コンピュータが食物を育てる未来(15:55)

ケイレブ・ハーパー(Caleb Harper)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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食糧危機 日頃からニュースになっています どういう意味でしょう?

世界では場所によって 食料が不足していたり 供給過剰になったりしています 一方 GMO(遺伝子組み換え作物)は 世界を救っています GMOにも問題点があるかもしれません 過剰な農業排水は 海を汚染し 毒物を流入させ 栄養価を低減させています こんなことが 延々と続いています 環境に関するこんにちの議論には とても落胆しています どうやったら我々の知識により 解決を図れるでしょうか?

リンゴの食糧問題を見てみましょう 皆さんは先週 リンゴを1つは食べた事でしょう そのリンゴは摘み取ってから どの位たったものだと思いますか? 2週間? 2か月? 11か月 ― アメリカの食料品店に並ぶ リンゴでの平均です ヨーロッパや世界の他の国でも さほど違いがあるとは思えません リンゴを摘み取り 冷蔵庫に保存し そこに 保存用の気体を封入します 作業員がこの保存庫に入り リンゴを取ろうとして 亡くなったという記録も 残っています なぜなら リンゴの腐敗を遅らせる空気は 人間にとって有毒だからです

このことを誰も知らなかったのはなぜ? なぜ私は知らなかったのでしょう? リンゴに含まれる 抗酸化作用成分の90%が 食べる時までに失われています これでは単なる糖分の塊です なぜ我々はこれほどにも 情報不足になっているのでしょう? 改善の手立ては?

プラットフォーム(ネット上の討論の場)が 欠けているからです プラットフォームと言えばコンピュータ 若い頃 ネット上で とてもヤバイことを やりました(笑)

このプラットフォーム上でね しかし 人々に会ったり 自己表現することもできました

食べ物を使って 自分を表現する方法は? プラットフォームがあれば 「もしも・・・」と問いかけることも 自在になります 私の疑問はこうでした もしも気候が皆にとって平等だったら? これは 世界の気候マップです 生産性が高い場所は緑 低い場所は赤で示されています 色は移動し変化します カリフォルニアにあった農業の中心は 今やメキシコに移っています 中国はより良い食物を ブラジルの土地で育てています 我々は気候に服従しています もしそれぞれの国が 生産に適した気候を有していたら? それは人々の生活を どう変化させるでしょうか? 生活と栄養の質を 変えるのでしょうか?

前世代の人たちにとっての問題は より多くの食料を― 安く手にすることでした グローバル農場の世界へようこそ 人類は巨大な アナログ農場を建設しました ここに描かれている線は 車、飛行機、鉄道などで繋がれた 食料輸送を示します 70億人の人口を支える食料が 僅かな割合の人々によって 生産されているとは奇跡的です

もしも・・・ デジタル農場を建設できたら? 世界に広がるデジタル農場です このリンゴを取り出して 何らかの方法で デジタル化し 粒子として空気中を伝搬させ 別の場所で 再構成することが出来たら? もしも・・・

私はここに書かれている文章を読み 刺激を受けて この研究を始めたのです

1つ目―

日本の農業には若い労働力も 水も、土地も将来もないんだ

これを見てその当時 私は震災を被った 福島の直ぐ北にある南相馬へと向かったのです 土地が汚染されていたため 子供たちは仙台や東京へと移っていきました 日本は既に70%もの食料を 輸入に頼っています 食糧問題は 日本に限ったことではありません アメリカで 農業に携わっている人口は2%です どの国であろうと2%なんて 少なさで出来ることなど限られています 他の国を見渡してみると― アフリカの人口の50%は18歳未満です 彼らの80%は 農家にはなりたくないと思っています 農業は重労働ですから 小規模農業を営む 農民の生活は惨めで 都市部へと流れていきます インドでは農家は水や電気の 供給すら受けておらず 今年自殺した農民の数は 過去10年間で最高でした 実に嫌な話です 農民はどこへ行くのでしょう? 都市部です 若者は地元に残らず 皆が都市部へと流れ込みます では どうやったら若者に刺激を与えるような プラットフォームを構築できるでしょうか?

