オンラインの嫌がらせコメントから、オフラインの建設的な対話を生む方法(10:53)

ディラン・マロン(Dylan Marron)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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こんにちは 私はネットで嫌がらせを受けています しかも大量にです 嫌がらせは 私の仕事には付きものです 私はデジタル・クリエイターで インターネットに特化した 創作活動をしています 例えば数年前に『すべての台詞』という 動画シリーズを制作しました ヒットした映画を編集して 白人以外の出演者の 台詞だけをつなげました ハリウッドにおける人物描写の問題を 実体験に基づく 見やすい形にしたものです その後 アメリカ中で トランスジェンダーへの嫌悪感丸出しの 「トイレ法」がメディアの注目を 集めるようになって インタビューシリーズの 司会と制作を務めました タイトルは『トランスの皆さんと トイレで座り込み』 文字通り そうしたんです

(笑)

その後― どうぞ 拍手は歓迎ですよ

(拍手)

ありがとう 皆さんはYouTubeで パッケージの開封動画を見ますか? ユーチューバーが 最新の電化製品を開封するビデオです そこで私は これを皮肉った 週1回のシリーズで 形のないイデオロギーを 開封しました 「警官の暴力」とか「男らしさ」 「アメリカ先住民に対する不当な扱い」とか

(笑)

私の作品に— ありがとう 1人だけ拍手してくれてますね

(笑)

やあ 母さん

(笑)

私の番組に人気が出てきました それもかなりの人気で 再生数は数百万回 大量の好意的な意見と 膨大なフォロワーを得ました でもネットで成功した裏側で 私に付きまとったのは ネット上の嫌がらせでした いろいろ言われました 「ベータ」とか「スノーフレーク」 それに 大人気の「寝取られ」とか 安心してください これから説明します

(笑)

わからない方のために 「ベータ」とは ネットスラングで 「男らしくない男」ということです ただ本音を言えば 私はパールのピアスを着けて ファッションセンスは カジュアルな装いのリッチな白人女性 だから 男の中の男なんて目指してません

(拍手)

そんなの無理ですから

(笑)

「スノーフレーク」は 繊細で 自分が特別な存在だと 思っている人に対する嫌味です 私はミレニアル世代で 一人っ子だから そんなの当然でしょう!

(笑)

でも やっぱり最高のお気に入りは 「寝取られ」です 「寝取られ男」を縮めた悪口で 妻に浮気されている 男性のことです でもね 私は筋金入りのゲイですから 妻がいたら 浮気を 勧めるんじゃないかと思います

(笑)

ありがとう では こういう悪口が 実際に使われる様子を見てみましょう 直接的なこともあります 例えば マルコスの書き込みは 「お前は 人間の嫌な部分の塊だ」です ありがとう マルコス 端的に書く人もいます ドノヴァンの書き込みはこうです 「ゲイ野郎 ホ〜モ」 ここで言っておきたいんですが ドノヴァンは間違ってません 書き込みの内容は その通りなので 認めるべきは認めましょう ありがとう ドノヴァン ブライアンのように 質問をよこす人もいます 「生まれつきホモなの? それとも だんだんホモに?」 ただ 私がすごくいいと思ったのは ブライアンが書き込んだ後に 手が滑ったんでしょう 私に「いいね!」してきたんです

(笑)

だから 君にも「いいね!」

(笑)

こういうメッセージのことを話すのは 面白いですよね でしょう? 笑い飛ばすのは 気晴らしになりますし でも本当は こんな風に書かれて いい気はしません 初めはコメントの スクリーンショットを撮って 誤字をからかっていましたが すぐに それはエリートじみていて 結局 意味がないと感じました だから 私は予想外の対処法を 身に付けていきました

受け取った嫌がらせメッセージは 大半がSNS経由だったので 送り主のプロフィール写真を クリックすると 大抵の場合 相手の情報が全て見られたのです 彼らがタグ付された写真や 投稿や共有したネタを 見ることができて 画面の向こうに 人間がいるとわかると 少し気分がマシになりました 彼らの書き込みを 正当化する気なんてありませんよ ただ 背景は見えてきました それでも物足りなさを感じて 何人かに電話したんです 怖くなさそうな相手だけですが 出だしの質問はシンプルでした 「なぜそんな書き込みを?」

最初に話した相手はジョシュ ジョシュは書き込みの中で 私を「バカ」で 「アメリカ分断の原因」と呼び その上「ゲイは罪」と 締めくくっていました 初めて会話したときは かなり緊張しました コメント欄ではないので ミュートもブロックもできません もちろん 私から電話を切っても よかったのかもしれませんが そうしたくはありませんでした 話すのが楽しくなり 彼が好きになったからです 会話の一部をお聞きください

(音声 ディラン) ジョシュ きみは― もうすぐ高校卒業だって言ってたね?

(ジョシュ)ああ

(ディラン)高校はどう?

(ジョシュ)下品な言葉を 使ってもいいのかな

(ディラン)もちろん 大丈夫だよ

(ジョシュ)クソだったね

(ディラン)そうなの?

