気候変動の解消に向けた原子力発電の必要性(13:46)

ジョー・ラシター(Joe Lassiter)
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対訳テキスト
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昨晩も10億もの人々が 電気も通わぬような場所で 夜を過ごしたことは 忘れられがちです 10億人です 25億もの人々は 料理用のクリーンな燃料もなければ 暖房用の燃料すらありません これが発展途上国の抱える問題です 遠く離れたところに住む このような人々に 我々はあまり共感を 覚えないものです。

しかし 先進国ですら 経済の低迷による 緊張が生まれており 人々の生活に悪影響を及ぼしています そのような経済的状況は 様々な場所で見られることで 影響を被った人々は 将来の夢を失い 現況に絶望しています 英国のEU離脱でもそうでした わが米国では サンダース氏、トランプ氏の 選挙運動でもそうでした 最近になって 先進国の仲間入りが間近に見えてきた 中国でさえ 炭鉱業の多くの労働者を 解雇しだしたことから 習国家主席の抱える難題が分かります 彼らには明るい将来が見えません 我々が社会の一員として 先進国や発展途上国が抱える問題の 解決方法を見出そうとするとき 目を向けるべきことは この先どうするか そして— その際の決断に伴う 環境への影響を どう管理するかです。

人類はこの問題に リオ宣言と京都議定書以来 25年間取り組んでいます 直近の動きとしては パリ協定と これに基づく 気候変動に関する合意で 世界の国々が これを批准しています これにはとても希望が持てます 各国ができると言ったことを元に 積み上げていった合意なので 参加国の多くにとって偽りがなく 実現されるものなのです 残念なことに 気候に関する条約で約束したことが 実現されたら どういう結果が得られるか 第3者が分析したところによると 我々の前に立ちはだかる 問題の大きさが明らかになりました。

これは米国エネルギー情報局による アセスメントで パリで取り決めた温暖化対策目標を 各国が実現した場合 現在から2040年の間に 何が起こるかを評価しています 基本的に今後30年間の 世界全体でのCO2排出量を 示しています 3つのことに注目し そして 理解する必要があります。

1つ目に CO2の排出量は今後30年間 増加し続ける見込みです 気候変動を抑えるには 文字通りCO2の排出量を ゼロにしなければなりません なぜなら 累計排出量が 地球温暖化の原動力となっているからです これは化石燃料の使用を 止めるべきだというメッセージです。

2つ目に注意すべきことは 世界経済の成長の多くは 開発途上国からもたらされており― それは 中国、インド それに加え 南アフリカ、インドネシアや ブラジルといった国々です これらの国々のほとんどで 国民が 我々先進国の人々が当然と考える ライフスタイルに比べ 低い生活レベルへと 追いやられています。

最後の注意点は 毎年 約100億トンの炭素が 地球の大気圏に放出され これが海域および陸域へと 拡散していることです 既に存在する5,500億トンの 炭素に加えてです 今後30年で 8,500億トンの炭素を 大気中に放出することになり この影響によって おそらく 世界の地表の平均気温が 2~4℃ 上昇し 海洋が酸性化したり 海面が上昇したり することになるでしょう。

さて これは人類、社会活動が 引き起こすことによる 予測ですが これは受け入れてはならず 何かを変えなければなりません 一方 問題の深刻さを 我々はもっと理解しなければなりません。

エネルギーの選択は 国ごとに異なっています 各国が有する天然資源によるからです 各国の気候や 国としてたどってきた発展の歴史 それに その国の地球上の位置にも 依存しています 日照時間が短いとか 中緯度に位置しているとか そういった実に多くの要因が 各国の選択肢に影響し 各国が それぞれに 異なった選択をしています。

認識する必要のある重要なことは 中国の選択です 中国は石炭を使用することを選択し 今後も続けるでしょう アメリカは異なる選択をしています 天然ガスを使用することです 我々が手にした 水圧破砕により シェールガスを利用する技術を 発明した結果です 技術が別の選択肢を可能にしました OECDに加盟する欧州には 異なる選択肢があります 資金が豊かなドイツでは 再生可能なエネルギーの開発を 展開できます フランスやイギリスは 核エネルギーに関心を示しています 東欧では なおも天然ガスや石炭と 依存しており さらにこれに ロシアから供給される天然ガスが 複雑に絡み合っています 中国はずっと選択肢が少なく 合意事項の達成はずっと困難です。

中国にとって 石炭がなぜとても重要なのか 疑問に思ったら 中国がしてきたことを 振り返る必要があります 中国では電力を人々に供給するのではなく 電力のある場所に人々を引き寄せました 地方では電気の普及は促進されず 都市化が進められました 低賃金の労働力と 低コストのエネルギーを利用し 著しい成長が期待される 輸出産業を創出して 都市化したのです。

中国がたどった道を見てみると 劇的な繁栄を成し遂げつつあることは 誰もが知るとおりです 1980年には 中国人の80%は 極めて貧しい暮らしを送っていました 1日1人当たりの収入は 1.9ドル未満でした 2000年までには 極貧の生活を送る人々の割合は 20%を下回りました これは偉業です ただし― 確かに 市民の自由は 少し犠牲になりました これは西側諸国には 受け入れ難いことかもしれません ともかく 得られた富のおかげで 人々の栄養状態は とても良くなりました 上下水道が整備され 下痢性疾患が激減しましたが 大気汚染という代償は払っています。

1980年も 現在も 中国での第1位の死因は 屋内空気汚染です 空気を汚さない調理や暖房用の 燃料が手に入らないからです 実際 2040年になっても 中国では2億の人々が クリーンな燃料を 利用できないと見積もられています これからも深刻な問題を 抱えていくのです。

