運を良くするための少しのリスク(11:40)

ティナ・シーリグ(Tina Seelig)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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私は20年近い時間をかけて 人を幸運にさせるものが 何かを観察し 運が良くなるよう 人々の手助けをしてきました 私は起業について教えています 新しいベンチャー企業のほとんどは 失敗するものだと皆知っています 革新者や起業家には ありったけの運が必要です

でも 運とは何でしょう? 運は 偶然起きたように見える 成功や失敗 と定義されています 「見える」という この言葉が重要です 運は 偶然のことのように見えます 幸運へと後押ししてくれるものなんて 滅多にお目にかからないからです しかし 長い間観察してきて 気づいたことがあります 運は通常 落雷のように 例外的で劇的なものでは ないということです どちらかというと 常に吹いている 風のようなものです 時には 穏やかで 時には 突風のように 吹き抜けます 時には 想像さえしていなかった 方向から吹いてきます

では どうしたら運の風を 掴むことができるのでしょう? 難しくはありませんが 分かりにくいものです これから皆さんに 運の風を掴む帆を作る方法を 3つお話しします 1つ目にすべきことは 自分自身との関係を 見直すこと コンフォートゾーンから外に出て 小さなリスクをとるということです 子供だった頃はみんな いつもしていたことです 何かを学ぼうとしたら 避けては通れません 歩き方や 言葉や 自転車の乗り方や それに量子力学でさえも 自転車に乗れないところから始めて 次の週には 乗れるようになる 必要があり そのためには コンフォートゾーンの外に出て リスクを取らねばなりません 問題は 年を取るにつれて そうしなくなって しまうことです 自分がどういう人間かを 固定化してしまい それを広げようとは もうしないんです

私は学生に対して コンフォートゾーンから外に出て 少しリスクをとるよう 勇気づけるため 多くの時間を費やしてきました どのようにでしょう? まず初めに 自分のリスクの基準を 書き出させることから始めます これは私達が授業で開発した 楽しい活動で 自分が取ってもよいと思う リスクを書き出します すぐに分かるのは リスクをとることが 2択ではないということです 知的なリスクもあれば 肉体的なリスク、金銭的なリスク、 感情的なリスク、社会的なリスク、 倫理的なリスク、政治的リスクもあります 書き出し終えると 学生たちは 互いのリスク一覧を比べ それぞれのリスク意識が 本当に異なっていることに気づきます

それから 私はみんなを励まして コンフォートゾーンから出ることになる リスクをとるよう勧めます 例えば 知的リスクをとり 今まで挑戦したことのない問題に 取り組んでみてと 言うかもしれません もしくは 社会的リスクをとり 電車で隣の席の人に話しかけてみるとか または 感情的リスクをとり 本当に大切な人に対して 自分の思いを伝えてみるとか

私はいつも それを 自分でも実践しています 10年ほど前 飛行機の中でのことです エクアドル行きの かなり朝早いフライトでした 普段であれば ただヘッドホンをつけ 少し眠り 目覚めると 仕事をするんですが 少しリスクを とろうと決めて 隣の席に座る男性と 会話を始めました 自己紹介をして 彼が出版の仕事を していると知りました 興味深かったです 結果として素晴らしい会話を することができ 出版業界の将来について よく知ることができました フライトがあと残り 4分の1となった時 もう1つリスクを とることにしました ノートパソコンを開けて 本の執筆のアイデアを見せたんです 自分が講義で教えていることの まとめでした 彼は礼儀正しく 読み終えた後 言いました 「ティナさん これはうちの出版社向きではありませんね でも 見せてくれて ありがとうございます」 いいんです そのリスクが うまくいかなかっただけです 私はノートパソコンを閉じました フライトの終わりに 私達は連絡先を交換しました

数か月後 私は彼に連絡しました 「マークさん 私の授業に 来てみませんか? 新しい形の本を考案する 出版の将来に関するプロジェクトを やっているところなんです」 彼は「素晴らしい ぜひ伺います」と 言って私の授業に参加し 私達は充実した時間を 過ごしました

数か月後 私は彼に再度連絡しました その時は 私の学生たちが行った 別のプロジェクトの 動画をたくさん送りました 彼は 学生たちが手掛けた プロジェクトの1つに とても興味を持ち 本にできるかも しれないと思い その学生たちに会いたいと 言いました

正直に言うと 少し傷付きました

(笑)

彼が本を出したいと思ったのは 学生たちで 私ではなかったんですが でも まあいいです 来るようにと伝えると 彼とその同僚たちが スタンフォード大にやって来て 学生たちに会い その後 一緒にお昼を食べました 編集者の1人が 私に向かって言いました 「本を書いてみようと 思ったことはないんですか?」

私は言いました 「まあ 奇遇ですこと」 そして私は1年前に 彼の上司に見せたのと 全く同じ執筆の提案を 引っ張り出しました その後2週間もしないうちに 出版の契約を結び 2年もたたないうちに その本は 世界中で百万部以上売れました

(拍手)

さて 皆さんはこう おっしゃるかもしれません 「それは幸運でしたね」 もちろん私は幸運でしたが その運がつかめたのも 私がとった一連の小さなリスクのおかげで それは挨拶することから 始まったんです 誰でも できることです 人生でどんな状況にあろうとも 世界のどこにいようとも たとえ自分を最も不運な人間だと 思っていようとも コンフォートゾーンから外に出て 小さなリスクをとることで実行できます 運を掴むための帆を 作り始めましょう

