私が命がけで国家による殺戮を暴く理由(07:35)

アンジャン・サンダラム(Anjan Sundaram)
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対訳テキスト
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証人になるとは どういう意味でしょうか? 人々の苦しみを 証言することが なぜ重要なのでしょう? その人々が孤立している場合には なおさらです 私たちが背を向けたら どうなるのでしょうか?

3年前 私は中央アフリカ共和国へ 旅しました 進行中の戦争を取材するためでした ジャングルや砂漠で 殺戮が行われたと聞いていましたが 場所を特定できる人はおらず 誰が いつ殺されたかも不明でした 私はろくな情報も持たずに 戦地に入りました 私は 悲劇的で現実とは思えない 光景を目撃しましたが 最後になってやっと 着々と進む民族浄化の準備を 目の当たりにしていたことに気づきました

中央アフリカ共和国は 人口約500万人の国です テキサス州くらいの大きさで アフリカ大陸の中央にあります 1960年にフランスの植民地支配が終わり それ以来 暴力が続いています 私が取材したのは 少数派のイスラム政権である セレカと キリスト教徒主体の 市民軍勢力アンチバラカとの 内戦でした

民族浄化がさし迫ってきた 最初の兆しは コミュニティ内での 信頼関係の破綻でした 中央アフリカに着いて3日後 ガガという小さな町が 放棄されるのを見ました 戦闘は勃発寸前でした 自分の身を守るために 多くの人が 政府の内通者となり 密告された友人や隣人たちは 殺されました 都市も町も 人のいるところは どこも安全ではなくなりました そこで 人々はジャングルに移りました 私は 空き家に豚や家畜が 住み着いているのを見て 奇妙な孤立感を味わいました 戦闘地域では 人々が去ると 殺戮が近いことがわかります

内戦が ジャングルを越えて ガガの地に達し 私は 周りを 爆弾のとどろきに囲まれました 政府軍は ジャングルへと進撃し 市民軍をかくまっている町を攻撃しました 私は何時間もオートバイに乗って ジャングルの小川や エレファントグラスの草原を越えましたが たどり着いた町は 政府が焼き払ったあとで 人はいませんでした

話を聞ける人はいないかと思い 「私は味方で 危害は加えない」と 大声で呼びかけました 赤いシャツを着た女性が 森の中から走り出てきました 他の人々も 警戒しながら 木の陰から出てきて 私に尋ねました (フランス語)「人々は知っていますか?」 (英語)「人々は知っていますか?」

そう聞かれて 私は驚きました 子供達が お腹を空かせて病気なのに 食べ物や薬をくれとは言わなかったのです 彼らはこう聞きました 「人々は 私たちに何が起こっているか 知っていますか?」と 私は無力さを感じながら この問いを書き留めました 私は決意しました 彼らの人生の この瞬間を 忘れてはならないと 彼らの危機的な状況の証人となる時 私は この人々との間に 小さなつながりを感じました 遠くから見ると この戦争は 海外ニュースの 補足説明にしか思えませんでした でも目の当たりにしてからは 戦争は 次々展開する 歴史のように感じました

政府は 暴力への関与を全否定しました でも 私は続けて 町を回って 人々が 「政府による殺戮」が 前日か前の週にあった というところを通過しました

私は打ちのめされた思いがして 努めて冷静になろうとしました 一連の殺戮を報道していた時 私は 小さなお菓子を 買って食べました 口慣れたものを食べて 心を落ち着けたかったのです 中央アフリカの人々が こういうお菓子を食べるのは 空腹を和らげるためで 無数のプラスチックの包み紙を 逃げ道に残して行きます

この国で まだ放送を続けていた わずかなラジオ局で 聞いたのは 主にポップ音楽でした 戦局が進むにつれ 殺戮についての情報は 減っていきました 平時と 勘違いしがちに なっていきました 私は情報の欠落がもたらした 影響を経験したのです 2週間後 私は ゆっくりとそして不安を抱えながら 車を走らせて 孤立した 市民軍の本部に入りました PK100と呼ばれる町です そこで キリスト教徒の戦士たちは言いました イスラム教徒は 全てよそ者であり 悪者であり 政府軍の仲間だと 彼らは イスラム教徒を畜生呼ばわりしました このような馬鹿げた話に反論する 中立的な傍観者やメディアがないため 彼らの駐屯地では そういう話ばかりになっていました 市民軍は イスラム教徒狩りをはじめ 首都バンギからは 14万人近くいたすべてのイスラム教徒が いなくなりました わずか2〜3ヶ月での出来事です イスラム教徒の殺害も脱出も 証人による記録は ほぼ皆無でした

私が中央アフリカ共和国での 取材について話している今でも 自問するのは なぜ現地に 私が赴いたのかということです なぜ 我が身を危険に晒したのか?と 私がこの仕事をする理由は 社会全体で ないがしろにされた人々を通して 私たちの本質について 大切なことが わかる気がするからです 情報が欠けると 人が 事実を操作する力を得ます 証人がいなければ 殺戮された何千人もの人々が まだ生きていると思うことでしょう 焼かれた何百戸もの家々が まだ建っていると思うことでしょう 戦闘地域であっても 誰も見ていなければ 概ね 平和な土地として 通ってしまいます だから 証人が とても貴重な存在となり 証人の眼差しが不可欠になるのです 特に 暴力が誰の目にも 誰の耳にも届くことなく 音もなく まかり通る時には

ありがとうございました

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このプレゼンテーションについて

「戦闘地域であっても、誰もそれを見ていなければ、概ね平和な場所として通ってしまう」と、調査ジャーナリストでTEDフェローの アンジャン・サンダラムは言います。短く鋭いトークを通してサンダラムは、組織的な民族浄化の準備を目撃した中央アフリカ共和国の紛争の実態を紹介します。そして他者の苦しみを目撃し、それを証言することが重要な理由を語ります。「この社会でないがしろにされた人々を通して、私たち自身の本質について大切なことがわかります。だから暴力が誰の目にも、誰の耳にも届くことなく、音もなくまかり通る時こそ、証人が貴重な存在となり、彼らの眼差しが不可欠になるのです」とサンダラムは語ります。

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