インドも国民の要求を満たすため 石炭を燃やし続けます 米国エネルギー情報局による インドにおける石炭の利用予測によると インドでは再生可能なエネルギーの ほぼ4倍のエネルギーが 石炭から供給されることになります 彼らには代替手段が ないわけではありません しかし 自由に選択できる 富める国と違い 貧しい国に選択肢はありません。

では 手遅れになる前に 石炭からのCO2排出を止める方法は? 差し迫るこの予測を変えるために 何ができるでしょうか? 我々に意志があれば 予測の実現を止められるのです。

まずは 問題の深刻さについて 考えなければなりません 今から2040年までの間に 世界中で800~1,600基の 石炭火力発電所が建造されようとしています この1週間で 世界では1~3基の 1ギガワット級の石炭火力発電所が 始動します 我々の望みとは無関係に 起こっていることです なぜなら 国を統治する人たちが 国民の要求することを鑑みて 自国民の利益になるような 決断を下しているからです より良い代替策がない限り 避けられないことです 石炭火力100基につき 地球の気候変動を抑制するための 総許容量の 1~3%を使っています。

毎日帰宅して 地球温暖化について 考えを巡らしても 週末には 誰かが石炭火力を稼働し それが50年も続き 変化をもたらす可能性を奪っていると 考えざるを得ないのです。

インド系でありながら アメリカのベンチャー企業家である― ビノッド・コースラの言葉を 我々は忘れがちです 彼が21世紀初頭に発言したことは 中国とインドを化石燃料から 遠ざけるためには 「チンディア・テスト」をクリアできる 技術を開発すべきということでした 「チンディア」とは中国とインドを 合わせた呼び方です まず第1に 実現可能ということ つまり これらの国々でも 技術的に実現可能であり 国民に受け入れられるような ものであるということです。

第2に大型化が可能な技術で 化石燃料を使う設備と同じような 短い期間で建造できて 同程度の効果をもたらし その結果 先進国では当たり前の 生活レベルを享受できることです。

第3に コストパフォーマンスが良く 補助金が必要とか 建造が強制されるものではいけません 自前の投資で採算が 成り立つことが求められます すなわち 多くの国の人々にとって 技術の維持が不可能になるのは 新技術への移行を成し遂げるために 外国に頼らなければならない場合や 「お前の国とは取引しない」と 迫られるような場合なのです。

「チンディア・テスト」の 基準を満たす代替策は 見出されていません これが米国エネルギー情報局の予測です 中国は800ギガワットの石炭発電所と 400ギガワットの水力発電所と 約200ギガワットの原子力発電所と 供給の断続性を考慮して 換算したベースで約100ギガワットの 再生可能なエネルギーによる 発電所を建造中です 800ギガワットもの石炭火力― 彼らはそのコスト効率を 他のどの国よりも知り尽くし その必要性を良く知っているから 建造しているのです 彼らにより良い選択肢を与えなければ 2040年に彼らが目指すのは 石炭火力になるでしょう より良い選択肢を与えるためには 「チンディア・テスト」を クリアしなければなりません。

利用可能な代替策を見てみましょう 2つの手段が ほぼその基準を満たします 1つ目は これからお話しする新しい核技術です これは既に世界中で 設計段階に入っている 新世代の原子力発電所で 開発に関わっている人たちによると 2025年までには 試運転がなされ 人々がそう望めば2030年までには 大型化が可能ということです 2つ目の選択肢は 近い将来実現可能なもので 発電所規模の太陽光発電に 補助電源として 開発途中のバッテリーではなく 既存の天然ガス発電を 組み合わせたものです。

新型原子力発電所の開発を 妨げるものは何か? それは古い規制と 昔ながらの考え方です 我々は放射線管理の 最新の科学による考え方を 大衆の理解を得ることや 新型原子炉の試運転を管理するために 使っていません 我々は よりよい原子力産業の 規制に必要な 新しい科学的な知識を 持ち合わせているのです。

2つ目は 古い考え方― 原子力発電所の開発に 25年の歳月と20~50億ドルの費用が 掛かるというものです これは原子力技術を開発した 過去の 軍部の考え方に 根ざしています 新型原子力発電の企業家は 1キロワット時あたり 5セントで供給し 100ギガワット級の発電所を 1年で建造でき 2025年までには試運転ができ 機会が与えられれば 2030年までには 大型化ができると言っています。

我々は今 ただ奇跡が起こるのを 待っているだけですが 我々に必要なのは選択肢です 原発企業が安全性を担保できず 費用を安くできないなら これを普及させるべきではありません ただ皆さんにお願いしたいことは アイデアを先延ばしするのではなく 指導者にメッセージを送り あなたが支援するNGOの長に メッセージを送り こう伝えるのです 過去の考えにとらわれず 我々に選択肢を与えて欲しいと。

どうもありがとうございました。

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このプレゼンテーションについて

物事を深く考え、率直に語るジョー・ラシターが焦点を当てるのは、クリーンで安全、二酸化炭素の排出量と吸収量が等しい上に、信頼性が高く低コストのエネルギー供給手段の開発です。彼は世界のエネルギー事情を分析することを通して、以前から扱い難い問題だった原子力発電を大きく取り上げるとともに、化石燃料に経済性で匹敵する新しい原子力発電所の設計について語ります。「原子力発電はこれまでよりずっと安全かつ安価に建造できる」と彼は言います。今こそ原子力発電の推進を選択すべき時なのです。

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