(ジョシュ)2週間で卒業なのに それでもクソだね 僕はちょっと体格がよくて― 「デブ」って表現は嫌なんだ― とにかく クラスのみんなより ちょっと体格がいいから 僕って人間を知る前に みんな先入観を持つみたいなんだ

(ディラン)最悪だね きみには知ってほしいんだけど 僕も高校でいじめられてたんだ 高校でいじめに遭ったという 共通の体験があるからといって 彼の行為を打ち消せるでしょうか それは無理です では たった1本の電話で 政治的に分裂したこの国が 根本的に癒されて 組織的な不正をなくせるでしょうか? そんなこと ありえませんよね では 会話することで プロフィール写真や投稿よりも お互いの人間性が わかるようになったでしょうか? 間違いなく イエスです 私はさらに続けました 一部は「味方」からの 嫌がらせだったんです マシューは 私と同じ 同性愛者で リベラルな芸術家ですが 「リベラリズムの最悪な面を 体現している」と書き込んだ彼に 聞きたいことがありました

(ディラン)この投稿で 僕をタグ付けしたね 僕に見せたかったの?

(マシュー 笑って)正直に言うと 見られるとは思わなかった

(ディラン)公衆の面前で 辱められた経験は?

(マシュー)あるよ でも「だから何だ」って言ってきた

(ディラン)気にしなかった?

(マシュー)辛かったけどね

(ディラン)気にしなかった?

(マシュー)いや 気にしたさ

(ディラン)こういう会話の最後で 自分を振り返ることが よくあります 改めて考えるんです そういうことが起きたのは ダグという男性との電話の最後でした ダグは私のことを 「三流プロパガンダライター」と書きました

(ディラン)2人で話してきたけど 自分がネットに書き込んでいることへの 感じ方は変わった?

(ダグ)変わったよ! きみに「三流ライター」と書いた時は 対話なんてできてなかったし 本当のきみを知らなかった よく思うんだけど それがコメント欄の実態なんだ 相手を知らないのに 誰彼構わず 世間に対する怒りを ぶちまける手段なのさ

(ディラン 笑って)そうだね

(ダグ)でも 今回をきっかけに オンラインでの人付き合いを 考え直してるよ

(ディラン)それで私は こういう会話をたくさん集めて 『僕を嫌う人との対話』という ポッドキャストを制作しました

(笑)

それまで私はこう考えていました 何かを変えたかったら 現実的な手段は 対立する意見を封殺すること そのためには 大げさな言い回しの動画や コメント、投稿をしようと でも すぐに気づきました そんなのを歓迎するのは 元々 私に賛成している人だけなんです 時に...お大事に 時に 自分ができる 最も革命的なことは — みんな あの人に拍手を

(笑)

自分ができる最も革命的なことは 対立する相手と 実際に対話することであって 暴言を吐くことではないんです

私は電話をかける度に ゲストに自分自身のことを 話してくれるように 必ず頼みます そして相手が答えてくれるから 私は共感できるんです 結局 共感こそが 対話を軌道に乗せるために 最も重要な要素なんです ただ 自分が心底対立している人に 共感しようとすると 傷つきやすくなる気がします だから役に立つ合言葉を 自分で考えました 「共感は支持じゃない」 自分と心底対立する人に 共感するのは 心の奥にある信念を いきなり譲って 相手を支持するという 意味ではありません 例えば 「ゲイは罪」と信じる人に 共感したとしても 私が急に全部投げ出し 荷物をまとめて 地獄への片道切符を 手にする訳ではありません 共感とは 単に成長の過程で 私とは全然違う考え方になった人の 人間性を認めることなんです それから はっきり言っておきたいのは 共感はアクティビズムへの 処方箋ではありません もちろん 中には 自分を中傷する人と話すのは 不安だという人もいますし 自分は社会のはみ出し者だから 他人に共感する気なんて さらさらないと思う人もいます すごくよくわかります これが 私に合ったやり方というだけです

私はポッドキャストのために いろいろな人に連絡しました 丁寧に断る人もいれば メッセージを読んでも無視する人や 私からの招待を 自動ブロックする人もいます ある男性なんて 了解してくれたのに 電話で話し始めて5分で 一方的に切ったのです

このトークが いつかネットで 公開されることは わかっています そしてネットには コメント欄が付きもので コメント欄には嫌がらせが 付きものだということも わかっています だから このトークを見る人は 私を好きなように呼んでください どう呼んでも構いません ゲイ野郎 スノーフレーク、寝取られ、ベータ 間違いだらけのリベラル野郎って 呼んでもいい ただ あなたがどう呼ぼうと 私は話がしたいんです そして もしあなたが 話を拒んだり 自動ブロックしたり 了解したのに電話を切ったりするなら スノーフレークは あなたの方かもしれませんよ

どうもありがとう

(拍手)

(歓声)

(拍手)

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このプレゼンテーションについて

デジタル・クリエイターのディラン・マロンは『Every Single Word(すべての台詞)』や『Sitting in Bathrooms With Trans People(トランスの皆さんとトイレで座り込み)』といったプロジェクトで数百万の視聴回数を集めています。ところが、ネット上での成功の裏側には、嫌がらせがあることに気づきました。彼は次第に、予想外の対処法を身に付けていきます。つまり、彼に対して心無いコメントを残した人々に電話をかけ、「なぜそんな書き込みをしたのか?」とシンプルに質問をするのです。ネット上での人付き合いについて深く考えさせられるこのトークで、彼はこう説明します。「自分ができる最も革命的なことは、対立する相手と実際に対話することであって暴言を吐くことではない」と。

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