~内藤証券アナリストが書く~中国よもやま話

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最新号(毎月5日・20日更新)

第30回 なぜ犯罪組織が人気?~中国起源の任侠道が果たした社会的役割

中国共産党(共産党)が統治する中国本土でも、犯罪集団の存在が暴かれることがある。そうした悪者どもの界隈を「黒社会」と呼ぶ。黒社会の犯罪集団は、改革開放政策による高度経済成長の副産物だ。...[ 続きを読む ]

バックナンバー

第29回 21世紀版のグレート・ゲーム~ウイグルをめぐる情報戦

新疆ウイグル自治区のウイグル人は1200万人弱。一方、ドイツのミュンヘンに拠点を置く世界ウイグル会議などの海外団体は、2000万~3000万人に達すると主張しているが、これを多くの学者は否定して...[ 続きを読む ]

第28回 現代の屯田兵~新疆生産建設兵団

新疆ウイグル自治区の面積は、中国全体の約6分の1に相当するが、砂漠や山脈など不毛の土地が多くを占める。厳しい自然環境を背景に、人口は2022年末でも約2587万人であり、中国全体の2%...[ 続きを読む ]

第27回 新疆ウイグル自治区は東西交易の要衝~現代も続く「西域経営」

新疆ウイグル自治区は広大であり、その面積は日本の約4.4倍。中国全体の約6分の1を占め、周辺8カ国と国境を接している。その地形は非常に複雑。「三山挟両盆」(三つの山脈が二つの盆地を挟む)...[ 続きを読む ]

第26回 東トルキスタン独立運動と西側諸国の連帯~ウイグル人が歩んだ歴史

現在は主に中国西部の新疆ウイグル自治区に定住するウイグル人だが、9世紀まではモンゴル高原に帝国を築いたテュルク系の遊牧民族であり、人種はモンゴロイドだった。755年に中国の唐王朝で...[ 続きを読む ]

第25回 中国の街で目立つウイグル人~民族移動と人種的変容

日本でウイグル人の姿を目にした人は、きっと少ないだろう。一方、中国駐在の経験がある日本人などは、中国の街角で彼らを見かけ、強い印象を持ったのではないかと思う。ウイグル人のステレオタイプな...[ 続きを読む ]

第24回 チベット発展の秘策とは?~天国に最も近いタックス・ヘイブン

チベット自治区は広大だ。面積は日本の約3倍に相当し、中国の8分の1を占める。だが、人口は2021年末で360万人ほど。日本の横浜市と同程度であり、中国の0.3%にすぎない。1㎢の人口密度は3人を下回り、...[ 続きを読む ]

第23回 神秘な世界の複雑な裏側~チベットの“化身ラマ制度”

チベットは百年あまり前まで、謎が多い“世界地図の空白”だった。この地で育まれたチベット仏教が世界に知られると、“神秘の地”というイメージがさらに広がった。そうした神秘のベールの裏側を今回は紹介...[ 続きを読む ]

第22回 人を拒む神秘の地~異質で過酷なチベットの環境

日本や西洋で“チベット”と呼ばれる地域は、中国語で “西蔵”(シーザン)という。チベット語では“プー”と呼ぶ。中国語の“西蔵”という呼称は、17世紀中ごろから清王朝で使われるようになった。このうち...[ 続きを読む ]

第21回 情報の真偽をめぐる混乱と論争~昔も今も中国は“遠い国”

モンゴル人の元王朝が中国を支配していた13世紀に、この地を旅したマルコ・ポーロの東洋に関する知見は、「東方見聞録」という書物にまとめられ、欧州各地に伝わった。「東方見聞録」が伝えた中国の姿は、...[ 続きを読む ]

第20回 隋王朝に始まる中国経済の挑戦~言葉に映る南北の相違と一体化

漢民族の中国社会は多様であり、北緯33度付近の秦嶺山脈と淮河を東西に結ぶ「秦嶺・淮河線」を境に、北部と南部に分かれる。漢民族も小麦食の北方人と米食の南方人に分かれ、言語や文化も大きく異なる。...[ 続きを読む ]

第19回 黄河文明と長江文明の融合と摩擦~中国の南北対立

主食が違うと、文化も異なる。中国は北緯33度付近の秦嶺山脈と淮河を東西に結ぶ「秦嶺・淮河線」を境に、小麦食の北部と米食の南部に分かれる。中国の主要民族である漢民族も、この線を境に「北方人」と...[ 続きを読む ]

第18回 中国南北相違の原点~東アジアで異色な中国北部の小麦食

中国は北緯33度付近の秦嶺山脈と淮河を東西に結ぶ「秦嶺・淮河線」で南北に分かれる。中国の北部と南部は、社会の有様が異なるが、その背景に農業と主食の違いがある。「秦嶺・淮河線」は年間降水量800ミリ等...[ 続きを読む ]

