人を助けることで幸せになれる—でもそのやり方が重要(14:30)

エリザベス・ダン(Elizabeth Dunn)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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私は 何が人を幸せに するのか探るという すごく楽しい仕事をしています あまりに楽しくて ちょっと軽薄に見えるくらいで 暗いニュースばかり 目にする時には特にそうです でも 幸福について 研究することは 私達が直面している最も難しい問題の いくつかを解決する鍵になるかもしれません そのことが分かるのに 10年近くかかりました

研究者になりたての頃 共同研究者とともに 「お金を人のために使うことは 幸福度を高める」という論文を サイエンス誌で発表しました 研究結果には 自信がありましたが 1つだけ問題だったのは それが自分には 当てはまらないことでした (笑)

寄付をしたことは ほとんどなかったし 寄付しても期待していたような 温かい満足感はありませんでした それで何か問題があるのではと 疑い始めました— 私の研究結果か それとも私自身に 与えることに対する自分のパッとしない 感情的反応に とりわけ困惑したのは 幼児でさえ 他人に与えることに 喜びを示すことが その後の研究で 分かったからです

同僚のカイリー・ハムリンと ララ・アクニンとでやった ある実験では 2歳の子どもたちに 実験室に来てもらいました 分かると思いますが 幼児が本当に惜しいと思うような物を 使う必要がありました それで幼児にとっては 金に等しい― ゴールドフィッシュ・クラッカーを 使いました (笑)

子供に このクラッカーを いっぱいあげて それから おサルの ぬいぐるみにも 少し分けてあげる 機会を与えました

(研究者) おやつがあったから 全部あげるね

(幼児) うわー ありがとう

(研究者) おやつは もうないけど おサルさんにも ひとつあげようか?

(幼児) うん (研究者) いい?

(幼児) うん はい

(研究者) わーい むしゃむしゃ

(幼児) みんな たべちゃった

研究助手に ビデオを見てもらい 幼児の感情的反応を 記録してもらいました もちろん実験の仮説は 教えていません そのデータから 分かったのは 幼児はクラッカーをもらった時に すごく喜びましたが 分けてあげた時に 一層の喜びを示したのです

この温かい喜びの気持ちは 大人になっても続きます 世界の20万人以上の 成人を対象にした 調査結果を 分析したんですが 3分の1近くの人が この1ヶ月の間に いくらかでも寄付をしていました 目を引いたのは 世界の主要な地域のすべてにおいて 寄付した人は 寄付しなかった人よりも幸せで 本人の経済状況を考慮に入れた後でも そうだったことです この相関は小さなものではなく 寄付は 収入として その倍を手に入れるのと 同じくらいの幸福感を もたらしているようなのです

研究者として 幸運にも 世界中で子供にも大人にも見られる 現象を見つけたなら 思い始めるでしょう これは人間の本性の 一部なのではないか? 喜びが適応行動を強化することを 私達は知っています たとえば 食べることやセックスは 種の保存に繋がります 与えることも そのような行動の 1つに思えたのです

私はこの考えが気に入って それについて ニューヨークタイムズ紙に寄稿しました その記事を読んだ人の中には 私の税理士もいました (笑)

そうです 納税時期に その税理士と 向かい合って座っていると 彼がゆっくりと ペンで 確定申告書の 慈善への寄付の欄を叩きながら 非難の色を隠せずにいるのが 分かりました (笑)

与えることがどんなに良い気持ちかを示すことで キャリアを築いてきたにもかかわらず 自分では それをほとんど やっていなかったのです もっと寄付しようと決めました

その頃 シリア難民の悲惨な話を あらゆるところで 耳にしていました 私は力になりたいと思い クレジットカードを 取り出しました 自分の寄付で どこかの誰かの人生を 変えられるだろうことは分かっていましたが 良さそうな慈善団体の ウェブサイトに行って カード番号を入れながら 何か物足りなく感じました

グループ・オブ・ファイブのことを 知ったのは この時です カナダ政府は 誰でもカナダ国民が5人いれば 難民の家族を私的に 支援できるようにしています 家族のカナダでの 最初の1年の生活を支えるのに 十分なお金を集めれば 難民の家族が文字通り飛行機で 自分の町にやってくるんです このプログラムの良いところは 単独ではできないことです 私達は結局5人ではなく コミュニティ組織と協力して 25人のグループになりました 手続きをし 2年近く待って 家族が6週間以内に バンクーバーに 到着するという連絡を受けました 男の子4人と 女の子1人がいる ということだったので 私達は急いで 住む場所を探しました さいわい家は 見つかりましたが 結構手を入れる 必要がありました 友達が夜や週末に 手伝いに来てくれて ペンキ塗りや 掃除や 家具の組み立てをしました

いよいよ その日がやってきて 私達は家族の冷蔵庫を ミルクや果物で満たし 空港へ迎えに行きました 誰にとっても 圧倒されるような瞬間でした 特に4歳の子には その子のお母さんは 同じプログラムを通して カナダに来ていたお姉さんと 実に15年ぶりの 再会を果たしました

シリアを逃れた難民が 560万人以上いると耳にしても 人間の脳は その悲劇を 実感として理解するようには 進化してきませんでした まったく抽象的です もし以前に 難民危機への支援のため 月15時間提供して もらえないかと言われたら 私達はたぶん 断っていたでしょう でも家族をバンクーバーの 新しい家に迎え入れたとたん みんな気付きました この人達の幸せのためなら 自分は何だってすると

この経験から 自分の研究について より深く考えるようになりました 人は自分が助けている人との 繋がりを実感し 相手の生活にもたらされる変化を 容易に思い描けるとき 与えることの効果が 急上昇することは 実験で目にしていました

