ミスター・コンドームはいかにしてタイの状況を改善したのか(13:50)

メチャイ・ビラバイダヤ(Mechai Viravaidya)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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タイへようこそ 私が若かった頃 40年も前になりますが タイは貧しい 貧しい国で 多くの人々が貧困にあえいでいました なにか対策を ということになったのですが 私たちが始めたのは 福祉プログラムや 貧困対策プログラムではありませんでした。その代わりに家族計画プログラムを始めたのです。その前には 母子健康プログラムなどの 活動が成功を収めていました。子供が大人になるまで生きることができなければ 家族計画プログラムは受け入れられません。つまり まず取り組むべきは子供達や母親であり その後に 家族計画が続くのです。小児死亡率だけが問題ではありません。家族計画が必要となります では なぜ私たちがこの仕事に 取り組み始めたのかを話しましょう。

1974年のタイの状況はこうでした。平均的な子供の数は7人、人口増加率はなんと3.3パーセントであり どうしようもない状況です。この増加率を下げなければなりませんでした。「とにかく始めよう」としたのです。女性たちは言いました「賛成です ピルを使いましょう でも処方してくれる医師がいないのです」 医師が全く足りませんでした。しかし諦めることなく 解決策を探しました。女性である 看護婦や助産婦に協力を求めたのです。彼女たちは とても上手く ピルの説明をしてくれました。これは素晴らしいことでしたが タイの20%しかカバーできなかったのです。

では 残りの80パーセントはどうすればいいのでしょうか。何もせず 「医療関係者ではないからね」では済みません。私たちはさらに活動を進めることにしました。一般の人々にお願いしたのです。黄色のサインが見えますが――まだ消されていなければいいのですけど――「コカコーラ」の店だったのです。今や我々の方がコカコーラより大きくなってしまいました。コカコーラが選んだ人々と 我々が選んだ人々には違いがありません。その地域でよく知られた人々であり 顧客が常に正しいことを理解しています。そして 自らも家族計画に参加していることが素晴らしい点です。こういった人々を通じて 国中のどの村にも ピルやコンドームが届けることができたのです。問題解決の妨げになっている と思われる人々のもとを 訪れました。人がいるところはどこでも ― ボートに乗って物を売っている女性がいます。水上市場では バナナやカニの他に 避妊具も売っています。人がいるところであれば どこでも 避妊具を買うことができるのです。

その次には宗教にも活動を拡げることにしました。フィリピンでは カトリックの影響が大きいのですが、タイの人々は仏教徒です。「協力をお願いできますか」とお願いしました。青い服が私です。黄色い服ではありません。家族の高潔を守るため 僧侶がピルやコンドームに ふりまく聖水の入った 鉢を手にしています。この写真は国中でニュースになりました。地方の僧侶の中には 自身で同様のことを行っている方もいました。「副作用がないのは祝福を受けているからね」 と女性は安心することができました。これが彼女たちの印象でした。

次は学校の先生たちです。人々の生活を良くすることに 関係のある全ての人々に 参加してもらう必要があるのです。そこで 先生方にお願いしました。25万人が家族計画について 新しいアルファベットで 勉強しました。A, BはBirth(誕生), CはCondom(コンドーム), IはIUD(子宮内避妊用具) VはVasectomy(精管切除)と学習を受けました。サイコロがあれば「へびとはしご」の双六ゲームもやりました。家族計画に良いマスに止まれば進むことができます。「お母さんは毎晩ピルを飲みますだと お母さん、良くできました 一マス進む。叔父さんはコンドームを買います。良くできました。一マス進む。叔父さんは酔っ払うとコンドームを使いません。スタートに戻る」などです(笑)
教育やクラスでの活動 子供達は学校でも学んでいます。コンドームのリレー コンドームの膨らまし大会 瞬く間に コンドームは女の子の一番の味方になりました。タイの貧しい人々にはダイアモンドは流行らないのです。コンドームが女の子の無二の親友になりました。

