子供が学校で成功するための創造的方法(13:22)

オリンピア・デラ・フローラ(Olympia Della Flora)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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これは オハイオ州コロンバスの とある小学校の話です この小学校には Dという生徒がいました Dが小学校に入ったのは 6歳の時でした とても可愛く 笑顔で 教室を 明るくしてくれる生徒でした しかし 数ヶ月経って Dは荒れるようになり その笑顔は 消えていきました Dは 机をひっくり返したり 机や椅子を投げたり 先生に向かって怒鳴ったり 窓の縁に立ったり 教室の外に出て行ったり 遂には 学校の外へ 出て行くようになりました 時には このような荒れた行動が原因で 学校の機能が停止することもありました Dが 気持ちを落ち着かせるまで 1時間以上かかることも あったのです 学校には Dを助けられる者が いませんでした

こう言えるのは 私がこの学校の校長だったからです 職員みんなの話から すぐに分かったのは このケースは これまでに 備えてきたような状況よりも ずっと極端なものだということでした Dが荒れる度に 私は自問しました 校長教育プログラムで 自分は何を見落としたのだろうか? Dのような子供には 何をしたらいいのか? Dが他の生徒の学習を 邪魔しないようにするには どうしたらいいのだろうか? 考えつくあらゆる手を尽くしました Dに言い聞かせたり 何かを取り上げたり 保護者に電話をしたりしました そして 唯一残された 現実的な選択肢は退学処分でしたが 彼のためにならないと 分かっていました

これは Dに限ったことではありません 世界中の生徒たちは 教育で苦労しているのです フェールセーフな解決策は 見つけられませんでしたが シンプルな発想を思いつきました Dのような子供が 学校で何とかやっていけるだけでなく 成功できるようにするために 私たちは読み書きを教えるだけでなく 自分の感情と向き合い コントロールする方法を 教えねばならないということです これを実践することによって オハイオ州で 最も成績が低い学校の1つで Fランクだった我が校は たった数年で Cランクにまで改善しました

分かりきったことに 思えるかもしれません もちろん 教師は生徒の 感情の健康状態に気をつけるべきです しかし 実際には 30人もの生徒がいる教室で そのうちの1人が 自分に向かって机を投げてきたら 子供の頭の中で 何が起こっているのか考えるより その子を排除してしまう方が 断然楽なのです しかし 私たちが Dについて学び Dのような子供の接し方について 学んだことは 小さな変化が 大きな変化をもたらす可能性があり しかも それはすぐに 始められるということです 多額の費用や 壮大な戦略計画は必要はなく 何を持ち合わせているのか それはどこにあるのかを 賢明な方法で考えるだけでよいのです 教育の場では 外部に答えを 見つけようとする傾向がありますが 既に持っているものを活用しようと 十分な時間や お金をかけ 努力しようとすることは 滅多にありません しかし そうすることで 意味のある変化を 素早く起こせるのです

さて Dについて分かったこととは ― 私は 彼が荒れるようになった原因を もう少し深く知りたいと思っていました そして分かったことは 彼の父親が家を出て行き 母親は家族を支えるために 長時間の交代勤務に就いていたということです そのため Dには相談のできる大人が いなくなってしまい しかも 学校から帰ると 弟の世話をしなくてはなりませんでした ところで 当時 Dは6歳だったと お伝えしていたでしょうか? 彼が家庭の問題を 学校にも引きずってしまうことを 責めることはできません しかし このただならぬ感情の問題から 彼を救い出す方法を 国語や算数などの基礎的なことを 教えながら見つけ出す必要がありました これには 3つのことが 最も役立ちました

まず 彼がどの場面で 最も苦しんでいるかを見つけること 他の小さい子供のように 登校直後が 気持ちの切り替えの難しい時間でした 家庭という規律の緩い環境から より規律の厳しい 学校という環境へと移るからです そこで彼のために休憩室の中に 心が落ち着く空間を設けました そこで彼のために休憩室の中に 心が落ち着く空間を設けました 揺り椅子や柔らかいクッション 本などを設置し 朝 Dがこの場所に 来ても良いこととしました 他の子供達から離れることで 自分のペースで学校という環境に 戻ってこられるようにしたのです そして よりDについて知るにつれて 他にも彼を落ち着かせる方法が あることを学びました 例えば Dは年下の生徒の 手助けをするのが大好きだったので 彼を幼稚園のヘルパーに任命し 幼稚園の教室に行って 文字の書き方について 教えるように促しました そして実際 彼は先生が 教えられなかった園児にも 教えることができたのです 信じられないかもしれませんが Dは何人かの園児たちを 落ち着かせることもありました このことは 子供の行動において 子供同士の影響は 大人からの影響よりも 断然強いものだと 私たちに気づかせてくれました

