私たちが何者で、何のために戦うかを表現するために、
ファッションがどう役立つか(12:33)

カウスタヴ・デイ(Kaustav Dey)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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10歳頃だったある日 父の古物が入った箱を見つけました その中にあった たくさんの大学時代の教科書の下に 黒のコーデュロイのベルボトムパンツが 1着ありました このパンツは酷い状態でした かびくさくて虫食いだらけでした もちろん そのパンツに惚れました そんなもの見たのは初めてでした その日までずっと 私が知っていて 着ていたのは 学校の制服だけでしたが 実際 とてもありがたかったんです とても小さい頃から 自分は少し変わっていると 気づいていたからです 私は同い年の男の子たちとは 似ても似つかなく 運動音痴で 多分 最も男らしくない 男の子でした

(笑)

相当いじめられました そこで 生き残るために 透明人間になろうと思い 制服は他の子供と 変わらないように見せるのに 役立ちました

(笑)

まあ かろうじてですがね 私の日々の祈りがこれでした― 「神様 他の皆と 同じようにしてください」 でも このお願いは 留守電に直行していたのでしょう

(笑)

やがて とてもはっきりしたのは 自分は 私の父が兼ねてから望んだような 息子にはならないだろうということでした ごめんね お父さん

ええ 魔法のように変わる兆しも ありませんでした そして時間と共に 実際に変わりたいのか どんどん分からなくなっていきました だから あの黒のコーデュロイの ベルボトムパンツに出会った日 何かが起きました 私が見たのはパンツではなく 好機でした まさにその次の日 学校に それを着ていく必要がありました 何があってもです そしてこのダサすぎるパンツを着て ベルトをきつく締めるやいなや 私の歩き方が変わり それは ふんぞり歩きとしか言えないものでした

(笑)

学校までの道も 帰り道でもずっとです すぐに帰宅させられましたからね

(笑)

褐色の小さなロックスターに 変身したのです

(笑)

自分が適合できないことを ついに 気にしなくなりました 喜ばしいことだと その日 急に感じるようになったのです その日は 透明人間になるのではなく ただ何か変わったものを着ることで 他人に見られることを選びました その日私は 着るものの力を 発見したのでした その日 ファッションの力を発見し それ以来ずっと 虜です

ファッションは私たちそれぞれの違いを 世界に伝えてくれます 真実に向き合うという この単純な行為により 私が気付いたのは 違いのどれもが 自分にとって 恥ではなくなったということです 違いは私たちの表現なのだと悟りました 私たちの非常に特徴ある アイデンティティーの表現です 私たちは自分自身を表現すべきです 着たいものを着ましょう 最悪 何が起こり得ると いうのでしょうか? ファッション・ポリスに 流行遅れを理由に逮捕されるとか?

(笑)

ですよね 「ファッション・ポリス」の意味が 全く異なる場合であれば話は別です ノーベル賞受賞者のマララは 2012年の10月 タリバン過激派攻撃の 難を逃れました しかし 2017年の10月 違う敵に直面しました インターネットの「荒らし」が その日ジーンズを着ていた― 20歳の彼女が写った写真に対し 意地の悪い中傷を書き込んだのです 彼女が受けた コメントや悪意は 彼女が受けた コメントや悪意は 「そのスカーフをやめるのも 時間の問題だな」から 引用すると 「それが ずっと前に頭を 狙われた理由だ」にまで 及びました 今や 私たちの大半が ジーンズ着用を選んでいます ニューヨークやロンドン、ミラノ パリのような場所でです 多分 それが特権だと 改めて考えはしないでしょう どこか別の場所では 不都合を起こすかもしれないものや ある日 私たちから取り上げられる ようなものとしては考えないのです

私の祖母は着飾るのに 特別な喜びを感じるような 女性でした 祖母のファッションはカラフルでした そして身に付けるのが大好きだった色は おそらく祖母についての 唯一の真実を表すもので 祖母自身が権限を持つ唯一のものでした 同世代のその他ほとんどの インド女性がそうであったように 慣習や伝統で決められたものを超えて 存在することは 許されていなかったからです 祖母は17歳で結婚し 65年にわたる結婚生活の後 ある日突然祖父が他界し それは耐え難い喪失でした でもその日 祖母はまた別の何かも 失うことになりました ただ1つの喜びである― 色を身に付けることです インドでは慣例に従って ヒンドゥー教の女性が 未亡人になった時 夫が亡くなった日から 白以外の色を着ることは許されません 誰も祖母に 白を着るよう 強いた訳ではありません それでも 祖母が知る 夫より長生きした全ての女性が 祖母の母を含めて 慣例に従っていました この抑圧は内在化しており とても根深いので 祖母自身が選択を拒否しました 祖母は今年亡くなり 亡くなるその日まで 白だけを着続けました

