どこでも出来る小さな森の育て方(4:22)
講演内容の日本語対訳テキストです。
自動スクロールはしませんので、映像に合わせてスクロールさせてご覧下さい。
私は生産技術者です。人生の目標は、常に最少の時間と資源でより多くの製品を作る事です。トヨタで働いている間、私は車の作り方しか知りませんでした。宮脇 昭博士と出会うまでは。彼は工場の中に森を作る為にやって来ました。工場をカーボンニュートラルにする為です。私はそれにとても魅力を感じてしまったので、ボランティアとして彼のチームに参加して、この方法論を学ぼうと決めました。すぐに自分の家の裏庭に森を作り始めました。そして、これが、その3年後の姿です。
この森は、従来の植林地と比較して10倍の速さと30倍の密度と100倍の生物多様性を持って育っています。家の裏庭に森が出来て2年以内に、夏の間、地下水が枯れないという事に気づきました。この地域で見かける鳥の種類の数が2倍になり、空気もきれいになりました。私たちは家の庭の真裏で、何もしなくても育ってしまう季節の果物を収穫し始めました。
私はもっと沢山の森を作りたくなりました。この結果に大いに感激して、車作りやソフトウェア開発といったあらゆる主流のビジネスと同じ眼識でこの森を作りたくなりました。そこで私は会社を設立しました。それは、元来の自然の森を作る為にくまなく行き届くサービスを供給する会社です。しかし植林を主流のビジネス産業にする為には、森作りの過程を、規格化しなければなりませんでした。そこで私たちは森作りの過程で、その品質と効率で知られているトヨタ生産方式を基準にしました。
トヨタ生産方式、通称TPSの核心は、例えば「平準化」にあり、それは一つの組み立てラインで違うモデルの車を生産するというものです。私たちは車を木に置き換え、現在、異なる種類の木で出来た多重層の森を作っています。その森は100%垂直な空間を活用します。とても密集していて、歩いて入る事すら出来ません。それで、例えば6台程の狭い駐車スペースに300本の木で森を作ることができます。コストと自分自身の二酸化炭素排出量を減らすために、ローカルバイオマスを活用して土壌を改善し、施肥することを始めました。例えば、ココナッツの殻を機械で砕いて米わらと混ぜたものや、糠と有機肥料を混ぜたものが最後に土に撒かれ、そこに植樹がなされます。一度苗を植えたら、米草や稲わらで土の上を覆います。引き込んだ水が全て空気中に蒸発してしまわない為です。そんな簡単な間に合わせを使って、iPhoneと同じくらい低いコストで、今、私たちは森を作ることが出来るのです。
今日では、家や学校、企業の工場ですら森を作っているのですよ。でもそれだけでは十分ではありません。自ら行動を起こしたいという人々が非常に数多くいるのです。それで、現在では、インターネットを基盤に、森作りに取り組む事になりました。そこで私たちは自分達の方法論を「オープンソース」として公開しました。これを使えば、我々を呼ばなくても誰でも― 誰もが、私達の方法論を使って、自分で森を作れるのです。ボタンをクリックすれば、全ての種を、居ながらにして知るようになれます。用地に小さなセンサーをインストールすることで、離れた土壌を実際に検査出来るのです。それを使って、私たちが、遠隔で、森を作ることに関する段階的な指示を与える事が出来ます。現場を訪れることなく、この森の成長を監視することも出来ます。
この方法論には、未来の可能性があると信じています。方法を分かち合う事で、実際に地元の森を取り戻す事が出来るのです。さあ、家に戻って、少しでも不毛の土地があれば、それは森になる可能性がある事をしっかりと心に留めておいて下さい。
ありがとうございました。
人間の手で作られた森は、その後は自然そのものの力に委ねられ、成熟するまでには通常少なくとも100年かかります。しかしその過程を私たちが10倍速くする事が出来たらどうなるでしょう。
この短いトークの中で、エコ起業家(TEDフェロー)のシュベンド・シャルマは、どこでも出来る小さな森の生態系の作り方を説明しています。
カテゴリ 技術(Technology), 社会問題(Social Issue),文化(Culture)