ユーモアや歌も使いました 校長や教師が 子供と一緒に本気で笑うというのは ふざけているように 聞こえるかもしれませんが 校長が 冗談を言ったり ラジオの曲を歌ったりして 始終笑顔でいると Dがびっくりする様子を 想像できると思います 彼の爆発的行動は短くなり 彼の世界で私たちが繋がる 手助けとなったのです

皆さんの中には このような特別扱いを 全ての生徒に行うことは 現実的ではないと 考える人もいるでしょう しかし私たちは実際に実現させたのです Dに効果的な手段や方法を ひとたび見つけたことで 教師はそれを展開し 他の生徒にも応用することができたのです 私たちは生徒の行動に ただ反応するのではなく 積極的に向き合うようになりました 教師は 実際に授業プランを立てる際に どのようにして子供たちの気持ちを認識し 適切で正しい対処をするかを 時間をかけて考えました 例えば 10を数える ハンドスピナーを握らせる 軽い散歩に行く などです 1日のうちに 脳を休ませる時間を数回取り 子供たちに歌を歌わせたり ヨガポーズをさせたり ルールのある 体を動かすアクティビティに 参加させたりしました 長時間座っているのが 苦手な子供には 柔軟な作りの椅子を取り入れました 長時間座っているのが 苦手な子供には 柔軟な作りの椅子を取り入れました 例えば 揺り椅子やエアロバイク さらには エリプティカルマシンさえ 取り入れました これは子供たちが机の下で ペダルを漕げるものです こうした変化が 子供たちが教室に留まるよう促し 集中して勉強する手助けとなりました そして 邪魔をする子供が少なくなると 全ての子供の態度が改善しました

しかも 奇跡的なことに これには 多額のお金がかかっていません 自分たちが持っているものへの 考え方を変えただけなのです 例えば 全ての公立小学校には 教育用物資の供給ラインがあります 教育用物資というのは 本や ホワイトボードであっても 柔軟な作りの椅子や ハンドスピナーでもいいのです 学校の壁を より落ち着きのある色に 塗り替えることもできるでしょう これらが生徒たちの成長を助けます もちろん 学ぶために使う器具にも お金はかけていますが もちろん 学ぶために使う器具にも お金はかけていますが 社会的な手段も 真面目に検討しました その結果は それ自体が物語っています 子供たちの情緒的発達と 真剣に向き合い 感情をコントロールする手助けをすることで 子供たちの国語や算数の成績が 著しく伸びました 1年間に期待される進歩を遥かに超え 似たような他の学校よりも 良い点数を取ったのです

2つ目に 子供が感情を コントロールする手助けとして 外部の力を借りました 資金があまり得られない公立学校として 子供たちが家庭で 直面しているかもしれない 荒れた状況に対処できる サポートスタッフもおらず しかも 問題に直接対処するための訓練や 資金提供を受けたこともありませんでした ですから 私たちは地域団体や 地域共同体の支援組織 さらに オハイオ州立大学にも 連絡をとり始めました 大学とのパートナーシップのおかげで 大学生を招くことができました 教育学の学生だけでなく 学校心理学や スクールソーシャルワークの学生もです 学生たちは教師とそれぞれペアになり 最も苦しんでいる 生徒の手助けをしてもらいました 全ての人たちに利益がありました 教師は最新の大学レベルの教育論に 触れることができ 学生は教室内で 現実世界での 本物の体験ができたのです 学生は教室内で 現実世界での 本物の体験ができたのです 地元のネイションワイド小児病院との パートナーシップでは 校内にクリニックを設置し 学生たちの身体 精神的な健康に必要なものを 提供してくれました そしてこれは 子供たちにも役立ちました 欠席者数は減っていき 学校にいる間に 子供たちはカウンセリングを 受けることが できるようになりました

