シリアの立て直しに従事する医師、看護師と援助活動家(07:08)

ロラ・ハラム(Rola Hallam)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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「アレッポの5つの病院が 爆弾攻撃を受けた」 2016年11月の暗い冬の夜 携帯に着信したメールです 攻撃を受けた病院の一つは 小児病院で 私のシリア人同僚らが率いる Independent Doctors Association (IDA)の 運営下にある病院でした 既に6回目の爆撃でした 私が戦慄しながら見た悲惨な映像には 主任看護師のマラクが 爆弾投下直後の混乱の中 未熟児を保育器から救い出し 必死の思いで安全なところに連れていくと 彼女自身も泣き崩れる様子が 写っていました 私は打ちひしがれました 私は人道活動の同志達と 血と汗と涙を流し 幾たびも病院を立て直しました 患者が死に臨むのではなく 生きられるように

この活動を通してある発見をしました 危機の中でも人間が生存するのは その危機の渦中にいる人たちの 素晴らしい努力があるからです 人々が生存するのは まさに被害を受けた そのコミュニティから来た 地元の医師 看護師や援助活動家らが 他の人は行けない 行きたがらない場所で 危険を顧みず働いているから 人々が生存するのは マラクのような人がいるから マラクは職務中に 重度のやけどを負いながらも 退院して最初にしたことが 幼児のケアをする任務に戻ることでした 死と破壊のがれきの中から 最も勇敢で崇高な人間が生まれます 地元の人道支援家らが 戦争という暗闇の中に見える 一筋の光です

データが表しているのは シリアの団体が シリアにおける75%の人道援助を 行なっていることです ところがシリアの援助資金の 0.3%しか受け取っていません 更に 同じようなことが 世界中の危機地帯で起きています 私はこの現実を目の当たりにしています つまり最前線で状況に対応する 知識と技能を持つ者が 生命を救う為に必要な道具 機材、人材や資源を 持ち合わせていないこと IDAのような団体には 病院を立て直す資金がありません 人道支援のシステムは 一番脆弱なコミュニティが苦境に立っている時に 応えられないということです

この携帯メールを受信した時 私はサバティカルで 臨床業務を一時的に休み CanDoの設立に当たっていました CanDoは医療供給の不均衡を 取り上げるスタートアップです 地元の緊急要員が 戦争の打撃を受けたコミュニティに 医療を提供できるようにします 私たちは簡単なモデルを考案しました 信頼性と影響力の高い地元の団体に 資源を提供し その団体の発展を アクセラレータープログラムで支援し 私たちのクラウドファンディング プラットフォームを介して皆さんと繋げることで 医療必需品を入手する資金を集めます IDAから援助の要請を受けた時 CanDoの発足を7ヶ月早める 決定をしました 資金もほとんどないのにです 私がとうとうおかしくなったのではと 周りの人も 自分でも 思いました 私が成し遂げたかったことは みんなに共通するこの怒りを 何か素晴らしいものへ変貌させることでした

その気持ちが 「People's Convoy」を生みました これは世界規模の クラウドファンディング・キャンペーンで IDAが全く新しい小児病院を 建てられるよう援助し 資金調達に成功すれば 私たちが自ら医療機材を はるかロンドンからシリアの国境まで 運ぶ構想でした そして それを実現させました 世界中の何千人もの人が一体となり 世界初の成果を成し遂げましたー 初めてクラウドファンディングによって 病院を設立したのです 建設場所は地元の専門家 IDAが 入念に調査し 安全性が高く 避難民の子供達を もっとも多く 治療できる場所が選ばれました 人々の善意に深く感動したIDAは 病院を「Hope Hospital (希望病院)」と命名しました 開院してちょうど一年を迎えますが 1万5千以上の子供達を治療しました

(拍手)

地球上でもっとも不安定な場所でも 私たちは救命支援ができます 既存のシステムには変化が必要で 私たち皆が新しい人道的ビジョンを 共有することから始まります すなわち 技能、専門知識 資産を持った地球市民が 地元で活動する人々と 協力するというビジョンであり 私たちみんなが人道支援家で 不可欠な資源を 一番必要とする人々の手に委ねることで 効率的かつ効果的に使うことです 私たちは 正に今 人命救助の支援をするだけでなく 戦いが終わった後のコミュニティの傷を 元通りに縫い合わせて 癒す支援をする必要があります 地元の人道支援家には 困難に負けず根気よく続け 残骸のホコリを払って 止むことなく 自分の命を賭して 人命救助にあたる勇気があります 目をそらさずに 背中を向けず 自らの力で立ち直ろうとする人を援助をすれば 私たちは 彼らの勇気に応えられます そうすれば 共に力を合わせ より多くの命を救えます

ありがとうございました

(拍手)

(喝采)

(拍手)

(ショハム・アラド)こちらに来てください なぜ病院が爆撃されるのでしょう?

(ロラ・ハラム)良い質問です 「人権のための医師団」によると 病院への攻撃は500件近くにのぼり 800人以上の医療関係者が死亡しており その90%以上が シリア政府の手によるものです 医療全体を攻撃目標として 破壊しようという行為の一環で 武器として利用されているそうです つまり これは私たちだけの問題ではなく 皆さんの問題でもあり 世界の問題だということです その理由は 第1に 難民問題が悪化します 医療制度が全滅すると 次のエボラ型伝染病の 発生源になるのはシリアです 残念なことに これは 世界中の病院を危険に晒す 非常に深刻な前例になってしまいます そうなってはいけません

(ショハム)これは資金の問題だけ ではないということですね CanDoは資金調達の解決策 だけではない訳ですね 世界中にいる5千人の人々が Hope Hospital(希望病院)建設の為に 35万ドルを提供したことは あなたにとって どんな意味を持っていますか?

(ロラ)その答えは正に 「希望」という言葉に象徴されます 寄付をした人々は人類への信頼を 新たにしたのだと思います IDAや そこで働く医師たちのように 人間性の最良の部分を 体現する人々がいることを知り それに酬いる明確なお返しのようなものだったのです IDAや このようなシリア人 その他多くの紛争の場にいる人は 自分たちに耳を傾け 目を向ける人がないと 感じます 私は こう考えています 人々は政府の見解を通して 事態を捉えるので 政府が行動せずにいる様子を見て 全ての人が無関心であると 想定してしまう事実があります そのような状況の中で このような善意の表れを見ると 本当に人類への信頼を 取り戻す機会となります

(シャハム)ロラ ありがとう

(ロラ)ありがとうございました (ショヤム)本当にありがとう

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

「地元の人道支援家は戦争という暗闇の中に見える一筋の光です」こう語るのは人道支援の起業家でTEDフェローのロラ・ハラムです。彼女はシリアのように破壊されたコミュニティの現場で働く救援隊員を支援する活動をしています。そういう場所では医療制度の破壊が武器として使われています。彼女の支援キャンペーンの一つは世界初の快挙を成し遂げました。クラウドファンディングで病院を建てたのです。「Hope Hospital(希望病院)」というふさわしい名前を持つこの病院は、2017年に開院して以来、何千人もの子供達を治療しました。ハラムはこう言います。「地元の人道支援家には、困難に負けず根気よく続け、残骸のホコリを払い、命を賭して繰り返し人命救助にあたる勇気があります。彼らの勇気に応えるには、私たちも目をそらさず、背を向けないことです」

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