第17回 漢字は同じでも、ひと味違う~複雑に絡み合う“麺料理”の概念

中国の主要都市にある大型ホテルには、全国各地から人が集まる。漢民族の中国語は方言の違いが大きいうえ、55の少数民族は独自の言語を話す。ホテル館内ですれ違う宿泊者の会話が理解不能なのは、中国では普通のこと...[ 続きを読む ]

第16回 現代中国の“漢服ルネサンス”~漢民族の服飾文化の探求

ここ数年の中国では、中国の時代劇に登場しそうな華やかで優美な衣装の若者の姿が、しばしば見られる。この衣装を“漢服”という。“中国的な伝統衣装”としては、漢服のほかに“唐装”がある。唐装にはいくつかの意味があり...[ 続きを読む ]

第15回 “人民服”の歴史的変遷~国民服から最高指導者の正装へ

一昔前は中国人のイラストを描くのが非常に簡単だった。いわゆる“人民服”さえ着せれば、それは誰の目にも中国人として認識された。中国人の誰もが同じような服を着ていたことは、世界の人々の目に奇異に映った...[ 続きを読む ]

第14回 元々同じ圓が結ぶ奇妙な縁~東アジア一円の通貨

“一つの中国”原則とは、「世界に中国は一つしかない」という考え方。だが、現実には中国本土の中華人民共和国と台湾の中華民国の対立が、七十年以上も続いている。こうしたなか、英国の植民地だった香港は1997年に...[ 続きを読む ]

第13回 誰もが彼らを無視できない~香港の摩天楼に潜む陰の実力者

香港は1997年6月30日まで160年近くにわたり英国の統治下にあり、社会主義化を免れた。その結果、香港には中国古来の習俗が多く残り、その一つに「風水学」がある。風水学の歴史は長く、その基盤となった思想は、中華文明...[ 続きを読む ]

第12回 中国の人々を鼓舞する名曲~中国国歌の「義勇軍進行曲」

中国の国歌は、「義勇軍進行曲」という。スポーツ競技会で中国人選手が金メダルを獲得すると、この曲が演奏される。聞き覚えのある日本人も多いだろう。その作曲者は聶耳(じょうじ)という男性。1912年に雲南省昆明市に生まれ...[ 続きを読む ]

第11回 伝統的バイオテクノロジーの傑作~茅台酒が高価な理由

バイオテクノロジー(生物工学)は人類にとって、言葉の響きこそ新しいが、古くから慣れ親しんでいる技術だ。バイオテクノロジーとは、生物の機能を利用し、人間にとって有益な物質を獲得することだ。例えば、バイオ医薬品とは...[ 続きを読む ]

第10回 世界に目を向けよう~国際分散投資の魅力

“なぜ中国株投資を勧めるのか?”それは日本の投資家による国際分散投資で、中国株が有望な選択肢の一つだからだ。“なぜ国際分散投資が必要なのか?”“日本株投資だけでは、ダメなのか?”そうした疑問に対しては、「資産運用を実践する...[ 続きを読む ]

第9回 なんでも漢字で表記~奥深い中国語名の世界

コロナ禍の終わりが見えなかった2022年2月4日に、北京冬季五輪が開幕した。ロシアのウクライナ侵攻が噂される暗い世界情勢のなか、開会式は「人類運命共同体の構築」をテーマに、“簡素、安全、精彩”の三点が求められた。2008年...[ 続きを読む ]

第8回 自由を追い求める姿~中国の投資家たち

中国株が大きく動くと、上海の証券会社に群がる個人投資家の姿が、日本のニュース番組でも紹介されたりする。そうした光景を見た人から、“中国人はカネに卑しい”という感想を聞いたことがある。日本人らしい感想だ。日本では昔...[ 続きを読む ]

第7回 “口にすべし、楽しむべし”~中国的可楽世界

日本国内を旅行では、各地の“地ビール”(クラフトビール)が楽しみの一つだったりする。中国では“青島ビール”が有名だが、日本と同じくローカルな地ビールが数多くあり、美味いかどうかは別として、味は多様だ。中国を旅行する機会が...[ 続きを読む ]

第6回 “いままで”と“これから”~EV投資をめぐる視点の違い

中国は世界最大の電気自動車(EV)市場に成長した。国際エネルギー機関(IEA)の統計によると、世界の年間EV販売台数は2021年に657万台に達し、10年前の134倍となった。うち中国での販売台数は352万台で、世界全体の53.5%を占めた。...[ 続きを読む ]

第5回 株式市場を育てる順序~ミャンマーと中国の違い

ミャンマーのヤンゴン証券取引所(YSX)は、2015年12月9日に正式開業した。この国では1996年に店頭市場のミャンマー証券取引センター(MSEB)が設けられていたが、証券取引所としてはヤンゴン証券取引所が初めてだった。このヤンゴン証券取引所の...[ 続きを読む ]