新型のトラクターのご紹介! これが私が生み出したコンバインです 何年も前のこと 日用品店やDIYの店に行き 工作を始めました 変なものを作り始めたのです 植物にダンスをさせようとして 植物をコンピュータに接続すると 全て枯れてしまいました 大変な数でした(笑)

ついには枯れない ように出来ました 私の人生において 最も親密な関係の1つとなるものを 構築したのです それは植物の言葉を 理解し始めたということです もっと大きく育てたいと願うと 彼らは言いました 「おおいにやれ! ここには誰も入りたがらない 古い電気実験室があるだけだ 何が出来ると思う?」

仲間と共にMITメディアラボに 農場を建設しました この場所はこれまで 生物学ではなく デジタルライフの研究所として 知られてきました この約6平方メートルのスペースで 毎月 3百人分の 十分な食料を生産しました 大量とは言えませんが・・・ そこには多くの興味深い技術が 投入されていますが その中でもっとも興味深いことは? 美しい 白い根 濃緑色野菜 そして 毎月の刈り入れ これは新しいタイプの カフェテリアでしょうか? 新しい小売業体験? 新しい食料品店? ひとつ確実に言えることがあります メディアラボにおいて 根から何かを摘み取った 初めての事例であることです(笑)

袋にサラダが入っていますが 何の問題もありません しかし 画像処理のエキスパート データ・サイエンティスト ロボットの研究者がいて 根から何かを摘みながら 「自分の知識を使えば こんなこと出来るさ 試してみよう」 と考えたら何が起きるでしょう?

我々は ここの植物を外に持ち出す前に まずはラボに留めておこうとします なぜって 育てたものは 捨てたくないですからね 貴重なものなのです 私の舌は変わっていて、まずは自分が試食します まともな食品であることを確かめるまでは 人には食べさせたくありません それで 毎日レタスを食べています レタスのpHは 0.1以内の誤差でわかるので(笑)

「ああ それはPH6.1だ 今日は食べられないよ」こんな感じです(笑)

この日のレタスは もの凄く甘かったです 植物がストレスにさらされ 自らを守ろうとして 内部で化学反応が起こるので とても甘くなるのです 「死にたくないよ」 そんな植物の叫びが 私好みの とても甘い味にしてくれます 植物生理学に転向した科学技術者・・・

この実験を他の人も行えるように しようと思いました 何が作り出されるのか 興味津々です そこで どこにでも配達できるラボを 考えてみました まずは作ってみました

メディアラボの正面側に 私のラボがあります 植物1つにつき30個程の センサーが取り付けられています ゲノムや遺伝子工学について ご存知でしたら これはいわゆる フェノーム(表現型)です 「現象」という言葉に由来します たとえば「メキシコ産のイチゴが好みだ」 ということは 実際にはあなた好みの 味に育つような気候の下で 育ったイチゴが 好みなのです だから その気候をプログラムで造り出せば― 二酸化炭素や酸素の濃度といった 組み合わせをレシピとして 植物の風味、栄養分 大きさ、形、色や歯ごたえといったものを プログラミングするのです これにはデータが必要で 状況を知るために 多くのセンサーを取り付けています

室内園芸植物について思い浮かべ これを眺めていると とても悲しくなるでしょう 「なぜ死にかけているの? 僕に話しかけてよ」(笑)

農家の人々は植物の成長を予測する 最高に素晴らしい眼力を 60歳代後半から70歳代ごろに 開花させます 植物が枯れかけているとき 彼らにはその理由が 窒素不足だとか カルシウム不足とか 湿気が必要だとかが 分かります この素晴らしい眼力は 継承されません

これはある農民がクラウド上に 保存したデータです データの経時変化を追い これらのデータと 個々の植物との相関をとります これらはある日の研究室のブロッコリが IPアドレスで表されたものです(笑)

IPアドレス付与可能な ブロッコリなのです(拍手)