2つ目にすべきことは 他の人との関係を 見直すことです 人生の旅路の中で 助けてくれる人はみんな 自分の目標達成に大きな役割を 果たしていることを理解しましょう もし 彼らに感謝を示さないなら きちんと やり取りを 終わらせていないだけでなく 機会も失ってしまいます もし誰かが 何かをしてくれたなら その人が 自分や他の人のために 費やすこともできた時間を もらったことになるんです 彼らがしてくれていることに 感謝すべきです

私はスタンフォード大で 3つの特別研究員 奨学金プログラムを管理しています とても競争率が高いものです 落選してしまった学生たちに 通知を送る時はいつも 相手が落胆するだろうことを 知っています 落胆した学生の中には 文句を書いてくる人もいます 中には 次回どうすれば もっと良い結果になるか 聞いてくる人もいます そして時々 機会を与えてくれたことへの感謝を 書いてくる人がいます

7年前のことです ブライアンという名の青年が 素晴らしい手紙をくれました 「私はこのプログラムに 2度断られましたが それでも 機会を与えて下さった ことに感謝を伝えたいです 応募する過程で たくさんのことを学びました」

私は彼のメッセージの奥ゆかしさに とても感激し 会おうと誘いました 少しの間 歓談し 一緒に自主研究プロジェクトをする案を 思いつきました 彼はスタンフォード大の アメフトチームに所属していて そのリーダーシップを題材に プロジェクトをすることに決めました 彼とは その学期を通じ 互いのことを とてもよく知ることになり 彼はその自主研究で始めた プロジェクトを続けて 最終的には Play for Tomorrowという 会社を設立しました 彼は恵まれない 環境に育った子供達に 自分の夢見る人生を築くための 方法を教えています

この話の大事な点は 私達が運の風を 掴むことができたのも 彼の感謝の手紙の 結果であり 元々その風を予期しても いなかったということです

この数年間を通して 自分の人生で 感謝の気持ちを 本当に育むための方法を いくつか編み出しました 最も気に入っている方法は 毎日 1日の終わりに 予定表を見て その日会った人々を振り返り 全ての人に 感謝のメッセージを送ることです 数分しか かかりませんが 毎日の終わりに 私は人々に強く恩を感じ 感謝の気持ちを持ちます これは間違いなく 私の運を良くしてくれています

1つ目はコンフォートゾーンの 外に出て少しリスクをとるということ 2つ目は感謝の気持ちを 伝えるということでした 3つ目はアイデアとの関係を 見直すことです 多くの人は新しいアイデアが 出てきた時に評価をします 「それは素晴らしい考えだ」とか 「ひどい考えだ」と― しかし 実際にはもっと 機微があって 単に良いとか悪いという ものではありません 事実 ひどいアイデアの種が 本当に素晴らしい実になることもあるんです

私が創造力の授業で行っている 好きな演習の1つは ひどいアイデアの中に 可能性が潜んでいないか 探そうとする姿勢を 養わせるものです 学生にある課題を与えます 全く新しいレストランの アイデアを出せと 新しいレストランについて 最高のアイデアと 最悪なアイデアを 出さなければなりません 最高のアイデアは 例えば 美しい日没が見られる 山頂のレストランや 見事な眺めの 船上レストランです 最悪なアイデアは 例えば ゴミ捨て場の中にあるレストランや 汚らしい ひどいサービスの レストラン あるいは ゴキブリのお寿司を 提供するレストランです

(笑)

私は 学生から アイデアを書いた紙をみんな集め 良いアイデアを読み上げると それを破り捨ててしまいます それから ひどいアイデアの紙を みんなに配ります 各チームが 他のチームがひどいと 判断したアイデアを受け取ります 彼らの課題はそれを素晴らしいものに 変えるということです

何が起こるでしょう 10秒もしないうちに 誰かが 「これは優れたアイデアだ」と言い出します 彼らは3分後には アイデアをクラスの みんなに売り込まなければなりません ゴミ捨て場のレストランは どうなったでしょう? ミシュランの星付き レストランから 捨てられるはずの 余り物を集め ずっと安い価格帯の 別のレストランで 提供するんです とても素敵でしょう? 汚くてひどいサービスの レストランはどうでしょう? 将来レストランを 開業したい人々が 様々な失敗の可能性を避ける方法を 学べる訓練所になりました ではゴキブリ寿司の レストランは? とても興味深くて 珍しい食材を扱う 寿司屋になりました

皆さんに身近な 本当に革新的な ベンチャー企業を見渡してみたら— 人々の生活を変え 今や当たり前の存在になった企業は どうでしょう? みんな突拍子もない アイデアから始まっているんです 他の人に言ったら ほとんどの人が 「馬鹿げている うまくいきっこない」 と言うようなアイデアからです

時に人は ひどい環境に生まれ 時に運は落雷のように 素晴らしいものや ひどいものをもたらします しかし 運の風は いつも吹いています もし皆さんが 少しのリスクをとり 感謝の気持ちを示すために 行動する気があり 突拍子がなかろうと アイデアに可能性を 見出そうとするなら 運の風を掴む より大きな帆を作れるでしょう

ありがとうございました

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

ほとんどの場合、運は落雷のような例外的で劇的なものではありません。どちらかというと、常に吹いている風のようなものです。運気をもっと取り込むのは難しくはありませんが、分かりにくいものです。この洞察力にあふれたトークでは、スタンフォード大学工学部教授であるティナ・シーリグが、運が良くなり、チャンスを見付けて掴み取る力を高められる意外な3つの方法を教えてくれます。

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