第4回 対中情報戦の犠牲者~王立強事件の空騒ぎ

中国脅威論を喧伝する西側諸国にとって、 中国からの“政治亡命者”は、好都合な生き証人であり、格好の宣伝材料だ。だが、その扱いには注意が必要。なぜなら “いわゆる政治亡命者”たちは、どんな情報を西側諸国が欲しがるのか重々承知であり、自分の...[ 続きを読む ]

第3回 全国展開可能な中華料理~アメリカザリガニの恵み

中国の国土は日本の25倍もあり、自然環境も多様だ。各地の自然環境に合わせ、人々は食材を調達し、独自の食文化を築き上げた。中華料理の四大系統(四大菜式)と呼ばれる大分類には、 “魯菜”(山東料理)、 “川菜”(四川料理)、“粤菜”(広東料理)...[ 続きを読む ]

第2回 強烈すぎるこだわり~中華的な数の世界

2022年に中国の北京市で、オリンピック冬季競技大会(北京冬季五輪)が開催された。夏季と冬季のオリンピックが開催された都市としては、北京市が史上初。冬季五輪は今回の北京大会で24回目。これにちなみ、開会日は2月4日が選ばれた。2月4日は...[ 続きを読む ]

第1回 イメージの先に在るもの~中国株投資の魅力

マルコ・ポーロの『東方見聞録』は、欧州人の東洋に対する見方を変えた。“東洋は怪物や化け物が住む世界”当時の欧州人は、こうしたキリスト教的世界観を信じ切っていた。だが、『東方見聞録』が伝えた東洋の情報は、従来からの世界観とまるで違った。...[ 続きを読む ]

著者プロフィール

千原 靖弘 近影千原 靖弘(ちはら やすひろ)

内藤証券資調査部 情報統括次長

1971年福岡県出身。東海大学大学院で中国戦国時代の秦の法律を研究し、1997年に修士号を取得。同年に中国政府奨学金を得て、上海の復旦大学に2年間留学。帰国後はアジア情報の配信会社で、半導体産業を中心とした台湾ニュースの執筆・編集を担当。その後、広東省広州に駐在。2002年から中国株情報の配信会社で執筆・編集を担当。2004年から内藤証券株式会社の中国部に在籍し、情報配信、投資家セミナーなどを担当。十数年にわたり中国の経済、金融市場、上場企業をウォッチし、それらの詳細な情報に加え、現地事情や社会・文化にも詳しい。


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  1. ~内藤証券アナリストが書く~
    中国よもやま話
  2. 30. なぜ犯罪組織が人気?~中国起源の任侠道が果たした社会的役割NEW!
  3. 29. 21世紀版のグレート・ゲーム~ウイグルをめぐる情報戦
  4. 28. 現代の屯田兵~新疆生産建設兵団
  5. 27. 新疆ウイグル自治区は東西交易の要衝~現代も続く「西域経営」
  6. 26. 東トルキスタン独立運動と西側諸国の連帯~ウイグル人が歩んだ歴史
  7. 25. 中国の街で目立つウイグル人~民族移動と人種的変容
  8. 24. チベット発展の秘策とは?~天国に最も近いタックス・ヘイブン
  9. 23. 神秘な世界の複雑な裏側~チベットの“化身ラマ制度”
  10. 22. 人を拒む神秘の地~異質で過酷なチベットの環境
  11. 21. 情報の真偽をめぐる混乱と論争~昔も今も中国は“遠い国”
  12. 20. 隋王朝に始まる中国経済の挑戦~言葉に映る南北の相違と一体化
  13. 19. 黄河文明と長江文明の融合と摩擦~中国の南北対立
  14. 18. 中国南北相違の原点~東アジアで異色な中国北部の小麦食
  15. 17. 漢字は同じでも、ひと味違う~複雑に絡み合う“麺料理”の概念
  16. 16. 現代中国の“漢服ルネサンス”~漢民族の服飾文化の探求
  17. 15. “人民服”の歴史的変遷~国民服から最高指導者の正装へ
  18. 14. 元々同じ圓が結ぶ奇妙な縁~東アジア一円の通貨
  19. 13. 誰もが彼らを無視できない~香港の摩天楼に潜む陰の実力者
  20. 12. 中国の人々を鼓舞する名曲~中国国歌の「義勇軍進行曲」
  21. 11. 伝統的バイオテクノロジーの傑作~茅台酒が高価な理由
  22. 10. 世界に目を向けよう~国際分散投資の魅力
  23. 09. なんでも漢字で表記~奥深い中国語名の世界
  24. 08. 自由を追い求める姿~中国の投資家たち
  25. 07. “口にすべし、楽しむべし”~中国的可楽世界
  26. 06. “いままで”と“これから”~EV投資をめぐる視点の違い
  27. 05. 株式市場を育てる順序~ミャンマーと中国の違い
  28. 04. 対中情報戦の犠牲者~王立強事件の空騒ぎ
  29. 03. 全国展開可能な中華料理~アメリカザリガニの恵み
  30. 02. 強烈すぎるこだわり~中華的な数の世界
  31. 01. イメージの先に在るもの~中国株投資の魅力