まだ奇妙さが足りない とお思いならば ここをクリックして 植物のプロフィールを見てみましょう さきほどの植物の成長に関する ダウンロード可能なデータです おそらく皆さんの想像以上で いつ食べられるかだけでなく 自分が必要とする栄養が 得られる時期や 好みの味になるタイミングまで 予測します 水をやりすぎていないか? 日光を取り込みすぎていないか? 警告も発します 私に話しかけます 知的なんです 私と共通の 言葉を持っています(笑)(拍手)

私は 植物界のフェースブック ユーザー第1号だと思ったりもします 先ほどのは植物のプロフィール そして その植物が 友人を作り始めます(笑)

より少量の窒素、より多くのリン より少量のカリウムを消費する 他の植物とは 相性が良いはずです 今のところ推測しかできない 植物間関係の複雑さも学んでいます 植物は我々を友人と認めてくれないかも― でも可能性はあります それは我々の行動次第です

これが現在の私のラボです 以前より少しだけ秩序だっています 私は様々な病院でデータセンターを 整える事に経験があり 管理された環境をつくることには 少し知識があります

それから 私はこの環境下において あらゆる実験を試みています この方法 気耕栽培はNASAによって ミール宇宙ステーション向けに 宇宙空間に運び出す 水を減らすために開発されました ここでは 植物に必要なもの― 水、ミネラルや酸素を ちょうど必要なだけ与えています 根の成長はシンプルで 必要なものを与えるだけで この様に見事に育ちます 植物にはまるで心臓が2つあるようです 2つの心臓があるので 4倍にも5倍にも速く育ちます 完全な世界です 人類は長年にわたって技術を進歩させ 厳しい環境でも育つ種を得ました 技術改革は続けられていますが 今や新しい方法を産み出しました 完全な世界です

我々は様々な種類の植物を育てました この種のトマトは150年間 商業生産されていませんでした 人類は希少かつ古来の種子バンクを 持っていることをご存知ですか? 種子の貯蔵庫のことです 素晴らしいことです 生殖質が生きたまま保存され 誰も口にしたことが無い種もあります ラボでこのトマトを食べたのは 私だけです 問題はこれはソース用トマトであり 調理法が分からないことです ソース用トマトを食べてみましたが 美味しくありません タンパク質を用いて― 様々なものを育ててみました 人間だってね―(笑)

出来るかも でも本当はやっていません

さて分かってきたことは 装置が大型で 非常に費用がかかることです 世界中に広めようと思いましたが 1千万円ほどかかる装置になりました 1千万円をさっと出せる人は なかなか見つかりません そこで小さなものを作ろうと思いました

このプロジェクトは 実際には私の学生の一人であり 機械工学を学ぶ学部生 カミールが進めていきました カミール、私と仲間たちは 夏の間中 繰り返し実験し より安価に より上手く機能し 誰でも作れるような ものを目指しました 次に これを中学 高校に持ち込みました 人にばかにされたいと思ったら 子供に何かを教えてみて下さい

私は学校に行って こう言いました 「湿度を65%に設定して」

中1の生徒が質問します 「湿度ってなーに?」

私は答えました 「空気中の水のことだよ」

彼は言い返します 「空気に水なんてないね バカじゃない」(笑)

私もこう返します 「私を信じなくてもいいさ 信じ無くていい 100%に設定してみて」 彼は100%に設定し―何が起こるかって? 水分が凝集し 霧となって ついに水滴が落ちてきます

彼は「なんだ 湿度って雨のことだね 何でそう言ってくれなかったの?」(笑)

我々はまるでゲームのような 入力画面を作りました 3次元表示です 世界中のどこからでも ログインできます スマートフォンでもタブレットでもOK ボット(栽培器)の 様々な装置やセンサーを操作できます 世界中の他の子どもたちが 作ったレシピを 選んでもよし レシピを選んで起動すると 苗木が植えられます 成長の間も 変化を与えられます 「植物はなぜCO2を必要とするの? 有害では?人を殺してしまうよね」 なんて言葉も聞かれます CO2濃度を上げると 植物は死にます CO2を下げると 植物はとても元気になります 植物を収穫が済むと 新しいデジタル・レシピの出来上がり

