電話で行うパーキンソン病のテスト(6:04)

マックス・リトル (Max Little)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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私は応用数学をやっています。応用数学をやっている人間には特有の問題がありまして、経営コンサルタントのように、一体何をやっているのかわからないのです。そこで本日は皆さんに、私の仕事を知っていただきたいと思います。

さて、ダンスは最も人間味のある活動の一つです。美しいバレエやタップダンスを見ると心が躍りますよね。バレエには非常に高度な知識と技術が必要とされます。さらに遺伝による適正も必要かもしれません。パーキンソン病などの神経変成疾患は残念なことに、こうした素晴らしい能力を徐々に奪っていきます。かつてのバレエのトップダンサーで、私の友人であるジャン・ストリップリングにもこの悲劇が襲いました。技術の進歩は目覚ましく、何年も治療の努力は続いていますが、それでも世界で630万人が この病を患っており、不治の衰弱・震え・硬直などといった、この病気の症状に苦しんでいます。そこで必要なのが、手遅れになる前に病気を診断できる客観的な方法です。病気の進行を客観的に測ること、そして最終的には、いつ治療法が得られるのか。これを知る唯一の方法は、客観的な判定しかないのです。

しかし口惜しいことに、パーキンソン病や他の運動障害は生体指標がなく、血液検査で簡単にわかるものでもありません。目下、最良の方法とされているのが神経学者による20分間のテストですが、これは病院に行く必要があり費用もかかり、つまり臨床試験以外では誰もやる人がいません。

もし患者がこのテストを家でできるとしたら? わざわざ病院に行く必要もなくなります。そして自分でこのテストを行えるとしたら? 高い診療費も浮くわけです。神経内科でのテストは300ドルくらいかかります。

そこで今日ご紹介したいのが、ちょっと変わった判定方法です。私たちは皆ある意味で、私の友人ジャン・ストリップリングのような「名手」です。

この動画は、発話によって声帯が振動している様子です。この声帯の持ち主は健康体です。私たちは皆、声のバレエダンサーと言えます。人が発話をする際には、全ての声帯組織の調整が必要です。このためにFoxP2のような遺伝子があるのです。声帯振動はバレエ同様、激しい訓練の賜物です。赤ん坊が話し始めるまでには長い時間がかかりますね。私たちは音を聴いて、声帯の動きを追うことができます。パーキンソン病は四肢だけでなく声帯組織にも影響を与えます。下の線が声帯の正常でない動きを追ったものです。震え・衰弱・硬直といった、四肢と同じ症状が声帯にも見られます。病気の症状として、しばらくすると声が小さくなり息継ぎが増えます。

場合によってこの声の変化は非常に微かなものですが、どんなデジタルマイクでも、精密音声分析のソフトと最新の学習型の機械を用いて、発話者の病気の進行状況を正確に知ることができます。必要なのは音声信号だけです。

さて、この音声によるテストは専門家のテストに太刀打ちできるでしょうか。両方とも何かを身体に突っ込んだりしませんし、既存のインフラを使います。どちらも専用の病院施設を作る必要はありません。そしてどちらも正確な診断が可能ですが、音声テストでは専門家は必要ありません。自分で検査を実施できます。時間もかからず、長くても30秒で事足ります。更にコストはほぼゼロです。そうすると何が起こるかというと、非常に大きな規模で検査を実施できるようになります。そして私たちが目指す4つの目標がこちらです。
「患者の負担を軽減すること」「定期検診のための通院は不要にすること」「高い頻度でデータを取ること」「臨床試験の大量動員を低コストで実施すること」。
こうして初めて、大規模なスクリーニングが可能になります。診断可能な生体指標を、手遅れになる前に探し始めることが可能になります。

今日はそのための第一歩として、パーキンソン・ボイス・イニシアティブを立ち上げます。"aculab''や''patientslikeme''と協力し、世界中で大量の音声データを収集することで、4つの目標に挑戦することができます。7億5千万人がアクセス可能な電話番号を 地域毎に用意し、パーキンソン症候群を煩っている人、健康な人でも誰もが数セントで気軽に録音をできます。嬉しいことに、この8時間で既に目標の6%に到達しています。ありがとうございます。(拍手)

(トム・ライリー):例えば1万人分のサンプル音声を採取して 病気に罹っているか否かわかるのですか? サンプルからは実際に何がわかるのですか? 病気に罹っているか否かわかるのですか? サンプルからは実際に何がわかるのですか?

(マックス・リトル):つまりこうです。電話で人は病気か否かを言う必要があります。もちろんそれが正確にできない場合もあるでしょうが、様々な環境において非常に膨大なサンプルを集めます。このサンプルの数が重要なのです。それによって交絡因子を排除して、この病気の本当の兆候を探すことができます。

(トム・ライリー):精度は86%でしたか?

(マックス・リトル):改善しています。私の学生サナシスのことを宣伝しないといけないですね。素晴らしい働きをしてくれました。彼は携帯電話のネットワークでもサンプル採取が可能であることを証明しました。更にその精度は99%に達しています。

(トム・ライリー):それはすごい進歩だ。つまり誰もが――

(マックス・リトル):(笑)パーキンソン病の人でも誰でも携帯電話から電話をして、テストのために自分の声を録音すると専門家がチェックして、進行度を調べてくれるということですね。

(マックス・リトル):その通りです。

(トム・ライリー):ありがとうございました。

(拍手)

※トム・ライリーは、TEDのコミュニティ・ディレクター。

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このプレゼンテーションについて:

パーキンソン病による衰弱や震えに苦しむ人は世界中でに630万人にのぼりますが、早期発見につながる客観的な診断方法はありませんでした。しかし、応用数学者でTEDフェローのマックス・リトルが目下実験中の方法では、電話を使ったわずか30秒のテストで、99%の精度でパーキンソン病を診断できるというのです。

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