1975年には マイクロクレジット(少額融資計画)を導入しました。このプロジェクトを管理・運営した女性たちは「家族計画を実践している女性への 融資がしたかっただけです。妊娠中であれば それに専念していただき、妊娠していなければ 我々から融資を得ることができるのです」と話していました。35, 36年経った今でも このプログラムは続いており 今ではVillage Development銀行の一部となっています。本当の銀行ではなく、ファンド、つまりマイクロクレジットです。運営に大きな組織は不要でした。村に住む人自らが運営を行っていたのです。男性の参加はほとんど見られません。どこでも 女性 女性 女性...です。次に アメリカにも支援ができるのではと考えました。アメリカは全ての人々を支援してきました。支援される方の事情には関係なく(笑)。そして7月4日 全ての男性に精管切除手術を提供することにしました。特に、大使館邸まで続く行列の 先頭に並んでいる人々に提供しようと 考えたのです。ホテルはボールルームを提供してくれました。正にピッタリの部屋です(笑)。昼休みが近かったので「よし お昼をごちそうしよう もちろん アメリカのコーラ、コークとペプシ どちらもあるよ。食べ物は ハンバーガかホットドッグ」と呼びかけたのです。まあ ホットドッグの方がピッタリだったのですけど(笑)
この国際開発庁で働く若い男性 ウィリー・ボームと呼ばれていますが 精管切除の手術を受けたことは明白です。ホットドッグは半分食べてありますし、幸せそうでしょう。米国内でニュースになり 怒りを感じる人々もいました。「安心してくれ 来れば 君たちにも手術してあげよう」と言いましたが(笑)。

その後 どうなったでしょうか? このように 一世帯当たりの子供の数は7から1.5人へ、人口増加率は3.3%から0.5%へ減少しました。コカコーラ戦略と呼んでいただいても構いません。全く同じことなのですから。コカコーラが我々を真似たのか、我々がコーラを真似たのかは分かりません。でも 我々は親友です。このようにして 誰もが参加するようになりました。政府は強力ではありませんでしたし 医者も多くはありませんでした。みんなで協力して 行動や習慣を変えることができるのです。

そしてAIDSがタイでも出現しました。それまでの優れた試みを中止して AIDSとの戦いに専念せざるを得なくなりました。残念なことに 政府は拒否するのみだったのです。そのため 我々の努力は役に立ちませんでした。「政府がダメなら 軍部に依頼してみよう」と考え、軍を訪問して300のラジオ局を借りることができるかと尋ねました。軍は政府より力をもっており、政府よりもたくさんの銃を持っています。HIVとの戦いに力を貸してもらうよう 軍にお願いしたのです。統計情報を説明したところ「了解した ラジオ局とテレビ局を全部使って構わない」との回答がありました。そして放送の利用が始まったのです。その後すぐ 首相が交代しました。新首相から「メチャイさん 我々と共に活動しないか」と誘われました。首相は私の妻を気に入っていたからです。「分かりました」と答えました。国家エイズ委員会の議長になり、予算を50倍に増やしました。

すべての大臣が 裁判官も エイズ教育に取り組むことになりました。すべての人々です - 官僚 政府機関 宗教組織 学校 - 誰もが取り組みを行いました。メディア関係者も HIVに関する教育が必須となったのです。30秒長く広告をすることで ステーションはお金を稼ぐことができるようになりました。喜んでもらうことができました。エイズ教育が まずは大学から、そして全ての学校で行われるようになりました。高校生が高校生の先生になっています。男子より女子の方が良い先生になりました。本当に優秀でした。この子達が安全なセックスやHIVについて各地で教えており マザー テレサとして知られていました。そして 次の段階に移ることになりました。小学3, 4年生の子供たちが 村中の家々から タイ中の家々を訪問し、エイズの情報とコンドームを各家庭に 配っています。この子達です。反対する親はいません。人命を救う活動なのですから。この子達は人命救助者なのです。「誰もが参加するべきだ」と訴えました。

企業もまた認識を新たにしようとしています 病気の社員は働けないし 亡くなった顧客は買い物をしません 全員が学んだのです その次はキャプテン コンドームです ハーバードのMBAを持っていて 学校や繁華街に出現します みんなが好きになりました シンボルが必要なのです どの国でも 何の活動でも シンボルが必要です おそらくMBAを取得した彼が行った 最も有意義な活動でしょう (笑) 町中の至る所でコンドームを配布しました どこでも どこでも タクシー内でもコンドームを貰えます 路上でも 警官がコンドームをくれます 「お巡りさんとゴム」プログラムです (笑) ニューヨークの警官がコンドームをくれるなんて想像できますか? 私はできます ニューヨークでも楽しく配ってくれることでしょう 今ではあちこちで見かけるようになりました コンドームを持っていて 様々な人々に配っているところを想像してください バリエーションも豊富になりました ヘアバンド 服 携帯電話用のコンドーム 雨期にはピッタリです(笑)。

