がある」とし、医療機関や高齢者施設などとの連携を徹底する方針を示した。

     コロナの治療費は4月、公費支援がなくなった。軽症・中等症用の抗ウイルス薬(飲み薬)は、自己負担が3割の患者は約1万5000~3万円を支払う。有識者からは、負担軽減策の検討を求める意見が出た。

     また、国立感染症研究所からは、感染の主流となっているオミクロン株の新系統「KP・3」について「(重症化など)リスクが高まっているという知見はない」との報告があった。脇田隆字・感染研所長は会合の終了後、「熱中症とコロナの区別は(患者には)難しい。調子が悪ければなるべく受診をしてほしい」と語った。

     同省はこれまで、専門家による助言機関から感染状況や対策の意見を求めてきた。3月末に助言機関が廃止されたため、今回のヒアリングの場が設けられた。
  •  2024年度から始まる新型コロナウイルスワクチンの定期接種について、厚生労働省は、10月1日をめどに開始する方針を固めた。期間は25年3月31日までで、各自治体が設定する。今後、審議会で議論し決定する。

     定期接種は、65歳以上の高齢者と、重い基礎疾患を持つ60~64歳の人が対象で、接種回数は1回となる。接種費用の一部は国が市町村に助成し、自己負担額は最大7000円となる。

     対象外の人は「任意接種」で、原則全額自己負担となる。費用は医療機関などによって異なるが、1万5000円程度となる見込みだ。

     ワクチンは、変異株オミクロン株の新系統「JN・1」やその派生型に対応したものを使う。
  •  新型コロナウイルスの感染状況について、厚生労働省は19日、全国約5000か所の定点医療機関から8~14日の1週間に報告された感染者数が、1医療機関あたり11・18人だったと発表した。前週(8・07人)の1・39倍で10週連続で増加した。ワクチンや過去の感染で作られた抗体をすり抜けやすい変異株「KP・3」への置き換わりが影響したとみられる。

     感染拡大を受け、厚労省は22日に有識者を同省に集め、医療機関や高齢者施設の状況についてヒアリングすることを決めた。
  •  厚生労働省の専門家部会は19日、医療機器大手「テルモ」(東京)が製造・販売し、重症の心臓病治療に使われている再生医療製品「ハートシート」について正式承認は「適切ではない」とする結論をまとめた。ハートシートは2014年に始まった再生医療製品の条件・期限付き承認制度で適用第1号となり、保険適用されている。

     ハートシートは、重症の心臓病患者の太ももから採取した筋肉の細胞を培養してシート状にし、患者自身の心臓に貼って心拍を回復させる製品で、15年に同制度の適用を受けた。厚労省は正式承認の条件として、テルモに対し患者60症例の報告と有効性の検証を求めたが、当初の期限だった5年間で十分な症例が集まらず、期限の延長が認められていた。

     専門家部会はこの日、テルモが提出したデータを検証した結果、ハートシートを使わなかった集団と比べて「優れた結果は認められなかった」などとした。正式承認については今後、同省薬事審議会で審議するとしている。

     重い心臓病患者に対する再生医療製品は、他にiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の製品を移植する治療法があり、東京の新興企業「クオリプス」が承認申請を準備中。一方、慶応大発新興企業「ハートシード」が治験を進めている。

     ◆ 条件・期限付き承認制度 =再生医療製品が治験で安全性が認められ、有効性が明確でなくても推定できれば販売を認める制度。期限内に治療効果を検証し、正式承認の手続きに進む。通常の医薬品より早く製品を実用化する狙いがある。
  •  三重大学は18日、産業用大麻の研究開発を進める「神事・産業・医療用大麻研究センター」を開設したと発表した。麻薬成分が少ない産業用大麻は古来、神社のしめ縄や衣料などに活用されてきた。近年はバイオプラスチックやバイオ燃料の原料として再注目されつつある。センターは各学部と連携し、新品種の開発や効率的な生産技術の確立を進め、産業用大麻の安定的な生産を支援したい考えだ。(松岡樹)

     産業用大麻はかつて、衣類や漁具など幅広く利用された。1950年代半ばには全国で約3万7000人の生産者がいたとされる。その後、外国産の繊維や化学繊維が普及して需要が減った。国の規制強化もあり、2022年時点の大麻の生産者は27人に減った。

     一方、海外では産業用大麻が「環境に優しい新素材」として注目され、自動車の車体や建材など様々な分野で活用が進む。

     三重大の研究センターが扱う産業用大麻は、麻薬成分の含有量が極めて低いもの。2~3年後までに、神事に使われるしめ縄などに適した新品種を開発することを目標に掲げる。向精神作用のない有効成分の活用なども研究する。

     三重大は昨年3月から、産業用大麻とゆかりのある明和町や生産者と連携し、大麻を生産するプロジェクトを始め、明和町の斎宮跡などで無毒性の大麻を栽培してきた。センターは医学部や工学部と連携しながら、生産プロジェクトも支援していく方針だ。

     18日に記者会見した諏訪部圭太センター長は「学内の全ての学部を巻き込み、産業や医療に応用・活用していく道ができた。さらなる実用化に向けて研究していきたい」と力を込めた。
  •  目で見た物の形や色を一時的に覚える脳の「視覚記憶」の仕組みをサルで解明したとする研究成果を、量子科学技術研究開発機構などのチームが発表した。認知症など、視覚記憶に障害が起きる病気の研究に役立つ可能性があるという。

     視覚記憶はこれまで、脳の左右にある側頭葉の一部が関わるとされていた。同機構の平林敏行・主幹研究員(神経生理学)らのチームは、サルに図形を見せて数秒間覚えさせ、脳の活動部位を調べる実験を行った。その結果、側頭葉に加え、前頭葉の一部で目の奥にある「眼窩前頭皮質」が活発に働くことを発見した。

     この部位の活動を人工的に抑えたサルは、物を見ることはできても、見た図形を当てる実験の正答率が下がった。この部位は意思決定など記憶以外の役割が判明していたが、側頭葉とのネットワークによって視覚情報を一時的に覚える働きがあることを突き止めた。論文は国際科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

      大阪公立大の水関健司教授(神経生理学)の話 「視覚記憶障害が起きる病気の研究で、標的にすべき脳の領域が判明したことは意義深い。長期記憶や聴覚などで同様の仕組みがあるかの研究が待たれる」
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