昔の幸せな時期に撮った 祖母との写真があります 祖母が何を着ているか 見ても よく分からないと思います 白黒写真ですからね でも その中で 微笑んでいる祖母を見れば とにかく 色を身に付けていると 分かります これもファッションにできることです 私たちを喜びで満たす力があります どのような姿で どのように生きたいかを 自分で選ぶ自由という喜びで そのために戦う価値のある自由です そして自由のための戦いや 抗議活動は さまざまな形で現れます

祖母のような 何千人ものインドの未亡人が住む ヴリンダーヴァンという都市があります それゆえ 何世紀もの間 多くの白であふれていました しかし つい最近の2013年になって ヴリンダーヴァンの未亡人たちは ホーリー祭という― インドで行われる 色の祭典を祝い始めました 未亡人の参加は禁止されています 3月のこの日 彼女たちは祭りで使われる 伝統的な色粉で 互いに色を付け合います 手一杯のあらゆる色粉が 空中へ投げられ 白いサリーがゆっくりと 色で覆われ始めます 自分には禁止されている 虹のような様々な色で 全身が覆われるまで止めません 次の日にはその色は落ちてしまいます でも その瞬間は彼女たちの 美しき「中断」です この「中断」や いかなる不協和もが 抑圧に対する 私たちの最初の抵抗となり得ます そしてファッションは まさに 私たちが体にまとう 視覚的「中断」にも なり得るのです

抵抗の教訓を いつも教えてきたのは ファッションの偉大な革命家である— デザイナーたちです ジャン=ポール・ゴルチエは 女性は王になれると教えてくれました トム・ブラウンは 男性もヒールをはけると 教えてくれました そしてアレキサンダー・マックイーンの 1999年春のショーで ランウェイの中央に 巨大なロボティックアームが2本置かれ モデルのシャローム・ハーロウが この巨大な2本のアームの間で くるくる回り始めると 最初は密かに そして次第に激しく アームがスプレーを 吹きかけ始めました マックイーンはこのように 自ら命を絶つ前 私たちのこの体は 1つのキャンバスであり 私たちがやりたいように 絵を描けると教えてくれました

このファッションの世界を愛したのが カラール・ヌシです イラク出身の学生 そして俳優でした 鮮やかで折衷的な服を愛しました しかし その外見が原因で 間もなく 殺害の脅しを受けるようになりました 彼は動じず 素敵な彼のままでした しかし2017年の7月に カラールはバグダッドの繁華街で 遺体となって見つかりました 誘拐され 拷問を受け 目撃者によると遺体には いくつも傷がありました 刺し傷です

約3200km離れたペシャワールでは パキスタン人のトランスジェンダー活動家 アリーシャが2016年5月に複数回撃たれ 病院へ搬送されましたが 女性の服を着ていたため 男性と女性病棟のどちらへの収容も 拒否されました 私たちが選んで着るものは 時に生死に関わります 時には 死においてさえ 性別を選択できません アリーシャはその日に亡くなり 1人の男性として埋葬されました

なんて世界なのでしょうか? この世界では このように監視される状況や 私たちの体や着るものに対する暴力を 恐れるのは当然のことです しかし もっと大きな恐怖とは 私たちがひとたび降伏し 周りに溶け込み 次々と 見えない存在になり この偽の協調性が より正常に見えるほど この抑圧を衝撃的だと 感じなくなります

私たちが育てる子供たちにとって 今日の不公平さが 明日には普通になるかもしれません 現状に慣れていき 彼らもまた 異なるものは何でも こう見なし始めるかもしれません 汚れた 憎まれるべきもので 消されるべきものだ 灯りを消すように 1つ1つ 闇が生き方となるまでずっとです しかし もし私が今日 そして あなたが明日 もしかしたら より多くの人がいつの日か 自分らしさを見せるという 権利を喜んで受け入れれば 乱暴に白塗りでごまかされた世界で 私たちはその中に刺し込まれる 「色の針」となります ヴリンダーヴァンの 未亡人のようにです

私たちのような人が たくさんいたとしたら 銃は狙いを付けられるでしょうか? カラールや マララや アリーシャに? 私たち全員を 殺せるのでしょうか?

今こそ立ち上がり 人目を引く時です 同一性とは安全性を意味する世界で 衣服のように シンプルなものを使い あらゆる人の目を自分に向けさせ この世界には違いがあり それはこれからも変わらないと主張するのです それに慣れてください この主張に言葉は必要ありません ファッションは 異議を唱えるための 言葉を与えてくれます 勇気を与えてくれます 文字通り私たちの袖に 勇気を着させてくれます であれば 着ましょう 鎧のように着てください それが大事だからです そして あなたが大事だからです

ありがとうございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

ニューヨークでジーンズを履いた女性を見ても誰も何とも思いません。でもノーベル賞受賞者のマララが履けば、政治性をはらむ行為となります。世界中で、個性は犯罪となる可能性があり、そして衣服は抗議の一形態となり得ます。私たちが着るものの持つ力をテーマとするこのトークの中で、カウスタヴ・デイは、ファッションがいかに、言葉を使わずに異議を唱える言語となり、本当の自分を受け入れることを奨励するか考察します。

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