アートはアメリカにおける自由に関する対話をどう形作れるか(04:33)

ドレッド・スコット(Dread Scott)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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私はビジュアルアーティストで 革命的な芸術を制作することで 歴史を前進させようとしています 思い切って言います 私は アメリカの経済的基盤も 社会関係も 支配的な考え方も受け入れません 私は作品を通して 本質的な変化を起こします 観客が作品の視点に立って 大きな問題に 取り組むように仕向けるんです 社会を変えるのは難しいけれど アイデアは極めて重要です

自分を「アーティスト」と紹介すると だいたい画家だと思われます 私は後ろにあるような 作品を作っています 『Imagine a World Without America (アメリカのない世界)』は絵画ですが 様々なメディア― 写真やビデオ パフォーマンスアートも使います 『Slave Rebellion Reenactment (奴隷の反乱の再現)』という 目下のプロジェクトでは 奴隷による反乱をニューオーリンズ郊外で 2018年11月に再現予定です

1989年に制作した作品は 星条旗を規範に反した形で扱い 論争の的になりました 『What is the Proper Way to Display a US Flag? (星条旗の正しい掲げ方とは?)』は 観客に参加を促す コンセプチュアル・アートの作品です フォトモンタージュには 「星条旗の正しい掲げ方とは?」と 書いてあり その下に回答を書き込むノートを置き さらに足下には国旗を配し そこに立ってもいいようにしました フォトモンタージュで使ったのは 韓国の学生が星条旗を燃やし 「アメリカに帰れ!クソ野郎!」という プラカードを持った写真と ベトナムから帰還した 星条旗で覆われた棺の写真です

回答には長いものも 短いものもありました 数千人が 様々な言語で この作品に関わりました いくつか紹介しましょう 「私はドイツ人です もしドイツ人がアメリカ人と同じ様に 国旗を賛美したら ナチスと呼ばれるでしょう この国旗は 深刻な問題を はらんでいると思います」 「この作家は先祖がいた場所 — アフリカのジャングルに 送り返されるべきだ その後 芸術的に 肥やしでもすくえばいい」 「俺の足下にある国旗が象徴するのは この国の抑圧 つまり インディアンや 虐げられた世界中の人々を殺してきたことだ 俺の兄貴も サツに撃たれた サツは 死んだか確かめるため 遺体を蹴って転がした 奴は星条旗を身につけていた ドレッド・スコット お前に感謝する」 「星条旗を守ってきた退役軍人として 貴様だけは絶対に守らない 撃たれちまえ! — アメリカ海軍特殊部隊」

当時は星条旗について みんな激しく反応しました 現在と同じです シカゴ美術館の前では 退役軍人のデモが起きました みんな口々に 「星条旗を掲揚し 奴を吊るし上げろ」と叫び リンチの場面を思わせました 私の元には大量の殺害予告が届き 通っていた学校には 爆破予告の電話があり 事態は緊迫していました 後日 ブッシュ大統領が 「恥ずべき作品」と評しましたが 私は大変な名誉だと思いました 議会はこの作品を違法としました

(笑)

私は仲間と共に この法律を無視して 連邦議会議事堂前の階段で 星条旗を燃やして 最高裁で争うことになりました この行為と それに続く 法的、政治的な闘争によって 合衆国憲法修正第1条に基づき 政府が愛国心を強制することを禁じる 画期的な判決が下されました

もう少し説明しましょう この群衆は私の死を望んでいました この時 私がやろうとしたことが 変化の引き金になりました これは その当時の私で 群衆の頭上 8階にいます この写真は元々 退役軍人たちがいる 階段のところで撮る予定でしたが そこに行くのは かなり危険だったはずです でも この撮影はとても重要でした 私を殺そうとする人間がいる一方で 星条旗こそ この体制における 抑圧的なものすべてを表していると 考える人々が 発言力を手にした瞬間であり その声を大きく響かせる 必要があったんです

要するに 何かを変えるには — それが アメリカの象徴にまつわる 慣習的な考え方であれ 科学の躍進で揺らいだ 従来の考え方であれ 独裁的な大統領を 失脚させることであれ いろいろなものが必要です 勇気 運 行動のための思想や 大胆さが必要なのです

ただ 運については — 確かに あの撮影は うまくいかなかったかもしれません その場を離れてから みんなで笑ってしまいました ただ これは大きな賭けで リスクを犯す価値はありました この時は運が味方して 素晴らしくて 深遠で 力強い状況が生まれました しかも愉快になったんです

ありがとう

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このプレゼンテーションについて

ビジュアルアーティストのドレッド・スコットが、この短いトークで、手がけた作品の中でも最も物議を醸したアート・インスタレーションついて語ります。この作品がきっかけとなって星条旗の扱いに全米の注目が集まり、合衆国憲法修正第1条に関わる連邦最高裁判所での画期的な裁判に至ったのです。

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