コラム・連載

石井正教授コラム『継続可能な地域医療体制について』

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バックナンバー 一覧

第18回 東北大学の教授に就任する

2022.11.15

震災から1年が経って、私は外科に戻り、普通に手術もしていました。ある日、昼食をとっていたら、「消化器内科の下瀬川徹教授からお電話です」と言われたんです。下瀬川教授とは面識がないし、消化器内科がご専門だけに、私が手術で失敗したか、何 ...[ 続きを読む ]

 

第17回 東北大学の強さ

2022.10.15

著書の『石巻災害医療の全記録』にも書いていないのですが、今は方々で言っているので、ここでもお話ししますね。実は震災時、大学とは喧嘩したんですよ。震災当時、東北大学病院の病院長は私と同じ第二外科(現 総合外科(2018年に第一外科と第二 ...[ 続きを読む ]

 

第16回 石巻圏合同救護チームからの提言

2022.09.15

最大の目的は新しく参集してくださる救護チームに対し、私たちの活動を理解していただくことにあったのですが、メディアの方たちにその時点での石巻医療圏の課題を知っていただくプレスリリースでもあり、行政にも私たちの活動を知ってほしいという ...[ 続きを読む ]

 

第15回 「エリア・ライン制」

2022.08.15

震災発生から1週間は日赤救護班の16チームだけだったのですが、8日目以降は全国から様々な救護チームが来てくれました。ただ、石巻赤十字病院に来てくれたチームもあれば、宮城県からの指示で、避難所に直接入ったチームもあり、複数のチームがバッ ...[ 続きを読む ]

 

第14回 避難所アセスメント

2022.07.15

避難所アセスメントは私のアイディアではありません。避難所が300カ所もあると分かり、どうしようかと思案に暮れていたら、支援に来てくださっていた日赤医療センター国内医療救護部長の丸山嘉一先生が「石井ちゃん、難民キャンプではアセスメント ...[ 続きを読む ]

 

第13回 東日本大震災発災当日

2022.06.15

移している肝臓がんの手術がちょうど終わり、出血がないかどうか確認するドレーンを入れているところでした。手術後に出血すると良くないのでドレーンを入れておき、出血がなければ、翌日抜くのです。そこで揺れが来たので、それ以降の処置を助手 ...[ 続きを読む ]

 

第12回 石巻赤十字病院に着任する

2022.05.15

岩手県立遠野病院に行くときは1年と聞いていたのですが、結局3年が経ち、4年目になるときに、第二外科の医局長から「そろそろ動かす」と言われたんです。それで「どこですか」と聞いたら、「岩手県立北上病院か石巻赤十字病院を考えている」と言 ...[ 続きを読む ]

 

第11回 外科医を志す

2022.04.15

私はあまり真面目な学生ではなく、成績が悪いということを自覚していました。精神科に行けば、父と比較されてしまうという気持ちもありました。でも道端で倒れている人にどうにかしてさしあげられる、最低限のプライマリケアを学び、手にスキルを ...[ 続きを読む ]

 

第10回 医師を目指す

2022.03.15

父が精神科の医師だったことがきっかけです。私が毎年6月に1年生に講義をしているというお話は第6回でもしましたが、入学してすぐの学生は受験の勝利者だ、勝ち組だ、選ばれた人間なのだと天下を獲ったような気分になって浮かれているので、そうでは ...[ 続きを読む ]

 

第9回 宮城県抗体カクテル療法センター

2022.02.15

新型コロナウイルス感染症の軽症の方に対して、抗体カクテルを集約的、かつ効果的に投与することで重症化を予防することが目的です。これを宿泊療養施設内に設置しました。そうです。その医療機能付きホテルは東北大学が運営しています。そこに入られた ...[ 続きを読む ]

 

第8回 東北大学大規模ワクチン接種センター

2022.01.15

設置の経緯としては2021年5月10日に宮城県と仙台市から依頼があったことがきっかけです。まず、これは集団接種センターとは違い、大規模接種センターだということです。どこかの会場で次々にワクチン接種するには会場に制約があり、医療施設や体育館のよう ...[ 続きを読む ]

 

第7回 新型コロナウイルスの第5波を乗り越える

2021.12.15

本部長は東北大学病院の冨永悌二病院長で、私が副本部長です。2020年12月10日からのことを振り返りますと、14市町村からなる仙台医療圏の22の医療機関と連携し、病床の確保、入院調整、軽症者等宿泊療養施設入所調整などを行ってきました。本部員は10人で、 ...[ 続きを読む ]