そしておそらく 最大の変化は Dや子供たちではなく 教室で教える 大人の側に起こりました 教師は普通 計画を立てたり 学問的な指導するのは得意ですが 教師は普通 計画を立てたり 学問的な指導するのは得意ですが 妨害的行動を目の当たりにした時 完全に自分の仕事外であると 感じることもあるでしょう しかし私たちが 生徒の情緒面での発達に 真剣に取り組むことで 妨害するなら 出て行きなさいという 排除の哲学から 信頼と尊重の哲学を 用いるようになりました 簡単ではありませんでしたが 私たちは 変化を起こすための 効果的な方法であると 心から感じました この大きな変化を私と共に成し遂げた 教師たちを尊敬しています

個人に対する 職務能力育成計画の一環として ブルース・ペリー博士の研究について調べ 異なる幼少期の経験が 子供の脳の発達に及ぼす影響に関する 彼の研究を勉強しました そこから学んだことは 生徒の経験の中でも 例えば 親の不在や 家庭崩壊 貧困や病気は 発達中の脳にトラウマを 植え付けてしまうということです そう トラウマです とても強い言葉ですが これは私たちが見てきた行動を考えなおし 理解する手助けとなりました こうした困難な家庭での経験が 現実問題として 勉学を進める上での 越えられぬ障害となっており 私たちは解決策を 見出す必要がありました 教師たちは授業プランを実践し続けました 短い授業時間で1つに焦点を絞って 生徒の注意力を引き 運動休憩を取り入れることも続け 教室内でジャンプをさせたり 2分間続けて踊らせたりしました 休憩は 生徒が新しく得た知識を留めおくのに 役立つと学んだからです ちなみに ‟チャチャスライド” は ちょっとしたダンスパーティーにぴったりですね

(笑)

教師が生徒に対し ‟何が気に入らない?” ではなく ‟何があったの?” と聞いたり ‟出て行きなさい” ではなく ‟どうしたらいい?” と言うようになりました この子供たちへの投資は 大きな変化をもたらしてくれました そして学業の成績も 良くなり続けています

Dが4年生になった時 問題を起こすことが ほぼ無くなったのは嬉しい限りです 彼は学校のリーダーとなり 彼のこのような行動は 他の生徒へも伝わって行きました 私たちは学校の雰囲気が 継続的に改善されていき 外部からの影響があろうとも 子供だけでなく 大人にとっても 幸せで安全な場所になって行くのを 目の当たりにし 感じてきました 幸せで安全な場所になって行くのを 目の当たりにし 感じてきました

現在の話をしますと 私は今 代替教育プログラムに 関する仕事に就いています 伝統的な教育環境では 上手くやっていけない ハイスクールの生徒たちが対象です 先日 何人かの生徒について これまでの経緯について調べました ほとんどの生徒が17歳か18歳ですが ドラッグの使用歴があったり 少年院に出入りした経験があったり 退学の過去がありました そこで見出したことは 多くの学生が6歳児のDと 同じ行動をとっているということです そこで こう考えざるを得ませんでした この生徒たちが苦しんでいる時に もし早い段階で 適切な対処方法を学んでいたら 今 彼らは普通のハイスクールでも 上手くやっていけたのではと 確実には言えませんが 手助けになったことでしょう

今まさに 私たち全員が 子供たちの社会的かつ感情的発達について 真剣に考える時がきています 今こそ歩みを進め 子供たちには 何が必要かを唱えるべきなのです 子供たちに読み書きを教えて 彼らが卒業したとしても 感情のコントロールの仕方を 知らずにいるとすれば 私たちのコミュニティーは どうなっていくでしょうか

私はこう伝えています 「今投資しなければ あとで苦労しますよ 今こそ 子供たちに投資するべきなのです 彼らは未来の市民であり テストの合格不合格を決める 数字ではないのです」と

ありがとうございました

(拍手と歓声)

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このプレゼンテーションについて

子供が学校で成長するために、私たちは読み書き以上のことを教えなければなりません。教育者オリンピア・デラ・フローラは、感情をコントロールする方法を教える必要があると言います。この実践的なトークで、彼女は既存の予算やリソースだけを使って、うまく授業についていけず、時に授業を妨害するような行動を取る生徒たちに手を差し伸べるための創造的な方法について語ります。例えば、脳を休める時間を取る、歌を歌う、またはヨガポーズをさせるなどです。「小さな変化が大きな違いをもたらし、それは今すぐにでも始められるのです。その場で何を持ち合わせているかを、もっと賢く考えるだけでいいのです」と、彼女は言います。

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