たとえば ある実験では 参加者に少額のお金を ユニセフか スプレッド・ザ・ネットに 寄付する機会を与えました この2つは意図的に 選んだもので どちらもパートナーであり 子供の健康を守るという 共通の重要な目的を持っています ただユニセフの方は すごく大きく 広範な基金なため 自分の小さな寄付が どんな違いが生むのか 想像しにくい ところがあります それに対してスプレッド・ザ・ネットは すごく具体的なことを約束しています 10ドルの寄付ごとに 子供をマラリアから守る蚊帳が 1つ提供されると

スプレッド・ザ・ネットでは 寄付額が大きくなるほど その後の満足感は 大きくなっていました 一方 ユニセフへの寄付では 感情的な「投資収益率」 が まったくなくなっていました これが示しているのは 価値ある慈善に寄付するだけでは 必ずしも十分ではない ということです 自分のお金で正確に どんな違いが生まれるのか はっきりイメージできる 必要があるんです

グループ・オブ・ファイブは この考え方を まったく新たな次元に引き上げています このプロジェクトでは最初に 難民がやってくる 時期について話し合うんです 私達は今では彼らを 「私達の家族」と呼んでいます 最近 子供達をスケートに 連れて行ったんですが 後で 6歳の息子のオリバーが 聞いたんです 「ねえ うちの家族で 一番年上の子は誰?」 私はたくさんいる 従兄弟のことかと思ったんですが オリバーは従兄弟と それにシリアの家族も 含めて聞いていたのです

私達の家族が到着して以来 たくさんの人や組織が 援助を申し出てくれました 歯牙充填から サマーキャンプまで 無料で提供してくれたのです このことで 自分のコミュニティにある 善意が見えるようになりました そういう寄付のおかげで 子供達が自転車合宿に参加でき その週の間は毎日 グループの誰かが 応援に行きました 私が行ったのは たまたま 補助輪を外す日でしたが 4歳児にはそれが 良い考えとは思えなかったようです それで私は 補助輪なしで乗ることの 長期的利点を説きました (笑)

それから その子が4歳で まだ英語が ほとんどできないことを思い出し その子に間違いなくわかる 一言にまとめることにしました 「アイスクリーム」です 補助輪なしで頑張ったら アイスを買ってあげる これがその結果です

(エリザベス) ほら どう

(子供) やってみる

(エリザベス) すごーい

乗れてるよ ひとりで乗ってるよ!(笑)

えらいぞー!(拍手) (笑)

(拍手)

こういう助け方こそ 人間が喜びを 感じるよう進化したものですが カナダは 40年間 市民が個人的に難民の 後援者になることを許している 唯一の国でした

イェーイ カナダ! (拍手)

素晴らしいことです

今やオーストラリアやイギリスも 同様のプログラムを始めようとしています もっと多くの国がこういうことを 可能にしていたら 難民危機がどう違っていたか 想像してみてください

個人の間に このような 深い繋がりを作ることで 圧倒されるような難問にも 対処できるチャンスが出てくるのです そういう難問のひとつが ここからほんの数ブロックのところにあります バンクーバーの ダウンタウン・イーストサイドです ある指標によると カナダの都市部で 最も貧しい地区です 私達は実際 難民の家族を 連れてくるべきなのか議論しました 困っている人たちが ここには既にいるわけですから 友人のエヴァンは 子供の頃 この界隈を車で通るとき 車の後部座席で 身を隠していたと言います エヴァンの両親が 思いもしなかっただろうことは その彼が成長して この地区の人々を 地元のレストランに招いて コース料理を 振る舞っていることです エヴァンは「たくさんの皿」という 基金の設立に関わったんですが その目的は単に無料の食事を 提供するだけではなく これがなければ 目も合わせなかっただろう人たちに 繋がりを持てる機会を 用意することです 毎晩 地元企業が ディナーを提供し 調理や給仕をする ボランティアを派遣します 余った食事は 路上にいる人々に配られます さらに余ったお金で 翌日以降に 無料のランチが千食分 地域の人々に提供されます

このプログラムの恩恵は 食事だけではありません ボランティアの人たちは 人々と関わり 腰を据えて 耳を傾ける 機会が得られます この経験の後 あるボランティアは 通勤路を変えて この地区を避けていたのが 中を通って 馴染みの顔に 微笑みかけたり アイコンタクトしたり するようになりました

私達はみんな 与えることに 喜びを見いだすことができますが それが無条件に起きると 期待すべきではありません お金を使って他人を助けることが 必ず幸福度を高めるわけではありません どうやるかが重要なんです もっと寄付してもらいたければ 寄付の考え方を すっかり変える必要があります 私達が共有する人間性の 素晴らしさを 実感できる機会を 作り出す必要があります 慈善団体で働いている人は 寄付した人にペンやカレンダーで 報いようとはしないでください (拍手)

その人達の寛大さが 具体的に どんな効果を生んだのかを目にでき 助けている人やコミュニティと接することのできる 機会によって報いてください

私達は与えることを 「すべきこと」として考えてきました それはその通りです でも そういう捉え方は 人間であることの一番素晴らしい部分を 見落とすことになります 人間は他の人を助けることに 喜びを感じるよう進化してきたのです 与えることを単なる 道徳的責任ではなく 喜びの源として 考えてみてください

ありがとうございました (拍手)

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このプレゼンテーションについて

他の人を助けることで、人は幸福を感じることが研究で示されています。しかし社会心理学者のエリザベス・ダンは、その寛大さと喜びに関する画期的な研究で、そこには落とし穴があることを見つけました。助けるやり方が重要だということです。人を助けるやり方で鍵となる点を1つ変えることで、より多くの効果を生み出し、自分の幸福度も高められることを学びましょう。ダンは言います。「与えることを単なる道徳的責任ではなく、喜びの源として考えてみてください」

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