繰り返しデザインし 開発し 探求するプロセスです 彼らが開発した 新しい植物に関するデータや 新しいデジタル・レシピを ダウンロードできます そして変更点は― 効果的か 逆だったのか? これらが開発プロセスの 核心部分だと考えて下さい 我々は多くを学ぶでしょう

これはフード・コンピュータと 我々が呼んでいるものです 学校での3週間 3週間でこれだけ成長します もっと大切なことは この子が初めて 「自分も農民になれるかな」と思ったこと もしかすると 「農民になりたいと」と思ったかも

そこで我々はデータを 全てオープンにしました 全てオンラインです 家で フード・コンピュータを組み立ててみましょう ちょっと難しいかもしれません でも― 始まったばかりの試みですが 全てが整っています 簡単に入手できることが とても重要なことです もっと身近なものにして行きます

彼らは農民 電気技師 機械技師 環境技師 コンピュータ科学者 植物科学者、経済学者や 都市計画家です 1つのプラットフォーム上で 自分の得意なことを行います このラボでは 手狭になってきました

これが私が使い始めたばかりの 新しい施設です このような倉庫は どこにでもあるでしょう それが選んだ理由です 倉庫の中で こんなものを 作ろうとしています これは既に実在しています ご覧ください こちらも既にあります それぞれ緑色野菜と エボラワクチンを 育てています 国防高等研究計画局のグランド・チャレンジで これらの植物が優勝した理由の1つが エボラ研究で先行していたことです 素晴らしいことです この植物はエボラに抵抗力のある タンパク質を生成します 医薬品、栄養補助食品から レタスに至ります

レタスとは全く似ていませんが これこそ私が研究する分野です 全ての点で異なっています 我々はまだ初期のカオス状態にあって― まるで「当社のブラックボックスです—」 「僕のを買いなよ」 「だめだ とても貴重な知的所有権は 僕が保有しているんだ 彼のはダメ 僕のを買って」

実際のところは まだ始まったばかりで 社会が変わろうと しているところです より多くの安価な 食品を求める一方 より良質な環境に優しい食品を 求めるようになっているのです いつの時でも最も怪しい食べ物とされていた チキンナゲットの中身を マクドナルドが公表したということは 彼らは世の中の変化に合わせて マーケティングを 行っていることを示しています

では現代の世界について 見てみましょう 個人用のフード・コンピュータ フード・サーバー それにフード・データ・センターが― オープン型フェノームで 運用されます オープンゲノムと異なり 我々のは 気候のレシピが少し加えられた ウィキのようなものです プルダウンメニューから選んで起動し 成長させることが出来ます

この試みは世界的には どう見えるでしょう? 世界は線で結ばれていたことを 覚えていますか? まずは発振器を設置し 食糧そのものを 送るのではなく 食糧に関する情報の 発信を始めます 単に私の幻想ではなく 既に このような場所で 広めています フード・コンピュータと フード・サーバー それにフード・データ センターも出来て 情報の共有により 人々が繋がっていきます

将来の食糧供給とは 内包する欠点と戦うことではありません 欠点が何かは分かっています 将来の食糧供給は次の10億人の農民をつなぐ ネットワークのことであって プラットフォームの提供により 問題の提起と解の提供を可能にします 「もしも・・・」

ありがとうございました(拍手)

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このプレゼンテーションについて

世界中のどこにいても室内で、美味かつ栄養豊かな食物を育てることが出来たなら?マセチューセッツ工科大学(MIT)メディア・ラボ、CitiFARMの所長であるケイレブ・ハーパーは、生産者を技術でつなぐことによって食糧生産システムを変革することを望んでいます。ハーパーの「フード・コンピュータ」を通して、未来の農業がどのような姿になるのかを垣間見てみましょう。

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