第5回

医療機器のこれから&若手医師に伝えたいこと(2/2)

2017.3.1(Wed)

若手医師へのメッセージ

― では後進の医師に向けて、メッセージをお願いします。

福永
今の若い医師がどう考えているのかは分からないけれど、僕自身は腹腔鏡手術も開腹手術も治療の中の一部に過ぎず、これらだけがいいものだとは思っていません。患者さんを治療するうえで使えるツールは多くあった方がいいです。その意味で、あらゆる手技を勉強してほしいですね。開腹手術を勉強すれば腹腔鏡手術に役に立つし、腹腔鏡手術を勉強したら開腹手術にも役に立ちます。僕たちが腹腔鏡手術を始めた頃は「開腹手術VS腹腔鏡手術」みたいな感じで、「どちらがいいのか」という時代でした。今はそういう時代ではありません。一人の医師が開腹手術も、腹腔鏡手術もする時代なんです。そのうち、さらに新しいツールが出てくるはずですが、僕はそれが出てきたときに、腹腔鏡手術を批判した、かつての医師のようにはなりたくないですね。若い先生方も新しいツールを素直に受け入れ、きちんと身につけ、正しいものかどうか評価してほしいです。
古閑
僕のキャリアは研究歴が長く、脊椎の内視鏡手術に取り組むようになったのは40歳を過ぎた頃でした。かなり年を取ってから、始めたんです。でも、そんな年齢からでも、やる気さえあれば、トップに行けます。ましてや医学部を卒業したばかりの24歳の若い人たちはもっとチャンスがあります。決めてかからないで、何にでも挑戦してほしいと思っています。
福永
同感ですね。昔、胃がんの専門家にはものすごい大御所が多くて、胃がんの専門家で教授になるというと、かなり年齢がいってからだった。でも、今は僕を含めて、胃がんや大腸がんの腹腔鏡で地位をしっかり確立して、いいポジションについている人が多い。そういう意味では腹腔鏡は医学の流れを変えたと思う。若い医師にもそういうチャンスがあるので、頑張ってほしいですね。
古閑
先入観で決めつけない方がいい。昔は開腹手術が胃がんの治療法だと言われていたけれど、あっという間に腹腔鏡手術に取って代わられた。これがもっと変わってくるかもしれないし、多分、変わる。その可能性はあるね。若い医師がその可能性にコントリビュートできるのは大きなチャンスだと思う。なぜかと言うと、医学の発展だけではなく、それをサポートする機器の開発など、社会全体の色々な分野が医学を後押ししているからです。
福永
そう思うよ。そういう時代になっているよね。
古閑
だから期待して、頑張ってほしい。
福永
腹腔鏡手術はなくなるかもしれないけれど、なくなってもいい。理想は患者さんが良くなることだから。腹腔鏡がなくなっても、もっといいものが現れたら、それでいい。
古閑
治療は進化しているよね。
福永
抗がん剤も本当に効くね。僕たちが医師になった頃と今とでは胃がんの考え方は全く違う。乳がんの世界で起きていることは5年後に大腸がんで起きる。僕たちが医師になった頃は乳がんは大きく取っていた。今はそんな時代ではない。抗がん剤やホルモン剤が出てきて、それがどんどん効くようになった。そうなると、外科の治療も大きく変わる。大腸はそうなりつつあるから、大腸の世界で起きていることが5年後に胃がんでも起きてくる。そして、次は食道がんや肝臓がん、膵臓がんに起きてくる。というのも、昔、胃がんになぜ大御所がいたかと言うと、彼らが「胃がんは特別だから。大腸がんでできることが胃がんではできない」と言っていたからだ。でも、胃がんは全く特別ではない。僕たちは胃がんだけではなく、乳がんも大腸がんも食道がんもやってきたから分かる。若い医師にも先を見ることが大事だと理解してほしい。
古閑
同感だね。
福永
今、生きている人が言っていることが全て真実ではない。大御所が言っているからといって、決して正しいわけではない。ほかの診療科でどんなことをしているのかを見たりして、医学全体を見る目を養ってほしいです。
古閑
今日はどうもありがとう。
福永
こちらこそ、ありがとう。

トップドクター対談第2弾は徳田安春先生と古閑比佐志先生です!

  • プロフィール
    福永 哲(ふくなが てつ)
    順天堂大学医学部
    消化器・低侵襲外科 教授

【略歴】

1962年
鹿児島県奄美市生まれ。
1988年
琉球大学を卒業
順天堂大学医学部附属順天堂医院外科で研修を行う。
1992年
順天堂大学医学部附属浦安病院外科勤務(助手)。
1994年
米国ピッツバーグ大学 麻酔・集中治療部に留学(リサーチフェロー)。
1996年
順天堂大学医学部附属浦安病院 勤務。
2004年
癌研究会附属病院消化器外科 勤務。
2007年
がん研有明病院消化器外科 勤務。
2008年
徳島大学医学部臓器病態外科学臨床教授
2009年
聖マリアンナ医科大学消化器・一般外科臨床教授 併任。
2010年
聖マリアンナ医科大学消化器・一般外科教授 就任。
2015年
順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器・低侵襲外科教授 就任。
聖マリアンナ医科大学消化器・一般外科客員教授 就任。

【資格・所属学会】
日本外科学会指導医・専門医
日本消化器外科学会指導医・専門医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本がん治療認定医など。

  • プロフィール
    古閑 比佐志(こが ひさし)
    岩井整形外科内科病院
    副院長/教育研修部長

【略歴】

1962年
千葉県船橋市生まれ。
1988年
琉球大学卒業。琉球大学医学部附属病院で研修。
1988年
9月に沖縄赤十字病院
琉球大学医学部脳神経外科研究生
1989年
琉球大学医学部脳神経外科助手
1990年
沖縄県立八重山病院脳神経外科
1991年
琉球大学医学部附属病院脳神経外科
1992年
新潟大学脳研究所神経病理学講座に特別研修生として出向
1994年
北上中央病院脳神経外科
琉球大学医学部附属病院
1995年
豊見城中央病院脳神経外科
熊本大学大学院研究生
小阪脳神経外科病院脳神経外科 勤務
1998年
Heinrich-Pette-Institut fur Experimentelle Virologie und Immunologie an der Dept. of Tumorvirologyに留学
2000年
ヘリックス研究所第3研究部門主任研究員
新潟大学医学部脳研究所非常勤講師
2001年
湘南鎌倉総合病院脳卒中診療科 勤務
かずさDNA研究所主任研究員
2005年
かずさDNA研究所地域結集型プロジェクト研究チームリーダー
2006年
かずさDNA研究所ゲノム医学研究室室長
2008年
千葉大学大学院分子病態解析学非常勤講師
2009年
岩井整形外科内科病院 脊椎内視鏡医長
2012年
中国福建省厦門の漳州正興医院で微創脊椎外科主任医師
2014年
岩井整形外科内科病院教育研修部長
2015年
岩井整形外科内科病院副院長

【資格・所属学会】
日本脳神経外科学会専門医
日本脊髄外科学会
内視鏡脊髄神経外科研究会
日本整形外科学会

岩井整形外科内科病院 PELDセンター