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再生医学でオーダーメイド医療が実現する?(06:13)

我々の体はそれぞれ完全に唯一無二です。それは素晴らしいことなのですが、病気を治療するとなると話は別です。体は標準的な治療に対してそれぞれ違った、しばしば予想外の反応を示します。再生医学者ニナ・タンダンは解決案について話します。多能性幹細胞(iPS細胞)を用いて各個人の体内器官のモデルをチップ上に構築し、新薬や治療法の実験を行うのです(究極のオーダーメイド医療とでも呼びましょう)

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私が仕事で携わるモデル達の ビデオをお見せしたいと思います 理想的なサイズで 脂肪なんて全くついていません とても美しいでしょう? 科学実験のモデルなんですが(笑)

ご想像の通り 私は再生医学者で これは私が研究室で作った 拍動する心臓のビデオです いつの日かこれらの組織が 人体の代替パーツとなるよう 期待されています しかし今日お話しするのは これらの組織の 研究モデルとしての有用性です

創薬過程についてちょっと考えてみましょう 薬を合成するところから始めて ラボでの実験 動物実験を経て 人体実験ともいわれる 治験を行い その後 ようやく薬が市場へ出回ります 金銭的にも時間的にも 大きなコストがかかります 薬が市場に出回ったとしても 時には 予想外の副作用を引き起こし 人々に害を与えることもあります 副作用に気付くのが遅くなるほど 被害は大きくなります

全ては2つの問題点に集約されます 1つ目はヒトとラットとの違い そして2つ目は ほぼ同じ ヒト同士でも 僅かな個体差が 薬の代謝や作用に 大きく影響するということです

もし ラットよりもヒトに近い上 ヒトの多様性も再現できるような 優れたモデルが研究に使えたらどうでしょう? 再生医学がそれを可能にすることを ご覧に入れましょう

ここでキーとなる重要な技術の1つに 人工多能性幹細胞と呼ばれるものがあります ごく最近 日本で開発されました iPS細胞は ES細胞にとてもよく似ていますが 倫理的に問題無い点が異なります 人工的に誘導して作る細胞です 例えば皮膚細胞に 数種の遺伝子を導入し 培養して作るわけです 数種の遺伝子を導入し 培養して作るわけです iPS細胞は言ってみれば 皮膚細胞に細工をして 細胞の記憶喪失のように 胚状態にしたものなのです そのため倫理的に問題ないのが 1つ目の長所です 2つ目の長所は 自分の細胞を使って 脳 心臓 肝臓など どんな組織でも つくることができる点です 自分の心臓でも脳でも チップ上でモデルを つくることができるのです

密度や挙動が予想可能な 組織生成の技術が モデルを創薬に応用するための もう一つの 欠かせない鍵となります これは我々が開発中の バイオリアクターの設計図で 様々な規模で モジュール的に 組織を作れるようにするものです 将来的にはこれを大規模に並列化し 人間の組織が同時に何千と作れれば チップ上で治験を行うようなものになるでしょう

更にiPS細胞ではこんなことも可能です 例えば皮膚細胞を 遺伝性疾患をもつ人から採取し それを元に組織を作れば 再生医学の技術を用いて ラボ内で病気のモデルを 生成することができます ハーバード大の ケビン・エガン研究室での例ですが 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の患者から iPS細胞をつくり ニューロンを生成しました iPS細胞をニューロンに分化させてみると 驚いた事に このニューロンも ALSの症状を発症したのです このような疾患モデルを用いれば かつてない速さで病気を食い止め より深く病気を理解することができ 薬もずっと簡単に見つかるでしょう これは患者固有の幹細胞を使った 別の例で 網膜色素変性の患者からつくられたものです これは網膜が衰える病気で 私の家系にもこの病気が遺伝しているので iPS細胞による治療法の発見を願っています

これらのモデルは一見良さそうですが ラット同等の有用性があるのか 疑問に思う人もいるかもしれません 本質的に ラットは相互作用しあう 器官のネットワークを持つ 完全な生物体です 心臓の薬が肝臓で代謝されたり 副産物が脂肪に蓄積される可能性があります 再生医学によるモデルを使う実験では これらを見落とすのではないでしょうか? 最近の傾向として 再生医学技術とマイクロ流体学を 融合させることが 主流になりつつあります つまり 複数の器官システムを持った 完全な生体全体を再現するモデルを用いて 血圧の薬の肝臓への影響や 抗鬱薬の心臓への影響を 実験するのです このようなシステム構築は実に困難ですが 実現可能になりつつあるので 見ていてください

しかしこれで全てではありません なぜなら薬の承認後も 再生医学技術はオーダーメイド治療の 開発に役立つからです これは皆さんが将来 興味をを持つ例かもしれません そうならないよう願いますが 医者から電話で悪い知らせを告げられ ガンの疑いがあるなんてことになったとします 抗がん剤が自分のガンに効くかどうか 飲む前に実験で試してみたくありませんか? これはカレン・バーグ研究室の例で インクジェット技術を利用して 乳ガン細胞を印刷し ガンの進行と治療について研究したものです タフツ大学では このようなモデルを 再生された骨と混ぜ合わせて ガンが体内のある部位から 別の部位にどのように広がるのか実験しています このような複数の組織からなるチップが この類の研究の次世代を担うことでしょう

このようなモデルについて考えると 再生医学は将来的には 創薬の各ステップに革命を起こす準備が できていることがお分かり頂けるでしょう 薬物開発に貢献する疾患モデル作成や 研究に革命をもたらす 大規模に並列化されたヒト組織モデルは 臨床試験において動物実験や人体実験を減らします またオーダーメイド医療など 考えられなかった市場まで覆します 本質的には 分子の合成と 人体における作用を研究する過程の間で フィードバックを劇的に高速化しているのです 我々がこれを行うプロセスは 本質的には 生物工学や薬学を情報技術へと変え 新薬の発見や評価を 速く 安く 効率的に済ませられるようにしているのです 動物実験に対して モデルならではの 優位性がお分かりいただけると思います ありがとうございました (拍手)

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