私たちが作り出したコンドームです 「大量防衛兵器」と呼ぶ人もあります これです 大量破壊兵器を探していた人がいたと思いますが 我々は大量防衛兵器を見つけ出したのです コンドームです 星条旗のもありますね 「出かけるときは忘れずに」 あとで差し上げようと思いますが 注意して下さい タイのサイズです 気をつけてください (笑) このように コンドームには多くの使い道があります ご覧下さい アル ゴアとビル シニアに差し上げました 温暖化対策にはコンドーム こちらの図柄は さきほどの 大量防衛兵器です 次のオリンピックが命を守るものでありますように 走り回るだけじゃなくて (笑) 最後に タイの人々は仏教徒で 神様を信じません その代わりに「ゴム様を信じます」 (笑) 人々の生活を改善するための努力は 何でもしてきたのです ホテルや学校の冷蔵庫にもコンドームを置きました アルコールは判断力を弱めますからね。

その後はどうなったでしょうか 誰もが参加するようになりました 国連によると HIVの新規患者数は 90%減少しています 世界銀行によれば 770万の人命が救われたことになります タイの街にはもっと人が少なくなっていたかもしれません 努力は報われるのです 資金の90%はタイ国内から出ています 政治的なコミットメント 財政的なコミットメント 誰もが戦いに参加しました 絶対に 専門家や医師、看護婦に任せきりではいけません すべての人々が参加しなければなりません。

エイズをなんとかすることができましたから 次は 貧困にある人々を救うことを始めようと考えました 政治の力だけではありません 産業界からの協力もあります なぜなら 貧しい人々とは ビジネスのスキルに欠け 資金を得る術を持たないビジネスピープルであるからです 資金を得る術を持たない実業家であるからです 貧しい人々を「裸足の起業家」 つまり 「小さな経営者」に変えようとしているのです 貧困から脱する方法は事業を行うことしかありません それを実行しました 植林を通じて企業から村へと お金が流れます これは 施しではありません 木を植えて マイクロクレジットに入金されます これをVillage Development Bankと呼んでいます 誰もが参加し 誰もが 自分が銀行の所有者であると考えています 貯蓄があるんですから。

お金を借りる前に 学ぶことが必要となっています 貧しい人々を救いたい 貧困にある人々を救いたいと考えるのであれば 資金を得ることが人権のひとつであるはずです 資金を得られることは 人権のひとつであるはずです そうでなければ 人々は貧困から脱することはできません お金を借りる前には 学ぶことが必要です 「裸足のMBA」と呼んでいますが ビジネスのやり方を教えることで お金を借りて ビジネスを成功させることができます これらはほんの一例ですが マッシュルーム カニ 野菜 林業 果物 おもしろいものとしては Nikeのクリームにビスケット Nikeが援助している村です 「もう ここでは靴や服を作るのは止めるべきだ 我々にはその準備がある」とNikeは語っています 次にシルク タイシルクです スコットランド風のタータン模様のシルクが左側にあります スコットランド出身の人々に売るためですね テレビをご覧になっている方 私に連絡してください タイにおけるスターバックスへの答えです 「コーヒーとコンドーム」 スターバックスはあなたの目を覚ましますが 我々はそれだけでなく命を守ります それが違いです スターバックスでコンドームが手に入るなんて 想像できますか? カプチーノと一緒にコンドームを注文できるのですよ

最後に教育への取り組みです 学校が有効利用されていない状況を変えて 誰もが生涯にわたって学べる場にしたいと考えているのです 「学校を利用した地域開発」と称しています 経済および社会開発の 中心 焦点となります 学校を再生し 地域のニーズに応えることができるようにします 竹でできた建物があります 竹だけでできています 竹でできたジオデシックドームです 竹のジオデシックドームを見たら バックミンスター フラー氏も喜んでくれることでしょう 学校の周りには野菜を植えて 自分たちで育てるようにしています

最後になりますが 私は固く信じています MDG つまりミレニアム開発目標を 達成するためには 家族計画を追加する必要があるのです もちろん まず小児死亡率の問題を解決しなければなりません 皆が家族計画サービスを必要としています 十分な活用がなされていないからです 我々は大量防衛兵器を見つけ出しました 次のオリンピックには人命を救うという目標も 付け加えて欲しいと思います これが我々のネットワークです タイのチューリップの写真ですね(笑)

ご清聴ありがとうございました(拍手)

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このプレゼンテーションについて

TEDxChangeにおいて、タイの「ミスター・コンドーム」メチャイ・ビラバイダヤは1970年代に取り組みを始めたタイの生活水準向上のための大胆な活動について話しました。最初のステップは、人口増加の抑制。つまり、率直で、愉快で、かつ効果的な手段、コンドームについての話です。

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