 

第6回 医学生を教育する

2021.11.15

3年次にある基礎医学修練というカリキュラムですね。最近、カリキュラムの変更があり、20週間に減ってしまったのですが、それまでは半年ほど行っていました。学生が基礎医学を中心とする教室に割り振られて、リアルに研究するんです。私はそのアドバイザー ...[ 続きを読む ]

 

第5回 病院総合医を養成する

2021.10.15

それはあまり偉そうなことは言えないです(笑)。総合診療科ですので、総合診療や家庭医療に携わる人を増やしましょうということで、文部科学省のコンダクター型総合診療医の養成プログラムに取り組んでいますが、東北大学はそのトップリーダーではなく、 ...[ 続きを読む ]

 

第4回 食道アカラシアの研究

2021.9.15

私はもともと東北大学の第二外科出身です。今は総合外科になり、私も外科を離れていますが、食道班の一員として、時間があれば術前カンファレンスに参加しています。石巻赤十字病院に勤務していたときは外科の責任者だったのですが、「カンファレンスに ...[ 続きを読む ]

 

第3回 感染災害の現場

2021.8.15

一つ目がドライブスルーでのPCR検査の責任者、二つ目が療養施設となっているホテルでのオンコール調整の責任者です。ほかの都道府県とは異なるのかもしれませんが、私どもの総合地域医療教育支援部が担当しているホテルは医師が往診したり、ホテルの中で ...[ 続きを読む ]

 

第2回 新型コロナウイルス感染症の最前線に立つ

2021.7.15

6月ぐらいまでは1日10件ほどだったので拍子抜けしたのですが、7月頃から増えてきまして、現在に至っています。7月ぐらいに第2波が来て、2021年3月からまたぐっと増えてきました。数字で言うと、6月までは件数も少なく、診療所を止めてもいいのではないかと ...[ 続きを読む ]

 

第1回 東北大学診療所を開設する

2021.6.15

一般の方々と同じですよ。2020年2月のダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が起きた頃に知りました。印象としても一般の方々と同じです。ダイヤモンド・プリンセス号の頃は直接、関与していませんでしたが、日本災害医学会の総会・学術集会を開くか、聞かないかの ...[ 続きを読む ]

 

著者プロフィール

石井正教授 近影 (c)稲垣純也

著者名:石井 正

1963年に東京都世田谷区で生まれる。1989年に東北大学を卒業後、公立気仙沼総合病院(現 気仙沼市立病院)で研修医となる。1992年に東北大学第二外科(現 総合外科)に入局する。2002年に石巻赤十字病院第一外科部長に就任する。2007年に石巻赤十字病院医療社会事業部長に異動し、外科勤務の一方で、災害医療に携わる。2011年2月に宮城県から災害医療コーディネーターを委嘱される。2011年3月に東日本大震災に遭い、宮城県災害医療コーディネーターとして、石巻医療圏の医療救護活動を統括する。2012年10月に東北大学病院総合地域医療教育支援部教授に就任する。現在は卒後研修センター副センター長、総合診療科科長、漢方内科科長を兼任する。

日本外科学会外科専門医・指導医、日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医、日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医・指導医、社会医学系専門医・指導医など。

バックナンバー
  1. 継続可能な地域医療体制について
  2. 18. 東北大学の教授に就任する
  3. 17. 東北大学の強さ
  4. 16. 石巻圏合同救護チームからの提言
  5. 15. 「エリア・ライン制」
  6. 14. 避難所アセスメント
  7. 13. 東日本大震災発災当日
  8. 12. 石巻赤十字病院に着任する
  9. 11. 外科医を志す
  10. 10. 医師を目指す
  11. 09. 宮城県抗体カクテル療法センター
  12. 08. 東北大学大規模ワクチン接種センター
  13. 07. 新型コロナウイルスの第5波を乗り越える
  14. 06. 医学生を教育する
  15. 05. 病院総合医を養成する
  16. 04. 食道アカラシアの研究
  17. 03. 感染災害の現場
  18. 02. 新型コロナウイルス感染症の最前線に立つ
  19. 01. 東北大学診療所を開設する

 

  • Dr.井原 裕 精神科医とは、病気ではなく人間を診るもの 井原 裕Dr. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科教授
  • Dr.木下 平 がん専門病院での研修の奨め 木下 平Dr. 愛知県がんセンター 総長
  • Dr.武田憲夫 医学研究のすすめ 武田 憲夫Dr. 鶴岡市立湯田川温泉リハビリテーション病院 院長
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